「20代女性の薄毛」の原因はご存知ですか?医師が監修!
「薄毛」というお悩みには「男性特有のもの」「加齢によるもの」というイメージが付いていることがよくあります。
特に若い女性の方では、このように考えたことのある方も多いのではないでしょうか。薄毛は頭髪のお悩みの中でも、白髪などと比べると限定性の高いものと思われがちです。
しかし実際は、20代女性の中にも薄毛に悩む方は多くいるといわれています。性別や年齢以外に原因のある、若い女性特有の薄毛症状も存在しているのです。
今回は20代前後の若い女性の薄毛のお悩み「若年性脱毛症」について、よくある症状・原因・対策方法などをご紹介いたします。
またセルフケアや専門医療機関による対策に加え、よくある疑問なども解説しています。薄毛に悩む方や対策を知っておきたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
薄毛に悩む20代女性は多い
女性の薄毛の原因は、加齢以外にも様々な要素が考えられます。しかし前述のように「男性特有のもの」「年齢的なもの」という固定概念があるために、なかなか相談しづらく表に出てこないのが特徴です。男性によくある薄毛は男性ホルモン依存性のものと考えられることが多いですが、女性の薄毛・抜け毛はホルモンバランス・生活習慣・ストレスなどが原因になるといわれます。
ここでは特に、若い女性が陥りがちな薄毛・脱毛の原因をピックアップしてご紹介いたします。誰にでもありうることだからこそ、事前に知識を持つことで慌てず適切に対応していくことを心がけましょう。
無理なダイエット・日常生活の乱れが原因に
特に若い女性にありがちな薄毛の原因として、無理なダイエットや日常生活の乱れによる栄養失調が考えられます。頭髪は私たちの体の一部であり、皮膚や爪と同じくタンパク質で構成されています。
その他にも鉄・亜鉛・ビタミンなど頭髪の新陳代謝に関わる栄養素は多く、過度なダイエットや偏った食生活でこれらが不足することが薄毛の原因です。さらに私たちの体は夜の22時から2時ごろまでに成長ホルモンをよく分泌するといわれ、この時間帯に睡眠をとらない生活が続くと新陳代謝に悪影響を与えます。
運動不足も同様に、代謝を落として栄養の巡りを悪くする原因です。まずは栄養バランスの良い食事と適度な運動・睡眠を心がけ、頭髪と体全体の新陳代謝を正常化するようにしましょう。
産後に薄毛になる人も
妊娠・出産を経験した女性に起こる薄毛・脱毛が「産後脱毛」です。産後脱毛は出産後3ヶ月〜1年程度の期間に起こるとされ、多くの場合は一時的なものです。しかし自覚できるレベルの抜け毛やボリュームダウンが見られることも多く、何かと忙しい産後の時期に精神的なストレスを増してしまう女性が多いといわれています。
この産後脱毛は妊娠・出産に際して大幅に増量していた女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が、出産後に急激に減少することで引き起こされます。健やかな髪の育成を助ける働きのある女性ホルモンの減少は、抜け毛や毛の細りの原因です。
さらに急激なホルモン量の変化は女性の心身に様々な負荷をかけるため、ストレス性の脱毛症など間接的な原因となることもあるといわれます。産後脱毛はほとんどの場合1年程度で収まるとされますが、不安なときは産婦人科や育毛外来に相談するなどしてストレスを溜めすぎないようにすることが大切です。
20代の女性に多い薄毛の症状は?
頭髪に関する疾患について、厚生労働省や日本皮膚科学会などでは「男性型脱毛症」「女性型脱毛症」という分類が使用されています。これは主な症状と原因によって分類されており、近年では一般の医療機関や製薬会社でも広く使用されるようになりました。このうち今回取り上げる女性型脱毛症では、つむじや生え際といった特定部位の脱毛よりも頭頂付近の全体的なボリュームダウンが見られるのが特徴です。
過度なダイエットや食生活の乱れによる栄養失調・ホルモンバランスの変化などの要因で、頭髪全体の毛の細りやハリ・コシの減少が見られます。これが進行するとつむじのあたりから徐々に毛量が減り、地肌が見えるようになって薄毛を強く自覚する場合もあります。また常に同じ場所で髪を分けたり結んだりしていると、徐々にその部分から頭皮の露出が増える「牽引性脱毛症」も代表的です。
どれも毛の細りやボリュームダウンから始まり進行が緩やかな場合が多く、症状がかなり進むまで自覚しづらいため日頃のヘアケアが大切になってきます。
女性の薄毛対策
なかなか他人に相談しづらく、また専門の医療機関を受診することも躊躇するという方が多いのも女性型脱毛症の特徴です。なるべく長引かせずに自分の力で解決したいという方は、まず先述のような脱毛の原因となる習慣を取り除くことから始めましょう。また最近では薄毛・脱毛対策の商品なども販売されており、ドラッグストアなどで購入できるものもあります。
この時に注意しておきたいのが頭皮のケアで、日々の洗髪といった生活習慣・育毛剤などの使用のいずれにおいても頭皮に気を使うことが大切です。基本的なセルフケアの組み合わせで、健やかな頭皮・毛髪を保てるようにしていきましょう。
20代女性におすすめの育毛剤・シャンプー
薄毛や脱毛のケアとしてよく選ばれるのが、市販の育毛剤やヘアケア効果の高いシャンプーなどの使用です。これらは育毛・発毛・頭皮のケアなど様々な効果があり、製品によって異なるアプローチが可能です。ここでは代表的な育毛剤・シャンプーの種類について、それぞれの効果やおすすめの症状などをご紹介していきます。
例)女性専用育毛剤
薄毛や脱毛の治療に使用される育毛剤は、頭皮に直接塗るタイプやサプリメントなどの種類があります。サプリメントでは健康的な髪の成長を助ける成分(パントテン酸など)に加え、ビタミンや亜鉛などの不足しがちな栄養素を補うものが代表的です。これらは生活習慣の乱れなどが原因で薄毛に悩む方におすすめです。
また頭皮に直接塗るものではスプレータイプやノズル(数滴ずつ出せるもの)タイプがあり、気になる部位によって使い分けることができます。つむじなど頭頂部の場合にはどちらでも特に問題ありませんが、生え際などは目や眉が近いためスプレータイプでは誤射の危険性があります。
例)女性専用育毛シャンプー
薄毛や脱毛に効果が期待できるシャンプーのうち、育毛成分を含むものを「育毛シャンプー」などと呼びます。これは前述の育毛剤のうち、頭皮に直接塗るタイプに近いものといえるでしょう。日々のルーティンの中に気軽に取り入れることができるため、忙しく時間の余裕が少ない方や塗り忘れが不安な方におすすめです。
また育毛シャンプーはノンシリコン・保湿成分入りといった髪をいたわる成分になっていることも多く、生えた髪を健康的に保つところまでサポートしてくれることがほとんどです。
例)ボリュームアップシャンプー
ヘアケアシャンプーには直接的な育毛・発毛効果ではなく、あくまで頭髪の調子を整えて頭皮の環境改善を促すような製品もあります。特に保湿成分が含まれているものが多く、乾燥による抜け毛・髪のパサつき・毛の細り・フケや皮脂の過剰分泌を防いでくれる効果が期待できます。
ここで合わせて注目しておきたいのが、シャンプーによく含まれる「シリコン」という成分です。何かと悪者にされがちなシリコンですが、髪の指通りをよくする・シャンプーの泡立ちをよくするなどの効果があるといわれます。
これらは頭皮の汚れをきちんと落とし、髪をサラサラにする手助けをしてくれます。そのため乾燥や毛の細り・枝毛などが気になる方には向きませんが、頭皮のべたつきやハリ・コシの無さが薄毛につながっている方にはおすすめです。
日常生活を見直して薄毛対策をしよう
薄毛対策には育毛剤やボリュームアップシャンプーなどの使用だけでなく、普段の生活習慣を見直すことがとても大切です。先述のように髪の毛はタンパク質や亜鉛などでできており、安定した新陳代謝にはビタミン・ミネラルなども必要不可欠です。これらの栄養素が不足していれば、そもそも髪を作る材料がないため育毛剤なども効果を発揮しきれません。
睡眠不足や過剰な夜更かし・昼夜逆転なども、正常な新陳代謝を阻害してしまうため注意が必要です。また運動不足でも代謝が下がり、汗の分泌が減ることで毛穴に皮脂が詰まりやすくなることがあります。皮脂の詰まりは髪の成長を妨げるだけでなく、臭いやフケの原因にもなるため気を付けておきましょう。
日頃から栄養バランスのいい食事・正しい睡眠時間・適度な運動を心がけ、きちんと洗髪することで頭皮を健やかに保つ努力をすることが大切です。
女性の薄毛治療クリニックも
昔は男性特有の症状と思われがちだった薄毛や脱毛も、今では女性にも起こりうるものとして専門のクリニックも増えてきました。男性特有の薄毛がAGAと呼ばれるのに対し、女性特有のものはFAGAと呼ばれます。FAGA専門クリニックでは育毛剤やサプリメントの処方に加え、生活習慣のアドバイスや改善案の検討・ホルモン治療などを実施してくれることもあります。
最近ではオンライン上でカウンセリング・診察・処方などを行ってくれるクリニックもあり、通院しているところを見られたくないという方でもクリニックを受診できるようになりました。基本的にはカウンセリングや診察によって専門医が最適な治療法を考えてくれるため、セルフケアでカバーできなくなってきたときには医療機関の受診がおすすめです。
20代女性の薄毛に関するよくあるQ&A
最後に、女性の薄毛や抜け毛に関してよくある質問をまとめてご紹介いたします。このほかにも、気になることがある場合は積極的に医師や看護師に質問しておくのがおすすめです。女性型脱毛症は男性型と比べて症状の幅が広く進行が緩やかであるともいわれるため、強い自覚症状が出たときにはかなり症状が進んでしまっているという場合もあり得ます。
少しでも気になることがあれば、そうなる前に早い段階での治療・対策ができるようになります。一人で抱え込まず、まずは相談するところから始めてみましょう。
薄毛になりやすいヘアスタイルはありますか?
女性特有の薄毛として挙げた「牽引性脱毛症」では、髪を強く引っ張る形で結ぶことが原因になります。特に前髪をすべて上げる形のまとめ髪や、いつも同じところに分け目を作るような髪型はそこから薄毛になりやすいといわれます。時々前髪をおろしてみたり、分け目を定期的に変えるなどの対策がおすすめです。
また過剰なブリーチや染髪なども頭皮や髪に大きな負担となるため、保湿などのケアとセットにするような工夫をするといいでしょう。
女性の薄毛は治りますか?
女性の薄毛は様々な要因が重なって起こるもののため、きちんとひとつひとつの原因を見つけて対処していけば治療することが可能です。遺伝やホルモンが大きな原因となる男性型脱毛症と比べると、医療機関の受診ではなくセルフケアで対処が可能だといえるでしょう。
特に20代など若い女性の場合では加齢や遺伝以外に原因があることがほとんどのため、適切な対策による回復が十分期待できます。
薄毛の予防方法を知りたいです。
薄毛の原因は広く複雑なため、一概に「これをすれば薄毛になる・ならない」と言い切ることはできません。しかし先述のように日々の生活習慣を見直し、髪の分け目や結び方を工夫することで可能性を下げることはできます。頭皮や毛髪に負担をかけすぎない、健康的な生活を心がけることが予防の第一歩です。
編集部まとめ
今回は女性特有の薄毛のお悩みについて、様々な角度から原因や対策をご紹介してきました。今お悩みの方も将来が不安な方も、参考にしていただけたでしょうか。
薄毛のお悩みは人に相談しづらいぶん、一人で抱え込んでストレスを溜めてしまう悪循環にも陥りがちです。特に外見に影響が出るため、QOLの維持にも大きく関わってきます。
まずは日々の生活の中で実践できるヘアケアを取り入れ、薄毛の進行を防ぐことから始めてみましょう。正しい知識を得ることで、心と体の両側面をケアすることができます。
また行き詰まった際には遠慮せず、インターネットなどのカウンセリングを利用することも検討しましょう。
気になることがあるときは、それをきっかけに対策をしていくことが大切です。