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「更年期女性で薄毛になりやすい人」の特徴とは?対策についても解説!

 更新日:2024/07/10
「更年期女性で薄毛になりやすい人」の特徴とは?対策についても解説!

閉経前後5年の期間のことを指す更年期は、ホルモンバランスが不安定になりやすく、心身に様々な不調をもたらします。

その症状のうちの1つとして、薄毛が挙げられることをご存じでしょうか。

更年期による女性ホルモンの減少は髪の発育に影響を与え、最終的に脱毛や薄毛などをもたらしてしまいます。

では、更年期に薄毛になりやすい人にはどのような特徴が見られるのでしょうか。今回は、このような疑問にお答えいたします。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

更年期女性で薄毛になりやすい人は?

肩こり
閉経の時期に多少の違いはあるものの、更年期はどの女性にも必ず訪れるライフサイクルです。しかし、その症状の現れ方には大きな違いがあります。
更年期に起こりやすいといわれている代表的な症状は、以下の5つです。

  • 肩こり
  • 疲れやすさ
  • 頭痛
  • ホットフラッシュ(火照りや汗)
  • 腰痛

とはいえ、全くの無症状な人もいれば、起き上がることすら難しくなってしまうほど症状が重く現れる人もいるのが現状です。それは、更年期女性で薄毛になりやすい人となりにくい人がいるのも同じ理由といえます。
一般的に、更年期症状はその人を取り巻く環境によって大きな違いが現れます。結婚しているか・仕事をしているか・子供がいるか・親に介護が必要な状態かなど、生活環境の違いは人それぞれです。
こうした環境に対して、ストレスやプレッシャーなどを感じやすい人は更年期による症状が出やすいとされています。同じ更年期による「女性ホルモンの減少」という症状でも、個人差が出やすいのはこのためだといえるでしょう。
元々の体質が影響している可能性も否めませんが、取り巻く環境やご自身の性格によって更年期の影響は大きく変化します。更年期女性で薄毛になりやすい人は、何かストレスやプレッシャーを感じやすいことがないかを確認してみてください。

更年期女性の薄毛対策

分け目
更年期女性のホルモンバランスが不安定になってしまうのは、生理上どうしようもないことです。では、更年期が原因で起こる薄毛対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、以下の4つの対策をご紹介します。

  • ヘアケアや頭皮ケアを見直す
  • 市販の育毛剤を使用する
  • サプリメントを飲む
  • クリニックに相談する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ヘアケアや頭皮ケアを見直す

ご自身の髪の毛や頭皮に合った方法でケアできていますか?
よく「頭皮の脂が抜け毛の原因になっている」と勘違いしてしまい、洗いすぎてしまう人がいますが、かえって頭髪にダメージを与えるため逆効果です。
反対に、抜け毛を恐れてあまり洗えていないのも良くありません。現在使っているヘアケアや頭皮ケアの商品が本当にご自身に合っているのか、髪の洗い方や洗う頻度が適切かを今一度見直してみてください。

市販の育毛剤を使用する

育毛剤というと男性用のものばかりが思い浮かびますが、女性用の市販の育毛剤も販売されています。例えばミノキシジルが配合されている商品は育毛効果を促し、薄毛が進行するのを予防してくれます。
他にも様々な商品が揃っているため、薬剤師に相談して商品を紹介してもらうと良いでしょう。

サプリメントを飲む

更年期による薄毛は女性ホルモンのバランスが乱れていることが原因です。そのため、ホルモンバランスを整えるサプリメントを飲むのも良いでしょう。
最近では「大豆イソフラボン」から代謝によって作られる「エクオール」と呼ばれる成分が、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをすることが判明しました。体内のエクオールの量を増やせれば、不足した女性ホルモンの働きを代わりに行うことが期待できます。
しかし、日本人の大半の女性は、大豆イソフラボンを多く含む食品を摂ってもエクオールへと代謝できないことがわかっています。そのため、エクオールが配合されたサプリメントを飲むことで、大豆イソフラボンを代謝できない女性でも直接的に摂取できるようにするのが有効です。

クリニックに相談する

クリニックに相談するのは、更年期女性の薄毛対策の中でも最も有効な手段です。クリニックであれば、そもそもの薄毛の原因が本当に更年期にあるのかといった、原因の特定も期待できます。原因に合わせた適切な治療を受けられるため、早期改善が図れるでしょう。
あわせて、更年期による他の症状に対しても相談でき、心強い味方となってもらえます。更年期による症状に悩まされているのであれば、早めにクリニックに相談するのがおすすめです。

更年期女性の薄毛の治療法は?

髪を気にする
薄毛の治療法には、以下の3つが挙げられます。

  • 内服薬
  • 外用薬
  • ホルモン補充療法

どの治療法が適しているかは、個人の体質や症状の程度によって変わってきます。ここではそれぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

内服薬

少し前まで、女性の薄毛に有効な内服薬はありませんでした。そのため、外用薬や頭皮への直接的な注入などの方法しか選択肢がなく、限られた治療しか行えない不便さがあったのが現状です。
しかし、近年世界で初めて安全性や有効性が認められた女性用の薄毛治療薬が誕生しました。「パントガール」と呼ばれる内服薬は、女性のびまん性脱毛症(頭髪全体に見られる薄毛)に有効な治療薬です。
発毛を促す効果が期待でき、髪のボリュームアップや抜け毛の予防ができます。臨床試験では、3ヶ月間の使用で70%の人に効果があると確認されました。日本で未承認の医薬品ではありますが、これまで副作用が報告されたこともほとんどないため、安心してご使用いただけます。
1日3回1つずつ服用していただき、最低でも3ヶ月は服用を続けていただくことが条件です。パントガールは新たに作られる髪の毛に対して効果を発揮するため、実際に効果を実感できるまでは少し時間がかかります。クリニックにて処方を受けられるので、医師に相談してみましょう。

外用薬

ミノキシジルを配合した外用薬も、女性の薄毛に有効な薬剤です。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」においても、女性の場合は1%のミノキシジル外用薬が強く推奨されています。
ミノキシジルは元々血圧を下げる「降圧剤」として開発された薬剤です。しかし、副効用に「多毛」が多く見られたことから、発毛効果のある薬剤として認証されました。ここで注意しておきたいのは、ミノキシジルの内服薬は推奨されていないことです。
日本では安全性が保証されておらず、服薬によるリスクについて十分な検証が行われていません。近年では個人輸入で入手したり、医師によって処方されたりするケースがありますが、ご自身の安全のためにもミノキシジル外用薬のみの使用にとどめておきましょう。

ホルモン補充療法で効果が得られる場合も

更年期障害の有効な治療法としてホルモン補充療法がありますが、更年期による薄毛の治療にも効果が得られる場合があります。
女性ホルモンは、髪の毛の発育を促したり、艶を保ったりするために必要なホルモンです。ホルモン補充療法(HRT)によって補充することで、他の更年期による症状とあわせて改善できる可能性があります。

普段の生活で行える対策は?

窓辺でリラックス
普段の生活でも、ホルモンバランスを整えることで薄毛の対策を行うことが可能です。ここでは、以下の4つの対策をご紹介します。

  • 栄養バランスを見直す
  • タンパク質を補給する
  • ストレスをためない
  • 生活習慣を整える

健康的な生活を送るためにも欠かせないことですので、ぜひ今日から実践してみてください。

栄養バランスを見直す

髪の発育には、ビタミンやミネラルなどの栄養バランスの良い食事が必要不可欠です。食生活の乱れはそのままホルモンバランスの乱れにもつながるため、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
特にジャンクフードやファストフードなどの高脂肪食は、薄毛を促進してしまうといわれています。これは、皮脂量が増えることで頭皮の毛穴にも脂が詰まりやすくなってしまうためです。1日30品目を目標に食事をし、健康に不可欠な栄養バランスを積極的に摂取していきましょう。

タンパク質を補給する

タンパク質は髪を構成する主成分です。タンパク質が不足していると髪の毛を作れず、薄毛が進行してしまいます。3大栄養素の1つであるタンパク質は、特に積極的に補給できるようにしましょう。
タンパク質が多く含まれている食品は、以下の通りです。

  • 肉類
  • 魚介類
  • 乳製品
  • 大豆

どれも食事の際にメインになることの多い食品ですが、日本人のタンパク質摂取量は減少傾向にあることが判明しています。
成人の場合「摂取エネルギーの13〜20%程度」が摂取量の基準となるため、必要量を計算して食事に取り入れてみましょう。難しい場合はサプリメントを活用するのも1つの方法です。

ストレスをためない

女性ホルモンは非常にデリケートなため、強いストレスを受けると女性ホルモンの分泌が減少してしまいます。特に更年期の女性は自律神経のバランスが崩れやすいため、心身の不調を感じやすい時期です。
上手にストレスの解消ができる方法を模索し、身につけておくことが大切です。イライラ・不安感・落ち込みなど症状が強い場合には、早めにクリニックに相談するようにしましょう。

生活習慣を整える

髪の発育には日頃からの心がけが不可欠であり、普段の生活習慣が大きな影響を与えます。前述のような食習慣以外にも、例えば喫煙や過度な飲酒は好ましくありません。
喫煙や過度な飲酒は血管を縮小させるといわれており、髪の発育に必要な栄養素が正常に運べなくなってしまいます。どれだけ食習慣に気をつけていたとしても、喫煙や過度な飲酒を続けていては結果的に意味がありません。
薄毛を改善するためには、こうした生活習慣を改め、健康的な生活習慣を身につけることも大切です。

編集部まとめ

毛先
更年期は女性のライフサイクルにおいて共通して避けては通れない道ですが、その人の性格や取り巻く環境などによって生じる症状や程度が大きく変わってきます。

同じ更年期の女性にもかかわらず、薄毛になりやすい人となりにくい人がいるのはそのためです。

更年期による薄毛は、女性ホルモンのバランスが崩れてしまうこと・女性ホルモンの分泌量が相対的に減少してしまうことが原因です。

ホルモンバランスを整えれば症状を改善できる可能性がありますので、この記事を参考にしながら対策を練っていただければ幸いです。

この記事の監修医師