「咽頭がんの検査費用」はどれくらいかかる?特徴や種類もあわせて解説!
病気を患うと、検査費用や治療費がどのくらいかかるのか心配になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、咽頭がんに焦点をあて検査費用について解説します。早期発見のための定期的な検診費用についても解説します。
咽頭がんは声がかすれたり、飲み込みにくさを感じたりする病気で、治療には早期発見が大切です。咽頭がんの検査をご検討中である皆さんのお役に立てれば幸いです。
監修医師:
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医
目次 -INDEX-
咽頭がんとは?
咽頭とは、のどにおいて食物や空気が最初に通る部位です。咽頭は上咽頭・中咽頭・下咽頭に分けることができますが、これらが動くことで発声・呼吸・嚥下を行うことができます。この咽頭に発生したがんのことを咽頭がんといいます。上咽頭がんの症状は以下のとおりです。
- 耳がつまったように感じる耳閉感
- 難治性の中耳炎
- 鼻出血
- 鼻づまり(鼻閉)
- 物が二重に見える(複視)
- 視力低下
- 顔面の感覚障害
- 顔面の痛み
- 頸部腫脹(頸部リンパ節転移の場合)
中咽頭がんの症状は以下のとおりです。
- 咽頭部の違和感
- 咽頭痛
- 血痰
下咽頭の症状は以下のとおりです。
- 声がれ(嗄声)
- 咽頭の違和感
- 血痰
- 咽頭痛
- 嚥下障害(がんが進行した場合)
- 呼吸困難(がんが進行した場合)
咽頭がんの原因は過度の飲酒・喫煙です。特に飲酒においては、飲酒をすることで顔が赤くなるフラッシャーと呼ばれる人が、継続して飲酒をすることで発がんリスクが上昇することがわかっています。
その他、上咽頭がんではEBウイルス(ヘルペスウイルスの一つ)へ感染すること、中咽頭がんではヒトパピローマウイルス(HPV)へ感染することが発がんに関与すると報告されています。
診断は、喉頭ファイバーと呼ばれる機器で腫瘍を確認することです。喉頭ファイバーで観察した腫瘍を一部採取し、病理検査を行うことで確定診断をします。がんの浸潤や転移の確認をするために、CTやMRIなどの画像検査も行われます。
治療は、手術治療・放射線治療・薬物療法・放射線治療が行われることがほとんどです。なかでも上咽頭がんでは放射線治療への反応がよい割合が高いとされています。
中咽頭がんでは、手術治療か放射線治療を行うことで完治が可能です。ヒトパピローマウイルスへの感染があるときには化学放射線治療が効果的とされています。下咽頭がんでは早期であれば喉頭を温存した治療が可能です。
治療は内視鏡切除術・部分切除・放射線治療・薬物治療が効果的とされています。がんが進行してしまったときには喉頭の合併切除が必要になることがあり、場合によっては声を出すことができない失声とよばれる状態になることがあります。
咽頭がん検診の特徴
咽頭がんの検診は自費で医療機関や人間ドックを受診するだけでなく、自治体によっては自治体実施の検診として受診することができることもあります。
自治体で行うがん検診
一部の自治体では喉頭がん検診を行っており、その一環として咽頭がんのチェックも一部できることがあります。ですが、すべての自治体が行っているわけではありませんので、お住いの自治体の実施状況を確認してください。対象となる年齢や喫煙歴・喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)などにも制限があります。
医療機関で行うがん検診
咽頭がんを発見するためには、内視鏡検査がよいでしょう。内視鏡検査を行うことでとても小さいがんも発見することができるようになってきました。喉頭ファイバーという機器でもがんを見つけることができます。
人間ドッグのがん検診
咽頭がんは内視鏡検査やPET-CT検査で発見することができます。鼻腔から行う内視鏡検査は咽頭から胃までを診察するための検査です。人間ドッグで内視鏡検査やPET-CT検査を含めて検査を行えば、早期発見につなげることができるでしょう。
咽頭がん検査の種類と費用
咽頭がん確定診断までに下記の検査が行われます。
- 視診・触診
- 内視鏡検査
- 生検
- CT検査
- MRI検査
- 超音波検査
- PET-CT検査
これらの検査結果を総合的に判断し、咽頭がんの確定診断が行われます。この記事では4つの検査を取り上げ解説します。
視診・触診
医師が首の周りを触り検査を行います。リンパ節に転移しているとリンパ節が腫れるので、その腫脹がないか確認します。緊張をすると首が固くなり触診しにくくなるので、リラックスをし首の力を抜くようにして検査をしてもらいましょう。
なかでも中咽頭がんは、口から指を入れて届く範囲にがんができます。がんが疑われる部分があった場合、直接指で触れて検査を行うこともあります。
直接がんに触れるとなると、咽頭反射が生じるためつらい検査になる可能性がありますが、がんの大きさ・硬さ・広がりを調べるために必要な検査です。診察が必要と判断したときにはリラックスして検査に臨むようにしましょう。
PET-CT検査
PET検査は、全身のがん細胞を検出する検査です。PET検査はがん細胞がエネルギー源としてブドウ糖を取り込む特徴を利用した検査です。
放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、ブドウ糖分布を撮影します。そこにCT検査の情報が加えられ画像を重ねることで、がん細胞や転移の有無について精度の高い診断を行うことができます。
内視鏡検査
内視鏡検査で咽頭がんを発見することができます。鼻から内視鏡を入れる場合には上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんのすべてを観察することができます。
ですが、口から内視鏡を入れる場合には、中咽頭がん・下咽頭がんの観察しか行うことができないので注意が必要です。上咽頭がんは、鼻や耳に症状が出現することがあります。成人になって滲出性中耳炎になったときには耳鏡検査だけでなく、鼻から入れる内視鏡を使用し上咽頭を確認する検査を受けるようにしましょう。
生検
病変部位の一部を採取する検査です。生検を行うときには咽頭や喉頭に局所麻酔をかけてから検査を行うことがほとんどです。採取した組織を顕微鏡で確認し、がんなのか診断をします。
咽頭がんの検査費用を抑えるために
咽頭がんの検査費用を抑えるためには、咽頭がん発症リスクを下げられるよう生活を見直したり、地域で行っている検診を利用したりする方法があります。詳しく解説していきます。
保険適用の治療かを確認
咽頭がんを疑う所見があれば、その後の検査は保険診療で受けることができます。
- 経鼻内視鏡検査:1,800円
- 内視鏡下生検法:930円
- 病理組織検査:2,580円
- 頸部エコー検査:1,050円
- 単純CT検査:3,120~5,700円(造影剤使用1500円加算)
- 単純MRI検査:2,700~4,860円(造影剤使用750円加算)
- PET検査:22,500円
どれも3割負担のおよその金額です。
地域で行っている検診を受ける
お住いの地域によっては自治体の検診として、喉頭がん検診を行っていることもあります。自治体で検診を行っている場合、費用は無料・もしくは少額で済むことがほとんどですが全員が検査を受けられるわけではありません。
年齢や過去の喫煙歴、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)などで検診を受けられる方が制限されています。自治体として検診を行っていないこともあるので、気になる方はお住いの自治体での検診状況や費用をご確認ください。
生活習慣を見直して悪化をさせない
研究の結果、がんの発症を予防するためには以下の見直しが有効であることがわかっています。
- 禁煙
- 適度な飲酒
- バランスのよい食事(減塩・野菜や果物の摂取)
- 適正体型の維持
- 適度な運動
- 感染予防
これらを見直しがん発症を予防することが大切です。
咽頭がんの検査費用についてよくある質問
ここまで咽頭がんの発生要因・痛みの有無・症状などを紹介しました。ここでは「咽頭がんの痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
保険適用外の検査はどのようなものがありますか?
山本 康博(医師)
咽頭がんが疑われる症状がなく、早期発見目的で行われる検診は自費診療になります。人間ドックでPET-CT検査や経鼻内視鏡検査などを行うことができます。必要に応じて生検を行うこともありますが、このときも自費診療になります。
高額療養費制度について教えてください。
山本 康博(医師)
高額療養費制度は、保険診療の対象となる医療費の自己負担額が1ヶ月あたり一定の金額に抑えることができる制度です。公的医療保険が適応されない差額ベッド代・食事代・診断書等の書類作成費用は対象となりません。70歳未満・70歳以上75歳未満・75歳以上、所得によって自己負担限度額が異なります。気になる方は病院のソーシャルワーカーにお問い合わせください。
編集部まとめ
咽頭がんの検査方法がいくつか種類があることと費用がどの程度かかるのかご紹介しました。
咽頭がんが疑われる場合には保険診療が可能になることもありますが、早期発見のための検診であれば自費検査になります。
お住まいの地域によっては、自治体から補助がでるので確認をしてみてください。
咽頭がんと関連する病気
「咽頭がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
耳に少し違和感があるだけだから、少し声がかすれているだけだからと、見逃されやすい病気です。耳や喉に少しでも違和感があり、持続するようであれば一度病院を受診して検査してもらうことをおすすめします。
咽頭がんと関連する症状
「咽頭がん」と関連している、似ている症状は9個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 耳閉感
- 複視
- 視力低下
- 頸部腫脹
- 咽頭痛
- 血痰
- 嗄声
- 嚥下障害
- 呼吸困難
疲れているときに自覚しやすい症状や風邪のときに現れる症状に似ているものもあるので、見逃されやすいです。症状が続くときには病院を受診し詳細な検査をしてもらうようにしましょう。