「妊娠性痒疹・妊娠性皮膚掻痒症」を発症する4つの原因はご存知ですか?医師が解説!
更新日:2023/03/27
妊娠中は思いもかけないトラブルが起こりやすい傾向がありますが、かゆみや発疹の症状に悩む人も少なくありません。手足を中心に起こるかゆみや発疹は、妊娠性皮膚掻痒症や妊娠性痒疹の場合もあります。これらは、出産後に改善することが多く、外用薬や内服薬で治療可能です。
今回は、妊娠性皮膚掻痒症と妊娠性痒疹とはどのような病気か、症状や原因、治療方法などを解説します。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
目次 -INDEX-
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹とは
妊娠性皮膚掻痒症とはどのような病気ですか?
妊娠性皮膚掻痒症(にんしんせいひふそうようしょう)とは、妊娠早期に起こる全身のかゆみを特徴とした病気です。
体がかゆくなって、掻きむしってしまうと、ひっかき傷ができて出血したり赤くなったりします。また、何度も同じ場所を掻きむしることで色素沈着を起こしてしまうこともあります。似た病気の妊娠性痒疹とは異なり、かゆみは伴うものの発疹の症状は見られません。
妊娠性皮膚掻痒症は、夜間に手や足のかゆみが強くなる傾向があり、妊娠中期・後期に胆汁うっ滞と呼ばれる症状を伴うこともあります。夜に眠れないほどのかゆみがある場合は、妊娠性痒疹の可能性があるため、原因を調べるために詳しい検査が必要です。
全身のかゆみが特徴の妊娠性皮膚掻痒症ですが、多くの場合、出産後に改善します。
体がかゆくなって、掻きむしってしまうと、ひっかき傷ができて出血したり赤くなったりします。また、何度も同じ場所を掻きむしることで色素沈着を起こしてしまうこともあります。似た病気の妊娠性痒疹とは異なり、かゆみは伴うものの発疹の症状は見られません。
妊娠性皮膚掻痒症は、夜間に手や足のかゆみが強くなる傾向があり、妊娠中期・後期に胆汁うっ滞と呼ばれる症状を伴うこともあります。夜に眠れないほどのかゆみがある場合は、妊娠性痒疹の可能性があるため、原因を調べるために詳しい検査が必要です。
全身のかゆみが特徴の妊娠性皮膚掻痒症ですが、多くの場合、出産後に改善します。
妊娠性痒疹とはどのような病気ですか?
妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)とは、妊娠中にかゆみを伴う発疹が手足やお腹などに現れる病気です。妊娠初期である妊娠3〜4か月では手や足に出現しやすく、発症後数日以内に症状が消退します。
2回目以降の妊娠経験のある人に多く、妊娠するたびに発症する傾向があります。一度発症すると、治りにくいのも妊娠性痒疹の特徴です。
また、初めての妊娠で双子などの多胎妊娠の場合、妊娠後期に手や足だけでなくお腹を中心に強いかゆみや発疹が現れることがあります。多くの場合は出産後数日以内に消えることが多いでしょう。
妊娠性皮膚掻痒症とは異なり、発疹を伴うのが特徴です。妊娠後期に起こる場合、妊娠に伴うそう痒性じん麻疹様丘疹(PUPPP)として区別します。一般的には、PUPPPは妊娠後期を中心に生じることや初産婦に起こりやすいことが知られており、2回目以降の妊娠では再発しにくい傾向にあります。また発症から数日以内に症状が消退します。
約160~300人に1人の割合で起こりますが、詳しい原因は分かっていません。
2回目以降の妊娠経験のある人に多く、妊娠するたびに発症する傾向があります。一度発症すると、治りにくいのも妊娠性痒疹の特徴です。
また、初めての妊娠で双子などの多胎妊娠の場合、妊娠後期に手や足だけでなくお腹を中心に強いかゆみや発疹が現れることがあります。多くの場合は出産後数日以内に消えることが多いでしょう。
妊娠性皮膚掻痒症とは異なり、発疹を伴うのが特徴です。妊娠後期に起こる場合、妊娠に伴うそう痒性じん麻疹様丘疹(PUPPP)として区別します。一般的には、PUPPPは妊娠後期を中心に生じることや初産婦に起こりやすいことが知られており、2回目以降の妊娠では再発しにくい傾向にあります。また発症から数日以内に症状が消退します。
約160~300人に1人の割合で起こりますが、詳しい原因は分かっていません。
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹の症状
妊娠性皮膚掻痒症はどのような症状が現れますか?
妊娠性皮膚掻痒症は、まずは妊娠初期に全身にかゆみが現れます。妊娠週数が進むにつれてお腹が大きくなると、皮膚が引き伸ばされてお腹にもかゆみを感じるようになります。
肝内胆汁うっ滞が原因の場合は、手のひらや足の裏などに強いかゆみが現れ、徐々に全身に広がっていきます。患部を掻きむしると赤くなったり出血したりすることや、同じ場所を何度も掻きむしることで、色素沈着を引き起こすのが特徴です。
肝内胆汁うっ滞が原因の場合は、手のひらや足の裏などに強いかゆみが現れ、徐々に全身に広がっていきます。患部を掻きむしると赤くなったり出血したりすることや、同じ場所を何度も掻きむしることで、色素沈着を引き起こすのが特徴です。
妊娠性痒疹はどのような症状が現れますか?
妊娠性痒疹は蕁麻疹に似た症状が現れます。ブツブツや赤みとかゆみを伴った発疹が手、足、ときにお腹や背中に出現するのが特徴です。
妊娠性皮膚掻痒症に比べ、強いかゆみが特徴で夜も眠れない人もいるほどです。患部を引っ掻いているうちに、赤茶色の固い発疹ができるため、治りにくくなります。
妊娠性皮膚掻痒症に比べ、強いかゆみが特徴で夜も眠れない人もいるほどです。患部を引っ掻いているうちに、赤茶色の固い発疹ができるため、治りにくくなります。
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹の原因
妊娠性皮膚掻痒症と妊娠性痒疹の原因を教えてください。
妊娠性皮膚掻痒症と妊娠性痒疹のはっきりとした原因は分かっていません。
しかし、以下の要因が発症に関係しているのではないかと指摘されています。
しかし、以下の要因が発症に関係しているのではないかと指摘されています。
- ビタミンBの不足
- ホルモンバランスの変化
- アトピー性皮膚炎
- 妊娠による肝機能低下
妊娠中は、妊娠前と比べて女性ホルモンが変化していることや、週数が進むにつれてお腹が大きくなるために皮膚が伸びることもかゆみが起こる原因です。妊娠中は体質も変わりやすいことから、かゆみを我慢しないようにしましょう。
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹の受診科目
妊娠中にかゆみや発疹などの症状があれば何科を受診すればよいでしょうか?
かゆみや発疹などの症状があるときは、皮膚科や産婦人科を受診しましょう。皮膚科を受診する際は、あらかじめ妊娠していることを伝えておくとスムーズです。
妊娠中は使用できる薬剤に制限があるため、処方される内服薬や外用薬に注意しましょう。
妊娠中は使用できる薬剤に制限があるため、処方される内服薬や外用薬に注意しましょう。
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹で行う検査
妊娠性皮膚掻痒症や妊娠性痒疹ではどのような検査を行いますか?
妊娠時にかゆみや発疹などの症状があるときは、妊娠週数、湿疹の見た目や全身での広がり方などを視診や問診などを中心に診察します。その結果から肉眼的に診断するケースが多いでしょう。
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹の性差・年齢差
妊娠性掻痒症や妊娠性痒疹に性差や年齢差はありますか?
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹は妊娠しているすべての女性に起こる可能性がある病気です。年齢差はなく、全妊婦の3〜5%にかゆみや発疹などの症状が見られます。
妊娠に伴う掻痒性じんま疹様丘疹(PUPPP)は、さらに稀に起こり、300人に1人程度です。
妊娠に伴う掻痒性じんま疹様丘疹(PUPPP)は、さらに稀に起こり、300人に1人程度です。
妊娠性皮膚掻痒症・妊娠性痒疹の治療方法
妊娠性皮膚掻痒症や妊娠性痒疹ではどのような治療を行いますか?
妊娠性皮膚掻痒症や妊娠性痒疹では、主に内服薬や外用薬を使用して症状を抑える治療を行います。それぞれの治療法を解説します。
妊娠性皮膚掻痒症の治療方法
妊娠性皮膚掻痒症では具体的にどのような治療を行うのですか?
妊娠性皮膚掻痒症では、妊娠週数と症状に応じて保湿剤の外用薬を使用します。
患部を掻きむしったことで湿疹ができている場合や十分な睡眠時間を確保できないときは、ステロイド外用薬、抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の内服薬を使用して症状を抑えます。
乾燥肌がある場合は、まず保湿剤の外用療法を行います。乾燥肌がない場合や、乾燥肌があっても保湿剤の外用療法で十分な効果が見られない場合は、ステロイド外用薬や抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の内服薬を使用して症状を抑えます。
患部を掻きむしったことで湿疹ができている場合や十分な睡眠時間を確保できないときは、ステロイド外用薬、抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の内服薬を使用して症状を抑えます。
乾燥肌がある場合は、まず保湿剤の外用療法を行います。乾燥肌がない場合や、乾燥肌があっても保湿剤の外用療法で十分な効果が見られない場合は、ステロイド外用薬や抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の内服薬を使用して症状を抑えます。
妊娠性痒疹の治療方法
妊娠性痒疹では具体的にどのような治療を行うのですか?
妊娠性痒疹の治療では、主にステロイド外用薬を使用します。妊娠週数と症状に応じて、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服することもあります。
かゆみがひどく、夜も眠れないときは抗ヒスタミン薬、プレドニゾロンなどの胎盤をほとんど通過しないステロイドを内服して症状の緩和を行います。妊娠性痒疹では、早い時期から外用薬を使うことが大切です。
かゆみがひどく、夜も眠れないときは抗ヒスタミン薬、プレドニゾロンなどの胎盤をほとんど通過しないステロイドを内服して症状の緩和を行います。妊娠性痒疹では、早い時期から外用薬を使うことが大切です。
薬を使用する際の注意点
妊娠中に薬を使用する上で注意することはありますか?
妊娠中は薬の成分が胎児に影響を与えることもあるため、自己判断での使用は避け、医師や薬剤師に相談することが大切です。
ただし、胎児への薬の影響を恐れて薬を使わないと、かゆみを我慢できず掻きむしってしまい、ジュクジュクとした滲出液を伴った湿疹ができるなど、症状が悪化することもあります。
そのため、医師の診察を受けた上で、ステロイドの外用薬や内服薬を指示された通り適切に利用することが大切です。用法用量を守り適切に使用することで、症状を抑えられます。
市販薬を使用する場合も必ず、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
ただし、胎児への薬の影響を恐れて薬を使わないと、かゆみを我慢できず掻きむしってしまい、ジュクジュクとした滲出液を伴った湿疹ができるなど、症状が悪化することもあります。
そのため、医師の診察を受けた上で、ステロイドの外用薬や内服薬を指示された通り適切に利用することが大切です。用法用量を守り適切に使用することで、症状を抑えられます。
市販薬を使用する場合も必ず、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
編集部まとめ
妊娠性皮膚掻痒症や妊娠性痒疹は、妊娠中の女性の3~5%に起こる皮膚疾患です。原因ははっきりと分かっていませんが、女性ホルモンやビタミンB、アトピー性皮膚炎との関連が報告されています。
妊娠中はマイナートラブルも多く、ストレスは胎児にとっても良くありません。かゆみがあるときは内服薬や外用薬を使用して症状を抑えましょう。
何かと心配事が多い妊娠中は、気になることがあればかかりつけの産婦人科医に相談することが大切です。
参考文献