「低用量ピルでニキビ」を治療できるってご存知でしたか?医師が監修!
更新日:2025/03/17

低用量ピルは避妊効果のある薬ですが、他にも効果があり治療や予防などにも使われます。中でも代表的なものがニキビ治療です。 ニキビは誰しもかかる皮膚の病気であり、適切な治療を行わなければ跡が残る可能性もあります。 適切な治療のため、薬を使ったニキビ治療について詳しく知りたいと考えている方はいるでしょう。 そこで本記事では、低用量ピルを使ったニキビ治療について解説します。期待できる効果やピルの種類・おすすめな人の特徴までご紹介するので参考にしてください。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
目次 -INDEX-
低用量ピルとは
この薬は卵胞ホルモンと黄体ホルモンといった2種類のホルモンが配合された薬です。ピルには低用量の他に中用量といったものがあり、ホルモンの配合が異なります。主な効果は次のようなものです。- 排卵抑制効果
- 子宮内膜の増殖抑制
- 女性ホルモンのバランスを整える
月経・生理で肌トラブルをおこす原因とは
薬がニキビ治療に役立つことを知る前に、まずは生理などがニキビに関わることを知る必要があるでしょう。月経・生理は肌のトラブルと密接に関わっています。生理が近づくと、卵胞ホルモンが減り、黄体ホルモンの割合が多くなります。黄体ホルモンは、男性ホルモンと似たような働きをするため、皮脂の量が増えるなどの影響が発生するのです。皮脂が増えると顔が脂っぽくなる・毛穴が詰まりやすくなるといった悪影響が生じます。その結果、ニキビができやすくなるというメカニズムです。また、月経や生理は肉体的な変動だけでなく精神的にもバランスが崩れるタイミングとなります。精神的に不安定となると、食事や睡眠などの生活面でも乱れるため、肌荒れを起こしニキビを起こすことにもつながります。低用量ピルのニキビ治療に期待できる効果
先述したように、ニキビは生理や月経によっても引き起こされる病気です。そのため、生理や月経を改善する薬である低用量ピルが効果を発揮してくれます。それでは、実際に薬からどのような効果を得られるのでしょうか。ここでは、薬のニキビ治療に期待できる効果をご紹介します。ホルモンバランスが整えられる
低用量ピルを用いることで、ホルモンバランスが整えられます。先述したように薬には卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれており、女性ホルモンを取り込めます。そのため、体内のホルモンバランスを整えることができ、その結果肌荒れやニキビの改善を行えるのです。皮脂の過剰が減少する
先述したようにニキビを引き起こすのは皮脂の過剰な分泌が大きく関係します。低用量ピルを服用することで、この皮脂の過剰分泌を減少させられるのです。通常の生理の場合、排卵が起きてから数日後に黄体ホルモンが急激に分泌されます。そして女性ホルモンは減少するのです。薬の服用がない場合は、黄体ホルモンの作用で皮脂の分泌が過剰に行われます。これを放っておくと、皮脂によって毛穴が閉塞するなどの状態となるのです。そして、その結果ニキビや肌荒れを引き起こします。しかし、低用量ピルを服用すると不足している女性ホルモンを取り入れることができ、黄体ホルモンを減少させることが可能です。女性ホルモンのバランスが整えられるので、過剰な皮脂の分泌も減少しニキビの発生を抑えられます。肌が乾燥しにくくなる
肌が乾燥しにくくなることも大きな効果です。通常、生理中は女性ホルモンが減少します。女性ホルモンには肌の保湿効果があるため、減少すると保湿効果も得られなくなってしまうのです。しかし、低用量ピルを服用すると減少した女性ホルモンを取り入れられるため、保湿効果も回復します。肌の乾燥を防ぎ状態を整えるため、ニキビが発生しにくくなるのです。ニキビ治療に使われる低用量ピルの種類
薬に期待できる効果についてご紹介しましたが、実際にどのような薬の種類があるのか気になっている方も多いでしょう。低用量ピルには次のような種類があります。- マーベロン
- ヤーズフレックス
- ファボワール
ニキビ治療に低用量ピルがおすすめな人の特徴
ニキビ治療に低用量ピルがおすすめな人の特徴として、次のようなものが挙げられます。- 顔の皮脂分泌が過剰な方
- 低用量ピル以外の治療方法で、ニキビの改善ができなかった方
- 月経不順などがある方
低用量ピルとニキビに関するよくあるQ&A
ニキビ治療に効果があることや、どのような方におすすめなのかを具体的にご紹介しました。しかし、実際に服用するとなると様々な疑問が生じます。疑問を解消して納得してからでなければ、安心して服用できないでしょう。そこでここからは、低用量ピルとニキビに関するよくある質問をご紹介します。低用量ピルを飲んでどのくらいで効果が期待できますか?
服用して数日後すぐに効果が現れるような、即効性の高い薬ではありません。そのため、効果が期待できるのは、服用開始してから2~3月程度経過したころです。この期間が、薬の副作用も落ち着いて、体内のホルモンバランスが整い慣れたころとなります。効果が現れるまでの間は、ホルモンバランスが崩れて引き続きニキビが発生する可能性があるでしょう。しかし、服用を続けていると薬の効果で次第にホルモンバランスが整い始めます。すると皮脂の過剰な分泌も和らいでくるため、ニキビの原因を抑えられるのです。万が一、薬を服用し始めて2~3ヶ月経過しても効果が表れず、肌の状態も改善が見られないようであれば専門の医師に相談しましょう。低用量ピルをやめるとまたニキビができますか?
服用をやめると、必ずしも全員にニキビが再発するわけではありません。しかし、服用をやめるとニキビが再発する可能性はあります。これは、薬の服用をやめることで、ニキビの発生条件が再度そろってしまうためです。ニキビの発生の条件には、ホルモンバランスの乱れ・皮脂の過剰分泌などがあります。薬は、ホルモンバランスを整えたり皮脂の過剰分泌を抑える効果をもちます。服用を続ければニキビが発生することがないように対処できていますが、服用をやめると原因となる条件がそろってしまうのです。例えば、薬の効果で皮脂の分泌を抑えていた場合、服用をやめるともとのように過剰に皮脂を分泌するようになるでしょう。すぐに効果がなくなりニキビができるわけではありませんが、薬の効果が切れてホルモンバランス・肌の状態が元に戻ればニキビが再発する可能性があります。低用量ピルを使うとニキビが悪化すると聞いたのですが
ニキビによっては、薬の効果が合わず悪化する可能性もあります。例えば、ニキビの原因が男性ホルモンの作用の場合、通常であれば男性ホルモンを抑える低用量ピルを使用するでしょう。しかし、薬の効果が合わない場合、薬に含まれる女性ホルモンが体内の男性ホルモンを活性化させてしまうことがあるのです。そのため、かえってニキビを悪化させてしまう場合があります。この場合は、より男性ホルモンを抑えるための適切な薬を選ぶ必要があります。また、ニキビの原因がホルモンバランスの乱れなど以外にある場合は、薬を使っても改善は見込めません。それにもかかわらず、薬を服用しホルモンバランスが崩れてしまうと、さらに悪化を招く可能性があります。そのため、服用することで悪化してしまったと思い込む可能性もあるでしょう。ホルモンバランス以外の原因としては、生活習慣・ストレス・紫外線など様々です。医師の相談の元、しっかりと原因を特定し、適切な薬を選んで服用しましょう。編集部まとめ
低用量ピルは、ニキビ治療において効果のある薬です。しかし、服用の際には効果だけでなく、期間や効果を発揮するメカニズムなども把握しましょう。
服用してもニキビが治らない場合や、服用をやめて再発する場合もあります。その際に、適切に対処するためには効果などを知っておくことが非常に大切です。
低用量ピルによる治療が自分に合うかどうかも含めてしっかりと判断し、ニキビの無い快適な肌にしていきましょう。
参考文献

