「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」の症状・原因・受診の目安はご存知ですか?
日常生活の中で、集中力がない・失敗が多い・人間関係でトラブルを起こしやすいなどの困りごとを抱えていませんか。
このような悩みを調べた際に、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に行きついた人も少なからずいらっしゃるでしょう。
最近よく耳にする注意欠陥・多動性障害(ADHD)という障害は一体どのようなものなのでしょうか。
今回は注意欠陥・多動性障害(ADHD)の特性・原因・受診の目安などについて詳しく解説いたします。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)が疑われ詳しく知りたいと考える方は、是非ご参考になさってください。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状と原因
注意欠陥・多動性障害(ADHD)とはどのような症状ですか?
- 集中できず注意力散漫
- 課題を終わらせるのに時間がかかる
- 物事に取り掛かるまでに時間がかかる
- 整理整頓が苦手
- 空間や時間の概念が薄い
- 感情が高ぶりやすく周囲とのトラブルが目立つ
- 落ち着きがなくじっとしていられない
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は自閉スペクトラム症や限局性学習症などの精神障害や、発達性協調運動症などの身体疾患と併発するケースもあるため、専門家による検査や相談を行ったうえで診断や治療に移ります。
幼少期から特性が表れる場合もあり、子供の育てにくさから養育者が医療機関などで相談した結果、診断されることも少なくありません。診断される割合は、子供の場合では男女比が3~5:1と男の子のほうが多く、大人の場合では男女間での差はほとんどありません。
原因を教えてください。
また、母親が妊娠中に飲酒・喫煙・高濃度ホルモン剤の摂取を行うと、子供がADHDになるリスクを高めてしまうことが分かっています。
病院を受診する目安を教えてください。
当事者が困りごとに気づいていない場合もあるため、家族や学校など周りの人が受診を勧めることも大切です。しかし、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を含む発達障害は非常にデリケートな問題のため、本人への伝え方には十分な配慮が必要となります。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の診断と治療
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は何科を受診すればよいですか?
発達外来のある精神科または小児科が望ましいです。また、年齢や症状によっては対応できない場合もあるため、受診前に直接病院へ問い合わせるとよいでしょう。
どのように診断されますか?
また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)は自閉スペクトラム症など他の障害と特性が似ている部分があるため、それらの疾患との鑑別も行う必要があるのです。加えて、年代によって症状の表れ方が異なるため、注意欠陥・多動性障害(ADHD)は専門医による検査やヒアリングを重ねて慎重に診断を下します。
治療方法を教えてください。
不安や興奮など感情の高ぶりが目立つ場合には、心理療法でアプローチすると効果が期待できるでしょう。感情や行動を上手くコントロールできるよう、家族の関わり方や物事の受け止め方を改善するのです。
また、注意力や運動のコントロールを改善するために、薬物療法が行われる場合もあります。注意欠陥・多動性障害(ADHD)は病気ではなく生まれ持った特性であるため、治療は根治ではなく、困りごとを軽減し自信を持って社会生活を送れるようサポートするためのものです。そのため、治療は長期間にわたり継続することが重要となります。
どのような薬が使用されますか?
特性の程度に合わせてこれらの薬を組み合わせたり量を調整したりしながら困りごとの軽減を目指します。薬物療法だけで注意欠陥・多動性障害(ADHD)を根治させることは難しいため、心理療法や療育を組み合わせることが一般的です。
注意欠陥・多動性障害(AHDH)の接し方や注意点
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子供への接し方で注意することは?
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子供をもつ養育者は、子供の育てにくさから疲弊していることも少なくありません。しかし、一番苦しんでいるのは本人であり、困りごとを改善しようと悩んでいるのです。そのため、まずは子供の障害や日々悩んでいることを理解してあげましょう。
また、失敗の多さから自己評価が低くなっている場合があるため、努力していることや得意なことなどを積極的に評価することで自分に自信を持つ手助けになります。そのうえで、家庭・学校・病院などとも連携して注意力や運動のコントロールができるように指導し、治療を支援することが大切です。
大人の注意欠陥・多動性障害(ADHD)はどこで診断してもらえますか?
また、大人の注意欠陥・多動性障害(ADHD)は子供に比べて診断が難しいこともあり、専門医に診察してもらうことが望ましいでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そのため、早期発見・早期治療によって生活の質の向上を目指すことが大切です。治療を行うことで学校や職場での成績向上・人間関係におけるトラブルの減少・自己評価の向上が期待できるでしょう。治療は長期にわたりますが、継続することで日常の困りごとを軽減する手助けになります。注意欠陥・多動性障害(ADHD)が疑われる場合には、放置せずに医療機関などで相談するようにしましょう。
編集部まとめ
子供から大人まで幅広い年代にみられる注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、注意力や運動のコントロールの難しさから、学校・職場・人間関係など日常生活に支障をきたします。
時にはそれらの困りごとが原因で、自己評価が低くなり不安やうつなど心理的な問題を引き起こすケースもあるのです。
療育・心理療法・薬物療法などを継続的に取り入れながら、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の特性をコントロールし、生活の質の向上を目指すことが大切です。
日常での困りごとから生き辛さを感じる場合には、我慢せずに専門のクリニックや病院などで相談しましょう。