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「白血病」を疑う「あざの色」はご存知ですか?あざができやすい部位も解説!

 更新日:2025/08/19
「白血病」を疑う「あざの色」はご存知ですか?あざができやすい部位も解説!

白血病という病気をご存知でしょうか?白血病は血液のがんの一種で、原因不明のあざができることがあります。普段の生活でできるあざは、多くの場合ぶつけた痕跡ですが、白血病ではぶつけた覚えがない場所にも生じることがあります。本記事では、白血病の基礎知識から受診目安、ほかの病気との見分け方まで解説します。

井林雄太

監修医師
井林雄太(井林眼科・内科クリニック/福岡ハートネット病院)

プロフィールをもっと見る
大分大学医学部卒業後、救急含む総合病院を中心に初期研修を終了。内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。大手医学出版社の医師向け専門書執筆の傍ら、医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。ホルモンや血糖関連だけでなく予防医学の一環として、ワクチンの最新情報、東洋医学(漢方)、健康食品、美容領域に関しても企業と連携し情報発信を行い、正しい医療知識の普及・啓蒙に努めている。また、後進の育成事業として、専門医の知見が、医療を変えるヒントになると信じており、総合内科専門医(内科専門医含む)としては1200名、日本最大の専門医コミュニティを運営。各サブスぺ専門医、マイナー科専門医育成のコミュニティも仲間と運営しており、総勢2000名以上在籍。診療科目は総合内科、内分泌代謝内科、糖尿病内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、精神科、整形外科、形成外科。日本内科学会認定医、日本内分泌学会専門医、日本糖尿病学会専門医。

白血病とは

本章ではまず白血病とその病気の種類を解説します。

白血病の概要

白血病とは、血液をつくる細胞ががん化して増殖する血液のがんです。赤血球や白血球、血小板などのもとになる造血幹細胞が成熟する途中で異常をきたし、白血病細胞となって骨髄で増え続けます。この結果、骨髄で本来つくられるはずの正常な血液細胞が作られにくくなり、健康な赤血球や白血球、血小板が不足します。そのため、全身のだるさや息切れ、発熱や感染症にかかりやすい、鼻血や歯茎からの出血やあざができやすいといったさまざまな症状が現れます。

白血病の種類

白血病は大きく分けて急性白血病慢性白血病の2種類があります。急性白血病は白血病細胞が急速に増殖するタイプで、症状が出現してから病状が進行するスピードが速く、早期の診断と治療開始が必要です。一方、慢性白血病は白血病細胞がゆっくり増えるタイプで、初期には自覚症状が乏しく健康診断の血液検査で偶然発見されることもあります。さらに、白血病細胞が骨髄系かリンパ系かによって骨髄性白血病リンパ性白血病(リンパ球系細胞ががん化)に分類されます。これらを組み合わせると、代表的な白血病は以下の4つのタイプに分類されます。

  • 急性骨髄性白血病(AML)
  • 急性リンパ性白血病(ALL)
  • 慢性骨髄性白血病(CML)
  • 慢性リンパ性白血病(CLL)

白血病によってあざができる理由

白血病では血小板という血液成分が著しく減少することで、皮下で出血が起こりやすくなります。血小板は血管が傷ついた際に傷口で血を固めて出血を止める役割を持っています。しかし白血病では、骨髄が白血病細胞に占拠され正常な血小板が十分作られなくなるため、少し血管が破れただけでも血が止まりにくくなります。その結果、鼻血や歯茎からの出血が増えるほか、皮膚の下で毛細血管からの出血が起こり、あざとなって現れやすくなるのです。

白血病によって生じるあざの色と生じやすい部位

さて、白血病ではあざが生じやすいですが、その色や生じやすい部位はどこでしょうか。本章では白血病によって生じるあざの色と生じやすい部位を解説します。

白血病によって生じるあざの色

白血病で見られるあざは、一般に紫斑や青あざと呼ばれ、その色合いは紫紅色から暗紫褐色と表現されます。普通の青あざと同様、時間とともに色は変化し、徐々に茶色や黄色に移り変わって消えていきます。なお、白血病のあざだからといって特別な色をしているわけではなく、あざそのものの見た目はほかの原因でできる皮下出血と基本的に同じです。ポイントはできる原因や頻度であり、白血病では後述するように明らかなケガがなくても繰り返し多数のあざが生じる点が特徴です。

白血病であざができやすい部位

白血病によるあざは、身体のさまざまな部位に生じる可能性があります。日常生活で物にぶつかりやすい脚や腕には特にできやすく、少し床や家具にぶつけただけでも大きな青あざになることがあります。逆に、顔面や上半身のあざは少ない傾向がありますが、血小板が極端に減少した場合には身体のどの部分にでもあざが起こりえます。

あざ以外に見られる白血病の症状

白血病では、あざ以外にも血液細胞の減少や白血病細胞の増殖によってさまざまな症状が現れます。主な症状を以下に分類して紹介します。

貧血症状

白血病では赤血球が十分に作られなくなるため、貧血になります。貧血に陥ると全身に酸素を送る力が低下するため、身体のだるさ(倦怠感)や息切れ、動悸、めまいなどが起こります。

発熱や感染症へのかかりやすさ

白血病では白血球が減少し、身体の抵抗力が低下します。その結果、発熱を伴う風邪様の症状が頻繁に起こったり、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。一度感染すると治りにくく長引く傾向もあります。

リンパ節の腫れや骨の痛み

白血病細胞が身体のさまざまな組織に浸潤すると、リンパ節の腫れ骨の痛みといった症状が現れることがあります。特に、リンパ性白血病では首や脇の下、鼠径部などのリンパ節が腫れてコリコリしたしこりに気付くことがあります。慢性リンパ性白血病では全身のリンパ節が広範囲に腫れることもあります。また、白血病細胞が骨の骨髄内で増殖する影響で骨の痛みや関節痛が起こる場合もあります。

気になるあざがあるときの対応

では、あざができやすくなった場合はそのままにしておいてよいのでしょうか。本章では、あざができたときにどのように対応するか、また、診療科はどこを受診すればよいのかを解説します。

どのようなあざならすぐに受診すべき?

「気付いたらあざが増えていた」「覚えのないあざが体中にある」、このような場合は早めに医療機関を受診しましょう。特に、足に多くのあざが見られる場合や、同時に鼻血や歯茎の出血がある場合は注意が必要です。こうした症状が出ているときは病気が進行している恐れがあるため、医療機関を受診して検査を受けることができると安心です。

内科・血液内科を受診する目安

「もしかして白血病?」と不安に感じたら、まずは内科(一般内科)を受診しましょう。白血病の専門診療科は血液内科ですが、自分で白血病かどうか判断するのは難しく、貧血や出血傾向などの症状があれば内科で相談するのが現実的です。特に、急性白血病は症状が短期間で悪化するため、貧血症状や出血症状、発熱など複数の症状が揃っている場合には早めに受診してください。

ほかの病気との見分け方

あざができる原因は、白血病とは限らないことに注意が必要です。皮膚に出る青あざや紫斑は、白血病以外にもさまざまな原因で生じます。例えば、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)や再生不良性貧血といった血液疾患でも血小板が減少してあざや点状出血が現れます。また、高齢者では老人性紫斑という場合もあります。このように鑑別すべき病気は多岐にわたるため、自己判断は禁物です。あざ単独では白血病と断定できないため、ほかの症状や検査結果を総合して判断することになります。心配な場合はご自身で判断せず、医師に相談しましょう。

白血病のあざについてよくある質問

ここまで白血病のあざについて紹介しました。ここでは「白血病」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病になると必ずあざが出ますか?

井林雄太井林雄太 医師

必ずしも全員に出るわけではありません。あざの出やすさは白血病のタイプや病状の進行度によります。例えば、慢性白血病の初期では血小板数が保たれていることもあり、あざなどの出血症状は見られないことがあります。

白血病かどうかはどのような検査でわかりますか?

井林雄太井林雄太 医師

白血病の診断には血液検査骨髄検査が用いられます。まず血液検査で白血球数、赤血球数、血小板数の異常や、白血病細胞が血中に出ていないかを調べます。血液検査だけで白血病が強く疑われる場合もありますが、確定診断のためには骨髄穿刺を行い、骨髄中の白血病細胞の有無を顕微鏡などで確認します。さらに詳しい分類や治療方針決定のため、遺伝子検査や染色体検査が行われることもあります。


まとめ


白血病は血液の細胞ががん化する病気で、正常な血液細胞が減少するため多彩な症状を引き起こします。なかでも原因不明のあざは白血病の症状の一つとして知られていますが、あざだけで白血病と断定することはできません。白血病ではあざのほかに貧血症状や発熱、出血傾向など複数の症状が現れるのが一般的です。ぶつけた覚えのないあざが繰り返しできる、あざと併せて点状出血や鼻血・歯茎出血などがある場合には早めに医療機関を受診しましょう。一方で、あざが一つできた程度なら過度に心配しすぎず、まずは経過を見たり定期健診で血液検査を受けるなど冷静に対処することも大切です。気になる症状は放置せず医師に相談すると安心です。

関連する病気

  • 急性骨髄性白血病
  • 慢性リンパ性白血病
  • 急性リンパ性白血病
  • 非ホジキンリンパ腫
  • 慢性骨髄性白血病

関連する症状

  • リンパ節の腫れ
  • 全身の疲労感
  • 体重減少
  • 発熱
  • 動悸
  • 息切れ
  • めまい
  • あざができやすい

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