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「白血病を抗がん剤治療」するとどんな副作用が現れるかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2024/10/11
「白血病を抗がん剤治療」するとどんな副作用が現れるかご存知ですか?【医師監修】

白血病の原因は、遺伝子の突然変異であるため予防できません。治療方法は抗がん剤が主体であり、怖い病気と受け取られてきました。

しかし、抗がん剤のほかにも新しい治療法が開発され、根治治療への期待もできるようになっています。

この記事では、白血病の概要や治療法を解説するだけでなく、薬の副作用や抗がん剤以外の治療法についても紹介します。白血病が気になる方は参考にしてください。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

白血病とは?

白血病は、骨髄内で造血幹細胞が分化(白血球・赤血球・血小板になる)する途中で遺伝子に異常をおこし、がん化して白血病細胞になることで発症します。発症すると無制限に増殖するのは固形がんと同様です。
白血病は増殖速度が速い急性白血病とゆっくり増殖する慢性白血病に分けられ、さらに白血球の種類により、それぞれ骨髄性白血病とリンパ性白血病に分けられます。発症のメカニズムや病気の性質はそれぞれ異なり、治療法も別です。症状にも違いがあり、慢性白血病の場合は初期症状はほとんど出ません。
白血球や赤血球は増えますが、活動にほとんど変化がないためです。ただ、進行すると次のような急性白血病と同様の症状が出てきます。血液細胞ががん化して本来の造血機能が失われたことで、赤血球が十分に生成されなくなり、貧血症状として動悸やめまいが出ます。
また、血小板が少なくなるため鼻血・歯茎からの出血・発熱が表れ、正常な白血球の減少で表れるのが肺炎や敗血症などの感染症状です。

白血病の抗がん剤治療とは?

白血病では固形がんのような根治的手術や放射線治療が困難であるため、抗がん剤による治療が基本です。白血病は抗がん剤がよく効く病気ですが、急性白血病と慢性白血病では治療法が異なります。
急性白血病の場合は初回治療として、初回寛解導入療法が実施されます。この方法は骨髄内の白血病細胞を5%以内まで減少させるもので、大変強力な抗がん剤が使われる治療法です。作用が強く副作用や合併症が出やすい薬物ですが、症状は支持療法などの併用で軽減できます。造血機能が回復するまでには約1ヵ月かかり、その結果目標の5%以内にがん細胞が減らせた状態が完全寛解です。その場合でもまだ体内に白血病細胞が残っており、追加治療としての地固め療法などで治癒が望めます。
一方、慢性の骨髄性白血病に適応する抗がん剤は少なく、主に使用されているのは分子標的薬のグリベックです。5年間で約90%の患者さんで進行を抑えた結果が報告されています。内服薬なので、外来で治療が可能です。また、慢性のリンパ性白血病には根治可能な抗がん剤は見つかっていません。進行した場合には、抗がん剤のフルダラビンが対症療法的に使われています。

白血病の抗がん剤治療の主な副作用

さまざまな抗がん剤が開発されていますが、やはり副作用は避けられません。効果の見返りとも受けとれる、白血病治療薬による副作用は以下のような症状です。

  • 吐き気・嘔吐
  • 皮膚の赤み・かゆみ
  • 脱毛
  • 口の渇き・口内炎
  • 爪の変形

それぞれの症状について解説します。

吐き気・嘔吐

抗がん剤によるがん治療中によく見られる副作用で、本人にとってはつらい症状です。これらの症状に対する対応として、吐き気を抑える薬を使う方法を選びます。
吐き気・嘔吐の症状が出現したとしても、吐き気止めを使用することで症状の緩和が可能です。また、抗がん剤を投与してから数日のうちに吐き気は消失します。

皮膚の赤み・かゆみ

皮膚の症状は、殺細胞性抗がん剤や分子標的薬を使用した際に出現しやすくなります。殺細胞性抗がん剤は細胞分裂が活発な皮膚表面にも作用しやすいため、皮膚症状が出現します。また分子標的薬では皮膚内の遺伝子に作用して、発疹・紅斑・かゆみなどの症状をおこすのが原因です。

脱毛

頭髪・眉・陰毛などの脱毛は主に殺細胞性抗がん剤でおこる可能性が高い副作用です。一般的には投与開始から2~3週間で抜けはじめ、投与修了後は1~2ヵ月後に新しい毛が生え始めます。ただし、抜け方、生え方とも個人差が大きい症状です。

口の渇き・口内炎

抗がん剤で唾液腺がダメージを受けて唾液の分泌が減るため口腔内が渇きます。また口腔粘膜にもダメージがおよび、口内炎がおこります。口内炎は免疫力が低下した結果でもおこり、代表的なものはヘルペスやカンジダによる感染性口内炎です。ヘルペスやカンジダによる口内炎はいずれも特効薬があるため、対処可能です。

爪の変形

爪の変形は、爪を作る爪母が抗がん剤の作用により発生します。爪の変形・変色・脆弱化が主な症状です。進行すると爪周囲の炎症や爪がはがれるなどの症状が出ます。爪周囲の炎症は、特に分子標的薬でおこりやすい副作用です。

白血病のその他の治療法

手術ができない白血病は抗がん剤による治療が基本です。しかし、抗がん剤以外で治療する方法もあります。ここでは抗がん剤以外の白血病の治療法を分類ごとに解説します。

急性リンパ性白血病の治療

抗がん剤以外の急性リンパ性白血病の治療法としては、造血幹細胞の移植が検討されます。この治療では、ドナーの骨髄から採取した造血幹細胞を移植することで完治を目指します。また、分子標的薬と細胞障害性の抗がん剤を併せた薬物療法も行われるでしょう。

急性骨髄性白血病の治療

急性骨髄性白血病でも造血幹細胞の移植治療が有効です。また、骨髄性白血病の一種である急性前骨髄性白血病に対しては、ビタミンAの誘導体レチノインを使う治療が行われます。この治療はレチノインで白血病細胞を分化・自死させ、正常な血球と入れ換える治療です。

慢性リンパ性白血病の治療

慢性リンパ性白血病は、根治できる治療法が確立されていません。貧血や血小板減少などの症状に対しては、対症療法として化学療法を行います。適切なドナーが確保できれば造血幹細胞の移植を考慮することもあります。

慢性骨髄性白血病の治療

慢性骨髄性白血病ではイマチニブが使用されており、約90%の患者さんが病状の進展を抑えられています。この薬の効果が思わしくない場合、または移行期・急性期に移行した場合は、造血幹細胞の移植が考慮されます。

骨髄異形成症候群の治療

骨髄異形成症候群は造血幹細胞の分化の異常で、急性骨髄性白血病に移行するリスクがあります。骨髄異形成症候群は低リスクと高リスクに分類できます。低リスクで無症状なら定期的な検査のみですが、貧血などの症状を伴うようであれば対症療法で対応されるでしょう。
高リスクでは、可能であれば移植を行いますが、何らかの理由で移植治療ができない場合は殺細胞性抗がん剤による治療が行われます。

白血病の抗がん剤についてよくある質問

ここまで白血病の抗がん剤の治療方法・副作用などを紹介しました。ここでは「白血病の抗がん剤」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

抗がん剤治療は仕事をしながら通院で受けられますか?

山本 佳奈医師山本 佳奈(医師)

抗がん剤治療では、頻度が多いものだと1週間に1度になります。抗がん剤治療を行う場合、待ち時間を含めると1日がかりになるため、身体的な負担が強く疲れるでしょう。点滴後は1~2日しないと疲れがとれず、治療をした後の数日間を休んでしまうこともあるでしょう。そのため、治療内容も含めて職場と相談する必要があります。あまり頻繁に休めない場合は、治療期間の長い抗がん剤治療がないか、医師に相談するようにしましょう。病院が遠い場合は、近くの病院に白血病の診療科があれば転院できる可能性があります。そのような希望がある場合は、担当医に相談してみましょう。

抗がん剤治療とほかの治療を並行して行うことがありますか?

山本 佳奈医師山本 佳奈(医師)

集学的治療といって、手術・薬物・放射線など種類の違う治療を同時進行で行うことがあります。単独の治療より高い効果が見込める場合に実施する治療です。白血病の場合は集学的治療はありませんが、複数の薬物を組み合わせて効果を高める多剤併用治療が行われます。

編集部まとめ

急性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病では、抗がん剤によってがん細胞が見つからない状態まで回復が可能です。

慢性骨髄性白血病でも、分子標的薬で進展抑制ができます。ただし、分子標的薬の副作用は避けられませんが、対症療法で症状を緩和することは可能です。

抗がん剤の開発は各国で進められていて、造血幹細胞の移植という有用な治療法も普及しています。これまでの白血病の怖いイメージも、次第に変化してくるでしょう。

白血病と関連する病気

「白血病」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

白血病は小児も発症する可能性があり、小児がんの罹患数トップが白血病で、うち70%が小児急性リンパ性白血病です。小児には抗がん剤が効きやすく、生存率も成人を上回ります。骨髄異形成症候群は骨髄性白血病への移行リスクがあり、発見されればがんと同じ治療が開始されます。

白血病と関連する症状

「白血病」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

このような症状は白血病特有のものではありません。多くは風邪に似た症状で、歯茎の出血も歯周病の方には日常的です。そのため、受診の動機にはなりにくく、治療が遅れる原因にもなります。なかなか症状がよくならないなど、いつもとは違う違和感があればためらわずに受診してください。

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