「小児の急性リンパ性白血病」の生存率は大人より高い?”予後”について医師が解説!

小児の急性リンパ性白血病(ALL)は、子どもに多い白血病の一つです。
治療技術の進歩により、予後は改善されましたが、患者さんの状況によって異なるため、個別の診断と治療が重要です。
本記事では小児の急性リンパ性白血病の予後について以下の点を中心にご紹介します。
・急性リンパ性白血病とは
・急性リンパ性白血病の原因
・急性リンパ性白血病の予後
小児の急性リンパ性白血病の予後について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
目次 -INDEX-
急性リンパ性白血病とは?
急性リンパ性白血病(ALL)は、血液細胞を生産する骨髄内で起こるがんです。リンパ球となるはずの細胞が異常に増殖し、正常な血液細胞の生成を阻害します。急性リンパ性白血病は、子どもに多く見られ、白血病のなかでも進行が早い特徴があります。
早期発見と適切な治療により、急性リンパ性白血病患者さんは治癒を期待できますが、症状や治療法は患者さんの年齢や健康状態により異なります。
急性リンパ性白血病の原因
急性リンパ性白血病(ALL)の原因は解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって発症すると考えられています。子どもの場合、感受性遺伝子の変異が関与していると指摘されていますが、これらの遺伝子を持つ子ども全員が発症するわけではありません。
また、環境要因は、農薬への曝露や放射線への曝露、さらには幼少期の感染症がリスクを高める可能性があります。
急性リンパ性白血病の症状
急性リンパ性白血病(ALL)の主な症状は、異常な白血病細胞が骨髄内で正常な血液細胞の生成を阻害し、さまざまな症状を引き起こします。赤血球の減少による貧血は疲労感や息切れを引き起こし、血小板の減少によっては出血しやすくなることもあります。
また、白血病細胞が骨や関節に痛みを引き起こし、進行すると神経系やほかの臓器への影響も出現し、頭痛や嘔吐、臓器の腫れなどの症状が見られる場合があります。
これらの症状が進行すると、患者さんの全身状態にも影響を及ぼし、急激な体調の悪化を引き起こすことがあります。
急性リンパ性白血病の検査
急性リンパ性白血病を診断するために、どのような検査を行うのでしょうか。以下で、検査方法別に解説します。
血液検査
血液検査では、白血球、赤血球、血小板の数を測定し、健康な方では見られない未熟な芽球(白血病細胞)の存在を確認します。また、肝機能などの全身の臓器の状態や、治療に影響を与える可能性のあるウイルス感染の有無も同時に調べられます。
骨髄検査
急性リンパ性白血病の診断には骨髄検査が不可欠です。骨髄検査では、患者さんの腰の骨から骨髄液を採取し、異常な細胞の有無を確認します。採取された骨髄は顕微鏡で観察され、さらに染色体検査や遺伝子検査を通じて細胞の異常を詳しく分析し、病型の確定と治療方針の決定に利用されます。
染色体検査・遺伝子検査
急性リンパ性白血病の診断で、染色体検査や遺伝子検査は重要です。フィラデルフィア染色体の存在は治療方針を左右するため、骨髄穿刺で採取した骨髄液から詳細に調べられます。
また、遺伝子検査によってBCR-ABL融合遺伝子など、白血病特有の遺伝子変異も検出されます。
脳脊髄液検査
脳脊髄液検査は中枢神経系への病変の拡大を確認するために重要です。脳脊髄液検査では、背中に細い針を挿入して脳脊髄液を採取し、そのサンプルのなかに白血病細胞が存在しているかを確認します。
急性リンパ性白血病の治療法
急性リンパ性白血病にはどのような治療法があるのでしょうか。ここでは、急性リンパ性白血病の治療法を解説します。
分子標的薬
フィラデルフィア染色体が存在する場合、イマチニブなどの分子標的薬が用いられ、異常タンパク質の作用をブロックし、がん細胞の増殖を抑制します。分子標的薬は、チロシンキナーゼの活性を阻害し、異常な細胞信号を遮断することで効果が期待できます。
抗がん剤
複数の細胞障害性抗がん薬が併用されます。治療の進行に応じて、一部の患者さんには造血幹細胞移植も行われることがあります。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、化学療法や放射線治療だけでは効果が不十分な重度の白血病患者さんに適用される治療法です。健康なドナーから採取された造血幹細胞を患者さんに移植し、破壊された骨髄を再生させます。しかし、移植片対宿主病(GVHD)などの合併症が懸念されます。
放射線治療
放射線治療は、腫瘤が大きい場合や、化学療法に対する反応が不十分な場合、治療後に腫瘤が残った場合に考慮されます。また、中枢神経系への予防的照射も行われることがありますが、脳に対する長期的な副作用のリスクの検討が必要です。
急性リンパ性白血病の予後
最後に、急性リンパ性白血病の予後を詳しく解説します。
急性リンパ性白血病の小児の予後
治療の進歩により5年生存率が80%程度に達しています。なかでも、若い年齢の患者さんの方が予後が良好とされています。しかし、すべての患者さんと家族が十分な成果と感じているわけではなく、さらなる治療の改善が求められています。
急性リンパ性白血病の成人の予後
急性リンパ性白血病の成人の予後は、子どもよりも厳しいとされています。成人の5年生存率は15%〜35%程度の範囲で変動しており、病状の重さや治療の反応によっては10%未満になることもあります。
急性リンパ性白血病についてよくある質問
ここまで小児の急性リンパ性白血病の原因や予後などを紹介しました。ここでは「急性リンパ性白血病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
急性リンパ性白血病は小児に多いのですか?
根来 和輝 医師
急性リンパ性白血病は、全年齢層にわたって発症しますが、小児に多く見られる病気です。15歳未満の子どもたちが、白血病患者さんの75%程度を占めており、なかでも2歳から5歳の幼児期に発症が多いとされています。
日本では毎年2,000人程度の子どもが小児がんと診断され、急性リンパ性白血病が多く占めており、600人程度の新たな症例が伝えられています。
急性リンパ性白血病は再発しますか?
根来 和輝 医師
急性リンパ性白血病は再発する可能性があります。
再発すると、白血病細胞が脳や脊髄などの中枢神経系、または精巣やほかの身体の部位に広がるとされており、治療には救援化学療法や造血幹細胞移植が用いられます。
再発時の治療は患者さんの状態によって異なるため、病気との付き合い方を考えることも必要になります。
まとめ
ここまで小児の急性リンパ性白血病の予後についてお伝えしてきました。小児の急性リンパ性白血病の予後についての要点をまとめると以下のとおりです。
⚫︎まとめ
・急性リンパ性白血病(ALL)は、血液細胞を生産する骨髄内で起こるがんのこと
・急性リンパ性白血病(ALL)の原因は解明されていないが、遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって発症する可能性がある
・小児の急性リンパ性白血病の5年生存率は80%程度だが、成人の急性リンパ性白血病の5年生存率は、病状の重さや治療の反応によっては10%未満になることもある
急性リンパ性白血病と関連する病気
急性リンパ性白血病と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
血液内科・小児科の病気
- 急性リンパ性白血病・リンパ芽球性リンパ腫
- 骨髄異形成症候群
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
急性リンパ性白血病と関連する症状
急性リンパ性白血病と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。
参考文献




