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「小頭症」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/10/03  更新日:2022/10/12
「小頭症」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

小頭症とは、同世代の人と比較して頭のサイズが小さい状態のことをいいます。赤ちゃんがお腹にいる時期から認識できる場合もあれば、出生後に認識する場合もあります。

小頭症は、成長発達などに大きくかかわる疾患であることが多いです。原因や特徴など正しい情報を備えましょう。

本記事では、小頭症の特徴と原因を詳しく解説します。症状や診断基準・合併症・予防方法なども併せてご紹介するので、参考にしてください。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】 平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。 日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医 医師+(いしぷらす)所属

小頭症の原因と症状

資料を見る医師

小頭症の特徴を教えてください。

  • 小頭症は非常にまれな病気です。数千人に1人の割合で生まれてくるといわれており、赤ちゃんの頭部が小さいまま生まれてくる病気です。また、生まれた後も発症する可能性のある病気です。
  • 出生後に頭部の成長が止まってしまうことがあります。この場合も、小頭症となります。

新生児の病気なんですね。

  • この病気は新生児の病気です。赤ちゃんがお腹の中にいる段階で小頭症を患っているケースと、生まれた後頭の成長が止まることでこの病気を指摘されるケースがあります。
  • いずれも子供の内にかかる病気であり、小頭症を持って生まれた場合は、けいれんを引き起こすケースや成長につれて身体障害学習障害に苦しむ可能性があります。

小頭症は何が原因で起こるのでしょうか?

  • この病気の原因は、潜在的な原因は多数挙げられますが、現在はっきりと判明はしていません。最も多く考えられる原因としては、次のようなものが挙げられます。
  • 子宮内感染症
  • 有毒な化学物質
  • 遺伝的異常
  • 胎児期の重度の栄養失調
  • 難産
  • 子宮内感染症とは、赤ちゃんがお腹にいる間に母体がさまざまなウイルスなどに感染して起こる病気です。代表的なものとしては、風疹ウイルス・サイトメガロウイルス・HIV・ジカウイルス・ヘルペス等が挙げられます。これらの病気に感染することで、赤ちゃんの脳に影響が及ぶことがあるのです。
  • 有毒な化学物質としては、ヒ素・水銀・重金属・放射線・アルコール・喫煙による有害物質等が挙げられます。これらの化学物質の影響で、赤ちゃんの脳の発達が止まってしまう可能性があるのです。
  • 母体からの影響としては、他にも重度の栄養失調も考えられます。母体の栄養が十分でないため、お腹の中の赤ちゃんにも十分な栄養が行き届かず正常な成長が行われないケースです。
  • 遺伝的異常の原因も考えられます。特にダウン症のお子様に見られることが多いです。
  • また、難産によっても小頭症が発症するケースがあります。難産となると、出産時に十分な酸素が赤ちゃんに供給できません。そのような状況になると、赤ちゃんの脳へダメージがもたらされます。この酸素不足が、小頭症発症のリスクを高めるのです。
  • いくつかの原因をご紹介しましたが、一方で全くこれらの原因に該当しないにもかかわらず、発症するケースも存在します。

どのような症状がありますか?

  • 小頭症を発症した際に、起こりうる症状としては次のようなものが挙げられます。
  • 発育への影響
  • 学習障害
  • 哺乳不良
  • てんかん
  • 脳性麻痺
  • 視覚・聴覚障害
  • 知的障害
  • 発育への影響とは、年齢相応の運動面・知的の面・精神面での遅れとなります。運動機能や言語の理解・発語が遅れる可能性があります。また、てんかん(けいれん発作を繰り返す)、筋緊張の異常などの神経筋の異常を生じる可能性もあります。

小頭症の診断基準と治療方法

診察中にメモを取る医師

小頭症の診断基準を教えてください。

  • 診断は出生後すぐさまおこないます。その場合の判断基準は、WHO成長基準によって比較し、診断します。出生24時間後に頭囲を測定し、身長・体重と比較の元、小頭症かどうかを判断するのです。この時点で疑いのある場合は、小児科医による診察が行われ、脳の画像(CT・MRI)や採血などの診察が行われます。
  • さらに、小頭症は生まれた後の赤ちゃんも発症する恐れのある病気です。そのため、乳児期早期においては毎月頭のサイズを測定し、成長基準と照らし合わせて判断します。

妊娠中に判明することもあるのでしょうか?

  • この病気は、妊娠中にも判明することがあります。小頭症の診断は、超音波検査によって調べられます。赤ちゃんはお腹の中にいる間も成長し続けており、頭のサイズも年齢に比例して大きくなるはずです。そのため、年齢相応であるかをエコーによって知ることが可能です。診断の実施時期としては、妊娠28週目となるタイミング、あるいは妊娠第三期ごろです。

治療方法はありますか?

  • 治療方法については、現在根本的な解決が見込まれる治療方法は確立されていません。そのため、対症療法的な治療を中心に行うことになります。
  • また、小頭症を患っている患者に全て同じ症状が現れるわけではありません。全く異なる症状を引き起こすケースもあれば、同じ症状でも度合いが異なることが多いのです。そのため、症状の内容・度合いに応じて患者に合った治療を進める必要があります。具体的な治療方法としては次のようなものが挙げられます。
  • 療育
  • 補聴器の使用
  • 抗けいれん薬の使用
  • 療育は早期の介入が進められる可能性が高いです。これは、刺激や遊びなどを組み込んだプログラムを早期に速やかに実行することで、発達に良い影響を与えられると考えられているためです。
  • 補聴器の使用は聴力に異常がある場合に使用します。
  • 抗けいれん薬はけいれんが見られる場合に使用が検討されるでしょう。このように、小頭症に対しての特別な治療ではなく、複数の症状に対して該当する医療分野における治療方法によって対処するようになります。

小頭症の注意点

微笑む赤ちゃん

小頭症の合併症や後遺症を教えてください。

  • この病気の合併症には、神経障害を合併する可能性があります。その結果、発達障害を引き起こす可能性が高く、知能の発達の遅れや身体を上手く動かせないなどの身体的な障害を抱えるケースも少なくありません。

寿命に関わるのでしょうか?

  • 生まれて間もない赤ちゃんが患う病気のため、赤ちゃんの寿命にも大きく関わる病気です。小頭症の中でも特に先天性の場合は、生まれてまもなくで亡くなる可能性が高い傾向にあります。
  • 一方、後天性の場合は、現在のところ病気の影響で寿命が短くなるということはないようです。頭部が成長せず、中枢神経に障害が出たとしても、リハビリを行いながら健康に過ごすことは十分可能となります。

予防する方法はありますか?

  • 小頭症を直接予防する術は、現在ではまだはっきりと分かってはいません。予防方法としては、妊娠している女性が小頭症に関係が深い感染症にかからないようにすることが一番の予防法となります。具体的な予防法の種類としては、次のようなものが挙げられます。
  • ジカウイルス感染症予防
  • トキソプラズマ症候群の予防
  • 先天性風疹症候群の予防
  • 梅毒・HIVの予防
  • サイトメガロウイルスの予防
  • その他人体に悪影響のあるものから守る
  • ジカウイルスは、現在最も小頭症と関係が深いと判断される感染症です。そのため、効果も大きいと考えられる予防法となります。ウイルスは蚊を媒介にして感染します。そのため、蚊がいそうな水辺や草木が生えている場所を避ける・防虫スプレーで蚊が近づかないようにするなどの予防を心がけましょう。注意点として、日本国内の蚊にはウイルスを持ったものはいないため、特に海外に行く際に気をつけなければなりません。
  • トキソプラズマ症候群の予防には、感染している食肉を食べないようにすることです。十分な加熱された食肉、消毒された調理器具で調理された料理を食べることが予防方法となります。
  • 先天性風疹症候群の予防には、妊娠前のワクチン接種が効果的な予防法です。風疹は、予防接種を2回受ければ95%の人が予防可能といわれています。
  • 梅毒・HIVの感染予防には、性行為の感染を予防することです。
  • サイトメガロウイルスの感染予防には、未感染の妊婦との接触を避けることが予防となります。一般的に、この感染症は多くの人が乳幼児期に感染し免疫を持っています。しかし、抗体ができず発症するケースもあるため、手洗いなどで予防する必要があります。
  • その他、人体に悪影響のあるものから守ることも必要です。例えば、ヒ素・放射線などの毒性がある化学物質があげられます。タバコやアルコールもある程度悪影響があるといわれていますが、詳細な関係は不明です。そのため、悪影響が考えられるものは体内に入らないように、注意をしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 頭が年相応よりも小さいサイズのまま、成長しない小頭症は、合併症やその後の症状が大変恐ろしい病気です。先天性の場合は、最悪生まれて間もなくして亡くなるケースもあります。
  • しかし、後天性の場合は、適切な治療を行うことで元気に過ごすことも不可能ではありません。正しい情報を身につけておけば、万が一お子様が病気にかかったときも適切なサポートが行えるでしょう。

編集部まとめ

眠る赤ちゃん

小頭症は、頭のサイズが小さいというだけでなく、命にもかかわる病気です。また、発育障害・てんかん・脳性麻痺などさまざまな症状を伴う可能性もあります。

はっきりとした原因も分からず、根本的な治療方法も確立されていません。しかし、適切な対症療法を行えば、子供は元気に育ってくれるケースもあります。

正しい病気・治療方法や・予防方法を身につけておくことは非常に重要です。違和感を感じた場合は、医療機関に相談してみましょう。