「おたふく風邪」とは?ワクチン接種のタイミングについても解説!
おたふく風邪は正式名称を流行性耳下腺炎といい、ムンプスウイルスによる感染症になります。
おたふく風邪は感染すると、重症化する場合もあり難聴や髄膜炎など合併症の可能性もあるため注意が必要な病気です。
合併症の危険を防ぐためにも、おたふく風邪はワクチンで予防をしておきましょう。
今回は、おたふく風邪の特徴や罹患時の注意点、ワクチンの重要性についてのお話をしていきます。
監修医師:
和佐野 浩一郎(医師)
おたふく風邪の特徴は?
おたふく風邪はどのような症状が出るのでしょうか?
- おたふく風邪の潜伏期間は2~3週間です。潜伏期間が過ぎたあたりから症状が現れ始めます。
- 倦怠感や頭痛や首に痛みがでるなど初期症状から始まるケースもあり、その後片側または両側の耳下腺や顎下腺などが腫れるのが主な症状です。痛みや発熱を伴うこともあります。
- 1~2週間で主な症状は治まっていくことが多いです。中には、おたふく風邪に感染していても症状がでないケースも少なくありません。
おたふく風邪の治療はどのように行われますか?
- おたふく風邪には専用の薬がないため、治療は痛みや発熱への対処療法が中心になります。
- 発熱や痛みには解熱鎮痛剤を使いますが、基本的におたふく風邪は安静にして治るのを待つしかありません。
- 水分が摂れず脱水を起こしている場合や髄膜炎など合併症を起こしている場合は、入院対応することになります。
おたふく風邪の診断方法を教えてください
- おたふく風邪の診断は、耳下腺の腫れに加えて、まわりでおたふく風邪の流行・罹巻患経験の有無などをみて診断をされることが多いです。
- ただ、おたふく風邪以外でも耳下腺が腫れるケースもあるため、確実に診断をするためには血液検査をして抗体価の測定が必要です。
- 高熱や頭痛など髄膜炎を疑う症状がある場合は、髄液の検査を行うこともあります。
大人も感染するのでしょうか?
- おたふく風邪は子どもが罹る病気というイメージが強いですが、大人の感染も少なくありません。大人が罹った場合は子どもよりも重症化することが多く、40度以上の高熱や強い痛みで食事もとれなくなるケースもあります。
- 思春期以降におたふく風邪に罹ると、難聴や髄膜炎、男性なら精巣炎・女性なら卵巣炎など不妊の原因となる合併を引き起こすリスクも高くなるため、注意が必要です。
おたふく風邪に罹患した場合の注意点は?
おたふく風邪にかかった際の過ごし方を教えてください
- おたふく風邪に罹患した場合は、インフルエンザのような専用の薬がないため、安静にして治るのを待つしかありません。耳下腺の腫れで痛みがある場合は耳の下を冷やしてみて下さい。
- 冷やしても、おたふく風邪が治るわけではありませんが、痛みを和らげることができます。冷却シートやアイスノン、冷湿布を使うとよいです。
- 我慢できない痛みや発熱がある場合は、薬を飲んで下さい。おたふく風邪は発症2日前~5日目までは、人に感染するため外出を控えて自宅で安静に過ごすようにしましょう。
食事はどのような点に気をつけるべきでしょうか?
- おたふく風邪になると耳の下や顎の下などが腫れるため、痛みを感じることが多いです。腫れているせいで口が開け辛くなる方もいます。
- 腫れや痛みがある間は、おかゆやゼリー飲料など柔らかくて食べやすいものを食べるようにしましょう。また唾液腺が腫れるため唾液が多く分泌されると痛みがでるため、唾液の分泌を促す酸っぱい食べ物も避けた方がよいです。
- 脱水を避けるためにも水分はこまめに摂って下さい。痛みが強すぎて食事や水分補給が難しい場合は点滴をします。
保育園や学校はどのくらい休む必要がありますか?
- おたふく風邪は学校保健安全法で出席停止となる感染症のため、保育園や学校は休ませる必要があります。感染を広げないためにも必ず守るようにしましょう。
- 出席停止の期間は、耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れなどの症状が出始めた日を0日として、おたふく風邪発症した翌日から5日が経過して、全身症状が良くなるまでです。
- おたふく風邪の発症から5日経っていても腫れ・痛みが残っている場合や熱がある場合は、お休みをしましょう。
大人がかかった場合も休む期間は決まっていますか?
- 大人の場合は法律による出勤停止期間は決まっていません。しかし、おたふく風邪は感染力が強いため、無理に出勤をすると周りに感染を広げてしまいます。大人がおたふく風邪になると重症化しやすいため周りの方に感染してしまうと大変です。おたふく風邪に罹った場合は会社を休み、外出を控えるようにして下さい。
- 会社によっては、感染症による出勤停止期間を定めているところもあります。もしおたふく風邪に罹患したら、まずは会社に連絡をして指示を仰ぎましょう。
- 会社に規定がない場合は、学校保健安全法の規定を目安にして、おたふく風邪発症から5日以上が経ち症状がおさまるまでは、自宅で療養をしてください。
おたふく風邪の予防接種の重要性
おたふく風邪の予防接種を受けるタイミングはいつが良いのでしょうか?
- おたふく風邪の予防にはワクチンの接種が、1番効果があります。ワクチンは1歳の誕生日から接種ができるようになるため、1歳を過ぎたらMRワクチンや水痘ワクチンと同時に接種をしておくことが望ましいです。
- おたふく風邪のワクチンは2回接種をします。1歳で接種をした場合は数年後、小学校に入学する前の年に2回目の接種をしましょう。
- 大人の方で、おたふく風邪に罹患経験がない場合もワクチンを接種しておくとお子さんが生まれた後なども安心です。大人の場合は1回目のワクチンの後、28日以上の日数をあけて2回目の接種をすることになります。ただ、おたふく風邪のワクチンは生ワクチンのため妊娠中の接種はできません。
予防接種は合併症予防にも効果がありますか?
- 予防接種をすることで、おたふく風邪の予防は可能です。ただ、100%ではないため絶対に罹らないわけではありません。
- しかし、ワクチンを接種しておくことでおたふく風邪に罹っても軽症で済む可能性が高くなるのです。加えて、ワクチンの接種は合併症の予防にも繋がります。
- 予防接種には副反応がでる可能性もありますが、重篤な症状がでることは稀です。おたふく風邪の自然感染で起こる合併症のほうが、副反応より起こる頻度が高く危険といえます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
- おたふく風邪の予防接種は任意接種になるため、未接種の方も少なくありません。しかしおたふく風邪は思春期を過ぎたお子さんや、大人の方が罹患すると症状が重くなることが多く、重篤な合併症のリスクも上がるため注意が必要な病気です。
- しかし、ワクチンを接種しておくことで予防ができます。もし、おたふく風邪に罹患しても症状が軽く済む可能性が高いです。おたふく風邪のワクチンはお子さんであれば1歳を過ぎたら早めに接種できるように、他の予防接種とともにスケジュールに入れておきましょう。
- 大人の方でも罹患経験がはっきりわからない場合は、予防接種をしておくと安心です。
編集部まとめ
おたふく風邪は感染力が強いため、罹患してしまったら症状がおさまるまでは学校や仕事はお休みして外出を控えるようにしましょう。
おたふく風邪には特効薬がないため、すぐに回復することは難しいです。腫れや痛みなどの症状がある間は、鎮痛剤を服用するなどして安静に過ごして下さい。
昔は、おたふく風邪は自然に罹ったほうが強い免疫がつくといわれていました。しかし、自然に罹った場合は合併症を引き起こす危険があります。
家族など周りの人に感染を広げてしまうなど、おたふく風邪に自然に罹ることはデメリットが多いです。
おたふく風邪はワクチンで予防できる病気で、ワクチン接種後に万が一おたふく風邪に罹患をしても重症化や合併症のリスクが少なくなります。
おたふく風邪ワクチンは、副反応が起こる可能性もあるため接種を避ける方もいますが、ワクチンが予防に最も有効な方法です。
お子さんはもちろん大人の方でも、おたふく風邪に罹患したことがない場合は、ワクチンのメリットとデメリットを理解した上で接種を検討して下さい。