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「小児の急性リンパ性白血病の看護」とは?感染対策やサポート内容を医師が解説!

 公開日:2026/02/02
「小児の急性リンパ性白血病の看護」とは?感染対策やサポート内容を医師が解説!

急性リンパ性白血病という病気をご存じですか?また、小児ではどのような看護計画が立てられるのでしょうか。
本記事では急性リンパ性白血病について以下の点を中心にご紹介します。
・急性リンパ性白血病について
・急性リンパ性白血病の治療について
・小児の急性リンパ性白血病の看護計画について
小児の急性リンパ性白血病の看護計画について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

急性リンパ性白血病とは?

急性リンパ性白血病とは、血液のがんのひとつで、白血病細胞が骨髄内で増えることで、正常な血液細胞の生成を妨げ、リンパ球が未熟な段階で異常増殖する病気です。
急性リンパ性白血病は、年齢層を問わず発症するものの、小児悪性腫瘍のなかで多く発症します。成人では高齢になるにつれてリスクが高まります。

急性リンパ性白血病の原因

急性リンパ性白血病の発症原因は明確には判明しておらず、誘発要因は特定されていません。小児の急性リンパ性白血病では一部で遺伝子変異が関与していることが確認されていますが、直接的な原因とはいえず、環境要因との複合的な影響も考えられています。
例えば、農薬への曝露や放射線、感染症との関連性が示唆されていますが、これらがどのようにして白血病を誘発するかは未解明です。

急性リンパ性白血病の症状

急性リンパ性白血病では、主に以下のような症状が現れます。
●白血球の減少が原因で、感染症にかかりやすくなる
●赤血球の不足による貧血関連の症状(疲労感、動悸、息切れ、めまいなど)
●血小板の減少による、鼻血や歯茎の出血、皮膚の紫斑(小さな赤い点々)など
●発症初期には風邪のような症状があり、持続する発熱や体のだるさが特徴
●白血病細胞が脳や脊髄に浸潤すると、激しい頭痛や吐き気、神経系の異常などが引き起こされる
●関節痛やリンパ節の腫れ

急性リンパ性白血病の検査

急性リンパ性白血病では、診断と病型の確定のために、以下のような検査が行われます。

骨髄検査

骨髄検査は、主に腰の腸骨や胸の骨から骨髄組織を採取し、顕微鏡下で細胞の形態を詳細に観察し、白血病細胞の存在や状態を調べます。患者さんにとって負担が大きい検査ですが、急性リンパ性白血病の診断には不可欠であり、早期の発見と治療開始へとつながります。

血液検査

血液検査では、細胞が正常範囲内にあるか、または異常が見られるかを調べます。

なかでも、白血病では白血球の数に異常が見られることが多く、未熟な白血病細胞が確認される場合があります。赤血球や血小板の減少も病気の典型的な特徴です。
さらに、ウイルス感染の有無、全身の臓器機能、肝機能や腎機能を評価し、白血病がほかの臓器に与える影響を把握し、治療方針を立てるための基礎情報をえます。

染色体検査・遺伝子検査

染色体検査と遺伝子検査は、病型の特定や予後の評価、治療方法の選択に重要な情報を提供します。

染色体検査では、フィラデルフィア染色体の存在を確認します。この染色体の有無によって治療のアプローチが異なるため、正確な検出が求められます。
遺伝子検査では、骨髄液から採取した細胞を用いて解析を行い、病態を詳細に確認します。

脳脊髄液検査

急性リンパ性白血病は、病変が中枢神経系に及ぶことも少なくないため、脳や脊髄の状態を調べる脳脊髄液検査が実施され、がん化した細胞が中枢神経系に広がっていないか確認します。

急性リンパ性白血病の治療法

急性リンパ性白血病は、患者さんの状態に合わせて、以下のような治療が行われます。

分子標的薬

急性リンパ性白血病の治療で、フィラデルフィア染色体が原因で発症する白血病細胞には、抗がん剤の分子標的薬が用いられ、細胞の異常なシグナル伝達を遮断し、がん細胞の増殖を阻止します。

抗がん剤

上記の分子標的薬で述べたフィラデルフィア染色体が検出されない場合、複数の細胞障害性抗がん剤を用いた薬物療法が主流となり、強力な抗がん剤を用いて急速に白血病細胞を減少させ、病状の寛解を目指します。

寛解が達成された後も、体内に残存するわずかな白血病細胞を一掃するために抗がん剤を継続し、病気の再発リスクを低減し、長期的な寛解を目指します。

また、抗がん剤への反応や副作用の有無などの状態を細かく観察し、治療計画の見直しやほかの療法への切り替えも考慮されます。

造血幹細胞移植

化学療法だけでは効果が不十分な場合や再発が生じた際には、造血幹細胞移植が検討されます。しかし、治療成績を改善させる可能性を持つ一方で、重篤な副作用を伴う可能性があるため、リスクと利益を慎重に評価する必要があります。
移植の判断は、患者さんの全体的な健康状態や病状の進行度などを考慮して行われます。

放射線治療

急性リンパ性白血病の放射線治療は、脳や脊髄などの中枢神経系への予防的照射が行われることがあります。また、リンパ芽球性リンパ腫のT細胞型で大きな腫瘤が縦隔部に形成された場合にも用いられることがあります。
しかし、放射線照射は二次性がんや心臓への潜在的な影響を伴うため、慎重な検討が必要です。

小児急性リンパ性白血病の看護計画

小児の急性リンパ性白血病では、以下のような看護計画が立案され、患者さんごとの状況に合わせて医療ケアが提供されます。

感染の予防

感染の予防と早期発見をするために、以下の看護計画が立案されます。

1.観察: 検査データ、バイタルサイン、自覚症状、感染徴候、水分・食事摂取量、セルフケア能力

2.ケア: 定期的な入浴や清拭で患児の皮膚を清潔に保つ、患児の生活環境を清潔に保つ

3.感染リスクが高い場合の隔離措置: 好中球数が著しく低下している場合や易感染状態にある患児には、逆隔離やクリーンカーテンの使用を検討

4.教育: 患児と家族に対して感染予防の重要性や具体的な方法を説明し理解を深めてもらう(発達段階に応じた教育方法を取り入れ、継続的な感染予防行動がとれるよう支援)

出血の早期発見

出血リスクを管理するために、以下の看護計画が立案されます。

1.観察: 検査データ、バイタルサイン、皮膚や粘膜の出血班の有無、便や尿の潜血反応

2.ケア: 採血や注射はできる限り細いゲージの針を使用し圧迫止血を徹底、転倒を防ぐための環境整備

3.教育と指導: 患児と家族に出血の危険性と出血が見られた際の対応方法を説明、出血が疑われる症状や早期発見のためのチェックポイントを教え日常生活での注意点を伝える、出血した際には速やかに医療スタッフに連絡してもらう

貧血の危険防止

貧血のリスクを低減し生活の質を保持するため、以下の看護計画が立案されます。

1.観察:検査データ、バイタルサイン、顔色、眼瞼結膜・爪の状態、自覚症状(めまい、ふらつき、息切れなど)の有無

2.ケア:貧血症状が現れた場合は安静を保てるよう配慮、医師の指示のもとで必要に応じて造血剤を使用、活動時にはゆっくり移動するよう支援

3.教育・指導:貧血の危険性と徴候を詳しく説明、立ちくらみや動悸が起きた際の対処法を教え、迅速な対応ができるよう準備する

苦痛の軽減

患児と家族の苦痛の軽減を目指し、以下の看護計画が立案されます。

1.観察:検査データ、バイタルサイン、消化器症状(悪心・嘔吐・食欲不振)、表情や言動、水分・食事摂取量、尿量

2.ケア:悪心が強い場合は医師の指示のもとで制吐剤を使用、食事が摂れない時は好みに合わせた食品を提供、頻繁な嘔吐や水分摂取不足の場合は速やかに医師に伝えて輸液による水分補給を促す、精神的ストレスを軽減するためコミュニケーションを密に行い、気分転換が図れる活動を提案

3.説明・指導:悪心・嘔吐の発生時は速やかに医療スタッフに連絡するよう指導、腰椎穿刺などの検査内容をわかりやすく説明し不安を和らげるよう配慮

急性リンパ性白血病についてよくある質問

ここまで急性リンパ性白血病の看護を紹介しました。ここでは「急性リンパ性白血病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

急性リンパ性白血病はどのような患者さんに多いのですか?

急性リンパ性白血病は、小児期の6歳未満の子どもたちに多く見られ、なかでも3歳から5歳の間に発症するケースが多いようです。また、男児にやや高い発症率を示す傾向にあります。

急性リンパ性白血病は再発しますか?

急性リンパ性白血病は、再発する可能性があります。白血病細胞が血液や骨髄、脳、精巣などさまざまな部位で再び増殖を始めることがあります。そのため、治療後も定期的なフォローアップが重要です。

まとめ

ここまで小児の急性リンパ性白血病についてお伝えしてきました。急性リンパ性白血病についての要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ
・急性リンパ性白血病は、血液のがんのひとつで、リンパ球が未熟な段階で異常増殖する病気
・急性リンパ性白血病の治療は、分子標的薬、抗がん剤、造血幹細胞移植、放射線治療などが選択される
・小児の急性リンパ性白血病の看護計画は、感染の予防、出血の早期発見、貧血の危険防止、苦痛の軽減などが立案される

小児の急性リンパ性白血病と関連する病気

小児の急性リンパ性白血病と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

小児腫瘍科の病気

  • 急性リンパ芽球性白血病
  • リンパ芽球性リンパ腫

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

急性リンパ性白血病と関連する症状

急性リンパ性白血病と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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