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「慢性リンパ性白血病」治療は「生活」にどう影響を及ぼす?医師が解説!

 公開日:2025/09/19
「慢性リンパ性白血病」治療は「生活」にどう影響を及ぼす?医師が解説!
慢性リンパ性白血病は主に高齢者にみられる血液のがんで、進行がゆっくりしているのが特徴です。 初期には無症状で経過し、診断後もしばらく治療をせずに経過観察となる場合も少なくありません。しかし、病気が進行したり治療を開始した場合、日常生活にどのような影響があるのか不安に思う方も多いでしょう。 本記事では、慢性リンパ性白血病の症状や治療内容、その治療中・治療後の生活への影響をわかりやすく解説します。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

慢性リンパ性白血病の症状

慢性リンパ性白血病は進行がゆるやかなため、初期にはほとんど症状がありません。病気が進むと、貧血による顔色の悪さや疲れやすさ、リンパ節の腫れ、意図しない体重減少、全身の倦怠感、長引く発熱、夜間の大量の汗といった症状があらわれます。

慢性リンパ性白血病の治療と日常生活への影響

慢性リンパ性白血病を疑う症状があり、精査の結果、慢性リンパ性白血病と診断された場合、どのような治療を行うのでしょうか。また、それら治療を行うとどう生活が変化するのでしょうか。本章では、そんな慢性リンパ性白血病の治療と日常生活への影響について解説します。

慢性リンパ性白血病の治療

慢性リンパ性白血病では、症状がなく病気が進行していない間は積極的な治療を行わず経過観察とするのが一般的です。定期的に血液検査や診察を受け、状態に変化がないか見守ります。病状が進行したり明らかな症状が出てきた場合に、はじめて治療開始となります。

治療の中心は薬物療法です。具体的には、分子標的薬を単独または複数組み合わせる治療、あるいは化学療法と分子標的薬の併用療法が行われます。また、症状や年齢によっては免疫療法を併用したり、同種造血幹細胞移植(骨髄移植)が検討されることもあります。

慢性リンパ性白血病の治療が日常生活にもたらす影響

治療中の副作用や体調変化によって、日常生活に影響を与えることがあります。抗がん剤治療を行う場合、骨髄の働きが抑えられて白血球や赤血球、血小板が減少し、感染症にかかりやすくなったり、貧血による疲労感息切れが出たり、出血しやすくなったりします。その結果、少し動いただけですぐ疲れる、階段をあがると息切れするといったことが起こりやすくなります。

また、免疫力の低下も治療中の大きなトラブルの原因になります。血液やリンパのがんでは、病気そのものや薬物療法の影響で、健康な方には害のないような弱い病原体にも感染しやすくなります。そのため、手洗いやうがいの徹底、人混みを避ける、マスクの着用といった日常での感染対策が必要です。

治療終了後の生活

治療が終わると、ほっと一息つける一方で、「これからの生活はどうすればいいの?」「注意することはあるの?」と不安を感じる方も少なくありません。ここでは、慢性リンパ性白血病の治療終了後にどのような生活を送ればよいかについて、日常生活のポイントや注意点を解説します。

日常生活への制限はない

慢性リンパ性白血病は治療中であっても普段どおりの日常を送りやすい病気です。治療が終わった後は、基本的に日常生活で特別な制限はありません。多くの場合、治療前と同じような生活を再開することができます。

ただし、慢性リンパ性白血病という病気自体に疲れやすくなる傾向があることは知っておきましょう。治療後は体力が落ちている時期でもありますから、最初からもとどおりの生活を送るのではなく、徐々にペースを戻すことが大切です。

規則正しい無理のない生活が基本

治療後の体力回復期には、規則正しい生活リズムを心がけましょう。十分な睡眠とバランスの取れた食事、そして適度な運動を習慣にすることで、治療によって弱った体力の回復を促すことができます。決まった時間に就寝・起床し、無理のない範囲で散歩やストレッチなどの軽い運動を取り入れてみてください。運動は体力向上だけでなく、気分転換や疲労感の軽減にも役立ちます。軽い運動から始め、疲れたら休むという形で、自分のペースで継続するようにしましょう。

感染症対策が重要

治療終了後もしばらくは感染症への注意が必要です。抗がん剤や抗体療法の影響が残っていると、白血球の働きが回復するまで時間がかかることがあります。治療後であっても油断せずに手洗い・うがいやマスクの着用などの予防策を習慣づけましょう。治療後、少しずつ免疫機能が回復すれば日常の制限はさらに少なくなりますが、発熱や激しい咳、下痢など普段と違う症状が出た場合は早めに医療者に連絡しましょう。早期対応により重症化を防ぐことができます。

慢性リンパ性白血病の治療と仕事

慢性リンパ性白血病は進行が緩やかなため、治療と仕事の両立がしやすいがんと言われることがあります。実際に、多くの患者さんが定期的な通院を続けながら通常どおり働くことが可能です。特に、経過観察中の段階では、勤務や日常活動に特別な制限はありません。

しかし、慢性リンパ性白血病は疲労感が出やすいため、長時間の残業やハードワークが続くと体調を崩しかねません。治療中・治療直後は職場と相談して業務量や勤務時間を調整してもらう、必要に応じて在宅勤務を活用する、といった対応も検討しましょう。

慢性リンパ性白血病についてよくある質問

ここまで慢性リンパ性白血病について紹介しました。ここでは「慢性リンパ性白血病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

疲れやすさやだるさなどの症状はずっと続きますか?

治療が奏功して病状が安定すれば、赤血球や体力の回復とともに徐々に倦怠感は軽減することが期待できます。特に、治療終了直後の数ヶ月は疲れやすさを感じるかもしれませんが、規則正しい生活や軽い運動により体力が向上すれば日常の活動もしやすくなるでしょう。

慢性リンパ性白血病の治療中ですが運動はできますか?

基本的に無理のない範囲で運動して構いません。むしろ、適度な運動は筋力低下の予防や気分転換に役立ち、疲労感の軽減効果も期待できます。実際、がんのリハビリテーション医療では治療中から週150分程度の中等度の有酸素運動と週2~3回の筋力トレーニングを行うことが理想的とされています。

慢性リンパ性白血病の治療中や治療後に飲酒や喫煙は可能ですか?

飲酒は適量であれば問題ない場合が多いですが、飲み過ぎは避けましょう。大量の飲酒は肝臓への負担や体調不良につながり、治療経過にも悪影響を及ぼす可能性があります。主治医に飲酒の可否と適量を確認するのが安心ですが、基本的には節度ある飲酒を心がけてください。
一方、喫煙は慢性リンパ性白血病に限らず強く控えることが推奨されます。タバコは白血病との直接的な関連性を示す明確なデータはないものの、身体の免疫力を低下させ感染症にかかりやすくする要因になります。また長期的には肺がんなどほかのがんや心疾患のリスクにも関わるため、禁煙が望ましいです。

慢性リンパ性白血病の治療中や治療後はどのような食事がよいですか?

特別な食事制限や「これを食べると治る」といった食品はありません。基本はバランスのよい食事を心がけ、栄養不足にならないようにすることが大切です。治療中は副作用で食欲が落ちる日もありますが、そうしたときは無理をせず食べられるものを少しずつ口にするようにしましょう。ただし、感染予防の観点から注意すべきことがあります。白血球が減少している治療中・治療直後は、生ものや加熱不十分な食品は避けるようにしてください。例えば、生肉や刺身、生卵などは食中毒や感染症のリスクがあるため、治療中・治療直後は避けた方が安心です。

まとめ

慢性リンパ性白血病は進行が緩やかで、長期間にわたり日常生活を送りながら付き合っていける病気です。治療中は副作用による体調変化や感染症リスクに注意が必要ですが、適切に対処すれば大きな支障なく過ごせるでしょう。一方で、慢性リンパ性白血病は完治後も定期的な経過観察が重要です。医療者や家族、職場など周囲の支えを活用しながら、自分らしい生活を続けていきましょう。

関連する病気

  • 小細胞性リンパ腫
  • 急性リンパ性白血病
  • 非ホジキンリンパ腫
  • 慢性骨髄性白血病

関連する症状

  • リンパ節の腫脹
  • 全身の疲労感
  • 体重減少
  • 発熱
  • 動悸
  • 息切れ
  • めまいなど
  • あざができやすい

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