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「急性腸炎」とは?症状・原因・ストレスとの関係についても解説!【医師監修】

 更新日:2023/07/13
「急性腸炎」とは?症状・原因・ストレスとの関係についても解説!【医師監修】

腹痛を伴う嘔吐や下痢…冬に流行ることの多い、いわゆる「お腹からくる風邪」ともいわれる症状がある場合は、急性腸炎の可能性が高いです。

お子さんをお持ちの方のなかには、寒くなると毎年のようにお腹の風邪が周りで流行って保育園などで拾ってきて、我が子も罹患するという方も少なくありません。

急性腸炎になったら、早く回復するためにも患者さんの食事や過ごし方に注意する必要があります。どのように過ごすのが良いのでしょうか。

今回は急性腸炎の症状・検査・治療について解説をしていきます。自宅での過ごし方や食事についても併せて紹介するため、看病時などの参考にしてください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

急性腸炎の特徴

ベッドルームにいる女性

急性腸炎とはどんな病気ですか?

  • 子どものころにお腹を壊して病院にいったら、医師から「お腹の風邪」といわれた経験はありませんか。このお腹の風邪が急性腸炎です。
  • 胃や腸が炎症を起こしているため腹痛が起こります。下痢や嘔吐を伴うことも多い疾患です。
  • 急性腸炎には非感染性腸炎と感染性腸炎の2つに分類され、感染性腸炎には食中毒や感冒性腸炎などの種類があります。
  • 症状が軽いものなら自宅療養でも回復することが多いですが、重症化するケースも少なくありません。
  • とくに小さいお子さんやお年寄りの方は、重症化する前に受診するようにしましょう。

症状について教えてください。

  • 急性腸炎の主な症状は下記の通りです。
  • 腹痛
  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢
  • 嘔吐と下痢はどちらか一方のケースと、両方起こるケースがあります。嘔吐も下痢も両方起こるようなら、脱水症状にも注意をする必要があります。
  • 発熱も急性腸炎の症状のひとつです。血便を伴うこともありますが稀です。
  • 成人した方であれば、自然治癒が可能な疾患ですが水分が摂れない場合や、乳幼児・お年寄り・持病のある方は重症化する可能性があるため注意が必要です。

急性腸炎の原因は何ですか?

  • 急性腸炎は、非感染性腸炎と感染性腸炎の2種類があり原因がそれぞれ違います。
  • 感染性腸炎は細菌・ウイルス・寄生虫などが体内に入り込み感染することで起こる腸炎です。(ノロウイルスやロタウイルスなど)感染経路は経口摂取がほとんどで、罹患者の飛沫などや傷んだ食品を食べたことが原因で罹患します。
  • 感染性腸炎の場合は、他人に感染してしまう可能性があるため注意をしてください。
  • 非感染性腸炎はアレルギーなどウイルスや細菌などによる感染以外が原因で起こる腸炎です。ウイルスや細菌が原因ではないため、他人に感染させる心配はありません。
  • 非感染症腸炎には虚血性腸炎もあり、これは大腸の血管に血流障害が起こることが原因です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が根底にあります。
  • また、重度の便秘も腸炎を引き起こすケースも多いです。また、ストレスが原因で腹痛や下痢を起こす方もいます。

ストレスも原因となるのですね。

  • 腸管にある神経は自律神経で繋がっており、脳神経と大きなかかわりがあるため脳がストレスを感じると自律神経から腸にそれが伝わっていくのです。
  • 脳で感じたストレスを腸管の神経が受け取ることで運動異常を起こし、腹痛や下痢など腸炎と同じ症状が現れることがあります。
  • ストレスが原因の腹痛や下痢は、過敏性腸症候群という疾患で下痢とは逆に便秘になる方も少なくありません。

人にうつる病気でしょうか?

  • 非感染性腸炎は感染症ではないため、他人にうつしてしまうことはありません。しかし、感染性腸炎の場合はうつります
  • 感染経路は経口摂取によるケースがほとんどで、ノロウイルスやロタウイルス、大腸菌など感染性が強いものは特に注意が必要です。
  • 排泄物や吐しゃ物を処理する際は感染対策を徹底など、周りの方は注意をしてください。
  • お子さんが罹患した場合など、お世話をするご家族の方に感染が広がるケースは多いです。おむつ替えの後は必ず手洗いと消毒をしましょう。

急性腸炎の検査方法と治療方法

シニアの男性医師

診断ではどのような検査を行いますか?

  • 腸炎と疑われる場合は、最初に問診を行い症状や発症する前の食事内容や時間をお聞きし、触診で腹痛の具合や腹部・全身の状態の確認を行います。症状のみで診断をされることも多いです。
  • また、必要に応じて血液検査・便検査・大腸カメラによる検査を行い感染・炎症の有無を確認し、確定診断を行うこともあります。

どのような治療を行いますか?

  • 腸炎の基本的な治療は、絶食と水分の補給です。症状が軽い場合は脱水対策と食事療法で回復する可能性があります。
  • ただ、複数回の下痢や嘔吐などがある場合は病院で診断を受けて適切な治療をうけましょう。
  • 病院では脱水対策と食事療法の指導を行い、状態によって整腸剤や吐き気止めなどの薬物も使用します。
  • ただ、感染性腸炎の場合は、悪いものを出し切ってしまうことが重要です。無理に下痢を止めることはしません。
  • 食中毒など細菌による腸炎の場合は、抗生剤を使います。非感染症腸炎の場合は、原因に合わせた治療が必要です。

急性腸炎はどのくらいで治りますか?

  • 急性腸炎は数日で回復することがほとんどで、嘔吐は1~2日・下痢は数日~数週間続くことはありますが、徐々に回復していきます。
  • 正しい処置を行っていれば、長引いても1~2週間でおさまることが多いです。
  • もし1ヶ月以上下痢が続く場合は、慢性の下痢症状の可能性があります。あまりに長く症状が続いている場合は、再度病院を受診してください。

急性腸炎になった場合の食事と予防方法

おかゆ

急性腸炎になった場合はどのように過ごせば良いですか?

  • 急性腸炎と感じた場合は、食事に気をつけて嘔吐や下痢による脱水症状を防ぐために水分補給をしましょう。
  • 感染性の可能性を考慮して感染対策もしっかり行って、周りに広がらないようにすることも大切です。
  • 症状が重くなければ食事や水分補給に注意をしていれば自宅療養でも治癒します。
  • ただ、食中毒が疑われる場合や症状が重い場合、どうしても水分が摂れない場合はできるだけ早めに病院を受診してください。お子さんやお年寄りは特に注意をしましょう。

食事で気をつけることを教えてください。

  • 症状がある間の食事は、お粥やうどんなどの消化が良く繊維質の少ない食事を少量が基本です。ただ、下痢や嘔吐がひどい場合は水分の摂取のみにします。
  • 嘔吐がある場合の水分補給は、嘔吐から1~2時間たった後に少しずつ始めてみてください。お子さんの場合はスプーン1杯くらいから、10~15分おきに根気強く飲ませます。
  • 少量の水分補給を1時間ほど繰り返して嘔吐がなければ水分を増やしていきましょう。腸炎などで下痢・嘔吐がある際の水分補給には経口補水液が最適です。炭酸飲料やコーヒーなどは避けてください。
  • 食事は水分がしっかりとれるようになってからスタートします。繊維の多い野菜や果物・乳製品・脂肪分の多い食材は控えましょう。
  • 乳児の場合、母乳は消化にもよいため与えても大丈夫です。いつもよりも1回の授乳時間を短くして回数を増やして与えるようにしてください。

急性腸炎の予防方法はありますか?

  • 急性腸炎の予防は日常的な感染対策を基本に、手洗いうがいを心がけてください
  • 傷んでいる食材・生の肉などは避けて、調理・食事の前には石鹸を使ってしっかり手洗いをします。感染性腸炎に罹患した方の看病をする際は、マスクを着用して感染対策を十分に行うことが大切です。
  • また、患者さんの排泄物や吐しゃ物には大量のウイルスや細菌が含まれています。処理をする際は使い捨て手袋・使い捨てエプロンを使用してください。
  • 腸炎を引き起こすウイルスにはアルコールが効かないものもあります。汚れた床の掃除やシーツなどの消毒には塩素系漂白剤が効果的です。
  • お子さんのおむつは、密封できる袋にいれて処理をしましょう。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

  • 急性腸炎には種類があり、原因や対処法はそれぞれです。食事は症状が重い間は無理に摂取しないで、脱水にだけ注意して過ごしてください
  • 患者さんのご家族など周りの方は、うつらないように看病時には感染対策をしっかりすることで集団感染の予防にもなります。
  • 症状が重く食事はおろか水分が摂れない場合や悪化した場合、抵抗力の弱いお子さんやお年寄りの方は病院を受診しましょう。

編集部まとめ

お腹をおさえてしゃがむ子

今回は、急性腸炎についての解説をしてきました。下痢や嘔吐など罹患すると、患者さんは少し辛い疾患です。

しかし、感染しても食事など正しく対策をしていれば治癒も早くなります。

感染対策と脱水への対策を徹底し、病院で医師から食事の指導をされた場合は、しっかり守って重症化を防ぐことが大切です。

状況によっては、病院を受診して状態にあった処置をしてもらうようにしましょう。腸炎にかからないように、日ごろから手洗いうがいも心がけてください。

この記事の監修医師