アフターピルは低用量ピルとの併用が可能?緊急避妊の方法及び適切な飲み方を紹介します
アフターピル・低用量ピルは女性が使用する避妊薬としてよく知られています。ですが、適切な服用方法やアフターピルと低用量ピルを併用することができるのか分からない方が多いのではないでしょうか。
アフターピル・低用量ピルは適切に服用することが避妊効果が高くなるため、しっかり理解しておくことが重要です。
そこで本記事では、アフターピル・低用量ピルの併用について、適切な飲み方や副作用などについて詳しく解説します。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
アフターピルは低用量ピルとの併用が可能?
アフターピルは低用量ピルと併用することができます。まず、アフターピルと低用量ピルの違いについて解説します。
アフターピルとは、避妊せずに性行為を行った場合や避妊がうまくできたか不安なときに妊娠を防ぐために服用されるピルのひとつです。アフターピルを性行為後に服用することで、排卵を抑制することができます。
一方、低用量ピルとは妊娠を防ぐために毎日服用するピルの1つです。
低用量ピルには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれており、これにより卵巣の働きが制御され排卵を抑制するため妊娠を防ぐことができます。
アフターピル・低用量ピルともに高い避妊効果が期待できますが、服薬のタイミングについて性行為後のみ服薬するか、毎日服薬するかという違いがあります。どちらの避妊薬を選択するかは個人の判断によりますが、それぞれ副作用も異なるためまずは医師に相談するとよいでしょう。
緊急避妊目的のアフターピルの適切な飲み方
アフターピルは避妊効果を高めるためのポイントがあります。まず、服用時間です。アフターピルは性交後72時間以内に服用することで高い避妊効果が期待できます。
次に、分量についてです。分量は1錠が適正量です。ただし、服用後嘔吐してしまった場合には追加でもう1錠服用します。
アフターピルの服用後は、避妊できたことが確認できるまで性交渉は避けましょう。
ここでは、服薬のポイントや服薬後の注意点について詳しく解説します。
性交後72時間以内に服用する
アフターピルは、性交後72時間以内に服用することで高い避妊効果が得られます。72時間以内とはいってもできるだけ早く服用することが重要です。
しかし、72時間を超えてしまっても、避妊効果は得られるといわれています。だから、72時間をすぎてしまったからといってアフターピルの服用をやめるのではなく、まずは医師へ相談しましょう。アフターピルは医師からの処方がなければ服用できません。
診察時に、最終月経の時期や持続日数、予測される排卵日等の問診がある場合があります。日頃から月経周期を記録しておくとよいでしょう。また、アフターピルには併用して飲むことに注意が必要な薬があります。病院へ受診するときには、服用している薬がわかるものを持参しましょう。
避妊を望む場合には性交後72時間以内に病院を受診し、医師から適切な指示を受けることをおすすめします。
服用の分量を正しく守る
アフターピルの服用の分量は1回1錠です。不安だからと1度に何錠も服用することは避けましょう。ですが、副作用で気持ち悪くなってしまうことがあるため服用後に吐いてしまう方もいます。
アフターピルの服用後2時間以内に吐いてしまった場合には、すぐに追加でもう1錠服用します。1回の月経周期の中で2回以上服用することは問題ありません。妊娠中の方であっても、アフターピルを飲むことで流産が誘発されることはないため、安心して服用しましょう。
しかし、あらかじめ妊娠がわかっていた場合にはアフターピルの服用は禁忌とされています。妊婦の他に禁忌とされる方として、肝臓・心臓・腎臓に疾患がある、もしくは過去に疾患があった方が対象となります。
服用後出血があるまでは性交渉を避ける
アフターピルの服用後、約2週間以内に数日間出血が続くことがあります。これを消退出血といい、消退出血が起こると避妊に成功した可能性が高くなります。
ですが消退出血がない方もおり、なかったからといって避妊に失敗したというわけではありません。アフターピル服用後、月経がきたら確実に避妊ができたということです。
アフターピル服用後は、ホルモンバランスが崩れることがあるため、月経予定日の数日のずれは問題ありません。しかし、月経が予定より7日以上遅れたり、いつもより出血が少なかったりする場合には妊娠している可能性があるため検査を受けるとよいでしょう。
例えば異所性妊娠といって、子宮以外の場所で妊娠している場合があります。確実な避妊が確認できるまで、性交渉は避けることが望ましいです。
低用量ピルでアフターピルの代用はできない
低用量ピルは毎日服用することで、高い避妊効果が期待できます。低用量ピルは、副作用も比較的少なく長期にわたって安全に服用することができる薬です。低用量ピルには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれています。
一方、アフターピルは性行為後に72時間以内に1錠服用することで高い避妊効果が期待できる薬です。
だから、低用量ピルとアフターピルとでは服用時期や分量が異なります。低用量ピルは1回服用するだけではなく毎日継続して服用することで避妊効果が得られるため、アフターピルの代用として性行為後に服用することはできません。
アフターピルの主な副作用
アフターピルの主な副作用は吐き気・乳房の張り・倦怠感・傾眠・胃腸障害・性器出血・肌荒れなどです。
症状が長引く場合や、酷い場合には医師へ相談しましょう。ここでは、副作用について詳しく解説します。
吐き気
アフターピルは副作用を引き起こすことがあり、その1つに吐き気があります。吐き気が起こる原因としては、アフターピルを服用することでホルモンバランスが崩れるためと考えられています。
しかし、吐き気は全員に起きるわけではありません。実際に嘔吐する可能性はごくわずかで、24時間以内に吐き気がおさまることがほとんどです。アフターピルを服用後、2時間以内に吐いてしまった場合には追加でもう1錠服用する必要があります。吐いてしまった場合には、すぐに医師に相談しましょう。
乳房の張り・倦怠感・傾眠・胃腸障害
アフターピルの副作用に以下の症状があります。
- 乳房の張り
- 倦怠感
- 傾眠
- 胃腸障害
これらの症状はいずれもホルモンバランスの崩れが原因と考えられています。重篤な副作用ではなく、時間の経過とともに症状は軽快します。副作用がまったくない方もいますが、副作用がある場合もあるため、アフターピルを服用後は体力を消耗しないようにすることが望ましいです。
少量の性器出血
アフターピルの服用後、7日以内に不正出血がみられることがあります。
不正出血は、アフターピルを服用することで月経周期に影響を与えてしまうことが原因と考えられています。茶色い出血が数日間少量で止まれば特に問題はありません。
しかし、長期にわたって続く場合や真っ赤な血を認める場合には、別の病気も考えられます。婦人科の医師に相談するようにしましょう。
肌荒れ
アフターピルの服用によりホルモンバランスが崩れることで、肌トラブルを引き起こすことがあります。肌トラブルの症状として、ニキビ・肌荒れ・乾燥・顔が赤くなるなどがあります。時間の経過とともに改善することもありますが、肌トラブルが酷い場合やなかなか症状が改善しない場合には医師に相談しましょう。
アフターピル・低用量ピルの服用における不安は専門医に相談しよう
アフターピル・低用量ピルは用法、分量を守ることで高い避妊効果が期待できます。しかし、アフターピルは72時間以内の服用が推奨されており、間に合わなかったらどうしようと不安や焦りを感じる方もいるでしょう。
健康上の問題があり、服用に関して不安がある場合もあります。そのため、アフターピルや低用量ピルを服用するときには婦人科の医師に相談することが重要です。一人ひとりの状態や健康状態に合わせて、適切なアドバイスを提供してもらえます。
また、アフターピルや低用量ピルは副作用があります。副作用についてしっかり医師から説明を受けていれば、もし副作用が出たとしても不安は軽減されるでしょう。
過去にアフターピルや低用量ピルを服用して副作用が辛かった方は、別の避妊方法もあるため、医師に相談することで自分に合った避妊方法を見つけることもできます。
編集部まとめ
アフターピルや低用量ピルは正しく服薬することで高い避妊効果が期待できます。アフターピルは性行為後72時間以内の服用、低用量ピルは毎日服用することが重要です。
アフターピルと低用量ピルを併用することは可能ですが、低用量ピルはアフターピルの代用にはならないので注意しましょう。
アフターピルを服薬後、副作用があらわれることがあり嘔吐してしまう場合もあります。嘔吐してしまったときには、追加でもう1錠服薬する必要があります。
アフターピル、低用量ピルともに医師の処方が必要な薬です。避妊を希望する場合には婦人科の医師に相談し、正しい服用方法や副作用についてしっかり話を聞きましょう。
参考文献