「心原性ショック」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
更新日:2023/03/27
ショックとは何らかの原因により、臓器への酸素供給が不足した状態のことをいいます。
その中でも心原性ショックは、心拍の異常や心臓の血液を押し出す力が弱まることなどがきっかけで発症します。
ショックは臓器不全になるだけでなく、治療が遅れてしまうと命を落としてしまう危険な病気なので、速やかな検査・治療が必要です。
この記事では、心原性ショックの症状・原因・兆候・治療法だけでなく病院を探す際のポイントも紹介するのでぜひ最後まで目を通してみて下さい。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
心原性ショックの症状と原因
心原性ショックの症状は何ですか?
心原性ショックの主な症状として皮膚の蒼白・冷や汗・意識レベルの低下・血圧低下(90mmHg以下)・脈拍触知不可・呼吸不全などが挙げられます。
心臓のポンプ機能が低下することで血液や酸素が全身に行き届かなくなり、皮膚の蒼白が見られ心臓から遠い橈骨動脈の触知ができず、脳も血液や酸素が不足してしまうので意識レベルの低下が起きます。
その状態で時間が経過してしまうと各臓器の細胞も壊死してしまい、多臓器機能不全になると予後も悪く非常に危険な状態になってしまうのがショックの症状です。
これらの症状は速いスピードで進行するため、どれだけ早く心原性ショックの原因となる疾患を診断し治療出来るかがとても重要になります。
心臓のポンプ機能が低下することで血液や酸素が全身に行き届かなくなり、皮膚の蒼白が見られ心臓から遠い橈骨動脈の触知ができず、脳も血液や酸素が不足してしまうので意識レベルの低下が起きます。
その状態で時間が経過してしまうと各臓器の細胞も壊死してしまい、多臓器機能不全になると予後も悪く非常に危険な状態になってしまうのがショックの症状です。
これらの症状は速いスピードで進行するため、どれだけ早く心原性ショックの原因となる疾患を診断し治療出来るかがとても重要になります。
心原性ショックの原因はなんですか?
心原性ショックの原因として、心臓のポンプ機能そのものが原因となる場合とそれ以外の場合とで分けられます。心臓のポンプ機能が低下する要因になる疾患として、心筋梗塞・心筋炎・心臓術後の低心拍出状態などが挙げられます。
他にも植物や動物から受ける毒物や麻酔薬・抗不整脈薬など心筋を抑制するものも心原性ショックを引き起こす原因の1つです。また心室拡張障害となりうる心タンポナーデ・心室内腫瘍・緊張性気胸、不整脈を引き起こす心室細動・心室粗動・徐脈・頻脈などの疾患も心原性ショックの原因となります。
どれも危険な状態なのでショック症状だと気付いたら速やかに救急車を呼び、医療機関で検査・治療を受けて下さい。
他にも植物や動物から受ける毒物や麻酔薬・抗不整脈薬など心筋を抑制するものも心原性ショックを引き起こす原因の1つです。また心室拡張障害となりうる心タンポナーデ・心室内腫瘍・緊張性気胸、不整脈を引き起こす心室細動・心室粗動・徐脈・頻脈などの疾患も心原性ショックの原因となります。
どれも危険な状態なのでショック症状だと気付いたら速やかに救急車を呼び、医療機関で検査・治療を受けて下さい。
心原性ショックのメカニズムについて教えてください。
心原性ショックが及ぼす大きな障害は、臓器への灌流障害です。
心臓が何らかの影響を受けることで循環血液量の減少・心拍出量の減少・血管拡張が起き、灌流障害が発生します。そしてショック状態になると低血圧になり、程度は基礎疾患の有無や年齢などによって多少異なりますが、高脂血症が持病にあり動脈硬化が進んでいる人や高齢の人は脳・心臓・腎臓に重度の機能障害を来たすことがあります。
また心臓の心拍出量の減少や心収縮機能が低下することで心筋や全身への灌流が悪化し、それぞれの臓器の細胞が壊死、最悪命を落としてしまうというのが心原性ショックのメカニズムです。
心臓が何らかの影響を受けることで循環血液量の減少・心拍出量の減少・血管拡張が起き、灌流障害が発生します。そしてショック状態になると低血圧になり、程度は基礎疾患の有無や年齢などによって多少異なりますが、高脂血症が持病にあり動脈硬化が進んでいる人や高齢の人は脳・心臓・腎臓に重度の機能障害を来たすことがあります。
また心臓の心拍出量の減少や心収縮機能が低下することで心筋や全身への灌流が悪化し、それぞれの臓器の細胞が壊死、最悪命を落としてしまうというのが心原性ショックのメカニズムです。
心原性ショックの検査と治療法
心原性ショックの検査方法を教えてください。
検査方法は基本的に血液検査を行いますが、他は心原性ショックの原因となる疑わしい疾患を患者の症状と現病歴・既往歴などから問診・画像検査・心電図検査・心エコー検査などを行います。
血液検査で確認する項目は、乳酸値です。乳酸値とは細胞の活動時に出た老廃物の血中濃度値で、この値が高値だと臓器の酸素不足という1つの指標になり、ショックが起きている可能性があるという判断ができます。
血圧が90mmHg以下の状態が30分以上持続した場合と検査結果を照らし合わせて確定診断をつけます。
ショックの分類を判断するのではなく、ショックの原因となる疾患を早期に鑑別して治療につなげることがとても重要です。
血液検査で確認する項目は、乳酸値です。乳酸値とは細胞の活動時に出た老廃物の血中濃度値で、この値が高値だと臓器の酸素不足という1つの指標になり、ショックが起きている可能性があるという判断ができます。
血圧が90mmHg以下の状態が30分以上持続した場合と検査結果を照らし合わせて確定診断をつけます。
ショックの分類を判断するのではなく、ショックの原因となる疾患を早期に鑑別して治療につなげることがとても重要です。
心原性ショックはどのような治療を行いますか?
心原性ショックの初期治療として、まずは酸素・輸液投与などの蘇生処置を行います。その後は心原性ショックの原因となる疾患に対しての治療を始めるという流れです。
心臓の組織が破壊されているような器質的疾患が原因の場合は手術で修復を図り、心臓に走る冠動脈に血栓ができる冠動脈血栓症の場合は、冠動脈バイパス術や血栓溶解術を行います。
他にも不整脈に対して薬物治療を行うなど患者の状態に合わせて的確に治療を行いますが、どれも緊急度の高い治療なのでいかに早く治療できるかが予後の状態を左右します。
心臓の組織が破壊されているような器質的疾患が原因の場合は手術で修復を図り、心臓に走る冠動脈に血栓ができる冠動脈血栓症の場合は、冠動脈バイパス術や血栓溶解術を行います。
他にも不整脈に対して薬物治療を行うなど患者の状態に合わせて的確に治療を行いますが、どれも緊急度の高い治療なのでいかに早く治療できるかが予後の状態を左右します。
心原性ショックが死因になる可能性はありますか?
心原性ショックは命に直結する状態で、治療が遅れた場合は最悪命を落とします。ショックに対する治療を行う際は、ショックになった原因・臓器不全の重症度・治療開始までの時間などによって予後が大きく変わります。
多くの臓器の機能が低下する多臓器不全症候群になると死亡リスクが高くなるので、ショック状態になった時はより早く治療を開始することがとても重要です。
しかし、心筋梗塞など心臓発作後の心原性ショックは治療ができたとしても30日死亡率が20〜60%と、半数以上の人が亡くなるというデータもあります。
治療開始時間も大事ですが、日頃から健康管理を行い生活習慣病の有無や持病に対するコントロールが良好だと、その分回復する確率も高まるでしょう。
多くの臓器の機能が低下する多臓器不全症候群になると死亡リスクが高くなるので、ショック状態になった時はより早く治療を開始することがとても重要です。
しかし、心筋梗塞など心臓発作後の心原性ショックは治療ができたとしても30日死亡率が20〜60%と、半数以上の人が亡くなるというデータもあります。
治療開始時間も大事ですが、日頃から健康管理を行い生活習慣病の有無や持病に対するコントロールが良好だと、その分回復する確率も高まるでしょう。
心原性ショックの治療期間はどれくらいかかりますか?
心原性ショックの治療期間は、原因となる疾患・状態によって様々です。ただ初期治療の蘇生・酸素投与に関しては時間をかけず早期に治療しなければなりません。そして心臓の治療に当たる際に例えば冠動脈に問題があった場合は、PCI(経皮的インターベーション)やCABG(冠動脈バイバス手術)という治療を行います。
PCIとは心筋梗塞や狭心症などで冠動脈が細くなったり詰まったりした部分に鼠蹊部や手首からカテーテルを挿入し、細くなった血管をバルーンなどで広げる治療法で、早ければおおよそ30分程度で処置が終わります。
またCABGは開胸手術で、詰まった冠動脈に新たに迂回路を作成するもので治療時間が程度により異なりますが2時間以上はかかる大きな手術です。
いずれも、緊急を要するものでショック状態になった後の診断・治療時間を早く行うことが重要です。
PCIとは心筋梗塞や狭心症などで冠動脈が細くなったり詰まったりした部分に鼠蹊部や手首からカテーテルを挿入し、細くなった血管をバルーンなどで広げる治療法で、早ければおおよそ30分程度で処置が終わります。
またCABGは開胸手術で、詰まった冠動脈に新たに迂回路を作成するもので治療時間が程度により異なりますが2時間以上はかかる大きな手術です。
いずれも、緊急を要するものでショック状態になった後の診断・治療時間を早く行うことが重要です。
心原性ショックの兆候と病院を探す際のポイント
心原性ショックの兆候を教えてください
まず意識レベルの低下(昏睡・傾眠・錯乱)が一時的なショックの兆候として現れ、その後は全身への血液循環量が減少することによって顔面や手足のチアノーゼ(皮膚が蒼白くなること)・頻脈などの症状が出現します。
血圧低下(90mmHg以下)もありますが、これは必ずしも出現するとは限りません。また心原性ショックの場合、心臓に原因があるので胸痛・不整脈といった症状も持病や臓器不全になることで発症します。
血圧低下(90mmHg以下)もありますが、これは必ずしも出現するとは限りません。また心原性ショックの場合、心臓に原因があるので胸痛・不整脈といった症状も持病や臓器不全になることで発症します。
病院を探す際のポイント
ショック状態だと気付いたら、直ちに救急車を呼び救急外来を受診しましょう。ショックからの回復は、原因究明と治療開始までの時間が予後を大きく左右します。
症状は緩やかに進行するのではなく、凄まじいスピードで進行するので、ショックかどうか判断がつかなくとも迷ったらすぐ救急車を呼んでください。間違っても自分で病院を探す、自家用車や公共交通機関を利用して受診という状況にならないようにしましょう。
心原性ショックはショックの分類の中でも死亡率が高く、心筋梗塞のような心臓発作後は治療ができたとしても死亡するリスクがあります。より早く治療を開始し脳・心臓・腎臓という大事な臓器への影響をどれだけ少なくできるかが回復するために重要となってくるので、「ショックの兆候が分からない」「違ったらどうしよう」と考えるのではなく、いつもと何か違うと感じたら行動に移すようにしましょう。
症状は緩やかに進行するのではなく、凄まじいスピードで進行するので、ショックかどうか判断がつかなくとも迷ったらすぐ救急車を呼んでください。間違っても自分で病院を探す、自家用車や公共交通機関を利用して受診という状況にならないようにしましょう。
心原性ショックはショックの分類の中でも死亡率が高く、心筋梗塞のような心臓発作後は治療ができたとしても死亡するリスクがあります。より早く治療を開始し脳・心臓・腎臓という大事な臓器への影響をどれだけ少なくできるかが回復するために重要となってくるので、「ショックの兆候が分からない」「違ったらどうしよう」と考えるのではなく、いつもと何か違うと感じたら行動に移すようにしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
心原性ショックの多くは心筋梗塞が原因で発症しやすいです。つまり、心筋梗塞を発症しないよう日頃から自分の健康管理をしっかり行うことで、発症のリスクを下げることができます。
栄養バランスを考えた食事をとり、運動する習慣をつけ高血圧・糖尿病・高脂血症の生活習慣病を予防し、持病がある場合でも内服薬などでしっかりとコントロールすることで心臓への負担も軽減されます。年に1回は必ず健康診断を受けるようにしましょう。
またショック状態になるとどのような症状が出現するのか少しでも知識として頭にあると迅速に対応できるので、もう1度この記事の内容をしっかり読んでください。そして、誰かがショック状態だと気付いたら迷わず救急車を呼び救急外来を受診しましょう。何か少しでも行動に移せるだけで、誰かの命を救えるかもしれません。
栄養バランスを考えた食事をとり、運動する習慣をつけ高血圧・糖尿病・高脂血症の生活習慣病を予防し、持病がある場合でも内服薬などでしっかりとコントロールすることで心臓への負担も軽減されます。年に1回は必ず健康診断を受けるようにしましょう。
またショック状態になるとどのような症状が出現するのか少しでも知識として頭にあると迅速に対応できるので、もう1度この記事の内容をしっかり読んでください。そして、誰かがショック状態だと気付いたら迷わず救急車を呼び救急外来を受診しましょう。何か少しでも行動に移せるだけで、誰かの命を救えるかもしれません。
編集部まとめ
心原性ショックは命を落とす可能性が高い、とても危険な状態です。治療が早く開始できても、心臓や脳など大事な部分への影響が大きければ予後も悪くなります。
ショック状態になるリスクを下げるには、どれだけ日頃から健康管理を意識しているかが大事です。
持病のコントロール・生活習慣病の予防・定期的な健康診断の実施をすることで心筋梗塞を発症する確率を少しでも下げることができるので、自分の健康管理を意識してみましょう。
もしショック状態の人を見かけたり、何かいつもと違ったりすると感じたら迷わず救急車を呼び医療機関で治療を受けて下さい。
参考文献