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「急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病」の”症状の違い”は?治療法の違いも解説!

 公開日:2026/01/11
「急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病」の”症状の違い”は?治療法の違いも解説!

白血病という病名は、多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか。

映画やドラマの題材としても取り上げられることがあり、その名前を耳にする機会も少なくありません。

しかし、そのメカニズムや症状、治療法について詳しく知っている人は少ないでしょう。

ここでは、白血病のメカニズムや種類、症状、治療法について解説していきます。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

白血病とは?

白血病は、血液のがんであると聞いたことがあるかもしれません。たしかに白血病は血液のがんですが、正確には血液の中にある血球のがんです。
血球を作る造血幹細胞(赤血球・白血球・血小板を造る細胞)ががん化することで、白血球(骨髄球系細胞やリンパ球系細胞など)が際限なく増え続ける病気です。
19世紀後半に白血病が初めて発見された当時は、治療法が存在せず、白血球が異常に増加することで血液が白く見えることがありました。この現象が「白血病」という名前の由来です。
しかし、現在では治療法や薬が開発されており、血液が白く見えることはほとんどありません。

白血病の分類

白血病は、発症の速度や病態の特徴により、大きくいくつかのタイプに分類される病気です。それぞれのタイプには特有の症状や治療法があり、適切な診断と治療が求められます。ここでは、代表的な分類について詳しく解説します。

急性白血病

名前のとおり、急性白血病は進行が早く、放置すれば命に関わる可能性があります。しかし、近年では早期に診断されるケースが増えており、早期に治療を開始できれば、それだけ治療効果も高くなることが期待できます。
貧血・倦怠感・動悸・息切れ・顔色の悪さ・発熱・出血症状などが発症初期によく見られる症状です。初期の出血症状としては点状出血班が主ですが、播種性血管内凝固症(全身の細い血管に微小血栓ができ、血流を阻害する病気)を併発すると過度な出血を引き起こします。

慢性白血病

慢性白血病の場合、発症初期は進行が遅く、ほとんど症状が現れません。慢性白血病の進行過程は、慢性期・移行期・急性転化と段階を踏んで進みます。
慢性期にはほとんど症状がなく、健康診断やほかの病気の検査の際に偶然発見されることがある病気です。症状には個人差がありますが、脾臓が腫れることが特徴で、腹部のハリを感じる程度の症状が見られる場合もあります。
慢性期では白血球が増加しても正常に機能していますが、移行期になると正常に機能する細胞が作られなくなり、貧血といった症状が現れます。また、血小板が減少し、鼻血や歯茎からの出血がみられるようになるのもこの時期です。
急性転化に進行すると、症状は急性白血病とほぼ同じになりますが、慢性白血病の急性転化には抗がん剤が効きにくいという特徴があります。
しかし、最近では慢性白血病に効果のある薬剤が開発され、治療成績が大きく向上しています。

骨髄異形成症候群

骨髄異形成症候群は、造血細胞は十分に作られているものの、生産された細胞が不完全な状態であるため血液中の赤血球・白血球・血小板が減少してしまう病気です。時間が経つと急性骨髄性白血病に移行するケースもあります。
主に高齢者が罹患することが多い病気ですが、小児や若年者にも発症することがあります。症状としては、貧血・息切れ・動悸・鼻血・歯茎からの出血・細かい点状の皮下出血などがありますが、ほとんど無症状の人もいるのが特徴的です。

白血病(小児)

小児がかかる白血病のうち、およそ70%が急性リンパ性白血病であり、およそ25%が急性骨髄性白血病です。
急性リンパ性白血病は、白血球のなかでもリンパ球になるはずの細胞ががん化し、増殖する病気です。このがん細胞は脳の中枢神経に浸潤しやすく、頭痛や吐き気などの症状が現れることがあります。また、リンパ節の腫れや関節の痛みも見られることがあります。
急性リンパ性白血病は進行が速いため、症状が急激に現れることが多いがんです。早期の診断と治療の開始が大変重要です。症状に思い当たることがあれば、早めに受診するよう心がけてください。

急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病の違い

急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病は、いずれも骨髄の異常によって引き起こされる血液の病気です。しかし、その発症メカニズム・症状・進行速度・治療方法に大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、早期診断や適切な治療につなげることが可能です。

病態の違い

急性骨髄性白血病は、造血幹細胞が血液細胞に成長する過程で成長が停止し、白血病細胞として増殖することで発症します。発症するとすぐに症状が現れ、進行が速いのが特徴です。
一方、慢性骨髄性白血病(CML)の場合、発症後も数年間は「慢性期」と呼ばれる症状がほとんど現れない期間が続きます。
この時期は自覚症状がないため、自分で気付くのは難しいですが、この時期に治療を始めることで急性転化への進行を抑えられる可能性が高いです。
日頃から健康診断や血液検査を受けておくことで、万が一の場合にも早期発見につながる可能性が高まります。

進行速度の違い

急性骨髄性白血病の場合、治療を行わない状態では、2〜3ヵ月で死亡する例もあります。慢性骨髄性白血病(CML)に比べると進行速度が速く、症状も顕著です。
一方、慢性骨髄性白血病(CML)は、発症しても慢性期の間はほとんど症状が現れません。およそ4〜7年かけて移行期・急性転化へと進行し、進行するにつれて症状が現れるようになります。
しかし、慢性期に治療を始めることで、通常の日常生活を送ることができるケースも少なくありません。

症状の違い

急性骨髄性白血病は発症するとすぐに貧血の症状が現れ、出血症状も伴います。
一方、慢性骨髄性白血病(CML)の場合は、発症しても初期には症状がほとんど現れず、病状が進行するまで自覚症状がないことが多いです。
発症してしばらくは慢性期であり、その後移行期を経て急性転化に進行すると、慢性骨髄性白血病(CML)も急性骨髄性白血病とほぼ同じ症状が現れるようになります。

予後の違い

急性骨髄性白血病の予後は年齢によって異なりますが、65歳未満の患者さんの場合、およそ80%が完全寛解に達します。そのうちの約40%が治癒の可能性があるとされています。
65歳以上の場合、完全寛解率は60%台に留まりますが、再発率が高く、治癒はあまり期待できません。
一方、慢性骨髄性白血病(CML)の予後は、イマチニブの開発により劇的に改善されました。慢性期に治療を始めた場合、85%の患者さんが急性転化を防ぎ、長期生存が期待されています。イマチニブが治療に導入されてからまだ約10年と歴史は浅いですが、今後の治療結果に注目が集まっています。
さらに、イマチニブ以外の薬剤や造血幹細胞移植などの治療も効果を上げており、慢性骨髄性白血病(CML)は90%が長期生存できる病気になりました。

急性骨髄性白血病・慢性骨髄性白血病の治療方法

急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病は、それぞれの病態に合わせた治療が必要です。ここでは、各疾患の治療法とその特徴について詳しく解説します。

急性骨髄性白血病の治療方法

急性骨髄性白血病の治療は、症状をコントロールすることではなく、治癒を目指して行われます。マウスの実験から、白血病細胞を一つ残らずすべてを殺さなければ、白血病を完全に治すことはできないことがわかっています。
白血病の治療に有効な方法は以下の3つです。

  • 薬物療法
  • 化学療法
  • 造血幹細胞移植療法

治療には強力な化学療法が用いられることもあり、現在の治療法では高齢者には負担が大きい場合があります。そのため、年齢によっては、治療の目的を治癒ではなく症状のコントロールに切り替えるケースもあります。

慢性骨髄性白血病の治療方法

慢性骨髄性白血病(CML)の治療において、イマチニブが使用されるようになってからは、イマチニブが慢性骨髄性白血病の治療の第一選択肢となっています。
現在では保険適用も認められており、イマチニブが開発される以前に使用されていたインターフェロンや造血幹細胞移植は、イマチニブが効かなかった場合にのみ用いられる治療法となっています。
慢性骨髄性白血病(CML)の場合、急性転化すると急性骨髄性白血病よりも抗がん剤が効きにくい傾向があるため、急性転化を防ぐために治療を継続することが大変重要です。

急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病の違いについてよくある質問

ここまで急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病の違いや治療方法などを紹介しました。ここでは「急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病の違い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病ではどちらが罹患率が高いですか?

急性骨髄性白血病の罹患率はおよそ10万人に2〜3人で、年齢が高くなるほど増える傾向があります。一方、慢性骨髄性白血病(CML)の罹患率はおよそ10万人に1〜2人で、やや男性の方が多い傾向があります。10万人中の人数を比較すると、急性骨髄性白血病の方が罹患率は高いといえるでしょう。

急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病では生存率に違いがありますか?

急性骨髄性白血病の長期生存率は年齢によって異なりますが、およそ60〜70%です。一方、慢性骨髄性白血病(CML)の8年生存率はおよそ70〜90%と報告されています。特に、慢性骨髄性白血病(CML)は慢性期に治療を始めることで高い生存率が期待できるようになりました。

編集部まとめ

急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病(CML)の違いについて解説してきました。

急性骨髄性白血病では、患者さんの80%が完全寛解することが期待できる点が特徴です。

また、慢性骨髄性白血病(CML)に関しては、近年効果の高い薬が開発され、治癒の期待が高まっています。

薬や医療の進歩により、白血病はもはや不治の病ではなくなりつつあります。

急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)のいずれの場合も、診断を受けたら早めに治療を開始することが重要です。

白血病と関連する病気

「白血病」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 急性リンパ性白血病
  • 急性前骨髄球性白血病

急性リンパ性白血病と急性前骨髄球性白血病は、どちらも小児に多い白血病の種類です。小児の場合、自分で体調の悪さを十分に伝えられないこともあるため、普段の様子をよく観察することが重要です。

白血病と関連する症状

「白血病」と関連している、似ている症状は8個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 肺炎
  • 敗血症
  • 皮下出血
  • 感染症
  • 出血すると止まりにくい

急性白血病は進行が速いため、このような症状が見られた場合は、速やかに診察を受けることが重要です。

この記事の監修医師