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「シーバー病」の症状・原因・どのくらいで完治するかご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/23
「シーバー病」の症状・原因・どのくらいで完治するかご存知ですか?医師が監修!

シーバー病とは、踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)とも呼ばれる病気であり、男児に多くみられる病気です。ひどい場合は、歩いただけでも痛むことがあります。

また、ひどい場合は踵骨の血流障害が起こる可能性があり、早期治療が必要となります。そのためにも、病気の原因や症状などを把握して早期の発見が大切です。

そこで本記事では、シーバー病とはどのような病気かをご紹介します。シーバー病の基礎知識・治療法・治療後の予後についても詳しく解説するので参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

シーバー病の基礎知識について

男性医者

シーバー病とはどのような病気でしょうか?

シーバー病とは、踵骨骨端症とも呼ばれる病気です。10歳前後のスポーツをよくする男児に多くみられる傾向があります。踵骨とはかかとの骨のことで、この骨には骨端軟骨と呼ばれる軟骨が存在します。成長期の子供にみられるものであり、大人になると閉じてしまう軟骨です。そして、その軟骨に踵骨骨端核が繋がっています。
踵骨骨端核には、アキレス腱が付着しており、アキレス腱から引っ張られるような力が働いています。シーバー病は、このアキレス腱から引っ張られる力により、踵骨骨端核に骨軟骨症を発症する病気です。また、シーバー病は、成長痛と称されることの多い病気です。しかし、厳密には骨の成長に伴って痛みが発生することはありません。そのため、成長痛と考えて放置しないよう注意が必要です。

シーバー病の症状を教えてください

シーバー病の症状は、主に次のようなものが挙げられます。

  • 押した時の痛み
  • 歩行時の痛み
  • 腫れ

まず代表的な症状としては、押した時の痛みです。かかとを押すと痛みが伴います。また、歩行時にも痛むことがあります。特に過度な運動をした後などに痛むことがあるため、つま先歩きになることもあるほどです。また、腫れも挙げられます。走るなどの過度な運動をすると腫れや熱感を帯びるなど、悪化する可能性もあるため注意が必要です。

シーバー病の主な原因は何でしょうか?

この病気の主な原因は、アキレス腱による踵骨骨端核の牽引です。子供のかかとの骨は、構造上非常にもろい状態にあります。先述したように子供のかかとの骨は、骨端軟骨と踵骨骨端核によって形成されています。骨端軟骨は、成長に伴って硬い骨に変化しますが、子供の時点では成長段階のため弱いです。
そして、運動をするとアキレス腱によって引っ張る力が踵骨骨端核に生じます。通常の運動であれば問題ありませんが、過度な運動になると持続的に引っ張る力が加わってしまい、踵骨に血流障害が発生します。その結果、踵骨骨端核に炎症が起こってしまうのです。

シーバー病は何歳までに発症しますか?

この病気は、特に10歳前後の活発に運動する子供に発症する傾向があります。しかし、骨端軟骨は、成長に伴って硬い骨に変化します。そのため、ある一定の年齢になると、この病気の発症リスクは非常に低くなる場合が多いです。踵骨はおおよそ16歳までに成長すると考えられています。そのため、この病気はおおよそ16歳までに発症する病気といえるでしょう。しかし、過度な運動などの状況によっては、16歳以降でも発症の可能性はあります。

シーバー病にかかりやすい人はどんな人ですか?

この病気にかかりやすい人の特徴としては、過度な運動をする子供です。また、女児よりも男児の方が発症するケースが多い点が挙げられます。さらに、運動の中でも長時間のランニングを行う子供に発症の傾向があり、特にサッカーを行う子供がなりやすいと考えられています。

シーバー病の治療について

ドクター

シーバー病の治療方法を教えてください

この病気の治療方法は、局所安静を基本とした保存療法です。具体的には、次のような治療方法が挙げられます。

  • アイシング
  • ストレッチ
  • サポーターによる固定
  • 装具療法

まずは、炎症の改善のために、かかとの周りをアイシングします。さらに、痛みが引いた際には、ストレッチなどでアキレス腱を柔らかくする方法も有効です。
また、サポーターによる固定も治療の方法のひとつに挙げられます。かかとを付けて歩いても大丈夫なようにするためです。しかし、歩行時に痛みが伴うケースもあります。その場合は、松葉杖を使ってかかとにかかる負担がかからないようにします。
最後に装具療法も有効な治療方法です。クッション性のあるインソールなどを付けて、かかとの負担を減らして歩行できるようにします。

シーバー病の予防方法はありますか?

基本的な予防方法は、十分な準備運動・ストレッチ・セルフケアです。準備運動やストレッチにより、アキレス腱や足底腱膜と呼ばれる部分を柔軟にしておくことが、発症予防に繋がります。足底腱膜とは、足の裏の足底部に縦に伸びている腱です。また、運動後のセルフケアも大切です。まずは、運動後にアイシングを行いましょう。また、お風呂に入ってストレッチをしてアキレス腱や足底腱膜を柔らかくすることも有効です。
普段の歩行においても、予防方法はあります。足のサイズにフィットする靴を選び、クッション性のあるインソールを使うことです。靴のサイズが合っていないと、正しい姿勢での歩行やスポーツができません。その結果、かかとへの負担が増えてしまうため、靴のサイズも非常に重要です。子供の骨端軟骨は常に成長しており、大人の骨よりも外力に弱い性質があります。そのため、強い力でなくても、同じ場所に力が加わり続けると変形や痛みを引き起こす場合があります。特にシーバー病の場合は、痛み以外に腫れなどの自覚障害が少なく、無理して運動を続けてしまって症状の重症化や長引かせてしまうケースも少なくありません。そのため、これらの予防方法を把握しておき、普段から発症しないようにすることが重要です。

シーバー病の予後について

家族足

シーバー病が再発することはありますか?

再発することはあります。特に運動後だけでなく、普段の歩行においても痛みを感じるようなケースであれば、歩行時の姿勢が悪いことでかかとに負担がかかっている可能性が高いです。そのため、一時的に治って痛みがなくなっても再発する可能性が考えられます。再発防止のためにも、先述紹介したような、靴にインソールなどの装具を入れて普段から予防を行いましょう。

シーバー病はどのくらいで完治しますか?

シーバー病の治療期間は、個人差があります。早期に発見でき、早く治療や予防ができるようなケースであれば1カ月~2カ月程度で回復する場合もあります。しかし、長期化するケースは多いです。自覚症状が少ないことで、周囲も気づかず、受診せずに運動を続けてしまうことも多いためです。そのため症状が長引いてしまい、状態によっては長期的な治療を必要とするケースもあります。レントゲンで回復を確認しながら、少しずつリハビリを行う必要があるため、そのような場合は完治まで1年~数年程度かかる可能性があります。

最後に、読者へメッセージをお願いします

シーバー病は、特に10歳前後の男児に多い病気です。過度な運動などを原因として、誰しも起こる可能性があります。子供のかかとの骨は、成長途中であるため、姿勢が悪いままでのスポーツなどの影響を強く受けてしまいます。
また、強い力が加わらなくても、継続的に力が加わることで変形してしまうケースも少なくありません。そのため、正しい骨の知識や予防方法を把握しておき、普段から発症しないように注意することが大切です。子供は自覚症状があっても、無理に運動を続けてしまうことがあります。発見が遅れると、その分治療にも時間がかかる可能性があるため、周囲も気づけるようにしてスポーツをさせましょう。

編集部まとめ

大人足
シーバー病は、子供の成長に伴って誰しも起こる病気です。男児に多いですが、過度な運動が原因であるため、女児も十分可能性があります。

しかし、子供は多少の痛みがあっても、受診せずに無理に運動を続けてしまうケースも珍しくありません。

そのため、発見や受診が遅れて、治療が長期化するケースも多いです。自覚症状から気づくだけでなく、周囲もしっかりと様子をみて気づけるようにしましょう。

そのためにも、しっかりと事前に知識を備えておくことが大切です。詳しい予防方法やセルフケアの方法を把握して、発症しないようにしましょう。

具体的な治療方法や予防方法などでお悩みの方は、専門の医療機関に相談してみましょう。

この記事の監修医師