「クレチン症」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】
クレチン症(先天性甲状腺機能異常症)は、新生児マススクリーニングの対象疾患にもなっている病気です。「先天性甲状腺機能低下症」の通称で、「生まれつき甲状腺がないか小さい・甲状腺はあるが甲状腺ホルモンが上手くつくれない」というのが定義です。
成長するのに欠かせない甲状腺ホルモンが不足すると、身体だけでなく脳の発育にも関わるため早期発見が重要です。
今回はクレチン症(先天性甲状腺機能異常症)の症状や原因、治療などを詳しく解説します。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
クレチン症とは
クレチン症とはどのような疾患でしょうか?
発生頻度は8000人に1人程度といわれています。甲状腺ホルモンが不足したまま成長すると発育や知能発達に障害がおこることから、早期発見と早期治療が重要な疾患です。
程度はさまざまあり、軽度のものから重度のものまで人によって症状が違います。新生児マススクリーニング検査で見つかれば、そのまま治療を開始します。クレチン症は、妊娠中に母体の影響を受けるためにおこる一過性のものと、生涯にわたり治療が必要なものがあります。
クレチン症の症状
クレチン症の症状にはどのような特徴がありますか?
クレチン症にかかっている新生児期には黄疸が長く続きます。便秘や臍ヘルニアもみられます。かすれたような泣き声や手足の冷感、皮膚の乾燥、あまり汗をかかないなどの特徴があります。見た目は腹部が大きくふくれ、手足の指が短いなどの特徴もみられます。顔つきにも特徴があり、それをクレチン顔貌といいます。
新生児期ははっきりした症状を示しにくいため気付かない場合もあり、多くは乳児期にみられます。原因が母胎の場合などでは、一過性のものもある病気です。
クレチン顔貌
クレチン顔貌とはどんなものでしょうか?
乳児期以降にみとめられやすいクレチン症の特徴
新生児期よりも乳児期のほうがみとめられやすい特徴はありますか?
クレチン症の原因
クレチン症の原因はどんなものが挙げられますか?
また、 甲状腺が首の前面ではなく、舌の根もとなど別の場所に存在する「異所性甲状腺」であっても、甲状腺ホルモンを十分につくれません。甲状腺になんらかの異常をきたすと、 甲状腺ホルモンの合成に問題がでるため結果的に甲状腺ホルモンが不足することになるのです。
さらに、 甲状腺に対して指令を出す脳の下垂体や視床下部に障害がある場合も、クレチン症を引き起こす原因として挙げられます。指令を出す脳の影響によって甲状腺ホルモンが不足することにつながるのです。
クレチン症の中には一過性のものもあるようですが、原因はどのようなものでしょうか?
また、妊娠中に甲状腺機能亢進症になっていることに気が付かないまま未治療でいると、母体の甲状腺ホルモンが胎児に影響します。胎児の下垂体からのTSH分泌を抑制してしまうため、新生児一過性中枢性甲状腺機能低下症になりうるのです。
妊娠中や分娩後授乳時のヨード過剰が新生児の甲状腺のはたらきに影響を及ぼすこともあるので、生まれる前から注意する必要があります。
クレチン症の受診科目
クレチン症は何科を受診したらいいでしょうか?
クレチン症の検査
クレチン症ではどのような検査を行いますか?
新生児マススクリーニングとは
新生児マススクリーニングとはどういった検査ですか?
クレチン症(先天性甲状腺機能異常症)の精密検査とは
クレチン症の精密検査ではどのようなことを行いますか?
クレチン症の治療
クレチン症の治療には、どのようなものがありますか?
一過性のものでは一時的な治療をすることで、その後は自身で甲状腺ホルモンを分泌できますが、生涯に渡って治療をする場合もあります。
クレチン症の性差・年齢差
クレチン症の発症に性差や年齢差はありますか?
編集部まとめ
甲状腺ホルモンが不足することでおこるクレチン症は、多くは新生児マススクリーニングでみつかります。早期の発見・治療によって成長の遅れや脳の発達の遅れを改善できるため、すべての新生児に検査が行われています。
一過性のものは一時的に治療をするだけですが、原因によっては永続的に続くものもあるため長く病気と付き合うこともあるでしょう。
新生児期に見つからず、成長の遅れなどで気付く場合があります。少しでも違和感を覚えたら早めに医療機関の受診をおすすめします。
参考文献