「FAGAの症状」はご存知ですか？原因や治療法についても解説！医師監修

FAGAとは？

FAGA（Female Androgenetic Alopecia）は、男性型脱毛症と呼ばれる脱毛が女性に発生した際に呼ばれる略称です。
男性脱毛症を表すAGAに、女性を表すFemaleの頭文字であるFを足してFAGAと現在呼ばれています。そのためAGA治療とFAGA治療のアプローチは同一の部分もありますが、使用できる医薬品や注意点が異なるため同一の治療ではないことに注意しましょう。

FAGAの症状

今回解説するFAGAは、びまんせい脱毛症と呼ばれることも多い病気です。クリニックによってはFAGAではなくびまんせい脱毛症と診断されますが、治療法は基本的に変わりません。
FAGAは男性型脱毛症であるAGAと同じような症状であることから、女性を現すFemaleの頭文字であるFを付け区別されています。
素早くFAGA治療を開始することが、症状を抑えるためには必要不可欠です。そのためどのような症状があるかをきちんと把握しておきましょう。

抜け毛が増える

代表的な症状として、抜け毛は増加することがあげられます。抜け毛自体は日常的に発生しており、成長が終わった髪が抜ける分には問題ありません。
しかしFAGAを発症すると髪が成長し抜けるまでのサイクルが早まってしまい、まだ成長しきっていない髪が抜けるようになってしまいます。
抜け毛が増えてきたと感じてきた場合、抜けている髪の太さを確認してみましょう。抜けた髪が成長した太いものばかりであれば、通常の抜け毛サイクルのため問題ありません。

髪の毛が細くなる

FAGAによる抜け毛を放置していると成長途中の髪が、成長を終えた髪と共に抜け落ちてしまい細い髪ばかり残ってしまいます。この状態になると全体的に髪の毛が細くなり、ボリュームがなくなったと感じて受診を開始するケースは珍しくありません。
元々の髪が太く硬い傾向だったにも関わらず、軟毛と呼ばれる上記のように細く柔らかい毛が目立つようになったら注意が必要です。ヘアサイクルの乱れにより、髪全体が柔らかくなってしまったことによる髪質の変化が疑われます。

髪の分け目が目立つ

FAGAの薄毛の特徴は、髪の分け目が目立つことです。人によって頭頂部・生え際などから薄毛の症状が発生する場合もあるため、頭部の地肌が気になってきた場合はFAGAの可能性を疑いましょう。
髪の分け目は頭皮の中でも特にさらされやすいことから、紫外線などのダメージを受けやすい部分です。分け目を定期的に変え、夏の紫外線対策を行う事で皮膚へのダメージを抑えましょう。

頭部全体が薄くなる

ヘアサイクルが早くなると髪の毛が細く短くなるため、結果として頭部全体が薄くなります。個人差はありますが、男性が発症するAGAと比べると部分的にくっきりと脱毛はせず境界が曖昧なのが特徴です。
そのため症状が発生していることに気づくのが遅れ、治療が遅くなるケースは珍しくありません。定期的に髪の毛のチェックを行い、頭部全体に変化が起こっていないかを確かめましょう。

FAGAの原因

FAGAを発症する原因はさまざまです。ここからはFAGAの発症を招く原因について解説していきます。治療を行う際はどれが問題になっているかを特定し、治療を行うことが重要です。
基本的にFAGAは複数の原因が作用しあうことで発症・悪化するため、治療はレディースクリニックを始めとした専門機関で行いましょう。誤ったセルフケアは症状の悪化や異なる病気に繋がります。

加齢

加齢に伴う身体の変化は、FAGAを発症する原因の一つです。女性の髪の成長を支える女性ホルモンであるエストロゲンは、加齢と共に減少します。
エストロゲンは肌のハリを維持し髪の成長をするために必要不可欠です。しかし加齢に伴う減少を緩やかにすることはできても、減少を止めることはできません。
日々の生活習慣やストレスを改善することで、少しでもエストロゲンの低下を緩やかにするよう心がけることが重要です。

生活習慣

生活習慣は毛髪にさまざまな影響を与えるため、日頃から注意しましょう。間違った頭皮ケアや生活習慣の乱れは、ひこう性脱毛症や脂漏性皮膚炎の原因となります。
ひこう性脱毛症は炎症により発生したフケが毛穴を塞ぎ、マラセチア菌の繁殖が原因です。症状の特徴として、カサカサとした油分を含まないフケが多く発生します。
脂漏性皮膚炎もマラセチア菌が原因ですが、こちらは栄養となる皮脂が頭皮から多く分泌されることで繁殖すると考えられており脂っぽいフケが発生するのが特徴です。
どちらも体質に合わないシャンプーや偏った食生活など、生活習慣によって悪化する可能性があるためフケと共に抜け毛や髪が変化したと感じた場合は生活を見直してみましょう。

睡眠不足

睡眠不足は髪の成長に大敵です。睡眠中は体内からさまざまなホルモンが分泌されており、髪や肌を健康にするホルモンも眠っている際に睡眠時に分泌されています。そのため食生活を見直しても睡眠が足りていなければ、その効果を十分に発揮することはできません。
この成長ホルモンが特に出る時間帯は午後10時から午前2時の間です。現在の生活スタイルや体調など、この時間を常に眠っている状態を維持することは容易ではありません。
できる日だけでも早寝を意識することで、髪や肌の改善に努めましょう。

遺伝

FAGAを発症しやすい遺伝子は存在するため、家計に薄毛の人がいる場合FAGAを発症するリスクが高まります。そのため生活習慣を特に変えていないにも関わらず薄毛が始まった場合、親族に薄毛の人がいないか確認し遺伝子検査を受けてみるとよいでしょう。
発症しやすい遺伝子が存在しますが、その遺伝子を持っていたとしてもFAGAが必ず発症するというわけではありません。さまざまな要因が重なり、発症すると覚えておきましょう。

FAGAの症状を抑える治療薬

FAGA治療は投薬治療を行います。使用する治療薬はAGA治療と重複する点もありますが、フィナステリドやデュタステリドといったホルモンバランスに悪影響を及ぼす治療薬は服用できないなど異なる点が存在します。
また上記の服用できない医薬品は皮膚から吸収されるものも存在するため、同居人が誤って錠剤を砕いてしまうなどで薬品が露出した場合も絶対に手を触れないようにしましょう。
ホルモンバランスの乱れは頭痛や吐き気という体調不良のほかに、妊娠や妊娠を控えている女性の場合、男性胎児の発育にも悪影響があるという指摘がされています。

ミノキシジル

ミノキシジルはFAGA・AGA治療どちらでも利用されている治療薬です。血管を拡張したり血行を促進したりする効果があり、ヘアサイクルの正常化や細胞の増殖をさせます。
頭皮に塗布する外用薬と内服薬の二種類が存在し、副作用は異なるためご自身にあった方を選択しましょう。外用薬の場合塗った箇所にかゆみが、内服薬の場合は動悸やめまいが副作用として確認されています。

パントガール

パントガールはドイツで開発された世界初の女性用薄毛治療薬です。内服薬であるため継続しやすく、費用も抑えられることから現在FAGA治療で幅広く活躍しています。
主成分として頭皮や髪の毛を健康に保つ成分が含まれており、それ以外にもビタミンB群を始めとした栄養素も含まれているのが特徴です。基本的にビタミン・タンパク質が主成分となっていることから副作用はほとんど発生しません。
稀に頭痛・腹痛・動悸といった症状が報告されているため、体調が悪化した場合は医師に相談しましょう。

薬以外のFAGAの治療方法

FAGA治療は薬物治療以外にもいくつか治療法が存在します。FAGAの進行次第では薬以外のアプローチを行う必要があることを覚えておきましょう。
現在FAGA治療で行われている薬以外の治療法は、主にメソセラピーと植毛の二種類です。どちらも自費治療になるため、治療を行う際は主治医とよく相談して行いましょう。

メソセラピー

メソセラピーは外用薬や内服薬で投与される成分を、注射器で頭部に直接投与する治療法です。
ミノキシジルや毛髪の構成要素であるケラチンが主成分ですが、医院によって配分が異なります。直接注射により毛根細胞をより刺激することがメリットであり、育毛効果が非常に高いです。
更に施術は月に一度の頻度で病院で行うため、飲み忘れ・塗り忘れが起こる心配もありません。注射による痛みは殆どありませんが、人によってはかゆみや発疹が発生する場合があります。注射後に副作用が発生したことがある場合は、その旨を主治医に伝えておきましょう。

植毛

FAGAの薄毛で行う植毛として代表的なものは自毛植毛です。
これは現在薄毛の影響を受けていない部分の毛髪を、気になる部分へ移植し行います。この際髪を生み出す細胞も同時に移植するため、成長サイクルが続く限り髪が生え続けるのが特徴です。
植毛を行う際は薬による治療や生活習慣の改善をセットに行いましょう。あくまで現在健康である髪を移植する治療法のため、自毛植毛はFAGAを根本から治療するわけではありません。
そのため髪が元通りになったからといって治療をやめず、根本的な問題の解決や投薬を行ってFAGAの症状を緩やかにすることが重要です。

自分に合ったFAGAの治療方法を選ぼう

現在FAGA治療法は複数存在し、生活サイクルやご自身の経済状況に合わせて選択ができます。まず通院できる範囲の医院を調べ、治療の相談を行いましょう。
FAGAは時間が経てば経つほど進行するため、少しでも治療を早くすることが重要です。そのため気になる自覚症状が出た場合、まず病院に行って診察を受けてみましょう。