「ミノキシジルは女性」も使えるの?副作用・使用する際の注意点も解説!
ミノキシジルは男性型脱毛症(AGA)の治療薬として使用されることが多い薬剤です。
では、脱毛症に悩む女性でも、ミノキシジルを使用できるのでしょうか。
今回の記事では、女性でもミノキシジルの使用が推奨されるのか、使用した場合にはどのような副作用の可能性があるのかを中心に解説します。
記事の最後には、女性がミノキシジルを使用する際に注意すべきポイントも紹介するので、併せて参考にしてください。
監修医師:
高藤 円香(医師)
目次 -INDEX-
ミノキシジルは女性も使える?
ミノキシジルは、血流量を増加させることで毛根に届く栄養を増やし、毛髪の成長を促すことを目的とした薬剤です。男性型脱毛症(AGA)の治療薬としてのイメージが強いかもしれません。
しかし、日本皮膚科学会による男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、女性型脱毛症に対しても効果が期待できるとされています。なお、ミノキシジルには大きく分けて内服薬・外用薬の2種類があります。
内服薬は成分を消化器から直接吸収する薬剤であり、効果が早期に出やすいと期待できる反面、副作用も現れやすいといえるでしょう。一方の外用薬は皮膚に塗布する薬剤なので、効果は緩やかに時間をかけて現れることが多く、副作用のリスクが少ないです。
副作用が起こりにくいという視点から、上記のガイドラインでは外用薬が推奨されています。
ミノキシジルの副作用
前述のとおり、ミノキシジルは脱毛症に対して効果が期待できますが、一方で副作用・有害事象も報告されている薬剤です。では、ミノキシジルを使用した場合にはどのような症状が現れる割合が高いのでしょうか。
主な副作用・有害事象を下記にまとめました。なお、副作用は薬との関連性が明確なものを指し、有害事象とは薬との関連性が不明確なものも含みます。
頭皮の発疹・発赤・熱感
内服薬よりも身体への影響が少ないといわれる外用薬ですが、皮膚に直接塗布するため副作用として皮膚症状が報告されています。そのなかでも、件数の多い副作用が発疹・発赤・熱感(ほてり)などです。
ただし、これらの報告にはミノキシジルを含有する市販薬に関する報告も含まれており、ミノキシジル以外の成分に対するアレルギーの可能性も考えられます。
かゆみ・かぶれ・ふけ
上記のほかにも、皮膚に関する症状として薬剤に触れた部分のかゆみ・かぶれ(接触性皮膚炎)がみられたり、ふけが出るようになったりという報告があります。また、外用薬に限らず内服薬を使用した場合にも、薬の成分でアレルギーを起こすと薬疹が出る場合があるでしょう。
ミノキシジル内服薬による薬疹は、頭部に限らず身体に現れることもあります。このような症状が起きた場合には、一度使用を中止してミノキシジルの処方を受けた医療機関か皮膚科を受診することをおすすめします。
頭痛
頭痛にはいくつかのタイプがあり、それぞれの原因や痛みの引き金についてはわかっていない部分もあります。そのためミノキシジルと頭痛の因果関係も明確ではありません。
しかし、ミノキシジルに血管拡張作用があることから、血管の拡張・収縮に関わる自律神経が薬の影響を受けて、頭痛が起こる可能性はあるといえるでしょう。過剰に心配する必要はありませんが、もともと片頭痛になりやすい方は症状が悪化する可能性もあるため注意が必要です。
胸の痛み・気が遠くなる・めまい
ミノキシジルはもともと降圧剤であることから、循環器に影響する可能性がある薬剤です。循環器に関する重篤な副作用は稀ですが、ミノキシジルを使用して狭心症のような胸の痛みを感じたという報告があります。
また、血圧が下がったことで気が遠くなる感覚・めまいをおぼえる場合もあるようです。そのため、循環器疾患・高血圧症・低血圧など心臓・血管に関する異常がある方は、既往歴について医師に伝えたうえでミノキシジルの使用可否を確認しましょう。
心拍が速くなる
全身に一定量の血液を送るためには、血液を送り出す圧力が低下したら血液を送り出す回数を増やす必要があります。そのため、ミノキシジルをはじめとする降圧剤を使用して心拍数が増えるのは自然なことといえるでしょう。
しかし、作用が急に現れると不安に感じる方もいるかもしれません。多くの場合は内服・外用をやめれば副作用は消失するため、心拍数の増加が体調に影響する可能性は少ないでしょう。
しかし、心拍数の増加以外にも症状がある場合や症状が気になる場合には、症状の強さ・体調をみながら投薬を継続するか医師と相談することをおすすめします。
体重増加・手足のむくみ
心機能が低下すると、本来は全身を巡って心臓に戻るはずの血液が手・足などの末端で停滞してむくみが起こります。また、むくみとは通常は水分が堪らない場所に過剰な水分が溜まっている状態です。
そのため、むくみがひどくなると体重が増加します。ミノキシジルを内服してこのような症状が出た場合には、循環器に問題が起こっている可能性があるため早めに医療機関を受診しましょう。
女性がミノキシジルを使用する際の注意点
ここまで、脱毛症治療薬であるミノキシジルの副作用をいくつか紹介してきました。これらの副作用は、男性・女性どちらにも起こり得ます。
では、特に女性がミノキシジルを使用する際に注意すべきことはあるのでしょうか。女性特有のライフステージに関する注意点や、男性との使用薬剤の差について解説します。
妊娠中・授乳中は使用しない
妊娠中・授乳中は、ホルモンバランスの変化・ストレス・疲労などから体調に変化が起こりやすい時期といえるでしょう。そのため、副作用が現れる可能性がある薬剤は、可能な限り使用せずに過ごすことをおすすめします。
また、妊娠中・授乳中の女性が取り込んだ薬剤の成分はごく微量ながら血液や母乳を通して子どもの身体に吸収され、体調に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
男性用を使用しない
薬剤自体に男性用・女性用の区別はありませんが、ミノキシジルを含む外用薬には5%・2%・1%など複数の濃度があり、男女で使用が推奨される濃度は異なります。
脱毛症治療ガイドラインで推奨されるミノキシジル外用薬の濃度は、男性が5%、女性が1%です。この数字は発毛促進効果だけでなく、副作用の出現率も考慮したものとなっています。
もし、より強い効果を求めて女性が5%ミノキシジル外用薬を使用した場合、副作用によるデメリットが効果のメリットを上回る可能性があるため注意が必要です。
高血圧・低血圧の人は注意が必要
ミノキシジルは脱毛症治療薬として処方・販売されることが多い薬剤です。しかし、前述のとおり降圧剤としての作用もあり、使用すると血圧が変動する可能性があります。
血圧が異常に低下すればめまい・ふらつき・息切れなどが起こる可能性もあるため、もともと高血圧・低血圧がある方は、使用する前に医師に相談することをおすすめします。
薬や化粧品などでアレルギーを起こしたことがある人は注意が必要
ミノキシジル自体にアレルギーがない方でも、内服薬・外用薬に含まれるミノキシジル以外の成分が原因でアレルギーを引き起こす場合があります。
そのため、これまでに薬・食品・化粧品などを使用してアレルギーを起こした経験がある方は、処方を受ける医療機関で事前にアレルギーについて伝えましょう。
編集部まとめ
男性型脱毛症(AGA)治療薬として取り上げられる場面が多いミノキシジルですが、女性の脱毛症にも効果が期待できるとの研究結果が出ています。
ただし、多くの薬剤と同じくミノキシジルでも、患者さんが期待する効果とは異なる副作用が現れる可能性があります。
また、女性が使用する場合には男性とは推奨される薬の濃度が異なったり、使用にあたってはいくつかの注意点があったりするため注意が必要です。
用法を守りながら使用することで重篤な副作用のリスクは下げられるため、脱毛症に悩んでいる女性の方は、ミノキシジルの使用も検討してみてはいかがでしょうか。