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「慢性骨髄性白血病を診断」する”3つの基準”はご存じですか?初期症状も医師が解説!

 公開日:2026/01/09
「慢性骨髄性白血病を診断」する”3つの基準”はご存じですか?初期症状も医師が解説!

倦怠感やだるさなどの症状は、疲労が続いた場合に感じることが少なくありません。通常は、十分な睡眠を取ったり長期間休んだりするとリフレッシュできます。

しかし、症状が改善されない場合は、血液に異常があるかもしれません。

血液の病気に白血病があります。白血病は倦怠感や貧血などの症状が伴いますが、症状がすぐにでるとは限りません。

慢性骨髄性白血病は、慢性期と呼ばれる期間から始まり自覚症状が乏しいのが特徴です。

本記事では慢性骨髄性白血病の特徴的な症状や検査方法などを解説します。気になる症状があればぜひ参考にしてください。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

慢性骨髄性白血病とは?

慢性骨髄性白血病は、血液中の白血球のうち顆粒球と単球が異常に増殖し脾臓が腫れることが特徴的な白血病です。慢性骨髄性白血病は、慢性期(発症から3~5年程)から始まり、ゆっくり進行します。
移行期を経て急性転化期に進行するのが一般的です。急性転化期に移行してから抗がん剤などの効果がでない場合、患者さんの余命は数ヵ月になることもあります。慢性骨髄性白血病の年間の発症率は、10万人あたり1~1.6人程で発症年齢の中央値は55歳です。

慢性骨髄性白血病の診断基準は?

慢性骨髄性白血病は、健康診断の血液検査で白血球数の増加で発見されることが少なくありません。慢性骨髄性白血病では、すべての白血球が偏りなく増加するのが特徴です。
しかし、白血球や血小板が増加する病気はほかにもあるので、診断確定のために骨髄検査も実施されます。骨髄穿刺を行い、フィラデルフィア染色体またはBCR-ABL融合遺伝子の存在が明らかになれば、慢性骨髄性白血病の診断が確定されます。

白血球数の増加や増えている白血球の種類

白血球は、顆粒球・単球・リンパ球の3種類があります。顆粒球と単球は、骨髄組織で生成され血液の中へと運ばれていきます。慢性骨髄性白血病は、造血機構の異常で白血球・赤血球・血小板が増加して、血液細胞ががん化する骨髄増殖性腫瘍の一種です。
血球には寿命があり、常に新しい血球を生成する必要があります。白血病細胞は白血球を無制限に増殖させるため、骨髄内に蓄積し正常な造血を妨げたり脾臓や肝臓に進入したりして、さまざまな症状がでます。

特徴的な染色体の異常

慢性骨髄性白血病の特徴的な染色体異常に、フィラデルフィア染色体があります。
フィラデルフィア染色体は、染色体(DNA情報の発現と伝達を行う生体物質)の9番と22番が途中で切れて相互転座(入れ替わり)を起こしている状態です。相互転座がなぜ起きるのかは今のところ確定されていませんが、放射線が1つの誘因としてあげられます。

遺伝子の異常

染色体の相互転座が起きると、ABL遺伝子(9番染色体)とBCR遺伝子(22番染色体)が結合されBCR-ABLキメラ遺伝子になります。BCR-ABLキメラ遺伝子からは正常細胞では作成されない、BCR-ABL蛋白が作られてチロシンキナーゼを活性化させます。
さらにBCR-ABL蛋白は、増殖因子を増やしたり細胞を死ななくさせたりする作用があるのでがん化を導く因子となるでしょう。ただし、遺伝子異常は血縁者に遺伝しません。

慢性骨髄性白血病の検査法

慢性骨髄性白血病の検査には以下の方法があります。

  • 血液検査:白血球数・血小板数の異常や異常細胞の確認を行う
  • 骨髄検査:骨髄を採取して白血病細胞の割合を評価する
  • 細胞学的検査:特殊な染色法で染めた骨髄細胞を顕微鏡で観察して鑑別する
  • 表面形質検査:フローサイトメーターで細胞の表面形質を測定する
  • 染色体・遺伝子検査:染色体や遺伝子の数や構造の異常を調べる検査

血液検査で白血球数異常・血小板数の異常・異常細胞の出現で白血病が疑われるので、確定診断のために上記の検査を行います。

慢性骨髄性白血病の症状

慢性骨髄性白血病は、慢性期から移行期、急転化期の順に進行します。慢性期は白血球や血小板の増殖は認められるものの、表にあらわれる症状はほとんどありません
移行期に入ると症状が全身にあらわれるようになり、急性転化期になると急性白血病と類似した症状がみられるようになります。

初期には症状がほとんどないとされる

慢性期は症状が乏しいため、自覚症状がないのが一般的です。
ただし、慢性期でも血球が増加しているので全身の倦怠感・体重減少・微熱などがみられることもあれば、好塩基球※の増加や高ヒスタミン血症などから、胃潰瘍や皮膚掻痒などの症状があらわれることもあります。そのため、慢性期に白血球の異常が発見されるのは、健康診断や腹部の膨張感による受診の場合が少なくありません。

※白血球の一種、免疫を監視して初期のがんを検出して破壊する白血球

動悸・息切れ

骨髄のなかには、造血幹細胞と呼ばれる血液細胞のもととなる細胞があります。造血幹細胞に異常が起こると、血液細胞の生成が不完全になるため、異形な血液細胞や本来の働きができない血液細胞が生成されるようになります。
不完全な血液細胞は壊れやすく、無効造血が増えるため血管内の正常な血液細胞が減少します。本来、赤血球は酸素を全身に送る働きを担っていますが、急性転化期に入り赤血球が減少すると息切れや動悸などの貧血症状があらわれるようになるでしょう。

歯茎からの出血

血小板は、血管の傷つきを察知して止血をする役目のある血球成分です。無効造血が増えると血小板数が減少するので、ちょっとした刺激で歯茎や口腔内の粘膜から出血したり小さな傷でも血が止まらなくなったりします。また、以下が原因となり血小板数が減ることもあります。

  • 抗がん剤投与の副作用
  • 放射線治療の副反応
  • がんが骨髄に浸潤したことにより血小板が十分に生成されない
  • 播種性血管内凝固症候群の発症

血小板減少では血が止まらないことも少なくありません。時間がたっても出血が治まらない場合は血小板の輸血が必要になることがあります。

鼻血

鼻血がでやすくなるのも血小板数の減少が原因の場合があります。血小板数が減少した場合のほかの症状には以下のものがあります。

  • 手足の皮下出血
  • 血尿・血便
  • 月経量増加

出血すると健康なときより、止血までの時間が長くかかります。激しい運動はなるべく避けて転倒・打撲・外傷などに注意しましょう。

倦怠感

倦怠感は、がん治療の副作用やがんで起こる症状が誘因となっている場合があります。だるさの原因(貧血・不安・痛み・不眠など)を治療すれば倦怠感が軽減される場合があります。
しかしながら、倦怠感やだるさは数ヵ月~数年続くこともあるので、症状に合った治療や運動療法などを取り入れながら自分のペースで生活するようにしましょう。

発熱

血液やリンパのがんで発熱がみられることは珍しくありません。白血球が減少すると病原体に対する抵抗力が弱まり、細菌やウイルスなどに感染するリスクが上がるため発熱しやすくなります。
がん治療(薬・抗菌薬・輸血など)の副作用やアレルギー反応なども発熱を起こす誘因となることがあります。がん治療では、治療中や治療終了後数日たってから、発熱・皮膚湿疹・吐き気・呼吸困難などが起こることもあるので注意しましょう。

お腹のハリ

慢性骨髄性白血病では、慢性期から肝脾腫(脾臓が大きくなる)を伴うことが少なくありません。肝脾腫になると胃の不快感・腹部の膨張感などを自覚する場合もあります。体重減少や微熱がでることもありますが、慢性期はほかの自覚症状は乏しいでしょう。

慢性骨髄性白血病の診断基準についてよくある質問

ここまで慢性骨髄性白血病の診断基準・検査法・症状などを紹介しました。ここでは「慢性骨髄性白血病の診断基準と急性骨髄性白血病の違い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

慢性骨髄性白血病と急性骨髄性白血病の違いを教えてください。

急性骨髄性白血病は、骨髄芽球(未熟な血液細胞)の異常でがん化した白血病細胞が無限に増加する病気です。いきなり貧血症状や発熱などのさまざまな症状があらわれ進行が早いのが特徴です。一方、慢性骨髄性白血病は骨髄芽球だけではなく成熟した血液細胞も増加します。進行はゆっくりで慢性期の自覚症状が乏しいのが特徴です。

慢性骨髄性白血病と診断されたらどのような検査を行いますか?

慢性骨髄性白血病の診断の確定には、血液検査で血球の数値を確認し、異常がある場合は骨髄検査で診断や病型を確定します。骨髄検査では、染色体や遺伝子の異常をみつけることができます。

編集部まとめ

白血病は、血液細胞の生成異常で血液細胞ががん化し発症する病気です。

慢性骨髄性白血病は、慢性期・移行期・急性転化期の順で進行するため慢性期の段階には自覚症状はほとんどなく、移行期頃から全身症状があらわれはじめます。

早期に発見すれば生存率が大幅に上がるため、不快な症状が継続している場合は、検診を受けましょう。

慢性骨髄性白血病と関連する病気

「慢性骨髄性白血病」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 真性多血症
  • 原発性骨髄線維症
  • 本態性血小板血症
  • 慢性好中球性白血病
  • 慢性好酸球性白血病

上記のような骨髄の腫瘍を骨髄増殖性腫瘍といいます。

慢性骨髄性白血病と関連する症状

「慢性骨髄性白血病」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドック解説記事をご覧ください。

関連する症状

慢性骨髄性白血病は、慢性期には症状が乏しいため見過ごされやすい病気です。症状が長引く場合は、医療機関で受診しましょう。

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