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「急性骨髄性白血病は完治」するの?症状や治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/10/15
「急性骨髄性白血病は完治」するの?症状や治療法も解説!【医師監修】

急性骨髄性白血病と診断されたら、患者さんは完治するかどうかが心配になるでしょう。

急性骨髄性白血病は急速に進行しますが、自覚症状が強いため気付かないうちに手遅れになるといったケースはほとんどありません。

速やかに治療すれば完治するケースもあるため、過度な心配はせずに希望を持って治療に取り組みましょう。

この記事では、急性骨髄性白血病の症状・治療法・完治の可能性を解説します。

急性骨髄性白血病と診断された方が、正しい知識を持って適切な治療に臨む参考になれば幸いです。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

急性骨髄性白血病とは

急性骨髄性白血病とは、骨髄で白血球をつくる骨髄芽球に異常が生じ、がん化した白血球が異常に増殖する血液のがんです。
白血球が異常増殖する代わりに正常な血球が減少するため、血液の機能が低下してしまいます。急激に進行するため、治療せずに放置すると数ヵ月で死亡してしまうケースも少なくありません。

急性骨髄性白血病は完治できる?

急性骨髄性白血病と診断されたら早めの治療が大切で、初期の治療によって80%程度の患者さんは寛解します。寛解とは見かけの症状がなくなった状態で、異常な白血球は体内に残っていることがほとんどです。このままだと再発してしまうため、寛解後も地固め療法などの治療の継続が必要です。
20~30%の患者さんは化学療法だけで完治するといわれています。

急性骨髄性白血病の症状

急性骨髄性白血病では、異常な白血球の増殖によって正常な血球が作れなくなるため、血液の機能低下に伴うさまざまな症状が起こります。
症状は急激に進行するため、普通の体調不良ではないと感じたら、速やかに病院で検査を受けてください。以下、急性骨髄性白血病の主な症状を解説します。

発熱

急性骨髄性白血病になると、異常な白血球が増える代わりに正常な白血球が減少し、細菌感染などを起こしやすくなります。感染症にかかりやすくなり、発熱によって受診した際に急性骨髄性白血病が発覚するケースも少なくありません。
普段は風邪を引かないのに急に発熱したり、重い風邪の症状がでたりした場合は、詳しい検査を受けましょう。

倦怠感

急性骨髄性白血病で赤血球が減少すると酸素が運ばれなくなり、貧血の症状が起こります。強い倦怠感や立ちくらみ、めまいなどが代表的な貧血の症状です。
月経のある女性の場合は貧血が起こりやすいですが、普段から貧血でないのに、急に強い倦怠感が生じた場合は、血液に異常が起きている可能性があります。

青あざ

急性骨髄性白血病で血小板が減少すると、血が止まらなくなり、内出血による青あざができやすくなります。血小板がさらに減少すると、体中に青あざのような紫斑が広がったり、赤い皮疹ができることもあります。

鼻血・歯茎からの出血

急性骨髄性白血病で血小板が減少すると出血しやすくなるため、鼻血や歯茎からの出血が多くなります。また、異常に増殖した白血球が歯肉や皮膚に浸潤し、大きく腫れたり、膿がでたりする場合も少なくありません。
歯茎からの出血は歯周病の可能性もありますが、白血病では正常な白血球が減少するため、歯周病の進行も早くなります

骨痛・関節痛

急性骨髄性白血病で異常に増殖した白血球が、血管の外に浸潤して関節にたまると、関節痛を引き起こします。骨髄内で異常に増殖した白血球が関節の動きを妨げたり、神経を圧迫したりして慢性的な痛みが生じます。関節痛や骨痛は感染症による場合もあり、詳しい検査が必要です。

感染症

正常な白血球が減少している白血病では、あらゆる病気に感染しやすいため注意が必要です。通常であれば問題なく治癒する感染症でも、急性骨髄性白血病の患者さんには致命的になるケースも少なくありません。治療中は感染症に注意し、手洗いうがいの徹底や人混みを避けるなどの対策が重要になります。

心不全

急性骨髄性白血病では貧血の症状が強くでるため、心臓に負担がかかり心不全となる場合があります。
心臓は全身に血液を送るために拍動を繰り返していますが、赤血球が減少して酸素が運ばれなくなると、心拍数をあげて血流量を増やそうとします。この状態が続くと心臓への負荷が高まり、心不全に進行するケースも少なくありません。

臓器障害

急性骨髄性白血病で異常に増殖した白血球が臓器に浸潤すると、さまざまな臓器障害が起こります。脳の場合は強い頭痛が生じ、肝臓など腹部の臓器の場合は、腫脹した臓器が胃腸を圧迫して腹部膨満感が生じます。
蓄積した白血球が臓器を圧迫し機能を低下させ、急速に進行していくのが特徴です。

急性骨髄性白血病の治療

急性骨髄性白血病は血液のがんであるため、ほかのがんのように手術で腫瘍を切り取ることができません。しかし、手術以外の治療方法でがんが完治している患者さんは少なくありません。以下、急性骨髄性白血病の主な治療方法を解説します。

化学療法

急性骨髄性白血病の治療は、抗がん剤による化学療法が基本となります。診断を受けたら早急に入院し、がんのタイプに合わせて使用する抗がん剤を選択します。
治療の最初の目標は完全寛解です。顕微鏡検査で白血球がみられなくなり、血液検査で血球数が正常に戻れば寛解となります。しかし、この時点では体内に異常な白血球が残っているため、治療を辞めると再発する可能性が高いでしょう。
寛解後にも地固め療法や維持療法と呼ばれる治療を繰り返し行い、白血病細胞をすべて死滅させたら完治となります。

造血幹細胞移植

化学療法だけで寛解が難しい場合、造血幹細胞移植による治療が行われることもあります。いわゆる骨髄移植で、ドナーから提供された造血幹細胞を点滴で移植します。造血幹細胞移植は、強力な抗がん剤や放射線治療によって異常な細胞を正常な細胞ごと死滅させ、その後に正常な造血幹細胞を移植して回復をはかる治療法です。
移植前措置で大量の抗がん剤や放射線治療が行われるため、重度の倦怠感や下痢など副作用リスクがあります。また、移植した造血幹細胞移植が生着せずに拒絶反応がでたり、治療効果が得られなかったりすることがあります。医師とよく相談して適切な治療方法を選択しましょう。

急性骨髄性白血病の完治についてよくある質問

ここまで急性骨髄性白血病の症状・治療法などを紹介しました。ここでは「急性骨髄性白血病の完治」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

完治するまでどのくらい治療期間がかかりますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

急性骨髄性白血病が完治するまでの期間は、がんの種類や抗がん剤の効き具合などによって大きく異なります。急性骨髄性白血病の症状は急速に進行するため、診断された日から入院となり、治療がはじまることも少なくありません。初期の治療で80%程の患者さんは寛解するといわれていますが、その後も再発を防ぐために治療の継続が必要です。抗がん剤治療の終了から5年経っても再発しない場合は、完治した可能性が高いと判断されます。

急性骨髄性白血病の診断・検査について教えてください。

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

白血病の検査では、血液検査と骨髄検査が行われます。骨髄検査とは、局所麻酔後に腸骨に穿刺という針を刺し、骨髄組織を採取して生検する方法です。急性骨髄性白血病の場合には、がんの種類を鑑別したり治療薬を選択したりするために、染色体検査やがん遺伝子検査を行います。

編集部まとめ

急性骨髄性白血病の症状と、完治までの治療法を解説してきました。

急性骨髄性白血病は症状が急速に進行するため、自覚のないうちに悪化することははほとんどありません。

速やかに治療を開始すれば寛解する可能性が高く、その後も治療を続ければ完治を目指せるがんです。

治療中は感染症や怪我に気をつけるなど、普段の生活で意識することも増えますが、生活習慣の改善はがんの予防にもつながります。

急性骨髄性白血病は完治するがんであるため、希望を持って治療に取り組みましょう。

急性骨髄性白血病と関連する病気

「急性骨髄性白血病」と関連する病気は1個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病は、骨髄の造血幹細胞に異常が起こり、異常な白血球が増殖する血液のがんです。急性骨髄性白血病と違って症状の進行が遅く、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。しかし、治療しないで放置すると急性期に移行して貧血や出血の症状がでるようになり、予後は極めて不良となります。風邪や炎症の症状がないのに、血液検査で白血球の異常増殖がみられる場合には慢性骨髄性白血病を疑います。早期発見のためにも、定期的に血液検査を受けるようにしましょう。

急性骨髄性白血病と関連する症状

「急性骨髄性白血病」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 感染症
  • 出血しやすい
  • 腹部の膨満感

急性骨髄性白血病では、異常な白血球が増殖する代わりに、正常な血球がつくられなくなります。赤血球が減少すれば貧血となって動悸・息切れ・めまい・倦怠感などが生じ、白血球が減少すれば感染症にかかりやすくなります。また、血小板の減少によって出血しやすく、あざができやすくなるのも代表的な症状です。原因が思い当たらない体調不良が続く場合は、早めに内科で受診しましょう。

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