「フォアダイス」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか？医師が監修！

フォアダイスとは、唇や性器などにできる小さな粒上の塊であり、生理現象の1つです。
皮脂腺の中に皮脂がたまり、皮脂の塊が皮膚から透けて見えている状態です。男女問わずできるものであり、病気ではありません。また、男性の過半数はできるといわれているため、珍しい現象ではありません。
しかし炎症や感染症の徴候がある場合や精神的に不快感をおぼえるなどの場合は、性感染症の可能性もあります。医師に相談し、適切な治療を受けましょう。

フォアダイスの症状としては、見た目のイボやブツブツのような見た目上の変化が特徴です。男性の場合であれば、以下のような場所にできます。

• 陰茎部分
• 亀頭部の冠状溝
• 包皮小帯の亀頭の付け根

特に多いのが包皮小帯と呼ばれる陰茎の裏側部分で、包茎の方に多いです。また、女性の場合であれば次のような場所にできるケースが多いです。

• 膣
• 小陰唇

女性の場合は、膣から小陰唇にかけて現れます。また男女共通の場所としては唇にも、帯状に発生することがあります。ブツブツとして見た目が気になる場合はありますが、かゆみや痛みなどが伴うケースはなく、健康を害する心配はありません。

この現象の原因は、皮脂を作り出す皮脂腺の過剰な増殖です。
通常、皮脂を分泌する皮脂腺は毛根の周囲にでき、毛穴を通じて皮脂を皮膚上に排出します。しかし、何らかの原因で毛根のない場所に皮脂腺ができてしまうケースがあるのです。その結果、毛穴から排出できない皮脂が皮脂腺内にたまってしまい、皮脂が塊となってしまいます。
この塊が皮膚から透けてブツブツ見えたものがフォアダイスです。なお、毛根のない場所に過剰に皮脂腺ができてしまう理由については、現在も具体的に分かっていません。遺伝的な要素も関係していると考えられていますが、はっきりとした根拠はありません。

フォアダイスは男女ともに現れる可能性がありますが、男性の方が発生するケースは多いです。成人男性の約7割の方に認められるといわれています。
女性に比べて男性に多い理由としては、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンが関係しているといわれています。テストステロンが、皮脂腺の生成を促すために発症しやすいのです。

フォアダイスと似た病気としては、次のようなものが挙げられます。

• 真珠様陰茎小丘疹
• 尖圭コンジローマ
• 性器ヘルペス

陰茎にできるフォアダイスとよく似ている病気として、真珠様陰茎小丘疹が挙げられます。この病気は、直径1mm程度のブツブツが亀頭周囲を囲むようにして列状となって発生する病気です。
真珠様陰茎小丘疹の原因は血管の増生や線維化によるものと考えられており、これによって塊となってブツブツとした見た目になってしまいます。フォアダイス同様に、かゆみや痛みなどはなく生理的現象の1つです。
その他に、似ている病気としては尖圭コンジローマも挙げられます。この病気は、ヒトパピローマウイルスが原因で発症する性感染症です。性的な接触により感染し、感染から数週間～数カ月の潜伏期間を経て性器や肛門付近にイボが不規則に発生します。
初期のイボはフォアダイスと同様の数mmの大きさですが、悪化すると徐々に表面がボコボコし始めブロッコリー状に大きくなります。最初は痛みなどもなくフォアダイスとの見分けも付きにくいため放置してしまいがちですが、がん化する可能性もあるため早期に適切な治療が必要です。
また、性器ヘルペスもフォアダイスに似ている病気の1つに挙げられます。単純ヘルペスウイルス2型に感染することで発症する病気であり、感染経路は性行為や水疱中のヘルペスウイルスなどです。
症状としては、ストレスや疲労などで体の抵抗力が落ちている時などにブツブツや水ぶくれが現れます。一部似ている症状などはありますが、全く異なる原因から発生する病気であるため、それぞれに適した治療を医師と相談して進めましょう。

フォアダイスは、皮膚科・泌尿器科・性感染症の専門クリニックなどを受診しましょう。皮膚科であれば、一般的な皮膚疾患の知見や症例から症状を見抜いてもらえて適切な治療を教えてもらえます。
しかし、もし性感染症などの不安があるのであれば、専門的に扱っている泌尿器科や性感染症の専門クリニックなども良いでしょう。性器だけでなく、尿路や前立腺なども含めて適切な診断をしてくれます。

フォアダイスは病気ではないため、特に気にならないのであれば特別な治療は必要ありません。しかし、見た目の問題から治療を希望する場合には、次のような治療方法があります。

• レーザー治療
• 電気メスによる治療

治療方法の1つが、レーザー治療です。炭酸ガスレーザーなどを使用してブツブツを取り除けます。また、電気メスをつかって切除する治療方法も挙げられます。
しかし、フォアダイスは病気ではないため、いずれの方法も保険適用外です。治療費はご自分ですべて負担する必要があるため、医師と治療方法や費用の相談をしてどのような治療を行うかを選びましょう。

フォアダイスは、一度発生すると自然には消えません。
先述したように、痛みやかゆみはないため日常生活への影響はほとんどありませんが、見た目の問題は治療をしなければ消えないです。健康を害する心配はありませんが、見た目が気になる場合は先述した治療方法を検討してみましょう。

フォアダイスをご自分では治せません。ご自分で取ろうとして、市販の薬を使用したりピンセットなどで取り除いたりしようとする方もいますが、間違った治療方法ですので決して行ってはいけません。
例えば、ニキビを治療するのと同じようなイメージでオロナインなどを塗る方もいます。しかし、市販の薬を塗ると陰部に細菌が繁殖しやすい状況を作ってしまう可能性があります。その結果、炎症・腫れ・強い痛みを引き起こすケースが考えられるため決して行わないようにしましょう。
また、ご自分で無理やりブツブツを取ろうとすると、毛細血管を傷つけてしまって感染症を引き起こす可能性も考えられます。非常にリスクが大きいため、ご自分で治療を行わないようにしましょう。

フォアダイスは、男女ともに誰しも起こり得る生理現象です。毛根がない場所に皮脂腺が過剰に増えることで発生するブツブツであり、病気ではありません。そのため、無理に治療をする必要もないです。
しかし、見た目が気になるという方も多いでしょう。その場合は、専門の医療機関に相談して適切な治療方法を受けましょう。ご自分で治療しようと市販薬などを使うことはリスクが大きいため避けてください。