「白内障」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!
白内障とは、徐々に視界が白く濁っていき、かすんで見えるような病気です。視界が悪くなりますが、手術で回復させることができます。
しかし、放置しておくと別の病気を引き起こす可能性もあるため早めの治療が必要です。
そこで本記事では、白内障の症状と原因についてご紹介します。なりやすい方の特徴・手術・放置するリスク・予防方法も解説するので参考にしてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
白内障の症状と原因
白内障はどのような症状がみられますか?
- 視界がかすむ
- 視力低下
- 光をまぶしく感じる
- 暗い時・明るい時で見え方が異なる
- 眼鏡の度が合わない
- 二重・三重に見える
- 目が疲れやすい
白内障は、眼の中にある水晶体が白く濁るなどが起こることによって見えにくくなる病気です。そのため、水晶体の白い濁りがひどくなっていくと、光の透過性が落ちるために視界がかすむようになります。はっきりと見えず、ピントが合わないような感覚を感じるようになるでしょう。また、視力低下も生じます。
水晶体の濁りは、水晶体外側から内側にかけて進行します。白内障の種類にもよりますが、中心部まで濁りが広がると視力の低下を感じるのです。光がまぶしく感じるようにもなります。通常、眼には光が真っすぐ入ってくる仕組みですが、水晶体が白く濁ると網膜に真っすぐ光が届かなくなります。光が散乱して網膜まで届くようになるため、光をまぶしく感じるようになるのです。
特に、夜の街灯や信号を見た際に昼とは違う見え方に気づく方は多いでしょう。明るい時と暗い時で見え方が異なるため、交通事故につながる可能性があり危険です。眼鏡の度が合わなくなる症状も挙げられます。
白内障の中には、中心部から白く濁り始めるタイプがあります。その場合、症状の進行とともに近視が進行する場合があるのです。眼鏡の度を変更しても近視の進行がどんどん進むため、約1年ほどで度が合わなくなる可能性があります。また、老眼鏡を着けていた方の中には、白内障の進行によって老眼鏡が必要なくなるケースもあります。しかし、老眼が改善したわけではないため注意が必要です。
二重・三重に重なって見えることも主な症状に挙げられます。白内障を生じると、眼の中には水晶体が濁っている部分と透明な部分が存在することとなります。濁った部分と透明な部分とでは光の進行方向が異なるため、対象の像が複数に見えてしまうようになるのです。
主な症状としては、目が疲れやすくなることも挙げられます。通常、ものを見る際には水晶体の厚みを変化させることでピントを合わせます。水晶体の厚みを変化させるには、水晶体周辺の筋肉を動かすことで可能となる仕組みです。しかし、白内障を生じてしまうとピントを合わせにくくなります。すると、無理してピントを合わせようと筋肉を常に使っている状態となり、眼が疲れやすくなってしまうのです。
また、他の症状によっても眼には多くのストレスがかかっています。そのため、これらの症状によって生じるストレスによっても眼精疲労が発生するのです。
発症する原因を教えてください。
- 加齢
- 他の病気によっての併発
- 先天的な原因
- 薬や治療の副作用
- 外傷性
まずは加齢が大きな原因のひとつです。年齢を重ねれば、誰にでも起こる老化現象といわれています。その理由は、水晶体を構成する水分とタンパク質が大きく関係します。
通常、これらの成分はレンズの役割と紫外線をカットする役割をもっているのです。しかし、長年紫外線にさらされていると活性酸素が増加し、水晶体のタンパク質が変性します。このタンパク質の変性が白内障の原因なのです。また、他の病気が原因となっていることもあります。
原因となる主な病気としては、次のようなものが挙げられます。
- 糖尿病
- アトピー性皮膚炎
- ブドウ膜炎
- 緑内障
糖尿病を原因とした白内障は、糖尿病性白内障といわれており、原因は明確には解明されていません。しかし、糖尿病で高血糖の状態が慢性化することで白内障を発症するといわれています。
アトピー性皮膚炎を原因とした場合も、白内障を引き起こすメカニズムははっきりとは分かっていません。しかし、アトピー性皮膚炎の発症者の約30%の方が、白内障を併発していることが確認されているのです。免疫異常や搔きむしることの刺激により、発症しているのではないかと考えられています。他の目の病気によって併発するケースもあります。
例えば、眼のブドウ膜に炎症が起こるブドウ膜炎や、神経系がダメージを受けて視野が狭くなってしまう緑内障などが主な病気です。
先天的な原因により、先天性白内障という病気を発症するケースもあります。生まれつき水晶体が濁っている状態です。この濁りは、遺伝によるものや、胎内に赤ちゃんがいる間に母親が風疹に感染したことが原因と考えられます。
薬や治療の副作用によっても、この病気が発症するケースがあります。代表的なものとしては、放射線やステロイド剤です。明確な原因は分かっていませんが、長期間の治療・服用や使用量が多いことで発症リスクが高まると考えられています。
最後に、外傷を原因として発症するケースです。外傷性白内障と呼ばれ、強い衝撃により水晶体がダメージを受けたことで発症することがあるのです。
白内障になりやすい人の特徴を教えてください。
- 高齢の方
- 糖尿病の方
- アトピー性皮膚炎の方
- 眼の怪我をしたことがある方
- ステロイド薬を使っている方
- 放射線治療を行っている方
年齢を重ねると発症しやすくなり、60代では70%・70代では90%・80代ではほぼ100%の方に白内障が認められます。また、糖尿病の方も高血糖状態が続くことで、水晶体の中に糖が蓄積しやすく発症につながります。
アトピー性皮膚炎の方は、目を掻いたり叩いたりすることが刺激となり、この刺激が発症につながるのです。眼の怪我をしたことがある方は、水晶体にもダメージが及んでいることがあり発症しやすくなります。稀に、目の手術によって水晶体がダメージを受けることがあるため、手術が原因で発症する可能性もあります。
病気の治療のために、ステロイド薬の使用や放射線治療を行っている方も発症しやすいです。ステロイド薬の使用量が多く、使用期間が長い方程発症リスクは高くなる傾向です。放射線治療についても、多量の放射線を受けた方ほど発症しやすい傾向があります。
受診を検討するべき初期症状を教えてください。
ものが見えにくいなどの異変を感じた際には、ある程度進行している可能性があります。かすんで見える・二重・三重に見えるなどの見え方に異変を感じた場合には、受診を検討しましょう。
白内障の検査と手術
白内障の検査方法を教えてください。
- 視力検査
- 眼底検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 光干渉断層検査
視力検査では、どの程度見えるかや視力障害の有無・程度を調べます。眼底検査は、眼底カメラを用いて、網膜に病変がないかを確認する方法です。
細隙灯顕微鏡検査とは、細い隙間からの光を眼に当てて組織を観察する検査です。光干渉断層検査では、網膜の断層写真を撮影し、網膜の病変の有無を確認します。
手術以外の治療方法はありますか?
しかし、点眼治療はあくまでも白内障の進行を抑えることが目的です。水晶体が透明な状態に戻るわけではないため注意が必要です。
白内障の手術を検討するべきタイミングを教えてください。
手術は何歳まで受けられるのでしょうか?
白内障の予後と予防
白内障は完治しますか?
手術をしないで放置した場合はどうなるのでしょうか?
放置をしていると緑内障・糖尿病網膜症・網膜剥離などの病気の併発の可能性があります。また、白内障自体の悪化も進み、最悪の場合には他の病気との兼ね合いで失明の可能性があるため大変危険です。
白内障を予防する方法はありますか?
また、食生活を改善することも予防につながります。白内障の原因にもなる糖尿病などは、食生活の乱れが影響します。そのため、規則正しい食生活をすることで予防することができるのです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
そのため、治療が遅れてしまい手術が必要となるケースも多いです。手術で完治する可能性があるといっても、早期に治療を行った方が身体への負担は少ないです。万が一、異変を感じた場合は早めに専門の医療機関に相談しましょう。
編集部まとめ
白内障は、年齢だけでなく糖尿病や先天性によるものなど、さまざまな原因で発症の可能性がある病気です。
そのため、若ければかからない病気ではありません。誰しも注意する必要があるのです。
普段から予防のためにも、食生活や紫外線に気をつけて発症リスクを下げるようにしましょう。
また、万が一異変を感じた場合には医療機関を受診しましょう。決して自己判断で受診を遅らせることがないようにして、視力低下を防いでください。
参考文献