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EDは射精障害と違うの?ED治療薬の効果や射精障害の種類について詳しく解説します

 公開日:2023/03/10
EDは射精障害と違うの?ED治療薬の効果や射精障害の種類について詳しく解説します

年齢を重ねることでED(勃起不全)や射精障害などで悩まれる男性は増えているそうです。

EDと射精障害はそれぞれ原因が異なるのでしょうか?意外と存じ上げない方も多くいらっしゃいます。

この記事では、EDと射精障害の違い・ED治療薬の効果・射精障害の種類について詳しく解説していきます。

EDや射精障害について悩まれている方、改善策を知りたいと考える方はぜひ参考にしてみてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

EDと射精障害の違いとは?

お腹痛い人
ED(勃起不全)とは、性的な刺激を受けても十分に勃起しなかったり、勃起しても維持することが出来なかったりすることです。勃起が不十分であると挿入が出来ないため、パートナーとの性行為に支障を来たしてしまいます。
一方、射精障害は挿入自体は可能ですが、精子が外に出なかったり膀胱に逆流してしまったりすることです。射精障害にも種類がいくつかあり、身体的問題やストレスなど心理的要因が問題となるなど原因もさまざまです。精子がうまく外に排出されない場合は、自然妊娠を望むことが難しくなってしまうリスクがあります。不妊治療は男性・女性共に身体的・精神的、または金銭面的にも負担が大きくなってしまいがちです。
勃起不全と射精障害はいずれにしても自分だけの問題ではなくなってしまうこともあるため、きちんとその原因を突き止めて適切な治療を行うことが大切です。

ED治療薬による効果

薬
バイアグラシアリスなどED治療薬にもいくつか種類があります。バイアグラなどは有名であり名前を聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。ここではED治療薬を服用することで得られる2つの効果について、詳しく解説していきます。

勃起不全の解消

ED治療薬を服用することで、全身にわたる酸素の運搬が活発化し、陰茎への酸素供給が増えることで勃起不全を解消できるとされています。血管を拡張させる効果もあり、血流が良くなることから勃起を引き起こすことが可能となります。一般的にED治療薬として用いられている薬剤はバイアグラ・レビトラ・シアリスです。これらは内服薬でそれぞれジェネリックも存在しており順番に、シルデナフィル・バフェナフィル・タダラフィルといいます。個人差もありますがいずれも服用から約30分~1時間ほどで効果が得られます。効果も薬剤によりますが、長いもので約24~36時間、短いものでも約5時間の効果持続が期待出来るでしょう。

全身の血の巡りを良くする

前述した通りED治療薬は一般的に勃起不全の治療に用いられることがほとんどですが、実は全身の血流を良くする効果も期待できるといわれています。血流が改善されることで陰茎にも十分に血が巡り、効果が発現するのです。ただし、十分な研究結果が解明されているわけではないため、現時点でED治療薬以外での処方がなされることは未だほとんどありません。

ED治療薬の副作用は軽度~中程度

頭を抱える人
ED治療薬の副作用は基本的にあまりないといわれていますが、薬剤やそのときの体調や心身状態によっては副作用を引き起こすリスクもあることを覚えておきましょう。発現する主な副作用は下記の通りです。

  • 頭痛
  • 胃腸の不調
  • 顔や頸部の潮紅
  • めまい
  • 怠さ
  • 鼻炎

ED治療薬の副作用は軽度~中程度で済むのが一般的です。副作用の症状が現れても、少し休息をとるだけで良くなる場合も大いにありえます。このように軽く済むこともあり、副作用とはいえあまり気に留めない方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、それまで弱かった反応が大きくなったり突然重症化したりするリスクも0ではないため注意が必要です。服用後にこれらの症状が現れた際は軽視せずに、医師に相談するようにしてください。
また、ED治療薬は長期的に服用を続けると、低血圧・心臓への負担・視力障害が生じる可能性もあります。硝酸剤(ニトロ)が禁忌であるなど気を付けたい点が多いため、服用は必ず医師の指示の元、用法・用量を守って服用することが大切です。

射精障害の種類

ドクターのすすめ
ここからは射精障害について詳しく解説していきます。主な射精障害の種類は下記の5つです。

  • 逆流性射精
  • 早漏
  • 遅漏
  • 膣内射精障害
  • 神経性射精障害

内容によっては自然妊娠が難しくなるなど、パートナーと2人の問題となることもあるため、男性だけでなく女性にも知っておいてほしい内容になっています。

逆流性射精

正常な射精は、射精時に精液が外へ排出されます。逆流性射精とは、読んで字のごとく射精時に精液が外に出ずに膀胱へ戻ってしまうことです。逆流性射精は精液の通り道である管と尿道口の間にある弁が閉鎖されてしまい、精液が膀胱に戻ってしまうのです。このような逆流性射精が起こってしまう原因は下記の5つが考えられています。

  • 前立腺がんの治療
  • 膀胱・尿管の手術
  • ストレスなど心理的要因
  • 慢性疾患
  • 薬剤による副作用

これらの原因はEDを引き起こす原因ともよく似ているのが特徴です。逆流性射精は精子の数自体が減少したり、尿道に精液が戻ることで尿から精子が排出されるようになったりすることで、不妊の原因となってしまう恐れがあります。改善がみられない場合精子の搾取が難しくなる可能性もあるため、自然妊娠は望みづらくなってしまうでしょう。

早漏

早漏は、性交時に自分の意思と反して早く射精してしまうことをいいます。挿入から射精までが3分未満であることが、早漏と判断される目安です。早漏になってしまう原因は生理的要因・精神的要因の2つに分かれます。
はじめに生理的要因について解説していきましょう。早漏を引き起こす生理的要因は、性機能障害・睾丸や前立腺の炎症・外傷の3つが挙げられます。性機能障害とはEDなど、性行為に支障を来たす障害のことです。睾丸や前立腺の炎症は最近が原因で起こります。外傷を含めた外的圧力が陰茎や精巣にかかることによって前立腺炎が発症しやすくなり、早漏につながってしまうのです。
一方、精神的要因としては、ストレス・不安・自尊心の低下が挙げられます。このように精神面に問題がある場合は、心理カウンセラーによるカウンセリングを受けることもおすすめです。薬剤などを用いなくても、ストレスや不安を取り除きリラックスすることで症状が改善されることもあります。早漏は「恥ずかしい」と思ったり「満足させてあげられていないのではないか」と悩んだりする方も多い症状です。原因をしっかりと探り適切な対策を行うことで改善されることも十分にありますので、前向きに取り組んでいきましょう。

遅漏

遅漏は早漏とは逆に挿入から射精までの時間が長いことを指します。その目安は30分以上とされており、パートナーに負担がかかってしまうことも少なくありません。遅漏も早漏と同様に生理的要因・精神的要因や、それらが重なった混合要因によって引き起こされるといわれています。
遅漏の主な治療方法は、抑うつや抗不安剤などの薬剤治療・カウンセリングなどの心理療法です。先述した通り、パートナーとの関係に支障が出てしまう恐れもあることから、原因に合わせた適切な治療を行うことが重要となります。

膣内射精障害

膣内射精障害は、自慰など膣の中でなければ可能であるのに、挿入している状態では射精を行えない状態のことをいいます。膣内での射精が出来ないため自然妊娠が難しくなるでしょう。膣内射精障害も、生理的要因・精神的要因・これら両方とも当てはまる混合性要因が考えられます。特に精神的要因の1つである性的なトラウマなど性にまつわる悩みが、この障害を引き起こす可能性が大きいといえるでしょう。トラウマの改善は同じことを何度か繰り返すことで改善されることもありますが、心理カウンセラーなどに相談するのも1つの手段です。

神経性射精障害

神経性射精障害は、射精の際の中枢神経系に異常がみられることが原因です。前で紹介した、逆流性射精・早漏・遅漏・膣内射精障害も神経系射精障害にまとめられます。神経系射精障害は生理的・心理的要因のほかに、脊髄損傷・多発性硬化症・脊髄腫瘍・脳卒中などが原因です。これらの病気が原因となる場合は、薬物による治療と手術が行われるケースが多いでしょう。原因となっている病気をきちんと治すことが、射精障害の改善につながっていくと考えられています。

射精障害は種類に応じた治療が必要

聴診器
前述してきた通り、射精障害は生理的なもの・心理的なものなどそれぞれ異なる原因によって引き起こされます。そのため、治療方法も1つではなく、原因に合わせた治療を行っていくことが大切です。性機能障害・睾丸や前立腺の炎症・外傷など生理的な問題が原因となっている場合は、手術や服薬など医学的な治療が望ましいでしょう。
一方で、ストレス・不安・自尊心の低下などの心理的な問題が原因となっている場合には、カウンセリングなどで不安な気持ちを取り除いていくことが有効です。射精障害は種類やその程度もさまざまであるため、人によってはあまり問題視していない方もいらっしゃるでしょう。しかし、症状によっては自然妊娠が望めなくなる恐れがあるのも事実です。人工授精や顕微授精などで妊娠自体は可能ですが、治療には高額なお金もかかるため簡単に決断できるものではありません。もしかしたら射精障害かも…と感じた際は、1人で抱え込まずに医師に相談し適切な治療を受けることが大切です。

編集部まとめ

明日へ向かう人
ED(勃起不全)とは、勃起ができなかったり勃起状態を維持することが困難であり、性行為が難しいことを指します。

一方、射精障害は挿入自体は可能ですが精液を外に出すことができなかったり、早く漏れ出てしまったりなど射精に問題を抱えていることをいいます。

EDの治療薬は一般的にバイアグラ・レビトラ・シアリスが処方されますが、いずれも薬剤料は他の病気の治療薬と比べて高い印象です。

費用面に関して不安がある際は、ジェネリック医薬品を選択することで費用負担を少し減らすことが可能となります。

上記のようにEDは薬剤による治療が多い傾向にありますが、射精障害は種類がさまざまなため症状によって治療方法が異なるのが特徴です。

EDも射精障害も症状に合わせた適切な治療を行うことで改善が見込めます。症状を感じた際は自己判断せずに、医師へ相談することが大切です。

この記事の監修医師