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「上咽頭がんの症状」はご存知ですか?原因・検査・治療法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/01/19
「上咽頭がんの症状」はご存知ですか?原因・検査・治療法も解説!【医師監修】

上咽頭がんは、耳の痛み、嚥下困難といった症状で現れるがんです。上咽頭がんは初期症状が見られないことがあり、進行が早いため早期発見が重要です。
本記事では上咽頭がんの症状について以下の点を中心にご紹介します。
・上咽頭がんの症状
・上咽頭がんの原因
・上咽頭がんの治療方法
上咽頭がんの症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

渡邊 雄介

監修医師
渡邊 雄介(医師)

上咽頭がんとは?

上咽頭は、食べ物や空気を摂取する際の経路となる部分であり、咽頭全体は鼻の奥から食道の入口までの管を形成しています。上咽頭がんは、頭頸部がんの一種で、鼻腔の奥や軟口蓋の上部など、咽頭の上部領域に発生する病気です。

上咽頭がんの症状

上咽頭がんは、初期段階では自覚症状がほとんど現れないことが特徴です。症状が出始めると、風邪のような鼻づまり、のどの違和感などが見られます。しかし、これらの症状が1カ月以上続く場合、単なる風邪ではない可能性が考えられます。
上咽頭がんが進行すると見られる症状として、頸部リンパ節への転移による首のしこりがあります。この他、鼻や耳からの異常な分泌物、耳の閉塞感や聞こえにくさ、中耳炎などの耳の症状も現れます。
さらに進行すると、頭痛や脳神経の症状、例えば、物が二重に見える、顔の感覚の異常なども生じることがあります。上咽頭がんの初期症状は分かり難いため、疑わしい症状が現れた際は、早期に耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断を受けることが大切です。

上咽頭がんの原因

上咽頭がんの発症は、地域や民族、食生活との関連が指摘されており、特に中国南部や東南アジア系の方々の間では、上咽頭がんの発症が多くなっています。中国南部や東南アジア系の方々は、塩漬けの魚を頻繁に摂取する習慣や、刺激性の高い飲食物を摂取している傾向にあるからです。
また、飲酒や喫煙の他にも遺伝的な素因や、「EBウイルス」も、上咽頭がんの発生に関与しています。EBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)は、乳幼児期に感染することが多く、伝染性単核球症を引き起こすウイルスです。EBウイルス感染者の主な症状としては、極度の疲労感、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れなどが挙げられます。EBウイルスは、感染した細胞の細胞分裂周期が変わり、がん化する可能性があります。
上咽頭がんは早期発見、早期治療が重要であり、何らかの症状に気づいた場合は病院での受診をおすすめします。

上咽頭がんの診断・検査

上咽頭がんは初期のうちは症状を自覚し難いため、早期発見が難しい病気の一つです。しかし、適切な検査を行うことで、がんの発見や進行状況の把握につながります。以下では、上咽頭がんを診断するための主な検査方法について詳しく解説します。

視診・触診

最初に、のどや口腔を直接観察します。これにより、異常な腫れや変色、その他の可視的な徴候を確認します。さらに、触診を通じて、首や顎下のリンパ節に腫れや硬さがないかを確認します。これは、腫れや硬さはリンパ節に転移している可能性を示唆する重要なサインとなる場合があるためです。

生検

生検は、疑わしい組織のサンプルを取って、細胞レベルでがんの有無を確認する方法で、上咽頭がんの確定診断を行います。サンプルは、特殊な器具や針を用いて取得され、後に病理学的検査で詳しく調べられます。

CT・MPR検査

CT検査は、体内の断面画像を詳しく撮影する方法です。MPRは、これらの断面画像を再構成して、さまざまな角度からの画像を提供します。がんの位置や大きさ、周囲の組織や器官への影響を詳しく調べます。

エコー検査

エコー検査は、超音波を利用して体内の組織や器官の画像を撮影する方法です。上咽頭がんの場合、首や周囲のリンパ節にがんが転移しているかを調べるために行われます。

PET検査・PET-CT検査

PET検査は、放射性物質を利用して、体内のがん細胞の活動を画像化する方法です。PET-CTは、PETとCTの両方の機能を組み合わせたもので、がんの位置や大きさだけでなく、がん細胞の活動状況も同時に把握できます。これにより、がんの進行状況や治療効果を詳しく調べられます。さまざまな検査を組み合わせることで、上咽頭がんの詳しい状態や進行度を把握します。

上咽頭がんの治療

上咽頭がんの治療は、がんの進行度や患者さんの健康状態に応じて選ばれます。適切な治療法を選択することで、予後の改善や生活の質の維持が期待されます。以下では、上咽頭がんの主な治療方法について詳しく解説します。

外科治療(手術)

外科治療は、がん組織を直接取り除く手法です。局所進行がんや再発がんの場合、特定の部位だけを取り除く部分切除や、リンパ節の摘出手術などを行うこともあります。しかし、上咽頭がんの場合、初期段階での発見が難しく、多くのケースで手術が困難とされています。

放射線治療

放射線治療は、高エネルギーの放射線を使用して、がん細胞を破壊する方法です。上咽頭がんの主な治療方法の一つとして行われており、手術が困難な場合や、手術後の残存がん細胞の処理にも使用されます。

化学放射線療法

化学放射線療法は、放射線治療と化学療法を組み合わせた治療法です。化学療法薬ががん細胞の成長を抑制し、その後の放射線治療でがん細胞を破壊することが目的です。進行した上咽頭がんの初回治療や、再発した場合の治療として選択されます。

薬物療法

薬物療法は、がんの成長を抑制する薬剤を使用する治療法です。上咽頭がんの治療における薬物療法は、化学療法薬や分子標的薬などが用いられます。また、転移がんや再発がんの治療では、薬物療法は放射線治療や手術の補完として行われます。

上咽頭がんの予後

上咽頭がんは、進行度や治療の時期や治療法の選択などによって予後が変わってきます。病期や治療内容に応じて、「5年生存率」は異なります。病期が早く、初期段階での発見と適切な治療が行われた場合、5年生存率は上がるとされています。しかし、進行が進んでからの診断となると、予後が厳しくなることが多いようです。特に、リンパ節への転移や他の臓器への広がりが見られる場合、治療の難易度が上がります。
治療中の経過観察や、治療後の定期的なフォローアップは重要です。これにより、再発の早期発見や新たな変化を迅速に捉え、適切な対応につながります。したがって、予後を左右する要因は多岐にわたりますが、早期発見と迅速な治療が、より良い予後につながる鍵といえるでしょう。定期的な健診や自己チェック、そして何らかの異常を感じたら速やかに医師の診察を受けることが大切です。

上咽頭がんについてよくある質問

ここまで上咽頭がんの症状を紹介しました。ここでは上咽頭がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

上咽頭がんのステージを教えてください。

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

上咽頭がんのステージは、がんの大きさ、範囲、リンパ節への広がりなど、がんの進行度に応じて分類されます。がんのステージの把握は、治療計画の策定や予後の評価に役立ちます。
初期ステージ(I期、II期)
上咽頭がんの初期ステージでは、がんは小さく、周囲の組織やリンパ節への広がりはまだ見られないか、あるいは小さいです。この段階での治療の成功率は高く、早期発見が予後を大きく左右します。
中間ステージ(III期)
中間ステージでは、がんが周囲の組織やリンパ節に進行してきますが、まだ他の遠隔の部位には広がっていない状態です。治療は複数の方法の組み合わせが検討されます。
進行ステージ(IV期)
進行ステージでは、さらに大きくなり、周囲の組織やリンパ節、そして遠隔の部位にも広がっていることが多いようです。進行ステージでの治療は複雑で、患者さんの健康状態やがんの進行度に応じた治療法が選択されます。

上咽頭がんの予防法はありますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

上咽頭がんは早期発見が難しく、進行が速いとされるがんであるため、予防することが大切です。具体的な予防策は以下の通りです。
喫煙・飲酒の制限
タバコやアルコールの摂取は、上咽頭がんのリスクを増加させるとされています。特に長期間の喫煙や過度な飲酒は避けるよう心掛けることが大切です。
健康的な食生活の維持
塩分の多い食品や刺激的な飲食物の摂取は控えるとともに、バランスの良い食事を心掛けることで、がんのリスクを低減できます。
早期の症状に注意
早期の上咽頭がんは自覚症状が少ないため、のどの違和感が継続する場合は、早めに耳鼻咽喉科の診察を受けることが大切です。
定期検診の受診
上咽頭がんの早期発見のためには、定期的な検診が必要です。特にリスクファクターを持つ方は、定期的な健診や耳鼻咽喉科での検査を受けることを推奨します。
上咽頭がんを予防するには、日常の生活習慣の中での小さな工夫や注意が大切です。規則正しいライフスタイルを維持し、定期的な検診を受けることで、上咽頭がんのリスクを減らせます。

編集部まとめ

ここまで上咽頭がんの症状についてお伝えしてきました。上咽頭がんの症状の要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・上咽頭がんは初期段階では自覚症状が少ないが、進行すると首のしこりや耳の不快感、難聴、鼻づまり、鼻血、鼻水に血が混じること、耳がつまった感じなどが挙げられる
  • ・上咽頭がんの主な原因として、EBウイルスの感染や、遺伝的な要因、塩漬けの魚や亜硝酸化合物で保存された食品の摂取が挙げられる。また、喫煙や飲酒もリスク要因となり得る
  • ・上咽頭がんの治療は、病期やがんの進行状態に応じて決定される。主な治療方法としては、外科的手術、放射線治療、化学放射線療法、そして薬物療法が挙げられる

上咽頭がんと関連する病気

上咽頭がんと関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

上咽頭がんと同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

上咽頭がんと関連する症状

上咽頭がんと関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が当てはまる場合には、上咽頭がんなどの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師