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「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」とは?原因・がん・治療法も解説!

 更新日:2023/08/21
「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」とは?原因・がん・治療法も解説!

体のあらゆる場所にできる扁平苔癬は見た目もあまり良くなく、部位によっては再発してしまうこともあります。発症する原因は多いものの、特定できないのが難点です。

しかし、発赤や痛みなどの前兆が見られます。発症しないことはもちろん、発症したとしても治療方法を知っておけば安心です。

そこで今回は扁平苔癬の病気をはじめ、症状や原因・治療方法・再発の可能性について解説します。

松澤 宗範

監修医師
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

扁平苔癬の症状と原因

湿疹ができている人

扁平苔癬の症状はどのようなものですか?

  • 皮膚の扁平苔癬は赤紫色の発疹や強いかゆみが特徴です。最初は点々と発疹が表れるのですが、次第に集合し盛り上がったようになります。
  • 盛り上がった部分はうろこのようにザラザラとした紅斑になります。特に紅斑ができやすい部位は躯幹部・手首・脚・陰部です。顔には症状が表れにくい一方で、頭皮に表れてしまうとその部分のみ脱毛する可能性が高いです。
  • 口腔内にできる扁平苔癬は白いレース状のようなものが見られ、白いレース状の近くには発赤などが見られます。痛みや出血を伴うことがあるため、異変を感じる方が多いです。痛みや出血以外にも口内炎を含む粘膜の荒れ・違和感・熱っぽさなどがあります。

扁平苔癬は口腔内にもできるのですね。

  • 口腔内にも扁平苔癬はできます。そもそも扁平苔癬は皮膚や粘膜にできる病変であるため、皮膚や粘膜の部位であればどこでも症状が出る可能性が高いです。
  • その中でも口腔内の扁平苔癬の罹患率は高く、この疾患に罹患している半数の患者さんは口腔内で見られます。口腔,口唇の扁平苔癬は,数%の頻度で有棘細胞癌を発症するので注意が必要です。
  • また、爪にも症状が表れることがあります。爪は硬いため別物として認識している方も少なくないかもしれませんが、皮膚の一部です。爪が薄くなったり溝ができたり、酷い場合は爪ごとなくなってしまうこともあります。

扁平苔癬の原因を教えてください。

  • 確実な原因は分かってはいませんが、さまざまな原因によって扁平苔癬が発症しているのです。扁平苔癬を発症する原因として以下が挙げられます。
  • アレルギー
  • 金属製の歯科治療材
  • 自己免疫による疾患
  • ストレスや不安などの精神的な因子
  • 薬剤
  • 微生物への反応
  • B型肝炎・C型肝炎
  • これらは日常生活に密接していることが多いため、知らない間に体が強く反応し扁平苔癬を起こしやすくなっているのです。分かっていないからこそ、日々の体調のケアが大切になります。

扁平苔癬の診断・治療方法

扁平苔癬の診断はどのように行いますか?

  • 一般的には、「医師による診断」と「皮膚生検」が主な診断方法です。皮膚にできた発疹の部位や現れ方により目視で確認を行います。皮膚は分かりやすいため診断しやすいですが、口腔内は違う疾患が隠れている可能性がまれにあります。
  • そのため目視だけではなく、確実に診断するために粘膜の一部を採取し顕微鏡で組織の検査を行うことがあるのです。あくまでも一般的な診断方法になるため、必要に応じて追加で検査をすることもあります。
  • たとえば、B型肝炎やC型肝炎が原因で扁平苔癬が表れた場合、肝臓の検査を行います。アレルギーの場合は原因となるアレルゲンを特定するために、アレルギー検査を行うこともあるのです。

扁平苔癬の治療方法を教えてください。

  • 発症した部位によって治療方法は異なるものの、一般的には以下の治療方法を行い扁平苔癬を治療していきます。
  • かゆみを和らげるための治療
  • 紫外線を使った治療
  • 口腔内の痛みをやわらげるための治療
  • これらがどの症状に該当するのか、もう少し詳しく解説します。扁平苔癬を大まかに分けると「皮膚」と「口腔内」の2つです。皮膚に扁平苔癬が見られた場合、症状として強いかゆみや色素沈着が見られます。かゆみをやわらげるためにかゆみのある部分には軟膏を処方します。皮膚が厚くなり、表面にしわや溝が深くくっきりと現れた苔癬化した部位は紫外線を当てる光線療法を当てることもあります。
  • 口腔内に扁平苔癬が見られた場合、うがい薬や内服薬・軟膏を使用し痛みをやわらげます。金属の詰め物や入れ歯が原因で症状が表れた場合は、金属を取り除くことも治療のひとつです。しかし、金属が原因であることを突き止めることが先であるため、前述のとおり取り除く前にアレルギー検査をする必要があります。扁平苔癬が表れている方の中には、かゆみなどの症状が表れないこともあります。そのときは治療はせず経過観察のみです。

治療にはどのような薬を使うのでしょうか?

  • 主に、コルチコステロイドを含む副腎皮質ステロイド剤を治療薬として使用します。症状の強さや部位によって使用する薬剤を変えることもあるのです。乾癬治療薬として使用されているアシトレチンや、真菌で使用するグリセオフルビンを使用することもあります。
  • 膣に対しては日本では扁平苔癬に対して未承認であるアプレミラストを服用するケースもあります。口腔内には麻酔薬として有名なリドカインが含まれたうがい薬を処方し、痛みをやわらげる対処が一般的です。しかし、麻酔としての役割があることから決められた量を超えて使用してはいけません。
  • ステロイド薬を使用することに抵抗する方もいるかもしれませんが、正しく使用することが大切です。薬剤の成分によってはそれが原因で扁平苔癬を引き起こすことがあるため、疑われる成分の薬剤は使用しません。

扁平苔癬の予後

薬

扁平苔癬は自然治癒する場合もあるのでしょうか?

  • 一般的に1〜2年ほどで自然に消失していきます。発疹が出ていなければ、1年よりも前に消失する可能性があるでしょう。
  • 発疹が出ている期間は治療の継続が必要です。途中で治療をやめてしまえば、再発したり悪化することもあるでしょう。
  • 完治は難しいものの、薬でコントロールすることで症状を軽くすることが可能です。

再発の可能性はありますか?

  • 部位によって異なりますが、口腔内にできた扁平苔癬は長引く傾向にあり、再発の確率は約20%です。
  • 皮膚や膣に比べると口腔内は刺激を受けやすい部位であるため、刺激によって落ち着いていた部位が悪さをしてしまいます。
  • 罹患してから10年経っても治らないことから、口腔内の扁平苔癬は再発する可能性が高いです。根気よく治療をすることで再発しない環境を整えることが不可欠になります。

扁平苔癬は将来がん化する可能性があると聞いたのですが…。

  • まれにがん化することもあり、その確率は0.5〜2%ほどです。ただし、扁平苔癬のタイプによってがん化のリスクは変わります。粘膜のびらんを繰り返すびらん型の扁平苔癬は萎縮型や網目型の扁平苔癬に比べるとがん化しやすい傾向にあります。
  • 飲食物・歯・タバコ・詰め物や入れ歯などの歯科治療材・細菌などから、常に口腔内は刺激を受けている状態です。その刺激により症状が悪化し、がん化してしまいます。また、C型肝炎を罹患している方もがん化しやすいです。そのため、扁平苔癬を治療中にがん化していないか確認するために検査をすることもあります。
  • 口腔内をきれいに保つことはもちろん、歯科医院で歯のメンテナンスを定期的に行うことでなるべく刺激を少なくしがん化を避けるようにしましょう。掻きむしりすぎると痕が残る可能性があるため、定期的に軟膏を塗布するなどし再発しないようにすることが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 一度罹患してしまうと、部位によって扁平苔癬は治療が長期化してしまうのが難点の病気です。さらに発症する原因が特定されておらず、日常生活が要因となり症状が表れます。
  • そのため、少しの変化をいかに見逃さないかがポイントです。しかし、あまり気にしすぎてしまうとかえってそれがストレスとなり、扁平苔癬を起こしてしまうかもしれません。
  • 体調による原因が多いことから、健康で過ごすためにも日々の体調管理はしっかり行うと良いでしょう。

編集部まとめ

薬を塗る
症状や再発の面から見ると扁平苔癬は恐ろしい病気と認識してしまいがちです。しかし、どの病気にも少なからず前兆は見られます。

小さな変化に気づくことで、悪化の予防は十分可能です。少しでもおかしいと感じたら、医師の診察を受けるようにしましょう。

早期発見できれば早期に治療でき、治療期間も短くなる上に再発の可能性も低くすることができるでしょう。

この記事の監修医師

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