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「急性骨髄性白血病の再発率」はご存知ですか?症状や治療法についても解説!

 公開日:2025/01/02
「急性骨髄性白血病の再発率」はご存知ですか?症状や治療法についても解説!

急性骨髄性白血病の再発率をご存知ですか?

白血病ははじめの寛解導入療法で多くの患者さんが寛解状態となりますが、再発してしまうことも少なくありません。

本記事では、急性骨髄性白血病の症状や治療法と再発率を解説します。

急性骨髄性白血病の治療にあたり、正しい知識をもって冷静に行動する参考になれば幸いです。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

急性骨髄性白血病とは

急性骨髄性白血病とは、骨髄のなかで作られる血球に異常が起こる血液のがんです。
骨髄には造血幹細胞と呼ばれる細胞があり、この造血幹細胞から白血球・赤血球・血小板などの血球細胞が作られていきます。造血幹細胞はさまざまな血球細胞に分化していきますが、何らかの理由で分化が止まってしまい、未熟な細胞が増殖するのが白血病です。
急性骨髄性白血病は、骨髄を由来とする白血病細胞が急激に増殖していくのが特徴で、症状も急速に進行します。
未熟な白血病細胞が増殖して正常な血球細胞が減少するため、貧血・出血・感染症などの症状が起こり、速やかに治療しないと致死的になることも少なくありません。

急性骨髄性白血病の再発率は?

急性骨髄性白血病の治療では、はじめの化学療法によって約80%以上の患者さんが寛解状態になると言われています。しかし、見た目上は症状がなくなっても、身体のなかには白血病細胞が残っているため、ここで治療を辞めてしまうと高い確率で再発します。
寛解後にも再発を防ぐための治療の継続が必要で、化学療法だけで再発せずに治癒する確率は約20〜30%です。
寛解してから5年間再発がない場合、急性骨髄白血病は治っている可能性は高いと考えられます。

急性骨髄性白血病の症状

急性骨髄性白血病の症状は、正常な血球細胞の減少によるものがほとんどです。
正常な白血病・赤血球・血小板などが減少し、異常な白血病細胞が増殖して、身体にさまざまな不調が起こります。急性骨髄性白血病では症状が急速に進行するため、治療しないでおくと数ヵ月で死亡してしまうケースも少なくありません。
以下のような症状が急速に悪化した場合は、速やかに医療機関で受診しましょう。

発熱や倦怠感

急性骨髄性白血病では、白血球の減少により感染症にかかりやすくなるため、発熱の症状がよく見られます。
感染症が原因でない場合でも、白血病細胞から放出される発熱性サイトカインにより、発熱する場合も少なくありません。感染症や薬剤が原因ではなく、がん細胞が原因となる発熱を腫瘍熱といい、急性骨髄性白血病では発熱や倦怠感を伴います。
また、赤血球の減少による貧血症状も起こりやすく、立ちくらみや息切れが激しくなります。2週間以上発熱が治まらない場合や、強い倦怠感やめまいがある場合には、速やかに医療機関で受診してください。

青あざ

急性骨髄性白血病では、血小板の減少により出血が起こりやすくなります。
内出血によって青あざができやすくなり、軽くぶつけただけであざになったり、気付かないうちに青あざができていることもあります。

鼻血や歯茎からの出血

血小板の減少によって、鼻血や歯茎からの出血も起こりやすくなります。
歯みがきの際に出血するようになったり、歯茎が赤く腫れたりなどの症状が特徴です。これらの症状は歯周病と区別が付きませんが、白血球の減少によって歯周病にもなりやすくなるため、入念な口腔ケアを心がけましょう。
歯周病が進行すると、口腔内で増殖した細菌が血管に乗って全身に広がるため、全身の状態が悪化するリスクがあります。

骨痛・関節痛

急性骨髄性白血病では、骨髄で異常な白血病細胞が増加するため、異常細胞に圧迫された骨が痛みを感じます。
溜まった白血病細胞が関節の神経を圧迫して、関節の痛みが起こることも少なくありません。

感染症

急性骨髄性白血病で特に注意すべきなのは、白血球の減少による免疫力の低下です。
普段ならかからないような感染症にかかりやすくなり、重症化のリスクも高まります。倦怠感に発熱を伴う場合は、感染症の可能性が高いため、早めに医療機関で受診しましょう。

心不全

急性骨髄性白血病では、赤血球の減少によって貧血となり、全身の酸素が不足します。
酸素不足を補うために、身体は心臓からの拍出量を増やすため、心臓の負担が大きくなります。慢性的に心臓の負担が高まると、不整脈や心不全のリスクが高まり、致命的になる場合も少なくありません。

臓器障害

異常に増殖した白血病細胞が血管やリンパ管から溢れ出し、臓器に浸潤することが少なくありません。
急性骨髄性白血病では、特に脾臓・肝臓・脳などに浸潤が起こり、これらの臓器の機能が障害されます。脾臓や肝臓への浸潤が進むと、臓器が肥大して消化管を圧迫して腹部膨満感が生じることもあります。

急性骨髄性白血病の治療法

急性骨髄性白血病は症状が急速に進行するため、診断が確定したら速やかに入院して治療を開始します。
白血病は血液のがんであるため、大腸がんや肺がんのように手術で腫瘍を切り取ることはできません
急性骨髄性白血病の主な治療方法は、以下の4つです。

  • 化学療法
  • 造血幹細胞移植
  • 地固め療法
  • 維持療法

それぞれの内容を解説します。

化学療法

急性骨髄性白血病の治療は、抗がん剤による化学療法が基本となります。
化学療法によって症状の寛解を目指す寛解導入療法が行われ、80%以上の患者さんは寛解状態となります。
寛解状態であっても、体内には白血病細胞が残っているため、再発しないよう治療を継続しなければいけません。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、主に白血病が再発した場合に行われるドナーからの幹細胞移植です。
抗がん剤は白血病細胞とともに正常な造血幹細胞まで殺してしまうため、抗がん剤が強すぎると自力での回復ができなくなります。
造血幹細胞移植では、移植用の造血幹細胞を用意したうえで、強力化学療法によって正常細胞ごと白血病細胞を全滅させます。その後に正常な造血幹細胞を移植して、血球を作る力を回復させる治療方法です。

地固め療法

地固め療法とは、はじめの化学療法によって寛解状態となった後に、再発を防ぐために続けられる化学療法です。
一般的には、7~9ヵ月間入院して、抗がん剤による治療を継続します。抗がん剤は白血病細胞と一緒に正常な血球細胞も減らしてしまうため、免疫力の低下や貧血などが副作用として起こります。
白血病の抗がん剤治療中は、厳重に管理された病棟に入院しなければいけません。

維持療法

維持療法とは、白血病の再発を防ぐために、2~3年間かけて行われる化学療法です。
一般的には外来で行われ、患者さんは治療のたびに通院して抗がん剤治療を受けます。
白血病細胞は、寛解後1年半以上も残存する場合があり、長期に渡って治療と観察を継続しなければいけません。

急性骨髄性白血病の再発率についてよくある質問

ここまで急性骨髄性白血病の症状や治療方法などを紹介しました。ここでは「急性骨髄性白血病の再発率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

再発を防ぐために注意することはありますか?

山本 佳奈医師山本 佳奈(医師)

治療によって寛解したように見えても、体内には白血病細胞が残っていることがあります。症状がなくても、医師が十分と判断するまで治療を継続することが大切です。

急性骨髄性白血病の予後について教えてください。

山本 佳奈医師山本 佳奈(医師)

急性骨髄性白血病は症例によって治りにくさの分類があり、無再発生存率は22~37%です。

編集部まとめ

急性骨髄性白血病の再発率や治療方法を解説してきました。

急性骨髄性白血病は、はじめの化学療法で80%以上が寛解しますが、再発率も少なくありません。

寛解から4年以上再発がなければ、その後に再発する可能性は1%以下であるため、ほぼ治ったと考えられるでしょう。

白血病の治療方法は日々進化しており、希望を持って治療に臨むことが大切です。

急性骨髄性白血病と関連する病気

「急性骨髄性白血病」と関連する病気は1個程あります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病は、リンパ球を由来とする白血病細胞が増殖する白血病です。急性骨髄性白血病との違いは、白血病細胞の由来であり、症状はほとんど変わりません。急速に進行するため、速やかな治療が必要です。

急性骨髄性白血病と関連する症状

「急性骨髄性白血病」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 血が止まらない

急性骨髄性白血病では、異常な白血病細胞が増えるかわりに正常な血球細胞が減少します。白血病・赤血球・血小板の減少によってさまざまな症状が起こり、急速に悪化するのが特徴です。2週間以上治まらない症状がある場合は、早めに医療機関で受診しましょう。

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