「女性の薄毛は改善」できる?薬や原因についても詳しく解説!
最近、昔に比べて毛量が減り薄毛が気になってきた。
男性の薄毛の改善方法はよく見かけるけど、女性の薄毛は改善するのかどうか気になる方が多いのではないでしょうか。
男性の薄毛と女性の薄毛では原因や症状も異なります。そのため、症状に合った適切な知識と治療方法が大切です。
そこで本記事では、女性の薄毛改善の方法と原因について詳しく解説します。
ぜひ、薄毛が気になる際の予防対策に役立ててください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
女性の薄毛は改善する?
女性の薄毛はホルモンバランスの変化やストレスなどによって引き起こされます。早期に対策することで改善が可能です。
女性の薄毛に対しては、医師に診察を受けて適切な治療方法を決定することが大切です。薄毛対策には薬物療法・手術・生活習慣の変更が挙げられます。
- 薬物治療
薬物治療には、ミニピル・パントガール・ミノキシジルなどの薬剤が使用されます。
これらの薬剤は、脱毛の原因となる乱れたヘアサイクルを改善し、健康な髪の毛の成長を促す効果が期待できる点が特徴です。また、ミノキシジルは血流を促進して毛髪の育成を促進する効果もあります。
- 手術
手術的手段としては、FUE(Follicular Unit Extraction)・FUT(Follicular Unit Transplantation)などの植毛手術があります。
植毛とは、自毛や人工毛を薄毛部位に移植する手術のことです。FUEは専用器具を使い毛根を一つずつ採取して移植するのに対し、FUTはメスで毛根を丸ごと採取するため定着率は高いですが、傷跡が残ってしまうため注意が必要です。
植毛手術は薬物治療で十分な効果が得られなかった場合に行う治療法であり、特に人工植毛は手術後に炎症や感染症の被害が多く見られることから、あまり推奨されていません。
- 生活習慣の変更
生活習慣の変更には、栄養バランスの良い食生活・適度な運動・ストレス軽減などが挙げられます。
これらは毛髪の健康を保つために必要不可欠ですが、個人の生活や働く環境によって左右されやすく、早期解決ではなく日々の積み重ねが大切です。
薄毛の兆候が見られた場合、すぐに専門医に相談し、薄毛の原因に合った適切な治療方法を選択することが早期改善につながります。
女性の薄毛を改善する薬とは?
女性の薄毛を改善する薬には、パントガールやミノキシジルなどが挙げられます。
パントガールは薄毛や脱毛の改善を目的として作られた内服薬です。ミノキシジルは女性だけでなく男性用の育毛剤にも使用されていることが多く、女性用のミノキシジルは頭皮に直接塗布する外用薬になります。
直接塗布する外用薬は全身に効果がある服用薬に比べ副作用のリスクが低い点が特徴です。しかし、クリニック以外のミノキシジルを含む育毛剤を使用する際には、副作用の可能性があるため医師の指導のもと使用するようにしてください。
また、薄毛の原因の一つとされている5aリダクターゼを阻害し、薄毛の進行を抑える内服薬としてフィナステリドやデュタステリドが有名です。
これらの内服薬は男性ホルモンに作用する成分であるため女性の使用は禁止されています。同じ薄毛治療薬ではありますが、男性と女性で用途が異なるため注意が必要です。
女性の薄毛を改善させる薬の効果
女性の薄毛を改善させる薬には、男性型脱毛症の治療に使用される5a還元阻害薬やステロイド系外服薬が効果的です。
これらは毛包に刺激を与え、毛髪の成長を促進する効果があるため、女性の薄毛にも効果が期待できます。
発毛効果
外用ミノキシジルには、毛母細胞を刺激して血管を拡張し、頭皮の血行を良くする働きがあります。
頭皮の血行が改善されることで、髪に栄養素が行き届きやすくなり、発毛や健康的な髪の成長につながります。特に血流が悪くなりやすい頭頂部や前頭部に対して高い効果が期待できるでしょう。
また、外用ミノキシジルは男性と女性どちらも使用できる治療薬ですが、男性5%・女性1%とそれぞれ適切な配合量が異なっているため異性のパートナー間でシェアすることはできません。
薄毛の改善
髪の毛の成長には、毛母細胞への十分な栄養(主にタンパク質)と酸素が必要です。
ミノキシジルは、髪の毛の元となる毛母細胞に直接働きかけ、細胞そのものを増殖させると共にタンパク質の合成も促進する働きがあります。
この2つのアプローチによって細胞分裂の回数が増え、ハリとコシのある新しい髪の毛の発育を促してくれます。
外用ミノキシジルは気になる箇所に直接塗布できる点がメリットですが、まれにかゆみ・かぶれなどの副作用を引き起こすケースがあるため、医師やクリニックで相談のもと使用するようにしてください。
抜け毛の改善
抜け毛の主な原因は、外的・内的要因が重なり毛母細胞が死滅し、細胞分裂が行われなくなってしまうことです。
ミノキシジルには、毛母細胞の死滅を抑制する働きがあり、外的からの強い刺激や血行不良による内的要因を防ぐ効果があります。
しかし、ミノキシジルは使用した初期段階で脱毛が発生することがあるのです。理由は、髪の毛のヘアサイクルにあります。
通常の髪の毛は成長期・退行期・休止期というサイクルを経て生え変わっており、成長を終えた髪は休止期に入り抜け落ちます。初期段階の抜け毛は生え変わりのサインでもあるので、抜け毛の悪化を心配する必要はありません。
女性の薄毛の原因
女性の薄毛の原因として、ホルモンバランスの乱れ・加齢・偏った食生活・過度なストレスなどが挙げられます。
また、抗生物質や抗うつ薬などの副作用や悪性腫瘍の治療などによる被害も考えられます。カットやカラー、サプリメントといった一時的な対処は効果的ですが、根本的な原因を特定して治療することが重要です。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは女性の薄毛の原因の一つです。特にジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが大きく関わっており、このDHTが毛乳頭のホルモン受容体と結合すると、髪の成長を止めてしまいます。
その結果、数年かけて育つ髪の毛が育ち切らないまま抜けてしまうというわけです。女性にも一定量の男性ホルモンが分泌されており、通常は女性ホルモンが男性ホルモンの働きを抑制しています。
ストレスや加齢などによりホルモンバランスが乱れると男性ホルモンの分泌量が増加してしまい、薄毛の要因となります。
また、卵巣から分泌されるエストロゲンには髪の成長を促す作用がありますが、加齢や出産などにより分泌量が減ってしまうのです。そのため、エストロゲンの減少も薄毛に関係しているといえるでしょう。
加齢による毛の減少
加齢による女性の薄毛は、普遍的な現象の一つです。正常な髪の毛は、成長期・退行期・休止期の3つのサイクルを繰り返しています。
加齢により成長期が短くなり、休止期が長くなるため、髪は細く軟化していき毛量は減少する傾向にあります。
加えて体温の低下も頭皮の血行を悪化させ栄養が届きにくくなるため、髪の毛の成長に悪影響を与える要因となるでしょう。
薬や治療の副作用
薄毛の対策として薬物治療がありますが、使用する薬によっては髪に悪影響を与える場合があります。
例えば、抗生物質・ステロイド・抗うつ剤などの薬は髪の毛のヘアサイクルに悪影響を与えるため、抜け毛が増える可能性が高まるでしょう。
また、悪性腫瘍の治療に使用される化学療法は、細胞の増殖を抑制することでがん細胞を消滅させる効果があります。しかし健康な細胞にも影響を与え、抜け毛が発生することがあります。
どうしても治療が必要な場合は、医師と相談し、適切な方法を選択しましょう。
悪い生活習慣
生活習慣の悪化は現代人の悩みの種ではないでしょうか。栄養バランスの悪い食事・過剰なアルコール摂取・喫煙・運動不足・睡眠不足・ストレスなど代表的な生活習慣の悪化について詳細に解説します。
- 栄養バランスの悪い食事
髪の毛は摂取した栄養からしか栄養素を得られないため、バランスの悪い食事は、髪の毛の成長にそのまま悪影響を与える要因になります。
また過度のダイエットなども栄養が偏りがちになるため、おすすめできません。髪の毛の成長に欠かせない栄養素は、タンパク質・ビタミン・亜鉛・アミノ酸などが挙げられます。
足りない栄養素はサプリメントを活用して補っていきましょう。
- 過剰なアルコール摂取
過剰なアルコール摂取は、頭皮の血流を悪化させ、髪の毛に十分な栄養を届けられなくなります。
また、睡眠の質を低下させることもあるため、1日の摂取量に制限をつけましょう。
適度なアルコール摂取は血行を良くする効果があります。
- 喫煙
タバコに含まれるニコチンやタールは、血管を縮小させて髪の毛に必要な栄養素を届けにくくします。
また、タバコは依存性が強く中々やめられない人も多いと思います。生活習慣の改善から薄毛を予防したい人は、いきなり禁煙するのではなく、徐々に吸う本数を減らしていきましょう。
- 運動不足
運動不足による血行の悪化が、髪の毛の成長を鈍化させ薄毛のリスクを高めるといわれています。昨今ではテレワークの普及により、運動不足に悩む方も多いでしょう。
薄毛対策に適した運動として「ウォーキング」「ランニング」「筋力トレーニング」などが挙げられます。どうしてもまとまった時間が取れないという方は、1時間ごとに屈伸をしてなるべく長時間同じ姿勢を続けないようにしましょう。
- 睡眠不足
健康な髪の毛の成長には良質な睡眠が欠かせません。最低でも5〜6時間の睡眠が必要になります。
就寝前にスマホから出るブルーライトを見ることで睡眠の質が低下してしまうため、就寝の2時間前にはブルーライトを見ることは避けるようにしましょう。
また、就寝前にお風呂に入ることで副交感神経が刺激され、質のいい睡眠がとれます。
- ストレス
過度なストレスは自律神経が乱れ、血行不良を引き起こすリスクがあります。さらに慢性的なストレスは、髪の毛の成長に必要な栄養素が十分に供給されなくなるため、薄毛を招く恐れがあります。
なるべくリラックスできる一人の時間や趣味を作ることでストレスを溜めないようにしましょう。
以上の生活習慣に気をつけて生活の質を改善しましょう。
女性の薄毛を早期に改善するには?
女性の薄毛を早期改善するには次の方法があります。
- 医学的治療
主にパントガールやミノキシジルを使った薬物治療やFUE・FUTなどの植毛手術があります。
- 生活習慣の改善
生活習慣の改善には、バランスの良い栄養素の摂取・適度なアルコール摂取・適度な運動・質の良い睡眠・ストレスの軽減などが挙げられます。
医学的治療・生活習慣の改善ともに早期改善するために大切な方法です。医学的治療の場合は医師に相談のもと、自分の症状に合った治療法を選びましょう。生活習慣の改善は、原因となる要素を一つずつ改善していくことが重要です。
編集部まとめ
女性の薄毛は早期に対策をすることで改善できます。
今回紹介したパントガールやミノキシジルといった薬物治療やFUE・FUTなどの手術方法はあくまで一例に過ぎません。
薄毛の原因には個人差があるため、専門医に相談した上で最適な治療法を選択しましょう。
生活習慣の悪化が薄毛につながっている場合は、早期での解決はむずかしく日々の積み重ねが大切です。
一気に生活を変えるのではなく、継続しておこなえる無理のない範囲で一つずつ解消していきましょう。