「口腔がんの原因」はご存知ですか?疑うべき症状も解説!【医師監修】
口腔がんの原因や詳しい症状はご存知でしょうか。がんの名称は聞いたことがあっても、詳しくはわからないという方が多い病気です。
この記事では、口腔がんの原因をはじめとし、症状やセルフチェックの方法まで詳しくご説明していきます。
がんは早期発見が非常に大切です。早期に発見するためには、口腔がんの初期症状を知らなくてはなりません。
口腔がんの診断や治療方法は確立されているので、早期に対処すれば十分に治癒の見込めるがんです。少しでも思い当たる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
監修医師:
若菜 康弘(医師)
目次 -INDEX-
口腔がんとは?
口腔がんという名称は聞いたことがあっても、具体的な症状は答えることができない方が多いのではないでしょうか。一概に口腔がんといっても様々なものがあります。口腔がんとは何かについて詳しくご説明していきます。
口腔内にできるがんの総称
口腔がんという名称は特定のがんを指すものではありません。口腔内(口の中)にできる悪性腫瘍を総称して口腔がんと呼びます。舌・歯茎・頬の内側・舌と下の歯茎の間・唇に発生します。口腔がんは約90%が粘膜組織から発生するがんです。
口腔がんの中で多いのは舌がん
口腔がんの中でも、舌がんという名称は聞いたことがある方は多いでしょう。舌がんは舌の両脇にできることが多く、舌先などではあまり発生しません。舌の裏側にできることもあります。自覚症状としては、硬いしこりやただれなどです。舌の粘膜に赤や白の斑点ができている・口内炎がなかなか治らないなどの症状がでることもあります。
痛みや出血が続いたり、口臭が強くなったりした場合はがんが進行している可能性があります。早めに医療機関を受診し、早期発見に繋げましょう。
口腔がんの原因
ここでは、何が原因で口腔がんになるのかについて解説していきます。もちろん、確実な原因は人それぞれですが、主な原因を知っておくことで予防に役立てることができるのです。それでは、口腔がんの原因となりやすい要因を詳しくご説明していきます。
口腔内の不衛生
口腔内が不衛生な状態であれば、さまざまなトラブルが発生する原因となります。すぐにがんにならなかったとしても、不衛生が原因で発生したむし歯により炎症が発生し、それが口腔がんの原因になる可能性は十分にあります。
そのようにならないためにも、まずは基本的な歯磨きなどを徹底し、口腔内を衛生的に保つようにしましょう。
喫煙・飲酒
喫煙ががんの原因となることが科学的に明らかになっています。また、飲酒もがんのリスクをあげるという研究結果もあります。口腔がんの原因になるのはもちろんのこと、他のがんの原因にもなるので注意したいところです。喫煙者が飲酒をすることで、がん全体の発生リスクが高くなることもわかっています。
現在、喫煙や飲酒をしている方も、禁煙・節酒をすることでリスクを下げることができます。
炎症
口腔内に炎症があると、口腔がんの原因となることもあります。むし歯や合わない入れ歯などによる慢性的な刺激により、口腔がんが発生してしまうことがあるのです。口腔がんの自覚症状がなくても他に口腔内のトラブルがある方は、早めに治療するようにしましょう。
口腔がんの主な症状
口は喋るときや食事をするときなどに使うことが非常に多い器官です。そのため、何か異常があれば気が付きやすい部位でもあります。どのがんにもいえることですが、早期発見が何よりも大切です。
以下のような症状が発生したときには、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
粘膜が赤くなる・白くなる
口腔がんの約90%が扁平上皮がんです。扁平上皮がんというのは、体の表面・食道などの内部が空洞の臓器の内側の粘膜組織から発生するがんのことをいいます。つまり、口腔がんでは口腔内の粘膜組織から発生するのです。
そのため、口腔がんになると口腔内の粘膜に異常がでます。粘膜の色が赤くなったり白くなったり、形が変わったりします。
しこりや腫れ
口腔内に異物感・しこり・腫れの症状がでることもあります。進行して首のリンパ節に転移してしまうと、首にしこりがでることもあります。口腔内は鏡を使って自分で確認することのできる部位のため、口腔内に何か違和感を覚えるときはすぐにチェックするようにしましょう。もし硬いしこりがあれば口腔がんの可能性があるので、注意したいところです。
強い痛み
口腔がんが進行してしまうと、強い痛みを感じることがあります。初期段階では痛みがないため気にしていなくても、強い痛みが出てから発症に気が付くケースもあります。強い痛みを感じる場合は、がんが進行しているということです。
そうなる前に気が付くことができるように、こまめに口腔内の状態をチェックするようにしましょう。痛みの他にも出血・粘膜のただれ・口を開けにくい・飲み込みにくい・話しにくいなどの症状があります。
早期発見が何よりも大切です。少しでも思い当たる症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
口腔がんの早期発見のポイント
記事内でも度々お伝えしましたが、がん治療では早期発見が何よりも大切です。進行が進んでから発見するのと初期段階で発見するのとでは大きな違いがあります。早期発見するためには、主な初期症状を頭に入れておくことが肝心です。
口腔内は鏡を使って自分自身で確認できるので、いつでもセルフチェックできます。以下に具体的な項目を記載しますので、活用してみてください。
セルフチェックを行う
以下の症状が当てはまれば、口腔がんの可能性があります。
- 粘膜が赤や白に変色している
- 粘膜の形が変わっている
- 口の中に異物感がある
- 口の中にしこりがある
- 治りづらい口内炎がある
- 入れ歯が合わなくなってきた
進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 粘膜がただれている
- 強い痛みがある
- 口腔内に出血がある
- 首にしこりがある
- 口を開けにくい
- 食事を飲み込みにくい
- 話しにくい
以上のような症状に該当した方は、耳鼻咽頭科・歯科・口腔外科などを早めに受診するようにしましょう。
なかなか治らない口内炎に注意する
口腔がんのセルフチェックを行った際、口内炎と間違えてしまうことがあります。口腔がんは粘膜から発生するため、粘膜が変色するなどの異常が現れることがあります。それを間違えて口内炎と思ってしまうケースが多いのです。
通常の口内炎に比べて治りが遅いと感じたら注意が必要です。セルフチェックをして他に当てはまる症状がないかを確認したり、医療機関を受診したりするようにしましょう。また、本当に口内炎だったとしても、慢性的に同じ部位に刺激が与えられることで口腔がんの原因になってしまうこともあるため注意が必要です。
その他、合わない入れ歯を使っているケースも挙げられます。そのような口腔内のトラブルをお持ちの方は、早めに解決しておくことが口腔がんの予防にも繋がります。
口腔がんの原因についてよくある質問
ここまで口腔がんの原因・症状・早期発見などを紹介しました。ここでは「口腔がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
口腔がんになるきっかけはありますか?
若菜 康弘 医師
口腔内が不衛生な状態でむし歯や炎症が発生していたり、合わない入れ歯などにより慢性的な刺激があったりすると、口腔がんのきっかけになることもあります。口腔内を常に清潔に保つよう心がけましょう
口腔がんになりやすい人はいますか?
若菜 康弘 医師
喫煙をしている方はがんになりやすいということが科学的に明らかになっています。また、喫煙者が飲酒をすることでがんの発症リスクが高くなることもわかっています。これは口腔がんだけではなくがん全体でいえることなので、注意しましょう。
編集部まとめ
ここまで、口腔がんについて詳しくご説明してきました。名称しか知らなかったという方も、口腔がんについて詳しくご理解いただけたでしょう。
上記でも述べましたが、口腔がんは早期に治療することで十分に治癒が見込めるがんです。口腔内に違和感を覚えるときはそのままにせず、医療機関を受診しましょう。
口内炎と間違えやすいことも注意したいポイントです。また、治療ももちろん大切ですが、さらに大切なのはがんを発生させないことです。
飲酒・喫煙を控えたり、口腔内にトラブルがあれば治療したり、がんになる前にできることは多くあります。
口は使う頻度の多い非常に大切な器官です。何か違和感があれば注意して観察するようにしましょう。
口腔がんと関連する病気
「口腔がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 嗅神経芽細胞腫
- 線様嚢胞がん
- 聴器がん
- 頭頸部の肉腫
以上の4つは頭頸部がん(鎖骨より上部に発生するがんの総称)のうちの1つです。また、口腔がんも含め、希少がんに分類されています。その中でも口腔がんは治療法などが確立されているがんです。
口腔がんと関連する症状
「口腔がん」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 口腔内の粘膜の変色
- 口腔内の粘膜の変形
- 長引く口内炎
- 口腔内のしこり
- 口腔内の痛み・出血
- 首のしこり
特に口内炎と間違えて放置してしまうケースもあるので注意しましょう。口腔がんは早期に対処することで、十分治癒が見込めます。早期発見がカギとなるので、これらの症状を覚えておいてください。