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「小腸がん」を発症すると「どんな痛み」を感じる?どこに痛みを感じるかも医師が解説!

 公開日:2025/09/23
「小腸がん」を発症すると「どんな痛み」を感じる?どこに痛みを感じるかも医師が解説!
小腸がんを発症するとどんな痛みを感じる?メディカルドック監修医がどこに痛みを感じるか・初期症状・原因・検査法・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は消化器外科、消化器内科、産業医を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、永仁会病院に勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。

「小腸がん」とは?

小腸がんは、小腸(十二指腸、空腸、回腸)に発生する悪性腫瘍です。消化器がんの中では比較的まれな疾患で、全消化器がんの約1-2%を占めます。小腸は約6-7メートルもの長さがありながら、大腸がんや胃がんと比較して発生頻度が低いのが特徴です。小腸がんは組織型により、腺がん、悪性リンパ腫、神経内分泌腫瘍(NET)、消化管間質腫瘍(GIST)に分類されます。最も多いのは腺がんで、特に十二指腸に好発します。初期症状が乏しく、発見が遅れることが多いため、早期発見・早期治療が重要です。

小腸がんを発症するとどんな痛みを感じる?

間欠的な痛み

小腸がんの最も特徴的な痛みは、間欠的な腹痛です。この痛みは、がんによる腸管の狭窄や小腸の動き(蠕動)が原因で起こります。食事後に特に強くなる傾向があり、波のように痛みが強くなったり弱くなったりします。初期段階では軽い違和感程度ですが、進行すると激しい痛みに変わることがあります。

持続的な鈍痛

小腸がんが進行すると、持続的な鈍い痛みを感じることがあります。この痛みは、がんが周囲の組織に浸潤したり、炎症を起こしたりすることで生じます。痛み止めが効きにくく、日常生活に支障をきたすことも多いです。安静にしていても痛みが続くのが特徴です。

痙攣するような痛み

腸閉塞を起こした場合、痙攣様の激しい痛みが生じます。この痛みは数分間隔で周期的に起こり、患者さんは苦悶の表情を見せることが多いです。嘔吐や腹部膨満を伴うことが多く、緊急性の高い症状です。

小腸がんを発症すると、どこにどんな痛みを感じる?

上腹部痛(みぞおち周辺の痛み)

十二指腸がんの場合、上腹部やみぞおち周辺に痛みを感じることが多いです。この痛みは、食事と関連して起こることが特徴的で、特に脂肪分の多い食事の後に強くなる傾向があります。胃炎や胃潰瘍と似た症状のため、見逃されやすい部位です。上腹部痛を感じた場合は、まず内科または消化器内科を受診することをお勧めします。症状が持続する場合や、体重減少を伴う場合は、早急な精密検査が必要です。緊急性が高い場合は、救急外来での受診も検討してください。

臍周辺の痛み

空腸がんの場合、臍周辺に痛みを感じることが多いです。この痛みは、食事の内容に関係なく起こることが多く、徐々に強くなっていく傾向があります。腸の蠕動運動が障害されることで、不規則な痛みのパターンを示すことがあります。臍周辺の痛みが続く場合は、消化器内科での詳しい検査が必要です。特に血便や体重減少を伴う場合は、緊急性が高いため、速やかに専門医を受診してください。

右下腹部痛

回腸がんの場合、右下腹部に痛みを感じることがあります。この痛みは、虫垂炎(盲腸)と似た症状を示すことがあり、鑑別診断が重要です。慢性的な痛みから急性の激痛まで、様々な痛みのパターンを示します。右下腹部痛を感じた場合は、まず内科または消化器内科を受診し、必要に応じて外科の診察も受けることをお勧めします。発熱や嘔吐を伴う場合は、腸閉塞の可能性もあるため、緊急受診が必要です。

小腸がんの前兆となる初期症状

慢性的な腹部不快感

小腸がんの初期症状として、慢性的な腹部不快感があります。この症状は、食事後に特に強くなることが多く、消化不良のような感覚を伴います。市販の胃腸薬では改善せず、数週間から数か月続くことが特徴です。 この症状に対する応急処置は限定的ですが、脂肪分の多い食事を避け、消化の良い食事を心がけることで症状が軽減する場合があります。症状が2週間以上続く場合は、消化器内科を受診し、精密検査を受けることが重要です。

原因不明の体重減少

小腸がんの重要な初期症状として、原因不明の体重減少があります。食事量に変化がないにも関わらず、6か月間で5-10%以上の体重減少が見られる場合は注意が必要です。これは、がんによる代謝の変化や栄養吸収障害が原因と考えられます。体重減少に対する応急処置は困難ですが、栄養価の高い食事を心がけ、十分な水分摂取を行うことが大切です。急激な体重減少が見られる場合は、緊急性が高いため、速やかに消化器内科または腫瘍内科を受診してください。

慢性的な便秘や下痢

小腸がんにより腸管の機能が障害されると、慢性的な下痢や便秘が起こることがあります。特に、下痢と便秘が交互に現れる場合は注意が必要です。血便や粘血便を伴う場合は、より重篤な状態を示唆します。軽度の下痢に対しては、水分と電解質の補給を心がけ、刺激の少ない食事を摂取することで症状が改善する場合があります。しかし、症状が2週間以上続く場合や、血便を伴う場合は、緊急性が高いため、消化器内科での精密検査が必要です。

小腸がんを発症する原因

遺伝的要因

小腸がんの発症には、遺伝的要因が関与することが知られています。特に、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)やリンチ症候群などの遺伝性疾患を持つ方は、小腸がんのリスクが高いです。また、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患も、小腸がんのリスクファクターとなります。遺伝的要因が疑われる場合は、消化器内科や腫瘍内科で遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。家族歴がある場合は、定期的なスクリーニング検査が重要です。

環境的要因

食事や生活習慣も小腸がんの発症に影響を与える可能性があります。高脂肪食、喫煙、過度の飲酒などは、小腸がんのリスクを上昇させる可能性があります。また、放射線被曝の既往がある場合も、リスクが高くなることが報告されているため、注意しなければなりません。 これらのリスクファクターを持つ方は、定期的な健康診断を受け、消化器内科での相談を行うことが重要です。生活習慣の改善により、リスクの軽減が期待できます。

既往疾患

セリアック病(グルテン不耐症)、炎症性腸症候群などは、小腸がんのリスクを上昇させることが知られています。これらの疾患を持つ方は、定期的な経過観察が必要です。既往疾患がある場合は、主治医と相談の上、適切な間隔でスクリーニング検査を受けることが重要です。症状の変化があった場合は、速やかに消化器内科を受診してください。

小腸がんの検査法

内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では十二指腸の観察が可能で、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)では回腸末端の観察ができます。そのため、小腸がんの診断において、内視鏡検査は大変重要な検査です。より詳細な検査として、カプセル内視鏡やバルーン内視鏡が用いられることもあります。これらの検査は、消化器内科や消化器外科で行われます。基本的には外来で実施可能ですが、鎮静剤を使用する場合は、数時間の経過観察が必要です。入院は通常不要ですが、組織検査を行う場合は、日帰りまたは1泊2日程度の入院が必要な場合があります。

画像検査

CT検査やMRI検査は、小腸がんの診断と病期評価に重要な検査です。特に、造影CT検査では、がんの位置、大きさ、周囲への浸潤の程度を評価できます。PET-CT検査は、遠隔転移の有無を調べるのに有用です。これらの検査は、消化器内科、腫瘍内科、放射線科で行われます。外来で実施可能で、入院は不要です。検査時間は15分から30分程度で、場合により当日中に結果の説明を受けることも可能です。

血液検査

血液検査は、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)、貧血の有無、栄養状態の評価を行うのに有用です。腫瘍マーカーは異常がない場合でも上昇することがあるため、診断の補助的な目的で測定されます。また、遺伝子検査により、治療方針の決定に役立つ情報を得ることもあります。血液検査は消化器内科、腫瘍内科などで行うことが多いです。外来で実施可能で、入院は不要です。結果は通常、数日から1週間程度で得られます。

小腸がんの治療法

外科的切除

小腸がんの根治的治療は、外科的切除が基本となります。がんの位置や大きさに応じて、腸管の部分切除や、周囲のリンパ節の切除を行います。腹腔鏡手術が可能な場合もあり、患者さんの負担を軽減することが可能です。外科的治療は、消化器外科で行われます。手術は全身麻酔下で行われ、通常1-2週間程度の入院が必要です。術後の回復期間は、患者さんの状態や手術の規模により異なりますが、完全な回復には1-2か月程度を要することが多いです。

化学療法

進行した小腸がんや転移のある場合は、化学療法が行われます。使用する薬剤は、がんの組織型や患者さんの状態に応じて選択されます。最近では、大腸がんの抗がん剤や分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい治療法も用いられるようになり、治療の幅が広がりました。化学療法は、腫瘍内科や消化器内科で行われます。外来での治療が可能な場合が多いですが、副作用の管理のため、短期間の入院が必要な場合もあります。治療期間は、薬剤の種類や患者さんの反応により異なりますが、数か月から数年に及ぶことがあるため、主治医に確認をしてください。

放射線療法

小腸がんに対する放射線療法は、限定的な適応となります。手術が困難な場合や、痛みなどの症状緩和を目的として行われることがあります。正常な小腸は放射線に対して敏感であるため、慎重な計画が必要です。放射線療法は、放射線科で行われます。通常、外来での治療が可能で、入院は不要です。治療期間は、通常2-6週間程度で、週5日の通院が必要です。

「小腸がんの痛み」についてよくある質問

ここまで小腸がんの痛みを紹介しました。ここでは「小腸がんの痛み」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

小腸がんは腹部CTで発見できるのでしょうか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

腹部CTは小腸がんの診断に有用な検査です。特に造影CTでは、がんによる腸管の肥厚や造影効果の変化を捉えることができます。しかし、小腸がんは初期段階では発見が困難な場合があり、CTだけでは診断が確定できないことも多いです。確定診断には、内視鏡検査や組織検査が必要となります。症状がある場合は、CTを含む複数の検査を組み合わせて診断を行うことが重要です。

編集部まとめ 小腸がんを疑ったら、早めに消化器内科へ

小腸がんは比較的まれな疾患ですが、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。特徴的な痛みとして、間欠的な腹痛、持続的な鈍痛、痙攣様の痛みがあり、部位によって上腹部、臍周辺、右下腹部に現れます。初期症状として、慢性的な腹部不快感、原因不明の体重減少、慢性的な下痢や便秘が挙げられます。これらの症状が2週間以上続く場合は、消化器内科を受診し、精密検査を受けることが重要です。診断には内視鏡検査、画像検査、血液検査を組み合わせて行い、治療は外科的切除が基本となります。進行例では化学療法や放射線療法も併用されます。少しでも気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することをお勧めします。早期発見により、治療成績の向上が期待できます。

「小腸がん」と関連する病気

「小腸がん」と関連する病気は5個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

小腸がんと関連のある病気がある方では、小腸がんを発生しやすいです。これらの病気を持つ方では、小腸がんを発生する可能性があるため、気になる症状がある場合には消化器内科で相談をしましょう。

「小腸がん」と関連する症状

「小腸がん」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 慢性的な腹痛
  • 原因不明の体重減少
  • 慢性下痢
  • 腹部膨満感
  • 食欲不振
これらの症状は小腸がん以外の疾患でも見られるため、適切な診断と治療が重要です。気になる症状があれば、消化器内科を受診しましょう。

この記事の監修医師

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