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アフターピルの副作用はいつから出る?アフターピルの効果についても詳しく解説

 公開日:2024/07/09
アフター ピル 副作用 いつから

アフターピルまたはモーニングアフターピルとも呼ばれる緊急避妊薬は、その名の通り性行為の後に服用することで妊娠を防ぐ薬です。

避妊に失敗したり避妊せずに性行為をしたりした後に、妊娠を防ぐために飲むのがアフターピルです。

72時間以内に服用すれば高い確率で避妊できる薬ですが、副作用が怖くて服用をためらっている人がいるかもしれません。

現在病院で処方されるアフターピルは、以前のものと比べて副作用が起きにくくなっています。眠気・吐き気・めまいなどの副作用がありますが、遅くても2日以内には治まることがほとんどです。

アフターピルは性行為から服用まで時間が経つごとに避妊効果が低下していくことと、100%の確率で妊娠を防ぐことはできないことを覚えておいてください。

この記事ではアフターピルの副作用の期間や種類、効果について解説します。

佐孝 尚

監修薬剤師
佐孝 尚(薬剤師)

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経歴
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。

保有免許・資格
薬剤師免許

アフターピルの副作用はいつから出る?

体調のすぐれない人
アフターピルは低用量ピルとは異なり、性行為の後に緊急で服用する避妊薬です。
現在日本で主に使用されているアフターピルは、ノルレボ錠とレボノルゲストレル錠という内服薬になります。以前に緊急避妊法としてよく用いられたヤッペ法(中用量ピル)と比べて避妊効果は高く、副作用が少ないのが特徴です。
しかし個人差はあるものの、ノルレボとレボノルゲストレルにも眠気・吐き気・めまいなどの副作用がみられます。薬の服用から数時間後に副作用の症状が始まりますが、症状は一時的なもので24~48時間後には治まることが多いです。
消退出血は数日~3週間以内に起こります。アフターピルの副作用は、低用量ピルの血栓症のように重大なものはないとされています。また服用は1回だけなので、副作用が長く続くこともありません。
なおアフターピルには健康保険が適用されないため、全額自己負担となります。価格はクリニックによって異なりますが、ノルレボ錠で10,000〜20,000円(税込)程度・ジェネリックのレボノルゲストレル錠で7,000〜15,000円(税込)程度が一般的です。
別途で初診料や処方量・検査料などが必要なことが多いです。

アフター ピルの副作用

女性
アフターピルには女性ホルモンの1種である黄体ホルモン(プロゲステロン)が含まれており、その働きによって妊娠を防ぐ効果があります。
アフターピルを服用するとホルモンバランスが急激に乱れ、副作用の症状が引き起こされます。症状がひどい場合や、数日が経過しても副作用が続く場合は医師にご相談ください。

眠気

生理前に眠くなるのは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加が原因の1つです。
アフターピルの副作用で眠気を感じるのも、これと同じ理由です。異常に強い眠気に襲われる場合もありますが、1日程度で落ち着きます。

吐き気

吐き気は、アフターピルの副作用でよくみられる症状です。そのため希望すれば吐き気止めを処方してくれるクリニックもあります。
ない場合は食後に服用するか、寝る前に牛乳と一緒に服用することで吐き気が起こりにくくなります。実際に吐いてしまうことは少ないですが、服用後2時間以内は嘔吐しないことが重要です。
体内に吸収される前に吐いてしまうと、アフターピルを追加で服用する必要があります。2時間以内に吐いてしまった場合は、すぐに病院に相談してください。

めまい

アフターピルを飲んだ後に、ふわふわと浮いているようなめまい(浮動性めまい)や、くらくらする立ちくらみのようなめまい(体位性めまい)を感じることがあります。
薬が排出されれば治まりますので、安静に過ごしてください

下痢

薬の作用でホルモンバランスが変化して、お腹を下すことがあります。
下痢をしても薬の効果に影響はありません

不正出血

アフターピルの服用後数日~3週間以内に、消退出血と呼ばれる出血があります。
消退出血とは薬の作用で子宮内膜が剥がれ落ちて起こる出血で、通常の生理の出血よりも量が少なく2~3日で終わることが多いです。服用のタイミングによっては、生理と一緒に消退出血が起きる場合もあります。
消退出血があれば避妊に成功した可能性が高く、反対に消退出血がなければ妊娠した可能性があるでしょう。しかし出血があっても、ホルモンバランスの乱れなどが原因の不正出血や、妊娠初期に起きる着床出血の可能性も考えられます。
3週間が過ぎた時点で、市販の妊娠検査薬などで妊娠していないかを確認することをおすすめします。

頭痛

頭痛もホルモンバランスの乱れが原因で起きる副作用の1つです。
24時間程度で治りますが、我慢できなければ鎮痛剤を服用しても問題ありません。

乳房の張り

アフターピルによって乳房の張りを感じることもあります。
副作用としては軽いものですが、辛い時は鎮痛剤を服用するのもいいでしょう。

倦怠感

疲れやだるさなどの倦怠感がみられることもありますが、重症化はしないので心配いりません。
無理をせずに、ゆったりと過ごしてください。

アフターピル服用に伴う副作用の発生頻度について

薬を飲む
副作用の発生頻度は、症状によって異なります。頻度が高いのは、およそ半数の人に起きる消退出血です。14%程度の人に不正出血が、12%程度の人に頭痛の症状が起こります。
5%以上の人に眠気・吐き気・倦怠感が、5%未満の人にめまいと下痢が、嘔吐と乳房の張りは頻度不明となっています。
このようにアフターピルはいくつかの副作用が現れる可能性がありますので、診察の際に医師や薬剤師にしっかりと確認しておくことが大切です。またアフターピルの効果を妨げる、相性の悪い薬や食品があります。

  • 抗けいれん薬(フェノバルビタール・フェニトイン・プリミドン・カルバマゼピン)
  • HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル)
  • 非ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(エファビレンツ)
  • 抗酸菌症治療薬(リファブチン・リファンピシン)
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品

これらの薬やサプリメントなどを服用している人は、あらかじめ医師に伝えてください。
黄体ホルモンにアレルギーがある人・重い肝障害がある人・妊娠している人は服用できません。授乳中の人は母乳に薬の成分が移行するので、服用してから24時間は授乳を中止してください。
アフターピルでの避妊に失敗して妊娠してしまっても、生れてくる赤ちゃんに影響はありません。

アフターピルの効果

診察
妊娠の過程を簡単に説明すると、下記の通りになります。

  • 排卵:脳から黄体形成ホルモンが大量に分泌され、卵子が卵巣から放出される。
  • 受精:卵子が精子と融合して受精卵になる。
  • 着床:受精卵が子宮に到達し、厚くなった子宮内膜に潜り込む。

アフターピルはそれぞれの段階で、妊娠を防ぐ効果があります。

避妊効果が期待できる

日本で認可されているアフターピルは、ノルレボ錠とノルレボのジェネリックであるレボノルゲストレル錠の2種類です。
2つの薬の効果に違いはありません。性行為の後72時間以内に服用することで、妊娠を阻害する効果があります。しかし避妊効果は100%ではありません。
妊娠阻止率は性交後24時間以内の服用で95%・48時間以内の服用で85%・72時間以内の服用で58%です。アフターピルの効果は時間の経過とともに低下しますので、可能な限り早く服用することが大変重要です。
アフターピルは婦人科で処方されるのが一般的ですが、開院時間外の夜間や休日に必要になることもあるでしょう。そのような場合は、オンライン診療を利用するのも1つの方法です。
スマホやパソコンがあれば診療を受けられるので、忙しい人にも便利です。性犯罪の被害に遭って警察に届け出た場合、病院の診察料・検査料・アフターピルや人工妊娠中絶の費用を警察に負担してもらえる場合があります。
各都道府県のワンストップ支援センターで相談を受け付けているので、悩んでいる人は相談することをおすすめします。またアフターピルは避妊効果はあっても、エイズや梅毒などの性感染症を防ぐことはできません
性行為の後に性器の痛みやかゆみなどを感じることがあれば、婦人科を受診してください。避妊だけでなく、感染予防にもコンドームの使用が有効です。

排卵を抑制する・遅延させる働きがある

アフターピルを排卵前に服用すると、排卵を抑制・遅延させる効果があります。
アフターピルには黄体ホルモンが含まれており、服用するとホルモンバランスに変化が生じます。すると脳は妊娠が成立したと勘違いし、卵胞を成熟させる「卵胞刺激ホルモン」と排卵を促す「黄体形成ホルモン」の分泌を抑えるのです。
LHサージと呼ばれる黄体形成ホルモンの急激な増加がなければ卵巣からの排卵が起こらず、妊娠が成立しないという結果になります。
薬の作用は5~7日間続くので、それだけ排卵を遅らせることが可能です。排卵の前に服用できれば、受精の可能性はほぼないと考えられるでしょう。
アフターピル服用後、避妊をせずに性行為を行うのは避けてください。遅れた排卵と避妊のない性行為が同時になると、妊娠してしまう可能性があります。

受精の阻害や着床の阻害ができる

アフターピルがどのような作用で避妊できるのか、全てが解明している訳ではありません。
避妊効果は主に排卵を抑制する作用によるものですが、受精を阻害する作用や、受精卵が着床するのを阻害する作用も関係していると考えられます。このため排卵後や受精後に服用しても、避妊効果が期待できます。
子宮内膜の厚みを減らし、受精卵の着床を防ぐのです。注意が必要なのは、着床してから服用しても避妊はできないという点です。
アフターピルは中絶薬ではないので、着床し妊娠が成立してからでは効果がありません。

編集部まとめ

悩む女性
アフターピルは性行為の後に緊急に服用することで、望まぬ妊娠を防ぐことができる薬です。

様々な副作用が起きることがありますが、一時的なものなので心配する必要はありません。頭痛や吐き気には、鎮痛剤や吐き気止めで対処が可能です。

副作用の症状は1〜2日程度続くこともありますので、無理をせずに体を休めましょう。症状がひどい場合は、念のために医師に相談してください。

アフターピルは排卵を抑制する作用と着床を阻害する作用があるので、高い確率で避妊に成功します。

しかし妊娠阻止率は100%ではなく、アフターピルを服用しても妊娠してしまう可能性はあります。

妊娠を望んでいない人は、より確実に避妊ができる低用量ピルの服用を検討してみましょう。

この記事の監修薬剤師