「唾液腺がん」を疑う初期症状・原因・生存率はご存知ですか?医師が監修!
唾液腺がんは、唾液を作る臓器である唾液腺にできてしまう悪性腫瘍のことを指します。頭頸部がん全体の5%程度の、がんとしては発生頻度が多くない部類に入るでしょう。
しかし、逆に診断が難しく、悪性腫瘍の範囲を限定しづらく治療が難しいともいわれています。唾液腺がんの症状が疑われる場合は、早めに専門医に相談するのが良いでしょう。
今回は、唾液腺がんについての解説をします。症状の特徴・発症する原因・受診すべき診療科・検査方法・罹患後の余命についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
監修歯科医師:
熊谷 靖司(歯科医師)
目次 -INDEX-
唾液腺がんとは?
唾液腺がんはどのような病気でしょうか?
小唾液腺は、口腔粘膜やのどの粘膜の一部に存在しており、口の中に直接唾液を分泌する働きを持っています。これらの臓器のいずれかで悪性腫瘍が発生した場合が、唾液腺がんです。唾液腺がんのほとんどは耳下腺がんと顎下腺がんであるとされており、舌下腺に腫瘍が発生するケースはまれです。
唾液腺がんの症状を教えてください。
最初はあまり痛みを感じないことが多いですが、徐々に痛みが増していき、しびれや麻痺といった症状が表れてくるケースもみられます。何の原因もなく、不自然に腫れが発生してきたら、唾液腺がんの疑いがあるため、早急に専門医に相談しましょう。
初期症状はどのようなものがありますか?
唾液腺がんでは、食べ物を食べた時に、痛みを感じる場合も多いです。食べ物が口に入ったことで、反射的に唾液が分泌され、痛みを感じてしまう場合もあるでしょう。ただ単に顔が腫れている程度でも、唾液腺がんの可能性があります。少しでも違和感があれば、早めに専門の医師に相談しましょう。
何が原因で唾液腺がんを発症するのでしょうか?
- 高齢であること
- 頭頸部に対する放射線療法の影響
- 放射線など有害物質を浴びてしまう仕事への従事
唾液腺がんは、発症の症例が多くないため油断する方も多いかもしれません。しかし、唾液腺がんはれっきとしたがんであり、罹患した場合は長期間の治療を余儀なくされてしまいます。
少しでも普段とは異なる初期症状が発見された場合は、できるだけ早めに専門医に相談しましょう。
唾液腺がんを受診する診療科
唾液腺がんを疑う場合、何科を受診すれば良いでしょうか?
人間の頭部には唾液腺以外にも様々な臓器が集中しているため、唾液腺がんの症状が現れたとしても、他の病気である可能性も大いにあります。医師の判断をしっかりと聞き、正しく対処して治療に臨むことが大切です。
唾液腺がんの検査方法を教えてください。
通常、がんの検査は病変の一部を塊として採取して検査を行うのが一般的です。採取した組織を検査して良性・悪性の鑑別や病気に罹患している組織の確認を行ないます。しかし、唾液腺の場合は病変の箇所に到達するのが難しいため、穿刺吸引細胞診が採用されることが多いです。
どのような手術を行うのでしょうか?
頸部リンパ節に転移している場合、あるいは潜在的な転移の可能性が疑われる場合は、同時にリンパ節の切除も検討しないといけません。切除した検体の病理結果次第では、追加で放射線治療を実施する場合もあります。
放射線療法や化学療法は行わないのでしょうか?
また、唾液腺がんの種類によっては、放射線に対して感受性を持つものもあります。その場合には、放射線治療を実施する方が良いと判断される場合もあるでしょう。しかし、現状では唾液腺がんの治療には手術を行うのが一般的であると理解しておきましょう。
唾液腺がんの予後
唾液腺がんは生存率が低いのでしょうか?
唾液腺がんの摘出が終わったとしても、すでに転移がみられている場合が少なからずあるため、生存率は低いです。がんは、早期治療が重要であるため、耳やあご周辺の腫れなど初期症状がみられたら早めに専門医に相談をしましょう。
唾液腺がんと診断された場合の余命を教えてください。
がんは、早めに対処することで生存率が大きく変わってきます。少しでも違和感を覚えたら、早めにかかりつけの耳鼻咽喉科に行って診断を受けましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
耳やあごなど顔の部分に原因不明の腫れが見つけられた場合は、できるだけ早めに対処しましょう。早期に治療を開始することにより、完治する可能性は高まります。気軽にかかりつけの医師に相談してください。
編集部まとめ
唾液腺がんは、進行が早く周囲への転移も多くみられるがんです。できるだけ早めに対処して治療を開始すれば、生存率は高くなるでしょう。
人間の頭部には、様々な臓器が集中しています。初期症状だけではどの部位に異常があるのか判断するのが難しいため、医師の判断をよく聞いて指示に従うのが良いです。
耳周りの腫れなど、少しでも身体に違和感があった場合は、早めに医師に相談をすることが大切です。ぜひ早期の治療に臨んでください。