「顎下腺がん」を疑う初期症状・原因・生存率はご存知ですか?医師が監修!
顎下腺がん(がっかせんがん)は、唾液腺がんの一種で完治が難しい病気です。基本的には手術により悪性腫瘍を切除しますが、取り切れず残ってしまったり、周囲への転移が進行したりするケースが多いです。
初期症状がみられた場合には、早めに専門医に相談して治療を進めることが大切になります。そのためにも、病気の特徴としてどのようなものがあるのか、理解しておきましょう。
今回は、顎下腺がんの症状・発症の原因・検査の方法・治療法・生存率についての解説をします。病気の特徴について、あらかじめ理解を深めておくと安心です。
監修歯科医師:
熊谷 靖司(歯科医師)
目次 -INDEX-
顎下腺がんとは
顎下腺がんの特徴を教えてください。
顎下腺に悪性の腫瘍が発生する病気が顎下腺がんです。唾液腺がんとしては、耳下腺がんに次いで2番目に発症例が多い病気で、唾液腺がん全体の2~3割を占めるとされています。
悪性腫瘍を発症しやすいのも顎下腺がんの特徴で、良性と悪性の割合はともに5割程度との報告があります。
顎下腺がんでみられる症状を教えてください。
顎下腺がんに罹患すると、このあたりの箇所が腫れてくる初期症状がみられるでしょう。他の唾液腺がんと同様、最初は痛みを伴わないため、気付かないケースも多いかもしれません。
しかし病状が進行して腫瘍の増大がみられると、痛みやしびれなどが発生してきます。あごの下のあたりに原因不明の腫れがみられたら、早めに専門医に相談することをおすすめします。
顎下腺がんに痛みはありますか?
また、食べ物を飲み込んだり口を大きく開けたりする動作が難しくなる症状も表れると考えられています。病状が進行することで、顔の痛み・痺れ・顔の筋肉の麻痺がみられるため、この段階で異常に気付くケースも多いでしょう。
発症の原因を教えてください。
- 高齢であること
- 頭部・頸部に対する放射線治療の影響
- 特定の発がん物質を職場などで身体に受けること
顎下腺がんは、病気の状態によって様々な種類があると考えられている病気です。また、あごの下の腫れを発症するのは顎下腺がん以外にもみられる症状であるため、判断が難しい側面もあります。
顎下腺がんの好発年齢を教えてください。
また、前述のように良性と悪性の割合はほぼ半々であるため、早めに検査を受けて医師の判断を仰ぐことが重要です。特に中高年の年代に達した方は、あごの下あたりに違和感を覚えたらこの病気の疑いがあると考え、早めに医師に相談をしましょう。
顎下腺がんの検査方法
受診を検討するべき初期症状はありますか?
あごの下の腫れが大きくなり、かつ痛みやしびれを伴う場合には、悪性腫瘍である可能性が高いため特に注意しないといけません。あごの下の腫れを発症するのは、他の病気でも起こり得るため、判断が難しい面もあります。早めに最寄りの耳鼻咽喉科に相談に行くことをおすすめします。
顎下腺がんはどのような検査で診断されますか?
これに加えて、超音波・CT・MRIを用いて腫瘍の性状・進展範囲・転移の有無の診断を実施することも多いです。さらに、PET検査により全身を投影して遠隔転移の検査を実施する場合もあります。
治療方法を教えてください。
周辺組織の切除による欠損部分が大きくなる場合は、腹部や大腿部から組織を移植する遊離組織移植を実施します。頸部リンパ節転移や潜在的転移の可能性が考えられる場合は、頸部郭清術や放射線治療を行なうケースもあります。
顎下腺摘出の合併症を教えてください。
舌下神経損傷など外科的なトラブルも減少傾向にあります。手術の痕も目立たなくなってきており、手術を受けやすい環境が整ってきているといえるでしょう。
顎下腺がんのステージごとの生存率
顎下腺がんのステージごとの生存率を教えてください。
IV期は約25%とかなり低い結果が報告されているので、早めの対処が不可欠といえるでしょう。この病気は、他の唾液腺がんと比較して、悪性腫瘍になるケースが多いとされています。治療を早めに受けることが何よりも大切です。
顎下腺がんと診断された場合の余命はどのくらいでしょうか?
身体に違和感を覚えた場合には、できるだけ早く専門医に相談をしましょう。まずは最寄りあるいはかかりつけの耳鼻咽喉科を訪ねるのが良いでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
早期に治療を開始すると、例えば悪性の腫瘍であったとしても治療の余地は十分にあります。また、転移の可能性が大きい病気でもあるため、治療が終わっても油断せず定期的な問診を受けるようにしましょう。
編集部まとめ
この病気は、悪性腫瘍の発生率が高い病気です。他の唾液腺がんの中でも特に悪性腫瘍が発見されてしまう例が多いため、とにかく早く対処する必要があります。
あごの下に腫れやしびれなどがあると感じられる場合には、耳鼻咽喉科に早めに相談に行きましょう。他の病気である可能性もあるため、信頼できる医師に相談して判断を仰ぐことが大切です。
周囲の組織への転移が認められる例も多いがんであるため、治療後も継続して問診を受ける必要があるでしょう。ステージが進んだ場合の生存率は高くありませんが、治る可能性は残されています。
医師の指示をしっかりと聞いて、根気よく対処して完治を目指しましょう。