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「口腔がんのセルフチェック法」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/02/27
「口腔がんのセルフチェック法」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

「口腔がん」とは、どのような疾患なのか、ご存知でしょうか。「がん」は早期発見が大切といわれていますが、どのように発見すればよいのでしょう。

口腔がんは口の中に症状が出るため、ほかのがんよりも変化がわかりやすい特徴があります。それゆえ、日々のセルフチェックをしておけば、すぐに気づけるかもしれません。

この記事では口腔がんを早期発見するためのセルフチェック方法を解説します。口腔がんの検査方法・治療法も併せて解説するため、ぜひ参考にしてください。

酒向 誠

監修歯科医師
酒向 誠(酒向歯科口腔外科クリニック)

口腔がんとは?

口腔がんとは、口の中にできるがんの総称で、「舌がん」や「口腔底がん」など、細かく分類できます。
ここでは理解を深めるために、口腔がんの総称・細かい分類・症状などについて詳しく解説します。

頭頸部がんの一部で口腔内にできるがんの総称

口腔がんは口の中にできる、がんの総称ですが、頭頸部がんの一部ともいえます。頭頸部がんとは、鎖骨より上部に発生する脳と眼球の腫瘍を除いたがんのことです。
がんの発生部位により症状が異なります。例えば、舌がん(舌のがん)では「食べたものがしみる」「舌の痛み」などが挙げられます。
発生部位によって、自覚症状が出やすい部位と出にくい部位に分けられるため、小さな変化に気づくことが早期発見に繋がるといえるでしょう。

舌がん・口腔底(口底)がん・頬粘膜がんなどに細かく分類される

口腔がんは部位によって細かく分類されています。
部位として、舌・歯肉・頬粘膜・硬口蓋・口腔底・口唇などに分かれ、いずれの部位も初期症状は、口の中の異物感・硬いしこり・粘膜の色の変化などがあります。
がんが進行すると、出血や痛みなどの症状が出てきます。そうなる前に、日頃から口の中をセルフチェックをすることが大切です。
口腔がんは目視で確認できることから、早期発見しやすいがん、ともいえるのです。

口腔がんの早期発見のためのセルフチェック方法

口腔がんは日頃から口の中をチェックしておけば、少しの変化でも見逃すことなく、早期発見できるでしょう。
ここでは口腔がんを、早期発見するためのセルフチェック方法を5つ紹介します。
また、セルフチェックをするときは明るい場所で、大きめの鏡を使いましょう。

白い斑点や赤い斑点がある

舌・歯肉・頬粘膜などに白い斑点や赤い斑点があるか確認しましょう。ざらざらした白い斑点やつるっとした赤い斑点は、がん化する可能性が高いといわれているためです。
なお、白い斑点はこすってもとれず、赤い斑点は刺激痛を伴うことがあります。
口内炎でも似たような症状が出る場合があるため、口内炎だと決めつけないように注意しましょう。

治りにくい口内炎や出血しやすい傷がある

治りにくい口内炎や出血しやすい傷があれば、注意が必要です。
2週間以上、口内炎が続く場合は口腔がんの疑いがあります。
また、出血しやすい傷について、がんの血管は破れやすい特徴を持つため、出血を繰り返す場合はがん細胞が原因である可能性があります。

盛り上がったできものや硬くなった箇所がある

軽く指で触れて、盛り上がったできものや硬くなった箇所がないか確認しましょう。
口腔がんの初期症状に、口腔内の違和感やしこりがあるためです。何回か触れて、違和感がある箇所があれば、早めに専門の医師に相談しましょう。

顎の下や首のわきに腫れがある

顎の下や首のわきに腫れがあるか確認しましょう。口腔がんは進行すると、がんが転移(がん細胞がリンパや血液を介してほかの臓器や組織で増殖すること)する可能性があるためです。
転移するタイミングは、がんの進行具合によって個人差があるため、早期でも十分に考えられます。

食べたり飲んだりがスムーズに行えない

口腔がんが進行すると、食べたり飲んだりがスムーズに行えないことがあります。
がん細胞の影響で、舌や頬の動きが悪くなるためです。また、しびれや麻痺などの症状が出ることもあります。

口腔がんの検査方法

口腔がんは、まず専門の医師による視診・触診・問診を実施します。
問診では口腔がんの危険因子である喫煙・飲酒の習慣がないか確認し、口腔がんの疑いがあれば、病理検査・画像診断で検査をする流れです。
ここでは口腔がんの検査方法について解説します。

病理検査

病理検査とは、がんが疑われる細胞や組織の一部を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無や種類を詳しく調べることです。病理検査は、細胞診と生検の2種類の検査方法があります。
細胞診は、がんが疑われる部位の表面を綿棒でこすって採取する検査方法です。細胞診で疑わしい部位があれば、生検で確定診断をします。
生検は、疑わしい組織を切り取って採取したものを検査する方法です。生検は体への負担が大きく、検体は限られます。そのため、細胞診で疑わしい部位を特定したうえで生検をする必要があるのです。

画像診断

病理検査でがん細胞が認められたら、画像診断でより詳しい検査をします。
画像診断では、がんの大きさ・浸潤の程度・転移の有無などを確認できます。検査方法は下記の6つです。

  • X線検査
  • CT検査
  • MRI検査
  • 超音波(エコー)検査
  • PET検査
  • 内視鏡検査

がんの進行度は、がんの大きさや浸潤の程度などから決まります。
がんの進行度をステージ(病期)といい、ステージ0からステージIVに分かれ、上記の6つの検査で正確ながんの情報を知ることで、どのステージなのか判断します。
画像診断によって手術部位を正確に把握することで、適切な治療法を選択します。

口腔がんの治療方法

口腔がんは、がんの発生部位・種類・進行具合によって治療法が異なります。
治療法は、手術・放射線治療・化学療法などです。ここでは口腔がんの治療法として、手術・組織内照射について紹介します。

手術

口腔がんのほとんどは手術で治療します。手術は原発巣(がんの発生部位)を取り除く処置のことです。転移している場合は、手術と放射線治療や化学療法を組み合わせた処置をします。
確実にがん組織を取り除くために、複数の治療法を組み合わせることになるでしょう。
なお、がんの進行具合によって、口腔内だけでなく骨組織まで取り除くことになるケースがあります。それゆえに手術の切除範囲が大きい場合は、再建手術も必要です。
手術は口腔がんに適した処置ですが、がんの大きさによって舌の機能を低下させるリスクがあるため、術後は機能回復を目的としたリハビリをすることがあります。

組織内照射

組織内照射とは放射線治療の一つで、放射線を放出する物質をがん組織、およびその周辺組織に管や針を用いて照射することです。
がんの大きさが1センチ前後の場合に適した処置方法です。手術よりも体への負担が少ないですが、照射した後にがん細胞が残っている場合は手術をするかもしれません。
また、放射線による副作用として下記が挙げられます。

  • 唾液の減少
  • 味覚障害
  • 開口障害
  • 顎骨壊死
  • むし歯(唾液が出にくいことによるもの)
  • 歯の欠損 など

口腔がんのセルフチェックについてよくある質問

ここまで口腔がんのセルフチェック方法・検査方法・治療方法などを紹介しました。ここでは「口腔がんのセルフチェック」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

どのくらいの頻度でセルフチェックを行ったらよいですか?

酒向 誠医師酒向 誠(医師)

月に1回のセルフチェックを行いましょう。日々の歯磨きで口腔内を清潔にすることで、口腔がんの予防に繋がります。日々のケアと月に1回のセルフチェックで早期発見を心掛けましょう。

セルフチェックで気になる点がある場合何科を受診すればよいですか?

酒向 誠医師酒向 誠(医師)

歯科・口腔外科・耳鼻咽喉科などに受診するとよいでしょう。早期発見が大切なので、気軽に相談してみてください。相談しにくいと感じる場合は、かかりつけ医に相談するのもよいでしょう。

編集部まとめ

今回は口腔がんのセルフチェック方法と治療方法などについて解説しました。
口腔がんのセルフチェックは、下記の5つのポイントを意識してください。また、セルフチェックをするときは、明るい部屋で大きな鏡を使いましょう。

  • 白い斑点や赤い斑点がある
  • 治りにくい口内炎や出血しやすい傷がある
  • 盛り上がったできものや硬くなった箇所がある
  • 顎の下や首のわきに腫れがある
  • 食べたり飲んだりがスムーズに行えない

口腔がんを早期発見できれば、手術で取り除く部位を小さくできるため、舌の機能を守ることができます。早期発見のために、日々のセルフチェックを欠かさずに行いましょう。

口腔がんと関連する病気

「口腔がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

口腔がんは上記の疾患と重複することが多いといわれています。
いずれも粘膜から発生する扁平上皮がんであるためです。口腔がんの治療の前後は、ほかのがんの発生がないか、注意を向ける必要があるでしょう。

口腔がんと関連する症状

「口腔がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 口腔内の粘膜が赤くなる
  • 口腔内の粘膜が白く変色する
  • 歯がぐらつく
  • 口が開けにくい
  • しこり
  • 口腔内の痛み
  • 口腔内の出血

口腔がんの初期症状は、口内炎に似たような症状があります。口内炎が長引いたりする場合は、口腔がんを疑いましょう。
早期に治療を開始することが大切であるため、上記の症状があれば、早めに医療機関へ受診しましょう。

この記事の監修歯科医師