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「EDは何科」を受診すればよいかご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/03/07
「EDは何科」を受診すればよいかご存知ですか?医師が監修!

ストレス社会や生活習慣病の多様化などの影響もあり、昨今ではEDに悩む男性は増加傾向にあります。

日本では約1,130万人もの男性がEDに悩んでおり、40歳以上では3人に1人がEDに該当します。しかし、日本ではまだまだED治療が進んでおらず、放置されることが多いです。

EDが原因で性生活に悩みを持つ人は決して少なくありません。健康な性生活を送るためには、EDの治療が不可欠だといえるでしょう。

今回は診療科・治療方法・薬のメリット・費用相場などの観点から、EDについて詳しく解説いたします。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

EDは何科を受診したらいいの?

病院とドクター
EDの悩みを相談する際には、泌尿器科で受診すると良いでしょう。
EDは非常にデリケートな問題のため、同性である男性医師が診察を行う病院を選ぶと相談しやすいかもしれません。
心理的な要素が強い場合には、精神科などでカウンセリングを受けることも有効です。
併せて生活習慣病によるEDも増加しているため、最近では内科でも診療を行うケースもあるのです。泌尿器科に抵抗がある場合は、まずかかりつけの内科で相談することをおすすめします。
しかし、その内容から受付などでどのように診察をお願いすべきか悩む方もいらっしゃるかと思います。そのような場合には、EDのパンフレットやスマホのサイトなどを提示し相談したい旨を伝えることで、泌尿器科などではスムーズに対応してもらえるでしょう。
EDは多くの男性の悩みでもあり、決して恥ずかしいものではありません。他の疾患と同じように、悩みがある場合は泌尿器科などの医療機関で相談するようにしましょう。

EDの診察方法

人物と吹き出し
EDの改善を目指すには、まず正確に原因を探ることが大切です。
診察ではEDの原因を突き止めるために問診血液検査画像検査などを行うことが一般的です。
EDの原因は器質性・心因性・混合性の3つに分類され、代表的な原因としては、以下のものが挙げられます。

  • 加齢
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 肥満や運動不足
  • 喫煙
  • ホルモンの低下
  • 神経疾患
  • うつ病やストレスなどの心因的要素
  • 原因疾患による合併症
  • 内服薬の影響

はじめに問診を行い、発現時期・原因となる病気の有無・服用中の薬の有無・他の性機能障害の有無・パートナーとの関係などを詳しく聞き取ります。
加えて、国際勃起機能スコアという国際的な問診票を5つの設問に簡略化したIIEF5を用いた問診も行われるのです。
次に血液検査で勃起に関係するホルモン・血糖値・コレステロール値などの測定や画像検査などを行い、器質的な原因となる病気が潜んでいないかを確認します。
また、ED専門医による生理的勃起機能検査を行われるでしょう。問診の際には、パートナーも同席することで自分でも気づかなかった問題点を見つけやすくなるため、特に初診ではなるべくパートナーと一緒に受診することをおすすめします。

EDの治療方法

薬を持つ手
検査で原因が分かれば、次に行うことは具体的な治療です。
患者とパートナーの希望を考慮しつつ、治療方法を決定します。EDの主な治療方法は、治療薬の投与生活習慣の改善ストレスの軽減原因疾患の治療などです。
原因によって治療法が分かれており、原因が複数ある場合にはこれらの治療法を組み合わせてED改善へと動き出します。それでは、それぞれの治療法について詳しくみていきましょう。

治療薬の投与

EDの治療として第一に選択されるのは治療薬の投与です。現在日本で承認され使用できる治療薬には、バイアグラレビトラシアリスの3剤があります。
これらの治療薬はPDE5阻害薬という種類の薬であり、PDE5という酵素の作用を阻害し陰茎海綿体を弛緩させることで勃起効果を促進するものです。治療薬によりおよそ70~80%の人でEDへの有効性が認められています。
ただし、重度の心疾患がある人や狭心症の薬である硝酸薬を服用している人はED治療薬を服用できません。心臓に負担がかかったり血圧低下などの副作用が起こるためです。
また、PDE5阻害薬でアレルギー反応を起こした人・重度の肝機能障害・血圧異常・6ヶ月以内に心筋梗塞や脳卒中を発症した人・網膜色素変性症などの人も、ED治療薬の服用は禁忌とされているため、注意が必要です。

生活習慣の改善

EDの原因として肥満・運動不足・高血圧・脂質異常症・喫煙などが挙げられることから、生活習慣の改善も治療につながります。
高脂質・高カロリーの食事を避けた健康的な食生活や、30分程度のジョギング・サイクリング・スイミングなどの適度な運動を続けることで、動脈硬化を予防できます。
喫煙も動脈硬化を促進する要因の一つのため、禁煙することが望ましいです。また、睡眠の質を向上させることもED治療に効果的だといえるでしょう。
EDは命に関わるような病気ではないと軽視する人も少なくないかもしれませんが、心筋梗塞や脳血管障害など重篤な疾患の前兆としてEDを発症するケースもあるため、決して侮ってはいけません。
EDの症状がみられる人は、近いうちに健康診断などで身体の状態をチェックされることをおすすめします。

ストレスの軽減

ストレスを軽減することもEDの治療の一つだといえます。不安・緊張過多・人間関係など心理的要因からくるEDを心因性EDといい、ED患者の20%が該当します。
複雑な現代社会には多くのストレス要因が存在するため、最近では20代や30代の若い世代でも心因性EDが増加傾向にあるのです。また、うつ病や神経障害など精神疾患もEDの原因であり、精神疾患が重症になるほどEDも重症化することが分かっています。
このことからも、精神状態とEDには大きな結びつきがあるといえるでしょう。そのため、ED解消にはストレスを軽減し精神的な健康を取り戻す必要があります。
適度な運動や社交的な場への参加はストレスを発散させるためにおすすめです。
また、ストレスから疲労が強い人は、休暇を取ったりカウンセリングを受けたりすることで心身ともにリラックスできるでしょう。ストレスの解消法なども含め、専門医とともに自分に合った治療プランを立てることが望ましいです。

原因疾患の治療

EDには原因となる疾患があります。以下のものが代表的です。

  • 糖尿病
  • 心血管疾患
  • 甲状腺機能亢進症
  • 慢性腎臓病および下部尿路症状
  • 神経疾患

勃起が起こる際には血液をため込むために海綿体の血管が拡張します。しかし、動脈硬化などで血管が固くなると、血管が拡張せず勃起に十分な量の血液をためられません。
糖尿病・心血管疾患・腎臓疾患は動脈硬化を引き起こすリスクが高いため、EDが起こる原因に関与する疾患だといえるでしょう。
また、勃起は神経によって制御されていることから、神経疾患がある人もEDを起こしやすくなります。勃起に関与する要因の一つにテストステロンという男性ホルモンがありますが、甲状腺機能亢進症ではテストステロンが減少してしまうため、EDを引き起こしやすくなるのです。
これらのEDの原因となる疾患を治療することで改善が見込めます。

ED治療薬の費用相場

医療費
EDの治療には治療薬が第一に選択されますが、費用はどのくらいかかるのでしょうか。先述したとおり、日本ではバイアグラ・レビトラ・シアリスという3種類の治療薬が処方されます。
ED治療薬の相場は一錠あたりおよそ1,200円~1,700円ですが、ほとんどの場合で保険適用外となり、全額自己負担となります。
治療薬の費用に加えて各種検査費用も上乗せされるため、治療費がかさんでしまうことはデメリットだといえるでしょう。
しかし、最近では不妊治療を目的とした場合にのみ、ED治療薬の保険適用が認められています。
深刻な少子化問題の背景には不妊症増加の問題もあり、男性不妊のおよそ30%がEDであることから保険適用とされました。不妊治療を考えている夫婦にとって、ED治療薬は手が届きやすい薬になったといえるでしょう。

ED治療薬のメリット

OKのポーズをとる若い男性
不妊治療以外の目的でED治療薬を使用する場合には費用がかさむというデメリットがありますが、ED治療薬を使用することで勃起不全の解消や全身の血行促進などさまざまなメリットもあるのです。
また、ED治療薬の安全性を疑問視する人も少なくありませんが、使用方法を守れば安全な薬だといえるでしょう。ここからは、ED治療薬のメリットと安全性について解説いたします。

勃起不全の解消

ED治療薬による一番のメリットは、勃起不全の解消が期待できることです。勃起不全を解消することで健康な性生活を取り戻し、パートナーとより良好な関係も築けるでしょう。
先述したとおり、ED治療薬はおよそ70%~80%もの患者で効果がみられており、器質性と心因性の両方において有効です。ただし、過度の飲酒や高脂肪の食事で効果が低下してしまう恐れがあるため、医師の指示に従い適切に使用することが大切です。

併用を除いては極めて安全な薬剤

普及が進んでいないことも手伝い、ED治療薬は安全性を疑われることも少なくありません。ED治療薬には併用が禁忌とされる薬があるため注意が必要ですが、医師へ相談し指示を守って服用すれば極めて安全な薬だといえます。
併用が禁忌とされる薬はさまざまですが、特に血管・心臓・不整脈・肝炎・緑内障などの薬を服用されている人は、ED治療薬の処方前に医師へ相談しましょう。
ED治療薬は極めて安全な薬だとご説明しましたが、インターネットで出回っている個人輸入のED治療薬に関しては、極めて危険なため購入しないことを強く勧めます。
個人輸入によるED治療薬の半数以上が、過剰配合や不純物が含まれた偽物であり、服用で低血糖による昏睡など重篤な症状や死亡例もあるのです。価格の問題や受診の煩わしさなどがあるかもしれませんが、ED治療薬は必ず医師から処方される正規品を服用するようにしましょう。

全身の血液の巡りを良くする

ED治療薬は勃起機能の改善に用いられる薬ですが、副効用として血管の機能改善効果が期待できます。
ED治療薬の血管拡張作用により、陰茎だけでなく全身の血管でも拡張機能が改善され、全身の血の巡りが良くなるのです。
ED治療薬の服用を止めた後も血管拡張機能が持続し、血管修復に関する細胞が増加するという研究結果も出ています。
血管機能の改善や修復から、アンチエイジング効果も期待できます。

編集部まとめ

飲み物を手に見つめ合う男女
EDは非常にデリケートな問題ですが、悩みを抱えている人は決して少なくありません。

治療費の問題はありますが、ED治療を行うことで健康な性生活を取り戻せれば、生活の質の向上やパートナーともより良い関係の構築も期待できます。

また、不妊治療への処方に関して保険適用となったことで、男性不妊に悩む夫婦での治療の選択肢を増やすきっかけとなるでしょう。

EDの悩みを抱えている場合は、気軽に医療機関で相談し改善を目指しましょう。

この記事の監修医師