「足底腱膜症」の症状・原因・やってはいけないことはご存知ですか?医師が監修!
怪我をしたわけではないのに、ある日突然足底が痛くなったり、その影響で歩けなくなったりしていませんか。
そういった症状で色々調べると、浮かび上がってくるのがこの足底腱膜症(そくていけんまくしょう)です。
足底腱膜症という聞き慣れない言葉に不安を感じる方も多いと思います。
そこで今回は、足底腱膜症の症状や原因・なりやすい人・治療方法・重症化した場合・放置するリスクを詳しく解説します。
この記事を最後まで読めば、足底腱膜症の原因や症状を知れるので、受診の目安や痛みを起こさないために日常でできることも確認できるでしょう。
足の痛みにお悩みの方や足底腱膜症が疑われる方は是非参考になさってください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
足底腱膜症の症状と原因
足底腱膜症とはどのような病気でしょうか?
この足底腱膜は、踵骨の内側から前足部にかけて伸びる厚い靭帯で、足底のアーチを支える役割を担っています。このアーチは体重のかかる足への負担を軽減する役割を果たしています。そのアーチが崩れたり、長時間立っていたり歩いたりすることで、足底腱膜の付着部である踵に炎症が起きるのです。
そうすると、その炎症が起きている踵周辺に痛みや腫れが出ます。痛みが激しくなると、歩行がままならなくなり、日常生活にも支障が出てしまいます。特に朝起きたときなど、安静にしていてから歩き始めた第一歩で痛みを感じる事が多いです。
どのような症状がみられますか?
- 歩行時に足底面の痛みがある(特に早朝や歩きはじめは鋭い痛み)
- 起床後に身体を動かすと痛みが徐々に軽減してくる
- 足底や踵を押すと痛い
- 足底の突っ張り感がある
- 長時間運動した翌日に痛みが強くなる
- 踵を上げる動作(つま先立ち)が困難
- 踵に熱感と腫れがある
症状には個人差があり、痛みの出方にも違いがあり、少しづづ痛みが強くなる場合もあれば、ある日突然強い痛みで歩けなくなってしまう場合もあるのです。しかし多くの場合、足底腱膜症の炎症期は、動きに関わらず足底に激しい痛みがあります。
次第に慢性化してくると動き始めや起床時に足底に負担がかかると痛みが増しますが、しばらく体を動かすと痛みが軽減するといった特徴があるのです。
発症する原因を教えてください。
- 足に過度の負担がかかるスポーツをしている
- 疲労や加齢によって足底の柔軟性が不足している
- 習慣や体質によって足底アーチに乱れがある(扁平足など)
- 慣れない靴、身体に合わない靴を履いている
- 他の部位の骨折や手術による影響
- 生活習慣病や基礎疾患がある
- ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性が不足している
足底腱膜症は運動やスポーツ・長時間の立ち仕事・慣れない靴を履くなど、日々の習慣や体質によって起こる場合があります。他にも、足底や踵から離れた部位の骨折や手術・基礎疾患などの既往歴によっても発症します。これらの原因が積み重なって足底腱膜症になってしまうのです。
なりやすい人の特徴を教えてください。
- 高齢者
- 陸上競技などの高強度スポーツをする
- 太り気味な人
- 長時間立ち仕事をする人
- 足の骨折や手術をした人
- 糖尿病や高血圧などの基礎疾患を持っている人
高齢者は疲労の蓄積や加齢によって足底のアーチが崩れたり、足底腱膜の柔軟性が不足したりすることによって起こります。陸上競技選手は、高強度の運動を日常的に行うことにより、足底腱膜に過度の負担がかかりやすくなっているので、発症してしまうのです。
他にも、太り気味な人の場合は、体重が重いため日常的に足に負担がかかりやすくなっています。そのため、普通に生活しているだけでも足底に過度の負担がかかり、発症してしまうのです。手術歴や基礎疾患がある方も発症しやすいと言われています。このように足底腱膜症は、年齢・日々の運動習慣・体質などによってなりやすさが違うのです。
足底腱膜症の治療
受診を検討するべき症状を教えてください。
しかし、自宅でケアをしても痛みが改善しない、または痛みが強くなってしまった場合には早めにお近くの整形外科か接骨院等にご相談ください。
どのような治療を行いますか?
この体外式衝撃治療は、手術の前に行われることもあり、保険適用で受けられる治療になります。また、手術より効果的な場合も多く、よく行われる治療方法です。薬物療法では、抗炎症薬や痛み止め薬を使用する場合もあるのです。これにより、痛みを軽減し炎症が抑えられます。
リハビリテーションでは、適度な運動やストレッチングを行うことで痛みの軽減が期待できます。また、足底板の使用やテーピング、マッサージも効果的です。他にも、靴の中に足に合ったインソールを入れ、普段の生活を送ることによって症状の悪化を防止するものもあります。
足底腱膜症の治療には、ほとんどの場合こういった保存療法が行われることが多いですが、重度の足底腱膜症の場合、手術を行って痛みの軽減を促す処置をすることもあるのです。
治療期間を教えてください。
また治るまでの期間は治療方法によっても異なります。例えば、足底腱膜症が軽度の場合は適度な運動やストレッチングで痛みを軽減でき、数週間から数か月で改善が期待できるのです。
一方で、重症の場合は手術を行う場合もあり、数か月から数年の治療期間が必要になることもあります。
足底腱膜症が重症化するとどうなるのでしょうか?
それほどの痛みになるとステロイド剤の投与や手術が必要になる場合もあります。ただし、投薬や手術はリスクも伴いますので慎重に判断する必要があるでしょう。
足底腱膜症のリスク
足底腱膜症は完治しますか?
しかし、足底腱膜症が重症化している場合や治療を受けなかった場合は、完治が難しいこともあるのです。足底の痛みがなかなか引かないようであればすぐに医師に相談し、早期発見・早期治療をすることで重症化を防げます。
放置するリスクを教えてください。
- 足底の痛みが治らない又は増す
- 運動能力が低下する
- 足底の筋肉が弱くなる
- 足底の柔軟性が低下する
- 痛みや柔軟性の低下によって他の怪我を引き起こす
- 転倒しやすくなる
- 歩行困難になる
- つま先立ちが困難になる
- 重症化し手術が必要になる
このようなリスクがあるため、そうならないためには早期発見・早期治療が重要です。痛みが長引くようなら、すぐに医師に相談し適切な治療を受けることで、こういったリスクを起こさないようにしましょう。
足底腱膜症と診断された場合にやってはいけないことを教えてください。
足底腱膜症が診断された場合、患部を休めることが重要になります。そのため、過度な運動や歩行を避けることが推奨されます。行うと良いことは適切なストレッチや筋トレです。
具体的には、足を上げて、足首を伸ばしたり、足を曲げたりするストレッチを行うのが有効になります。また、足を使った筋トレも行うことが推奨されます。なお、足底腱膜症は一般的には慢性的な病気であり、痛みがなくなるまでには時間がかかる場合が多いです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そのため、日頃から身体のケア・休めることを習慣にしましょう。また、痛みが長引いたり激しくなったりする場合は躊躇せずに、医師に相談してください。一緒に改善していきましょう。
編集部まとめ
今回は足底腱膜症の症状や原因・なりやすい人・治療方法・重症化した場合・放置するリスクを取り上げました。
足底の痛みは、軽いものだと病院に行く必要はないと思われがちです。しかし、重症化すると痛みで日常生活に支障が出てしまうこともあるので、早めの対策が必要なことがわかりました。
また、ご自身の習慣や体質・年齢や既往歴によって足底腱膜症のなりやすさが変わるので、当てはまる項目が多い方は早めの対策をしましょう。
参考文献