「血液検査で悪性リンパ腫」がわかる? 確認すべき“5つの数値”を医師が解説!

悪性リンパ腫では、さまざまな検査が行われます。検査項目の中で、血液検査で確認すべき数値やその見方について詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか。
本記事では悪性リンパ腫について以下の点を中心にご紹介します。
- ・悪性リンパ腫の症状や原因
- ・悪性リンパ腫の検査
- ・悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫は、血液がん(造血器腫瘍)の一種で、白血球の成分の一つであるリンパ球が異常増殖して発症します。リンパ球とは、感染症から体を守る免疫系の役割を果たしており、B細胞、T細胞、NK細胞などの種類があります。
発生部位は、リンパ系組織であるリンパ管、リンパ液、胸腺、扁桃、脾臓などを含む免疫システムでの一部や、リンパ外臓器の胃、長官、骨髄、甲状腺、肺、皮膚、肝臓などです。
悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大きく分類され、さらに腫瘍細胞がどの細胞由来なのかによって100種類以上の病型に分類されます。
早期発見と適切な治療が重要で、病型や進行状況によって治療法や予後が異なります。
悪性リンパ腫の症状
悪性リンパ腫の主な症状には、痛みを伴わないリンパ節の腫れ(首、脇の下、鼠径部など)、全身症状として原因不明の発熱、急激な体重減少、夜間に大量の汗をかく、慢性的な疲労感などがあります。
悪性リンパ腫の原因
悪性リンパ腫の原因は明確ではありませんが、いくつかのリスクファクターが関与しています。遺伝的要因、免疫系の異常、ウイルス感染、化学物質や放射線への曝露、職業や環境、慢性的な炎症状態などがリスクを高める要因です。
加齢や性別も影響し、男性や高齢者に発症率が高く、こうした要因が複雑に絡み合い、悪性リンパ腫が発症すると考えられています。
悪性リンパ腫の検査
悪性リンパ腫の診断には、さまざまな検査が行われます。
主な検査項目を、以下で詳しく解説します。
血液検査
血液検査では、採血データから悪性リンパ腫に関連する異常な細胞やマーカーを検出します。白血球、赤血球、血小板などの数を確認し、腫瘍マーカーを測定し、数値が基準値よりも高い場合、悪性リンパ腫の可能性が示唆されます。また、全身の炎症反応や感染症の有無も確認されます。
血液検査で確認すべき数値については、後述にて詳しく解説します。
超音波検査
超音波検査(エコー検査)は、非侵襲的に体内のリンパ節や臓器を可視化し、腹部などのリンパ節の腫大や病変を詳細に観察します。高周波音波でリアルタイムに体内構造を映し出し、腫瘍の有無や大きさ、位置を確認できます。
患者さんへの負担が少なく、繰り返し行えるため治療経過のモニタリングにも有用です。
CT検査・MRI検査
CT検査は体内の詳細な断面画像を提供し、リンパ節の腫れや臓器への浸潤を評価するために使用されます。MRI検査は、CT検査と比較してさらに細かい軟部組織の画像を提供し、脳や脊髄などの中枢神経系の関与を詳しく調べることができます。
これらの検査は、悪性リンパ腫のステージングや治療効果の評価に不可欠です。
リンパ節生検・腫瘍生検
リンパ節生検は、腫れたリンパ節から組織を取り出し顕微鏡で調べることで、悪性リンパ腫の診断を行います。この検査で異常な細胞の有無や種類が確認できます。
一方、腫瘍生検はリンパ節外の腫瘍からサンプルを採取し、腫瘍の性質や進行度を分析します。
骨髄検査
骨髄検査には骨髄穿刺と骨髄生検があり、これらを通じて骨髄中の細胞を詳しく調べ、リンパ腫の診断や病型の確定が行われます。
骨髄穿刺は局所麻酔で骨髄液を採取し、悪性リンパ腫が骨髄に広がっているかを調べます。
骨髄生検は骨の一部を採取し、骨髄組織全体を観察する方法です。
PET検査
放射性薬剤を体内に注入し、その分布を画像化してリンパ腫の存在や広がりを詳細に把握します。CT検査やMRI検査では検出できない微小な病変も見つけられるため、治療方針の決定や効果判定、再発確認に重要です。全身を対象とし、一度にリンパ腫の広がりを確認します。
悪性リンパ腫の血液検査で確認すべき数値
悪性リンパ腫の診断では、血液検査で以下の数値などを確認します。
【白血球(WBC)とリンパ球(TLC)】
白血球の基準値は3300〜8600/μL、リンパ球の基準値は割合として17~58%、数として1000~4800/μLです。
悪性リンパ腫では、リンパ球の割合が異常に高くなることがあります。しかし、白血球の総数が多くなることもあれば、少なくなる場合もあります。異常数値は、感染症やほかの血液病との症状が類似しているため、確定診断には追加の検査が必要です。
【C反応性たんぱく(CRP)】
基準値は0.14mg/dL未満です。
細菌やウイルスの感染により急激に上昇し高い値を示すため、急性炎症のマーカーとして利用されています。血中CRP濃度が上昇するにつれて、がんの罹患リスクは高いと判断されます。
【赤血球(RBC)や血小板(PLT)】
赤血球の基準値は男性427〜570×10⁴/μL・女性376〜500×10⁴/μL、血小板の基準値は15.0~35.0×10⁴/μLです。
悪性リンパ腫では骨髄機能が障害されるため、赤血球や血小板の減少も観察されます。発熱や体重減少などの症状とも関連しています。
【乳酸脱水素酵素(LDH)】
基準値は106〜211IU/Lです。
悪性リンパ腫では、LDHの上昇を伴います。身体のエネルギー代謝に関連する酵素で、LDH上昇は悪性リンパ腫の活動性の高さを示し、予後不良の指標となることもあります。
【可溶性インターロイキン2受容体(sIL2‐R)】
基準値は121〜613U/mLです。
悪性リンパ腫の腫瘍マーカーですが、上昇変化を見ないケースもあります。また、ウイルス感染症などでも上昇するため判断には注意が必要です。
血液検査だけでは悪性リンパ腫の確定診断には至りませんが、これらの数値とその他の検査項目を総合的に評価することで、診断精度を高めます。
悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫の治療法の選択は病状や進行度によって異なります。
以下、各治療法を詳しく解説します。
薬物療法
悪性リンパ腫の治療には主に化学療法が用いられ、抗がん剤でがん細胞の増殖を抑えます。複数の薬剤を組み合わせ、点滴や経口で投与され全身に作用します。副作用の管理も重要で、治療中は定期的な検査と医師のフォローが必要です。
また、分子標的薬や免疫療法も併用されることがあります。
放射線療法
放射線療法は高エネルギーの放射線で癌細胞を破壊し、腫瘍の縮小や症状の緩和を図ります。この方法は照射部位を限定するため、健康な組織への影響を抑えられます。化学療法や手術と併用されることもあります。
治療の進行や腫瘍の位置、患者さんの健康状態に応じて適用範囲や方法が決定されます。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、高用量の化学療法や放射線療法でがん細胞を破壊した後、健康な造血幹細胞を移植し、正常な血液細胞を再生させる治療法です。自家移植では患者さん自身の幹細胞を使用し、同種移植では適合するドナーの幹細胞を使用します。この治療法は悪性リンパ腫の再発や進行を抑える効果があり、患者さんにとって再生の希望となります。
ただし、感染症リスクや拒絶反応などの副作用もあるため、医師の指導のもと慎重に行われます。
悪性リンパ腫についてよくある質問
ここまで悪性リンパ腫の血液検査の数値を紹介しました。ここでは悪性リンパ腫についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
悪性リンパ腫の予後について教えてください
悪性リンパ腫の予後は、病型や進行度、患者さんの年齢や全身状態によって異なります。早期発見と適切な治療で予後は改善し、低悪性度リンパ腫は進行が遅く長期の寛解が期待できます。高悪性度リンパ腫は進行が速いですが、治療反応が良好なら寛解に至ることもあります。
治療後は再発や副作用の管理を含む経過観察が重要で、個々の状況に応じた治療計画と生活の質を考慮したケアが予後改善につながります。
悪性リンパ腫の症状が見られる場合、何科を受診すればよいのでしょうか
悪性リンパ腫の症状が見られる場合、内科または血液内科を受診することが推奨されます。
血液内科では、血液検査や画像診断、リンパ節生検などで正確な診断を行い、診断結果に基づいて適切な治療法を提案します。
まとめ
ここまで悪性リンパ腫についてお伝えしてきました。
悪性リンパ腫の要点をまとめると以下のとおりです。
⚫︎まとめ
- ・悪性リンパ腫は、痛みを伴わないリンパ節の腫れ、発熱、体重減少、夜間発汗などの症状が現れ、原因は明確ではない
- ・悪性リンパ腫の血液検査では、白血球、リンパ球、CRP、赤血球、血小板、LDH、sIL2‐Rなどの内容を観察されている
- ・悪性リンパ腫の治療には、化学療法、放射線療法、免疫療法、造血幹細胞移植などが用いられる
悪性リンパ腫と関連する病気
悪性リンパ腫と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
血液科の病気
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
悪性リンパ腫と関連する症状
悪性リンパ腫と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。
参考文献



