「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)」を発症すると現れる症状はご存知ですか?
陸上・サッカー・バスケットボール・バレーボールなど跳躍やダッシュを繰り返すスポーツ選手に多くみられる怪我がシンスプリントです。
特に毎日激しい練習をしている選手たちにとって、足の痛みは辛く焦りの元となってしまいがちです。
そこで今回はシンスプリントの症状や原因について解説します。治療法や初期の段階での見極め方や応急処置方法も紹介しています。
運動時の足の痛みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の症状・原因
シンスプリントとは何ですか?
脛骨に沿って下から3分の1に痛みが出ることが特徴の1つで、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)とも呼ばれています。
主な症状を教えてください。
- 運動時のみに痛みがある
- 運動後にも痛みがある
- スポーツ時に痛みで支障が出る
- 日常でも痛みが強くスポーツはまったくできない
初期の段階では運動時にのみ痛みを感じるため、我慢して練習を続けたり試合に臨んだりしがちです。そのうちに運動の前後にも疼くような痛みを感じるようになり競技をすることに支障が出はじめます。
最も症状が強くなる最終段階では、痛みが強くなりスポーツはもちろん日常生活にも支障をきたすようになります。少なくとも3段階以上では競技や練習の休止が必要です。
なにが原因で起こりますか?
特に筋肉がまだ充分に発達していない若年層のスポーツ選手の練習には、急激にハードなトレーニングをしないなど充分な注意が必要といえるで
疲労骨折との違いはなんですか?
レントゲン撮影では異常発見されない場合が多く、MRIで炎症が発見され疲労骨折ではないことが解明されることもあるのです。
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の診断・治療法
シンスプリントはどのように診断されますか?
MRI検査ではじめて疲労骨折ではないとわかることも多く、骨折ではなくシンスプリントと診断されます。また初期段階では運動時に痛みを感じるだけで歩く時には痛みを感じないことも多いです。この段階でテーピングや運動量を調節するなど、適切な対処をすれば重症化は防げると考えられます。
治療法が知りたいです。
運動中だけでなくその前後にも痛みが続く場合には理学療法が有効的です。筋肉をやわらげるマッサージやストレッチにより体幹や股関節の動きを改善することは、体の動きを正常化させることにつながります。
そして体の動きが正常化することで、障害を起こしにくい体を維持することが期待できるのです。歩けないほどの痛みが運動以外でも続くときはもちろん、運動に支障をきたす症状がある場合には運動を止めて受診してください。理学療法を行うことで痛みが軽減されれば、リハビリを行った上で運動を再開できます。焦らずに治療することが大切です。
また痛みがひどい場合には、非ステロイド性消炎鎮痛剤や湿布などを処方されることもあります。ただこの場合痛み止めや湿布で一時的な痛みの軽減は期待できますが、併せて原因を改善する治療を行うことが必要です。
シンスプリントは自然治癒しますか?
その場合にも症状を悪化させないために、運動を休止したり調節したりしながらストレッチやマッサージを行うなどの処置が必要です。自然に放っておいて症状が無くなるわけではありません。
治るまで運動はできないのでしょうか…。
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の予防・応急処置方法
シンスプリントを予防する方法はありますか?
練習を行う路面の状態もシンスプリントの原因になるので路面や環境にも注意を払いましょう。また日頃から体力をつける・筋力をつける・体幹を鍛える・関節の柔軟性を保つなどを考慮するだけでもシンスプリントの予防につながります。
セルフでも応急処置できますか?
また負担にならないマッサージやストレッチも有効的です。応急処置のみでなく、シンスプリントの発症を防ぐために有効な運動前のストレッチを行います。筋肉の緊張をやわらげ、特にふくらはぎの柔軟性などを高める努力も必要です。
予防におすすめのマッサージ方法を教えてください。
ただしマッサージは必ず痛みが無くなり、炎症が治まってから行うことが必須条件です。まだ炎症のある状態でマッサージを行うことで、痛みをより強くしてしまう場合もあるので充分に注意してください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そのために悪化してしまい、日常生活も難しくなるほど痛みが強くなってしまうこともあります。初期段階に正しく治療することで早めに競技に復帰することも可能です。またシンスプリントを予防するために日頃から体力をつけ体幹をきたえるなど、自分でもできることを実践していきましょう。
編集部まとめ
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)はスポーツ選手に発症しやすい病気です。
骨折ではなく骨膜の炎症が原因で痛みが出ますが、初期段階で無理をせず治療をすれば早めに復帰もできます。
決して痛みを我慢して運動を続けずに、安静にして回復を待つことが大事なのです。
練習中などに足に疼くような痛みを感じた場合には、自己判断せずにできるだけ安静にして、整形外科などを受診してください。足に負担をかけない靴を選ぶことや運動前後、あるいは運動中のストレッチを充分に行うことも必要です。
足に負担をかけない靴を選ぶことや運動前のストレッチを充分に行うことも必要です。
また日頃から基礎体力をつけるなど自分自身の問題点をチェックすることも、シンスプリントの予防につながります。