「産後脱毛症」の原因・産後どれくらいで症状がでるかご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/04/09
産後の女性の多くが悩まされるという産後脱毛症、ごっそりと抜ける様子は衝撃的であり、このまま抜け続けたら…と想像するだけで不安になってしまいます。
しかし、多くの産後脱毛症は産後1年を経過するうちに自然に治るものです。そこまで心配しなくても良いでしょう。
とはいっても、外見に関わることなので気になります。なるべく早く治せる治療法はないのでしょうか。
今回は、産後脱毛症の原因や治療法などについてQA形式でご紹介します
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
目次 -INDEX-
産後脱毛症とは
産後脱毛症の主な症状を教えてください。
産後脱毛症とは、出産後だけに起こる脱毛症のことです。櫛を通す度に髪の毛が抜けたり、シャワーを浴びた後にごっそりと抜け毛があったりする症状があります。
産後およそ2ヶ月〜5ヶ月が経過した頃から一斉に脱毛し始めることが特徴です。実はこの産後脱毛症における脱毛は、妊娠中に抜けていなかった髪の毛が抜けている状態といわれています。というのも、妊娠中の女性はプロゲステロンとエストロゲンという女性ホルモンが活発化している状態であり、髪の毛が非常に抜けにくくなるからです。
しかし、出産を経ると急激に女性ホルモンが低下し、正常な状態に戻ります。これにより、妊娠中に抜けていなかった髪の毛が一気に抜けてしまうのが産後脱毛症の症状です。
産後およそ2ヶ月〜5ヶ月が経過した頃から一斉に脱毛し始めることが特徴です。実はこの産後脱毛症における脱毛は、妊娠中に抜けていなかった髪の毛が抜けている状態といわれています。というのも、妊娠中の女性はプロゲステロンとエストロゲンという女性ホルモンが活発化している状態であり、髪の毛が非常に抜けにくくなるからです。
しかし、出産を経ると急激に女性ホルモンが低下し、正常な状態に戻ります。これにより、妊娠中に抜けていなかった髪の毛が一気に抜けてしまうのが産後脱毛症の症状です。
産後脱毛症は一時的な症状なのですね。
個人差はありますが、産後脱毛症は授乳を終える頃には自然に治るものです。具体的には、産後6ヶ月〜1年程度で元に戻るとされています。
授乳を終えているにも関わらず脱毛が治らない場合には、出産による女性ホルモンの分泌量の変化が原因ではない可能性が指摘できます。その場合には、適切な治療を施すことが大切ですので、医師にご相談ください。
授乳を終えているにも関わらず脱毛が治らない場合には、出産による女性ホルモンの分泌量の変化が原因ではない可能性が指摘できます。その場合には、適切な治療を施すことが大切ですので、医師にご相談ください。
産後どのくらいで症状が出始めるのでしょうか。
産後2ヶ月〜5ヶ月が経過した頃から症状が目立つようになります。前述のように、産後6ヶ月〜1年程度で自然に治っていくものなので、そこまで心配する必要はありません。
ただ対策や予防は可能であるため、知識を身につけておくことが早期改善への近道です。
ただ対策や予防は可能であるため、知識を身につけておくことが早期改善への近道です。
産後脱毛症の原因と治療方法
産後脱毛症の原因について教えてください。
産後脱毛症の原因は、プロゲステロンとエストロゲンという女性ホルモン分泌量の変化にあります。この女性ホルモンの分泌量は、妊娠中は異常に高くなり、産後は標準値まで一気に下がります。
この落差により、産後脱毛症が引き起こされているというわけです。男性ホルモンは髪の毛の脱毛を促してしまいますが、一方の女性ホルモンは髪の毛の寿命を伸ばす働きを持っています。妊娠中に女性ホルモンが活発化している状態では、本来抜けているはずの髪の毛が抜けていない状態です。
産後、女性ホルモンが正常に戻った際にはこの抜けていなかった分の髪の毛が抜け始めます。さらに産後は生活リズムが崩れてしまうことが多く、上手く栄養が行き渡らなかったり、ストレスが溜まったりと何かと脱毛を促進してしまう要因が多いものです。
この落差により、産後脱毛症が引き起こされているというわけです。男性ホルモンは髪の毛の脱毛を促してしまいますが、一方の女性ホルモンは髪の毛の寿命を伸ばす働きを持っています。妊娠中に女性ホルモンが活発化している状態では、本来抜けているはずの髪の毛が抜けていない状態です。
産後、女性ホルモンが正常に戻った際にはこの抜けていなかった分の髪の毛が抜け始めます。さらに産後は生活リズムが崩れてしまうことが多く、上手く栄養が行き渡らなかったり、ストレスが溜まったりと何かと脱毛を促進してしまう要因が多いものです。
睡眠不足や栄養不足も産後脱毛症の原因になると聞いたのですが…
睡眠不足や栄養不足も産後脱毛症の原因になります。前述のように、産後の女性は生活リズムが崩れやすいため、睡眠不足や栄養不足に陥りやすいです。
自分の食事を疎かにしてしまっていたり、なかなかまとまった睡眠時間を確保できていなかったりしませんか?この現状は髪の毛だけに関わらず、身体機能の全てに影響を及ぼしてしまいます。
慣れない育児にはストレスも溜まるものです。家族に育児を交代してもらったり、託児サービスの利用を検討してみてください。限界を迎えてしまう前に、休息を取るようにしましょう。
自分の食事を疎かにしてしまっていたり、なかなかまとまった睡眠時間を確保できていなかったりしませんか?この現状は髪の毛だけに関わらず、身体機能の全てに影響を及ぼしてしまいます。
慣れない育児にはストレスも溜まるものです。家族に育児を交代してもらったり、託児サービスの利用を検討してみてください。限界を迎えてしまう前に、休息を取るようにしましょう。
産後脱毛症の治療方法について知りたいです。
産後脱毛症の治療には、女性専用の薄毛治療薬を使ったり、栄養を補うサプリメントを使ったりする手法が一般的です。例えばシャンプーの場合、洗浄成分が強いシャンプーだと頭皮に負担がかかって抜け毛が進行してしまう恐れがあります。アミノ酸系シャンプーであれば、頭皮への刺激が少なくできるのでおすすめです。
育毛剤は、女性用・産後用のものを使いましょう。産後脱毛症に悩まされている女性にぜひ進んで摂取していただきたいのが、葉酸・亜鉛・大豆イソフラボンです。葉酸には代謝や血行を促す働きがあり、抜け毛対策だけでなく、髪の毛を増やす効果も期待できます。
亜鉛は髪の毛の元になる成分が入っており、髪の毛の成長を促すことが可能です。大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用をすることが判明しており、産後に崩れた女性ホルモンのバランスを整える効果があります。ぜひ今日から始めてみてください。
育毛剤は、女性用・産後用のものを使いましょう。産後脱毛症に悩まされている女性にぜひ進んで摂取していただきたいのが、葉酸・亜鉛・大豆イソフラボンです。葉酸には代謝や血行を促す働きがあり、抜け毛対策だけでなく、髪の毛を増やす効果も期待できます。
亜鉛は髪の毛の元になる成分が入っており、髪の毛の成長を促すことが可能です。大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用をすることが判明しており、産後に崩れた女性ホルモンのバランスを整える効果があります。ぜひ今日から始めてみてください。
産後脱毛症の対策と予防
産後脱毛症への対策方法はありますか?
産後脱毛症は、そのままの状態でも時間経過とともに徐々に治ります。少しでも早く改善したい場合には、以下の5点を意識してみてください。
- 1日3食しっかり摂る
- 睡眠時間を確保して生活リズムを整える
- 頭皮マッサージを行う
- ヘアケア商品を活用する
- 気にしすぎないようにする
どれも育児をする産後の女性にとっては非常にハードルが高いものですが、親の健康な身体があってこその子供です。子供だけでなく、自分の健康にも気を遣いましょう。特に気にしすぎてしまうとストレスになる可能性があるため、注意が必要です。
シャンプーを変えるなどの頭皮ケアも効果あるのでしょうか。
頭皮ケアも効果を期待できます。前述のようにアミノ酸系のシャンプーに変えることも有効ですし、育毛剤を使うこともおすすめです。マッサージをして適度に刺激を与えるのも良いでしょう。
頭皮を健康に保てると、産後脱毛症も早く改善できる可能性が高まります。ただ、産後の肌は非常に刺激に弱くなっています。過度に気にしすぎて逆に刺激を与えてしまうと逆効果ですので気をつけてください。
頭皮を健康に保てると、産後脱毛症も早く改善できる可能性が高まります。ただ、産後の肌は非常に刺激に弱くなっています。過度に気にしすぎて逆に刺激を与えてしまうと逆効果ですので気をつけてください。
産後脱毛症の予防方法などあれば教えてください。
産後脱毛症の最も効果的な予防方法は「気にしない」ことです。産後脱毛症は、出産を経験した女性では誰もが通る道です。脱毛は容姿に関わってくることなのでどうしても気になってしまいます。
しかし、それでストレスを感じてしまうと余計に脱毛を加速させてしまう恐れがあるのです。産後脱毛症は一時的なものであり、放っておいても時間経過とともに治ります。
そこまで心配する必要はありません。「生理現象だから仕方ない」と受け入れるようにしましょう。
しかし、それでストレスを感じてしまうと余計に脱毛を加速させてしまう恐れがあるのです。産後脱毛症は一時的なものであり、放っておいても時間経過とともに治ります。
そこまで心配する必要はありません。「生理現象だから仕方ない」と受け入れるようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
治療方法・対策・予防方法などをご覧いただくとわかるように、産後脱毛症には特別な治療を必要としないケースがほとんどです。妊娠中と出産後で、女性ホルモンの分泌量に落差が生じてしまうのは防ぎようのないことであり、仕方がありません。
「産後は抜け毛が増えるもの」として認識し、あまり深く考えすぎないことが大切です。抜け毛が多く感じたり、産後1年が経過しても治らなかったりする場合には、別の原因で脱毛が起きている可能性があります。産婦人科や皮膚科などの医療機関を受診しましょう。
「産後は抜け毛が増えるもの」として認識し、あまり深く考えすぎないことが大切です。抜け毛が多く感じたり、産後1年が経過しても治らなかったりする場合には、別の原因で脱毛が起きている可能性があります。産婦人科や皮膚科などの医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ
産後脱毛症は、プロゲステロンとエストロゲンの2つの女性ホルモンのバランスが崩れることで生じます。
妊娠中は女性ホルモンの分泌量が増え、活発化している状態です。この状態の際、髪の毛の寿命がホルモンによって伸ばされて抜けにくくなります。
しかし、産後2ヶ月を経過したあたりから女性ホルモンの分泌量が元に戻ろうとするため、本来抜けていたはずの妊娠中の髪の毛が急に抜け始めるのです。
妊娠によって女性ホルモンが活発化する状態は防ぎようがなく、明確な治療方法・予防方法などはありません。