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「自家感作性皮膚炎」とは?症状・原因についても詳しく解説!

 更新日:2023/03/27
「自家感作性皮膚炎」とは?症状・原因についても詳しく解説!

虫刺されやかぶれなどの皮膚炎をきっかけに全身に湿疹が広がる状態を自家感作性皮膚炎といいます。

強いかゆみを伴いますが、発疹部分を掻くことで悪化する可能性があります。症状が現れた場合は早めに皮膚科を受診し適切な治療を受けることが重要です。

また、治療には元々の原因となっている皮膚炎を治すことが必須となります。放っておくと体調にも悪影響を及ぼす症状です。

そんな自家感作性皮膚炎について、原因や対処法を詳しくご紹介します。

松澤 宗範

監修医師
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

自家感作性皮膚炎の症状と原因

鏡を見る女性

自家感作性皮膚炎とはどのような症状ですか?

  • 自家感作性皮膚炎は皮膚炎の一種ですが、いきなり発生するわけではありません。体のどこかに虫刺されなどが原因で発疹(原発巣)ができ、その発疹を掻くことで別の部位に新しい発疹ができます。
  • こうしてできた新しい発疹が自家感作性皮膚炎なのです。発疹の大きさは栗粒大〜貨幣大で、紅斑と呼ばれる赤みを帯びたアザや小さな水ぶくれを伴い、激しいかゆみを引き起こす場合があります。
  • かゆみで夜も眠れないといったケースも少なくありません。発疹を掻いてしまうと、発疹が現れてから1週間ほどで離れた場所にも発疹が現れるため注意が必要です。

発疹や激しいかゆみ以外に併発する症状はありますか?

  • 発疹や激しいかゆみだけでなく次のような症状が併発する場合があります。かゆみが酷いと眠れなくなったり体調が悪化したりする場合もあります。
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 悪寒
  • 精神不安
  • このため、発生した場合は患部を強く掻きむしったり、不適切な薬剤をむやみに塗ったりしないことが大切です。
  • 症状が現れたら自己判断で発疹を放置せず、なるべく早めに皮膚科医を受診し適切な治療を受けましょう。

多く発症する体の部位はどこでしょうか?

  • 自家感作性皮膚炎は顔や胸・腹部など体の中心線上にかけて多く小さなブツブツ状の発疹や水ぶくれが現れます。
  • 頭部や手足など体の末端に発症することは少ないといわれています。じくじくした発疹が現れてから1週間ほどで他の部位にも発疹が現れる場合が多いです。
  • もともと発症していた湿疹や皮膚炎をこじらせてしまうと、発疹が全身に広がるケースもみられます。

自家感作性皮膚炎の原因はなんですか?

  • 原因の多くは接触皮膚炎や貨幣状皮膚炎などの急性の皮膚炎の悪化です。
  • 元々あった湿疹や皮膚炎が細菌感染を起こし、免疫反応が刺激されることで症状が全身に広がります。接触皮膚炎は一般的に「かぶれ」と呼ばれる皮膚炎のことを、貨幣状皮膚炎は乾燥による皮膚炎のことを指しています。
  • 他にも細菌や皮膚の蛋白質の異常によって、全身がアレルギーに対して敏感な状態になったことで発症するケースもあるため注意が必要です。
  • またこの病気では、何もないところを引っ掻いたり傷つけたりしても、そこに新しい発疹ができることがあります。アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎によっても発生するといわれています。通常の皮膚炎とは異なり、いきなり発症することは多くありません。

原発巣がなければ発症しないということですね。

    原発巣が無くても発症するケースがあります。
  • 元々発疹がなくても、皮膚を引っ掻いたり傷つけたりすることで発生する可能性があるため注意が必要です。

自家感作性皮膚炎の治療法

塗り薬

自家感作性皮膚炎はどのように治療するのですか?

  • 治療方法としてはステロイド薬を発生源と発疹が出ている部分に塗ることで皮膚の炎症を和らげる方法が一般的です。じくじくした発疹には皮膚を保護して症状を和らげる亜鉛華単軟膏も高い効果を発揮します。
  • かゆみがひどい場合は、抗ヒスタミン薬を服用することでかゆみを抑える方法も効果的です。発疹が広範囲にある場合や発疹の進みが早い場合には、短期間だけステロイド薬を内服することもあります。
  • 原発巣が治まると、自家感作性皮膚炎の症状も改善することがほとんどです。

ステロイド薬に抵抗があるのですが、漢方薬でも治療可能ですか?

  • ステロイドの塗り薬や抗ヒスタミン薬が用いられることが一般的です。ステロイド薬はかゆみの原因となっている炎症を速やかに抑えることを目的としています。
  • ステロイド薬を使用せず漢方薬で治療する場合は体質そのものを見直し再発を防止することが目的となりますので、その違いは理解しておきましょう。
  • かゆみが強い時には漢方薬ですぐに症状を抑えることは難しくなります。また、寝ている間に無意識に掻いてしまう人やかゆみで眠れない人には、交感神経の興奮を抑える漢方薬によってかゆみを緩和しリラックスして眠れるようにする場合もあります。漢方薬を使用する際は、ステロイド薬とは作用が異なり効果が緩やかであることを知っておきましょう。

自家感作性皮膚炎は再発しやすいとも聞きますが…。

  • 自家感作性皮膚炎は一旦良くなっても再発しやすいといわれています。発疹が治まってきたら皮膚を清潔に保ち保湿を行うなど、バリア機能を高めて再発を防止しましょう。
  • また、この病気は疥癬などのウイルス感染症と症状が似ているため、発疹が治まらないだけでなく周りの人にも同じ症状が見られた場合は疥癬による発疹である可能性もあります。疥癬でも全身にかゆみのある小さな発疹が現れますが、発熱やかぜの症状が併発するという違いがみられます。
  • 疥癬の場合は放っておくと症状が悪化する恐れがあるため、自分や周りの人に疥癬が疑われる症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。疥癬を疑うような症状がある場合は、皮膚科での顕微鏡検査が行われます。普段の生活でもスキンケアをしっかり行い、皮膚の乾燥やかゆみを防ぐことが重要です。

自家感作性皮膚炎を悪化させないポイント

背中を掻く人

自家感作性皮膚炎を悪化させないためのポイントを教えてください。

  • この症状は激しい痒みを伴うことが多いですが、掻くことによってさらに悪化してしまう恐れがあります。症状がある場合は早めに病院を受診し、症状が悪化する前に適切な治療を受けましょう。
  • また原発巣となっている病気を治さなくては、湿疹を減らすことはできません。自家感作性皮膚炎の原発巣が、膿痂疹や白癬などの場合は、並行して原発巣の診断に沿った治療薬を選択することが重要です。

自己判断で塗り薬などを使わない方がよいのですね。

  • 治療には原発巣となっている湿疹や皮膚炎をしっかりと治すことが大切です。それと並行して、発疹の発生やかゆみを抑えるためステロイド薬や抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服が必要となります。
  • 自己判断で薬剤をむやみに塗っていると、原発巣となっている元々の皮膚炎の治療には繋がらず症状が悪化する恐れがあるのです。
  • 原発巣となっている皮膚炎の治療も含めて皮膚科医の診断を受け、適切な治療薬を処方してもらいましょう。

普段の生活で気をつけることはありますか?

  • 皮膚は胃腸の働きやストレスとも関わりが強いため、普段の食生活を見直すことやストレスをため込まないようにすることが大切です。
  • 疲れがたまっているときなどはきちんと休息をとりましょう。また、普段のスキンケアで外側から皮膚を保護することも再発防止に繋がります。
  • スキンケア用品を選ぶ際も自分の皮膚の状態に合った商品を選ぶことが重要です。また、お風呂はぬるめ(40℃くらい)で,ナイロンタオルでこすらないようにしましょう。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

  • この症状は掻けば掻くほど新たな発疹が現れて症状が広がるケースもあるため、なるべく発疹部分を掻かないことや不適切な塗り薬を自己判断で塗らないことが非常に重要です。
  • 自家感作性皮膚炎かな?と思った場合は、なるべく早く皮膚科医など専門医の診察を受けましょう。また、この病気はアトピー性皮膚炎の悪化によって発症・再発するケースがあるため、元々これらの病気を抱えている人は普段から注意することも大切です。
  • 肌が荒れやすかったりトラブルを起こしやすい方は、皮膚の保護や体質改善も効果を発揮することがあります。自分の肌の状態に気を配り、健康な状態を保っていきましょう。

編集部まとめ

スキンケアする女性
自家感作性皮膚炎の症状は発疹部分の治療だけではなく、原発巣を含めてしっかりと治療することが重要です。

発疹部分のかゆみを抑えるだけでは再発することもあります。そのため、並行して原発巣となっている皮膚炎をしっかり治療することが必要です。

発疹を放っておいたり自己判断で治療しようとすると症状が悪化する可能性もあります。発熱や精神不安など、かゆみ以外の症状によって身体に大きな負担がかかる場合もあるためなるべく早く皮膚科を受診しましょう。

治療をしても改善せず、周りの人にも同じ症状が見られる場合は発疹の原因が疥癬によるものである可能性があります。

症状が治まらない場合の原因や治療薬の希望を含め、治療方針についてなるべく早く皮膚科医と相談し、治療を進めていきましょう。

この記事の監修医師