「EDの治療薬の副作用」はご存知ですか?医師が監修!
男性特有の病気であるEDは、様々な疾患によるものや加齢等によって起こるものであり、男性であれば誰しも発症の危険がある病気です。
そのような病気ではありますが治療薬があり、適切に対処すれば改善することが可能です。
しかし、副作用が気になって服用をためらっている方もいるでしょう。そこで本記事では、ED治療薬の副作用についてご紹介します。
治療薬の種類や安全に購入するための注意点も開設するので、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
平澤 陽介(東京医科大学病院)
2010年3月 横浜労災病院 初期研修修了
2011年4月 慶應大学病院 泌尿器科 助教
2014年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教
2018年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教・医長 医学博士取得
2019年5月 Cedars Sinai (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス)にResearch fellowとして留学
2021年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 講師
目次 -INDEX-
EDの治療には投薬治療が効果的
ED治療は、原因によって様々な治療方法があります。中でも投薬治療は、非常に効果的な治療方法です。EDの原因には、次のようなものが挙げられます。
- 心因性
- 器質性
- 混合性
- 薬剤性
心因性は精神的・心理的な原因やパートナーとの関係などが原因となるEDのことです。
器質性は血管・神経・内分泌環境などの体内で生じた障害によって引き起こされます。
混合性とは、心因性と器質性が複合的に影響しておこるEDのことです。
薬剤性は、服用中の薬の副作用によって引き起こされます。
この中でも特に心因性と器質性については、投薬治療が大きく効果を発揮してくれるのです。薬の効果によって勃起し、成功体験を繰り返すことができれば自信を持つことができ改善が見込めます。
また、器質性の場合は、根本的体質を改善するには長い時間が必要です。しかし、投薬治療によって勃起を繰り返すことで、徐々に血流量の改善ができ、症状の改善につながります。このように投薬治療は、EDの治療において非常に効果的な治療方法なのです。
EDの治療薬の種類
具体的な治療薬には、次のようなものが挙げられます。
- バイアグラ
- ザイデナ
- ステンドラ
- レビトラ
- シアリス
バイアグラは1998年にファイザー社から発売されたもので、治療薬の中でも最も知名度のある薬です。世界で初めて製品化された治療薬でもあります。
また、日本においては1999年3月から発売されている薬であり、厚生労働省に最も早く承認された薬です。体質にもよりますが、薬の強さとしては強力な部類に属しており、高い勃起力を感じる方が多いです。
服用後1時間程度で効果を得られ、効果持続時間は4~5時間程度となります。ザイデナは、アジア初の治療薬であり、アジア人向けに作られている点が特徴です。
ザイデナは最新のED治療薬で、3大ED治療薬といわれるバイアグラ、レビトラ、シアリスのあとに開発されました。
服用後30分~1時間程度で効果を得ることができ、持続時間は11~13時間となります。また、食事の影響を受けづらいことや、治療薬の中では副作用が出にくい点が大きな特徴です。
3大治療薬で十分な効果を得られなかった方がザイデナを選ぶこともあります。ステンドラは、治療薬の中でも比較的新しく開発された薬であり、他の治療薬のメリットを活かした薬となっています。効果があらわれる時間は服用後15~30分で、持続時間は3~6時間です。副作用の出にくさも、治療薬の中ではトップクラスとなります。
欧米、アジア諸国ではステンドラやザイデナといった第4の治療薬が多くの治療実績を持っています。
レビトラは、効果を得られる時間が非常に早い点が特徴の薬です。服用後15~20分で効果を得られます。これは、水に溶けやすい性質を持ち、体内に吸収されやすいためです。持続時間は5~8時間であり、効果も非常に強い部類に属する治療薬です。
シアリスは、現在世界シェア1位の薬となります。30~36時間程度の効果持続時間を持つ点が特徴です。また、効果はマイルドであり、治療薬の服用が初めてという方や効果が効きすぎて怖いと心配されている方にも使いやすい薬です。
EDの治療薬の副作用
治療薬には様々あり、その効果や持続時間などには違いがあります。しかし、薬を利用するにあたって副作用が気になる方もいるのではないでしょうか。薬を選ぶ際には正しく理解するべき点になるため、ここでは具体的な治療薬の副作用をご紹介します。
頭痛
治療薬の副作用として、発生しやすい副作用の1つが頭痛です。治療薬の効果によって、血管が拡張され血圧が変化します。そのため、頭痛が発生する可能性があるのです。症状としては軽度のものではありますが、長引く場合もあるため、その際には休憩を取りましょう。
めまい
発生率としては低いですが、副作用としてはめまいも挙げられます。薬の効果によって血管の拡張が起こることで血圧が下がります。そして、脳への血流量が減り酸欠状態になることでめまいが発生する仕組みです。
特に、普段から低血圧の方や立ち眩みを起こしやすい方は、めまいを引き起こしやすくなります。これらの症状も低血圧によって起こる症状のためです。
消化不良
稀な副作用ではありますが、消化不良を引き起こす可能性もあります。薬の服用の結果、胃腸の機能が低下する可能性があるのです。すると、食べた物の消化吸収を妨げ、消化不良を引き起こす可能性があります。
薬によっては、陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させる場合があります。弛緩させて血管を広げることで血流量の増加を行い、勃起を促すのです。しかし、ごく稀に、薬によって内臓の平滑筋が弛緩されることがあります。
通常、胃などの平滑筋は内部の物や胃酸が逆流しないように動いていますが、弛緩すると逆流してしまう可能性があります。これによって消化不良が起こってしまうのです。消化不良と同時に、嘔気・腹痛・胸やけなども引き起こす可能性があるため注意が必要です。
突発性難聴
非常に稀な症状としては、突発性難聴が挙げられます。突発性難聴とは、突然発症して耳が聞こえなくなるといった疾患です。難聴の度合いは個人差があり、完全に聞こえなくなる場合もあれば軽度な場合もあります。片耳だけ発症する傾向が多いです。しかし、現在の研究結果では、因果関係ははっきりとはしていません。
低血圧
治療薬には、血管を拡張する作用があるため血圧の低下を引き起こす可能性があります。これによって重度な症状を引き起こすことは稀ですが、心臓への悪影響が発生する可能性は0ではありません。
心血管系障害と呼ばれる副作用の可能性も少なからずあるため、血圧低下とそれによって引き起こされる症状は把握しておきましょう。
EDの治療薬を安全に購入するための注意点
治療薬を安全に購入するために、次のような点に注意しましょう。
- 安易に個人輸入で購入しない
- 医師の診察を受けて処方してもらう
現在、インターネットで検索すると海外サイトなどから多くの情報を得られます。中には購入できるサイトなどもありますが、安易に個人輸入で購入しないようにしましょう。
海外製品は国内販売されている医薬品のように、品質や安全性の保証がありません。また、治療薬と称してはいるものの、偽造ED治療薬が販売されている場合もあります。過去の事例では、この偽造治療薬によって死亡したケースや重篤な健康被害がもたらされたことがあることも分かっています。
国内においても、呼吸困難の末に亡くなった事例も報告されており、大変危険です。安易に個人輸入を行ってしまうと、こういった偽造治療薬を服用する危険もあるため注意をしましょう。また、国内で販売しているからといって誰しもに安全な薬とは限りません。
自身の健康状態によっては、服用を避けるべき治療薬もあります。個人で購入する場合は、医師や薬剤師の適切な説明が無いため、適切な薬を購入できない可能性も高いです。安全に購入するためには、専門の病院などに受診して診断を受けた結果をもとに処方してもらうことが、最も有効な方法です。
EDの治療薬による副作用に関するよくあるQ&A
投薬治療は非常に効果が見込めますが、一方で副作用があることをご紹介しました。副作用については、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、副作用についてよくある質問事項を回答とともにご紹介します。
副作用が出にくい薬はありますか?
治療薬の中でも、副作用が出にくい薬はシアリスです。次いでザイデナ・ステンドラ・レビトラ・バイアグラの順で後者にいくほど副作用が出やすい薬といわれています。副作用の出にくさの違いは、体への吸収がされやすいかどうかに関係します。シアリスは水に溶けにくい性質です。
そのため、体への吸収もゆっくりと行われます。一方、バイアグラは水に溶けやすい性質です。体へ吸収されやすいため強い効果を得やすいですが、副作用も強く出てしまうのです。
しかし、副作用はあくまでも一過性のものとなります。血管が拡張されたことにより起こるものなので、薬の効果が切れると副作用も出なくなるため心配の必要はありません。
副作用が出やすい人の特徴を教えてください
副作用が出やすい人の特徴としては、次のようなものが挙げられます。
- 高血圧・低血圧と診断されている方
- 脳出血・脳梗塞・心筋梗塞などの既往歴がある方
- 腎臓・肝臓に重い障害がある方
- 心血管系障害のある方
- 特定の薬を服用されている方
高血圧・低血圧と診断されている方は、副作用が出やすいため服用は不可能となります。具体的な数値としては、高血圧の方で170/100mmHg以上の方は服用できません。また、低血圧の方で90/50mmHgを下回る方も服用不可能です。
治療薬を服用するためには、まずは血圧のコントロールを行う必要があります。6ヶ月以内に脳出血・脳梗塞・心筋梗塞などの既往歴がある方も副作用が出やすいため、服用してはいけません。
腎臓・肝臓の持病や心血管系の障害がある方は、大きな副作用が出る可能性もあるため、服用は不可能です。さらに、特定の薬をすでに服用中の方は、薬の効果によって副作用が出やすいこともあります。
そのため、併用注意・併用禁忌と扱われる薬もあるのです。併用禁忌と扱われる薬を服用している方は、副作用が非常に強く出てしまう可能性もあるため特に注意が必要です。
副作用が出た場合の対処法を教えてください
副作用は誰しも発生する可能性があります。慌てず落ち着いて対処しましょう。例えば頭痛の場合、頭の患部を冷やすことで症状を緩和させることができます。痛み止めを使用する方法も効果があります。市販の痛み止めを使用するなどして、対処しましょう。
めまいの場合は、楽な姿勢で安静にすることが効果の高い対処法です。この時、暗い部屋や日陰で過ごすようにして、光の刺激を受けないようにすることも重要です。深呼吸してゆっくりと落ち着くことで、ゆっくりとめまいの症状も治まってくるでしょう。
また、衣服のベルトなど締め付けているものを緩めることも効果的な対処法です。消化不良が起きてしまった場合は、それ以上の悪化を防ぐために、お腹を温めることが効果的な対処法です。悪化すると下痢などの辛い症状を引き起こす可能性があります。
体温を暖かくしておくと、全身の血流が良くなり胃などの血流も改善されます。薬の副作用による弛緩や消化不良もやわらぐでしょう。副作用には、様々な症状があります。具体的な対処法は症状によって異なりますが、性行為中に副作用が出た場合は一旦中断して休憩することが効果的な共通の対処法です。
ゆっくり休むことで副作用は徐々に緩和していきます。どのような症状でも共通して効果があるため、副作用を感じた場合はまずは体を落ち着かせましょう。また、副作用の内容や重症度を問わず、医師に相談することも重要な対処方法です。
医師への相談は体の異変を解決させる最も効果的な手段です。服用を続けていいかを相談することで、より自分に合った薬を見つけられるかもしれません。
編集部まとめ
EDは様々な原因によって誰しも発症する可能性のある病気ですが、効果的な治療薬が存在し治療を進めることができます。
しかし、副作用が発生する薬もあるため、正しい副作用の内容や対処法などを知っておくことが大切です。
ED治療薬と併用注意や併用禁忌となる薬もあり、既往歴によっては副作用が出やすく服用してはいけない人もいます。
正しく治療薬のことを理解して、効果的にED治療を進めましょう。