「女性の薄毛治療」方法はご存知ですか?原因についても詳しく解説!
年齢を重ねるごとに髪の毛が抜ける・ボリュームがない・ヘアスタイルが決まらないなど、髪の毛の悩みを抱えている女性は多いのではないでしょうか。
男性に起こる薄毛の症状は、女性にも起こり得る症状でもあります。ホルモンバランスや生活習慣・病気の可能性が原因で起こる場合が多いです。
この記事では女性薄毛の原因や種類・効果的な薬・副作用について詳しくご紹介します。
薄毛に悩んでいる方はぜひ参考にして、自分に合った治療方法を探しましょう。
監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会
目次 -INDEX-
女性の薄毛の原因
女性の薄毛は男性の薄毛とは違い毛髪自体が細く弱り、局部的ではなく全体的に髪の毛のボリュームがなくなり薄くなっていくことが特徴です。原因として以下のことが考えられます。
- 加齢
- 女性ホルモンの乱れや減少
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
- 過度なダイエット
- 誤ったヘアケアやヘアスタイル
- 病気
加齢にともない女性ホルモンは年々減少していき、早い方だと35歳前後でエストロゲンの分泌量が減っていきます。毛髪を健康的に保つ女性ホルモンのエストロゲンにより薄毛を防いでいますが、男性ホルモンのテストステロンが増加すると、女性でも薄毛の症状が出てきます。
ストレスや生活習慣も薄毛に多く関係し、脳の中にある視床下部と呼ばれる部分は、女性ホルモンの分泌に関わる場所です。ストレスを感じるとホルモンバランスが乱れ、男性ホルモンであるテストステロンが増加してしまいます。
紫外線の影響や喫煙・添加物や油っこい食事ばかりの偏った食生活などは、身体の細胞に悪影響を及ぼす活性酸素が増加します。活性酸素が増加することで、毛髪を形成している毛母細胞が弱り薄毛へと繋がるのです。
また、過度なダイエットも毛髪に影響を及ぼします。過度なダイエットを行い栄養バランスの乱れた食生活を続けていると、血行不良となり頭皮にまできちんと栄養が届きません。いつも同じようにまとめたヘアスタイルやポニーテール・きつめの三つ編みなども、髪の毛根部分の血流が悪くなり血行不良となるのです。
女性の薄毛はさまざまな原因が考えられますが、何らかの病気が関係している可能性もあります。慢性甲状腺炎(橋本病)や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患が考えられます。薄毛の治療を行っていく前に、まずは何が原因なのかを把握してから治療を行っていくことが望ましいでしょう。
女性の薄毛の種類
女性の薄毛にはいくつかの種類があります。代表的な種類としてびまん性脱毛症と分娩後脱毛症が挙げられます。ご自身の薄毛の症状と照らし合わせてみてください。もし当てはまらない場合は、医療機関を受診し医師に確認をしましょう。
びまん性脱毛症
代表的な女性の薄毛として挙げられる症状にびまん性脱毛症があります。「びまん」とは「一面に広がる」という意味合いで、その名前の通り髪の毛が全体的に細くなり薄くなる症状です。
加齢やストレス・生活習慣が関係しています。主に40代以降の女性に見られますが、20代以上の女性の約40%が一生に一度は発症するといわれている、女性にとって身近な症状の1つです。
前頭部の生え際から後退する男性によく見られるAGAとは違い、髪全体が均等に脱毛するので脱毛部位の境界がはっきりとしません。
分娩後脱毛症
分娩後脱毛症は産後に見られる薄毛のことで、びまん性脱毛症と同じくらい女性の薄毛に多い症状です。妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンが増加しますが、出産後にエストロゲンが一気に減少し、正常だったヘアサイクルが乱れ休止期に入ってしまい髪の毛が抜け落ち薄くなります。
出産後3ヶ月から半年ほど抜け毛が増え、授乳期が終わる半年から1年ほどで自然と治癒している場合が多いです。休止期に入っていた髪は次第に成長期初期に入り、毛髪を形成していきます。
ただし育児のストレスなどが原因となり、自然治癒しないケースもあります。きちんと睡眠をとり身体を休め、ストレスを溜めないことが重要です。
FAGA
FAGAとは「Female(女性の)AGA(男性型脱毛症)」と呼ばれる女性の薄毛の総称のことです。男性型脱毛症のAGAとは薄毛の特徴が異なるため、別の呼び方で区別されています。
主に40代以降の壮年期の女性に多く見られる症状ですが、20代頃でも起こる場合があるのです。以下のような特徴が挙げられます。
- 髪の毛の分け目が広がったように感じる
- 抜け毛が増えた
- 髪の毛が細くなった
- 全体的に薄い
薄毛の初期の段階は自分では気がつかないことがほとんどです。放っておくと進行してしまうため、少しでも異変を感じたら早めの治療を行うことをおすすめします。
女性薄毛治療の方法
次に女性薄毛治療の方法についてご紹介します。適切な治療方法を行っていくことが、薄毛改善へと繋がります。薬を使用するなど医学的な治療が重要と捉えられがちですが、日々の生活習慣の改善も非常に重要なことです。
生活習慣の改善
効果的な治療を行っても生活習慣が乱れていると、治療の効果が低くなってしまいます。まずは栄養バランスのよい食事を心がけ、十分な睡眠を取りましょう。睡眠を取ることで組織の修復をする成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは起きているときには分泌が抑えられるため、睡眠は大切です。
また、ストレスを溜めると男性ホルモンであるテストステロンが増加してしまうので、きちんとリフレッシュをしリラックスしている状態を心がけましょう。薄毛の治療を始めるとともに、ご自身の生活習慣の見直しも重要となってきます。
女性薄毛治療に効果的な薬
薄毛治療に効果的な薬として、内服薬・外用薬・育毛成分を注入するタイプがあります。代表的な内服薬は、パントガールやヴィヴィスカルプロフェッショナルです。
パントガールは世界初の飲むタイプの治療薬で、とくにびまん性脱毛症に対して高い効果が期待できます。アミノ酸やケラチン・タンパク・ビタミンB群などの健康な髪の毛をつくるために必要な成分を豊富に含んでいます。
今のところ重篤な副作用はありませんが、アレルギー経験や妊娠授乳中などの場合は服用を控えましょう。ヴィヴィスカルプロフェッショナルは、特許成分である海洋性たんぱく質「AminoMarC™」を含んだ医療機関専売の育毛サプリメントです。毛髪に必要な栄養素を補います。
「AminoMarC™」のほかに、健康な髪の維持に必要なビオチンや髪を太く濃くしヘアサイクルを正常に促す働きをするリンゴ抽出物粉末など、髪を健康に保つ成分が配合されているのです。
薬剤成分は配合されておらず、今まで副作用があったという報告はないので副作用の心配はないでしょう。ヴィヴィスカルプロフェッショナルも妊娠授乳中の方は使用を控えていただき、海洋性たんぱく質を含んでいるため魚介類のアレルギーのある方に使用はおすすめしません。
外用薬は内服薬でも使用されているミノキシジルの使用が多いです。頭皮に直接塗布し使用するため、副作用が起こりにくいです。ただし初期脱毛の可能性がありますが、これは新しい髪の毛が生まれ変わるための脱毛となるので、4週間ほどで落ち着くので心配はないでしょう。
投薬だけではなかなか改善が見込めない場合は、メソセラピーと呼ばれている有効成分を体内に注入する方法もあります。使用する薬剤は成長因子・ミノキシジル・幹細胞上清液・エクソソームを含む薬剤の使用が多いです。投薬と併用して行うことで、発毛効果を感じやすいです。
植毛
植毛には人工植毛と自毛植毛の2パターンがあります。人工植毛はポリエステルやナイロンなどの化学繊維でつくられた人工物を頭部に植え込むため、感染症や拒否反応が出るケースが多く副作用のリスクが高いです。
一方自毛植毛は自分の毛髪を移植するため頭皮への影響が出にくく副作用のリスクも少なく、定着率が高いメリットがあります。定着することで新たに毛髪が成長し、継続的なメンテナンスをする必要がありません。
しかし、自毛植毛は保険適用外となるため治療費が高く、メンテナンスを必要としなくても治療を続ける必要があります。定着しても原因が残っていれば、再び抜けてしまうことになるからです。
自分に合った女性薄毛治療の選び方
まずは薄毛の症状を把握しましょう。薄毛といっても原因となっている部分はさまざまあり、症状により治療法は変わってきます。薄毛治療には原因に合わせた的確な対処が必要です。
生活習慣が原因となっている場合は生活習慣の見直しを、何らかの病気が関係している場合は原因である病気の症状を抑える適切な治療を受けましょう。
薄毛が気になる場合は放置せずに、毛髪外来や脱毛症外来などの専門の医療機関を受診し、医師に相談しましょう。早期に受診することが、薄毛の悩みを解決する最善策となります。
女性薄毛治療に関するよくあるQ&A
ここからは女性薄毛治療に関する項目について質問をご紹介します。薄毛治療をしていく上で気になる、効果の感じ方や薬の副作用や継続しなくなるとどうなるかをQ&A形式で記載しています。他にも気になる点がある場合は、そのままにせずに。医師に確認しましょう。
効果はどのくらいの治療で感じることができますか?
個人差はありますが6〜12ヶ月ほど治療を続けていくと効果を感じる方が多いです。人により薄毛の原因は違います。生活習慣やホルモンバランスの変化などにもよって効果の出方は変わってくるのです。
同じ症状で同じ治療を受けている方でも、薄毛の進行具合により効果を感じるまでの期間は違います。早期受診をし早めの治療を行うことが望ましいですが、髪と頭皮によい習慣を実行することで治療期間を早めることが可能です。
女性薄毛治療の薬に副作用はありますか?
内服薬のパントガールは30年以上の実績の中で、重篤な副作用の症例は1例もありません。ただ、軽度の副作用が出る場合もあります。
- 腹痛
- 下痢
- めまい
- 頭痛
- 動機
- 胸焼け
妊娠中や妊娠の可能性のある方や授乳中の方は、服用を控えていただいています。ミノキシジルは内服薬・外用薬とも初期脱毛や体毛が増える多毛症の副作用が出るケースが多いです。
内服薬の場合は、心血管系の副作用が出る可能性もあります。いずれにせよミノキシジルを使用した治療を中止することで改善されます。
薬の服用をやめるとどうなりますか?
外用薬でミノキシジルなどの薬剤により発毛が促進されていた場合、治療をやめてしまうと発毛作用の維持ができません。内服薬の場合はやめてしまうことで、髪の成長スピードが遅くなる可能性があります。
長期的な作用の維持が継続ができません。メソセラピーは毛髪成長サイクルを正常に戻していく治療ですが、治療をやめると徐々に元の状態に戻ります。
いずれの治療でも続けていく必要があります。女性薄毛は原因をすべて取り除くことも完治も難しい症状です。薬の成分が身体に溜まったり髪にアプローチし続けたりするわけではありません。
身体から薬の成分が抜けると再び進行や症状が悪化してしまう可能性もあります。ただし髪が生え揃え悩みが解消されると、減薬することは可能です。
症状の進行は緩やかとなりますので、気になったら再開が望ましいでしょう。自己診断で減薬はおすすめしません。医師の指示のもとで行いましょう。
編集部まとめ
女性の薄毛にはさまざまな原因が関係しています。まずは自分の薄毛の症状の原因を把握することが大切です。
そのためにも早期受診が重要となります。「恥ずかしい」「受診するために人目が気になる」という方はオンラインカウンセリングやプライバシーが配慮されているクリニックを選び、早めに医師と相談し治療を開始しましょう。
また、規則正しい生活を心がけ女性ホルモンのバランスを整えることも発症予防に繋がります。
女性薄毛は完治が難しい症状です。しかし原因を把握し適切な治療を進めていくことで、悩みが改善されるでしょう。
自分に合った治療方法を見つけ、上手に薄毛と向き合っていきましょう。