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「慢性リンパ性白血病を診断」する”4つの基準”とは?寝汗などの症状も医師が解説!

 公開日:2026/02/19
「慢性リンパ性白血病を診断」する”4つの基準”とは?寝汗などの症状も医師が解説!

慢性リンパ性白血病をご存知ですか。

白血病のなかでもゆっくりと進行していく病気ですが、急激に悪化することもあるので、継続した観察が必要です。

病気の原因は明確になっていませんが、どのような症状が出現するのかを知り、早期発見に努めましょう。検査や治療法についても詳しくご紹介します。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。 日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

慢性リンパ性白血病とは?

慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)は、免疫に関わる白血球の一種であるBリンパ球と呼ばれるリンパ球が異常に増え、がん化することで発症します。
Bリンパ球が異常に増殖する原因はまだ解明されていません。慢性リンパ性白血病はゆっくりと進行します。男性は女性の1.5~2倍発症しやすいという統計があり、50歳以降の中高年で罹患者が増加するのが特徴です。
がん化したBリンパ球は血液や骨髄でみられることがほとんどですが、リンパ節・肝臓・脾臓にもみられることがあります。Bリンパ球が主にリンパ節でみられる場合には、小リンパ球性リンパ腫(SLL)とよばれます。
初期症状はほとんどありません。それは初期にはリンパ球がリンパ節のみで腫瘍が増殖するためです。しかし、健康診断でリンパ腫の異常を指摘されることが少なくありません。
症状としては、痛みを伴わないリンパ節の腫れが挙げられます。リンパ節の腫れは首・脇の下・鼠径部(脚の付け根)などによくみられ、肝臓や脾臓の腫れを認めることも少なくないでしょう。病気が進行していくと以下の症状が現れます。

  • 体重減少
  • 食欲不振
  • 倦怠感
  • 発熱
  • 盗汗(大量に寝汗をかくこと)
  • 腹部のハリ、違和感(脾臓や肝臓が腫れているため)

これらの症状は、病気が進行するにつれて徐々に現れてきます。病気がさらに進行すると、正常な血球が減少し、以下の症状が現れます。

  • 貧血(赤血球の減少)
  • 出血傾向(血小板減少)
  • 易感染(白血球の減少)

このなかでも重度の貧血が起こる自己免疫性溶血性貧血や自己免疫性血小板減少症を合併しやすいです。

慢性リンパ性白血病の検査

慢性リンパ性白血病の検査は複数種類あります。それぞれについて解説します。

血液検査

採血でリンパ球の数や血小板の数などを調べます。採取した血液で、末梢血塗抹標本という検査も行います。
これは採取した血液をスライドガラスにつけ、血球の形や種類を調べるためのものです。細胞表面に存在する免疫系細胞マーカー(免疫形質)のフローサイトメトリー検査では、CD5・CD23という特有のマークがB細胞にみられます。

染色体検査

染色体の数や形態に異常がないか調べる検査です。採取した細胞を分裂させ、そのときに出現する染色体を用いて検査が行われます。染色体異常を検査するためにFISHとよばれる検査も行います。

骨髄検査

患者さんの骨髄を採取する検査です。方法は皮膚を消毒し局所麻酔後、腰の骨に針を刺し骨髄組織を採取します。採取された組織から、血液疾患の原因や腫瘍細胞の有無などを知ることが可能です。診断や治療法の選択と効果判定に使用されます。

遺伝子検査

細胞に含まれる遺伝子情報を調べます。この遺伝子情報があることで予後の予測、治療法の選択と効果判定などを行います。

慢性リンパ性白血病の診断基準は?

診断基準にはさまざまな検査が行われます。その結果をもとに治療の検討が行われます。病期の判断に使用されるのは、Rai病期分類とBinet分類です。Rai分類の判断基準は以下のとおりです。

  • 病期0:リスク低:リンパ球増加(15000/μl以上)、骨髄リンパ球40%以上
  • 病期I:リスク中等度:リンパ球増加+リンパ節腫脹
  • 病期II:リスク中等度:リンパ球増加+肝腫 and/or 脾腫±リンパ節腫脹
  • 病期III:リスク高:リンパ球増加+貧血(Hb 11g/dl未満 or Ht 33%未満)±肝腫±脾腫
  • 病期IV:リスク高:リンパ球増加+血小板減少(10万未満)±リンパ節腫脹±肝腫±脾腫±貧血

Binet分類は次のようになっています。

  • 病期A:リスク低:リンパ球増加(末梢血で4000/μl以上)+リンパ領域腫大が2か所以下
  • 病期B:リスク中等度:リンパ球増加+リンパ領域腫大が3か所以上
  • 病期C:リスク高:リンパ球増加+貧血(Hb 10g/dl未満)または血小板減少(10万未満)

末梢血リンパ球数

血液中に成熟Bリンパ球が5,000/μL以上あることが診断に必要です。リンパ球の増殖が3ヵ月以上続くことも必要です。

細胞形態

慢性であることを確認するためには、成熟リンパ球であることが必要です。さらに核小体をもつ前リンパ球様細胞やリンパ芽球が10%以下であることが求められます。

骨髄像

骨髄中のリンパ球様細胞が30%以上である必要があります。また、生検では成形成性から過形成性が認められることがあります。

表面形質

表面細胞において、CD5・CD19・CD20・CD23が陽性であることが求められます。

慢性リンパ性白血病の治療方法

慢性リンパ性白血病の治療にはいくつかの方法があります。病気の進行度と全身状態によって決定されるので、医師に確認しましょう。

無治療経過観察

慢性リンパ性白血病は進行が緩やかな疾患です。このため、診断直後に治療を開始しない場合もあります。特に高齢者では、治療によるリスクが高い場合、全身状態を考慮し治療の開始時期を慎重に検討することが必要です。
活動性病変のない患者さんに対しては、治療を行っても生存期間が延びない場合があります。そのような患者さんも治療を行わず経過観察を行うことがあります。

薬物療法

抗がん剤治療では、フルダラビンとシクロホスファミドの併用や、ベンダムスチンの単剤使用が一般的です。再発や難治性の症例で、リンパ腫細胞の表面にCD20という抗原がある症例には、分子標的薬であるファツムマブという薬剤の使用が検討されることがあります。
CD52という抗原に対してはアレムツズマブという分子標的薬が使用されます。アレムツズマブについては、予後不良とされる場合にも治療効果が期待されているためです。
免疫グロブリンの減少がみられる・感染症を繰り返す・重篤な感染症を患う可能性がある場合には、ガンマグロブリン製剤の投与が行われます。

同種造血幹細胞移植

化学療法が効果的に行えていないときや染色体異常がみられた場合には、同種造血幹細胞移植が検討されることもあります。同種造血幹細胞移植とは、ドナーから健康な造血幹細胞を採取して患者さんに移植する治療法です。
負担が大きい治療であり、ドナーが必要な治療でもあるため、全員がこの治療を行えるわけではありません。この治療を行うことで、若年者は生存期間の延長が期待されます。

慢性リンパ性白血病の診断基準についてよくある質問

ここまで慢性リンパ性白血病の原因・症状・治療法などを紹介しました。ここでは「慢性リンパ性白血病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

慢性リンパ性白血病と急性リンパ性白血病の違いを教えてください。

慢性リンパ性白血病は病気の細胞が成熟しながら増殖するのに対し、急性リンパ性白血病は芽球という未熟な細胞が増殖する病気です。成熟細胞が残っている状態なので、慢性リンパ性白血病ではゆっくりと進行します。急性リンパ性白血病では正常な成熟血球の減少が早く、病気が急激に進行していきます。転移部位について、慢性リンパ性白血病はリンパ節以外に脾臓や肝臓に浸潤しやすく、急性リンパ性白血病は脳や脊髄などの中枢神経に浸潤しやすいという点が違いです。

慢性リンパ性白血病の予後を教えてください。

白血病のなかでも予後は良好な方です。慢性リンパ性白血病と診断されても、一度も治療せず経過観察のまま過ごすことができる患者さんもいます。

編集部まとめ

慢性リンパ性白血病は、病期と診断されても経過がゆっくりであることがほとんどです。

ですが、急激に進行することもあるので進行したときの症状をきちんと知り、医師に相談したり定期的に病院で受診したりするようにしましょう。

慢性リンパ性白血病と関連する病気

「慢性リンパ性白血病」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 小リンパ球性リンパ腫
  • 急性リンパ性白血病

どちらも造血細胞に異常が生じたことによって発症する病気です。病気が進行するとどの病期も貧血症状が出現したり、感染しやすくなったりします。病気の詳細は骨髄検査や採血で詳しく検査する必要があります。

慢性リンパ性白血病と関連する症状

「慢性リンパ性白血病」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

どの症状も、血液中の白血球や赤血球の数に異常が生じたことによって起こる症状です。これらは軽い体調不良と見過ごされがちですが、病期が悪化している前兆である可能性もあるため、油断せずに病院で受診するようにしましょう。

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