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「子宮体がんの症状」はご存知ですか?予防・対策も解説!【医師監修】

 更新日:2024/01/05
「子宮体がんの症状」はご存知ですか?予防・対策も解説!【医師監修】

子宮体がんは、子宮内膜に発症する特徴があるため「子宮内膜がん」とも呼ばれています。女性ホルモンが不安定になる40代から閉経後の50代の女性に多く発症する傾向があります。

子宮体がんは、衆参年齢の高齢化や食事の欧米化などにより年々増加傾向にあるといわれ、注意したい女性特有のがんです。

ここでは子宮体がんの発生原因・症状・検査方法・治療方法などについて解説します。予防対策なども併せて参考にしてみてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

プロフィールをもっと見る
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮体がん(子宮内膜がん)とは?

子宮がんには子宮体がんと頸がんの2種類のがんがあります。子宮体がんは子宮の内膜から発生するため「子宮内膜がん」とも呼ばれています。
子宮体がんの原因は、主にエストロゲンとプロゲステロンというふたつの女性ホルモンのバランスが崩れることです。そのため、子宮体がんになりやすい人には特徴があります。

子宮体がんの原因

子宮体がんの原因として考えられているのが女性ホルモンである「エストロゲン」です。女性には月に1度、月経が訪れますが、エストロゲンの作用で子宮内膜に厚みを増し、妊娠に備えます。排卵後に妊娠しなければ、子宮内膜ははがれ落ちて月経経血となってきれいにはがれ落ちます。
ところが更年期にさしかかる40代くらいになると、排卵が不規則となるため、もうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンが十分働きません。そしてエストロゲンの影響力が強まってしまうのです。
このふたつの女性ホルモンのバランスが崩れ、エストロゲンが優位になると、子宮内膜がきれいに排出されなくなってしまうのです。徐々に子宮内膜が厚くなり異常細胞が発生し、子宮体がんを発症するという過程が解明されています。このほかにも糖尿病・遺伝性腫瘍が原因の場合もあります。

子宮体がんになりやすい人の特徴

子宮体がんになりやすい人は以下のような特徴があります。

  • 子宮内膜増殖症がある人
  • 妊娠・出産経験のない人
  • 閉経が遅かった人
  • 月経不順の人
  • 肥満の人
  • 高血圧の人
  • 糖尿病の人
  • ホルモン療法を受けている人
  • まだ若いのに子宮体がんや大腸がんになった近親者がいる人

エストロゲンと関係なく子宮体がんを発症する場合は「がん関連遺伝子の異常」が原因とされています。高齢者に多い原因です。
また、子宮体がんの原因のうち遺伝性のものもあります。「リンチ症候群」と呼ばれ、大腸がんにもある原因です。リンチ症候群の遺伝子を持つ人は、生涯で子宮体がんを27~71%の確率で発症するといわれています。子宮体がんは中年以降に発症しやすいがんですが、リンチ症候群の場合、若年で子宮体がんを発症する可能性もあります。

子宮体がんの症状

子宮体がんは、初期の段階で症状があらわれるケースが多くあります。初期症状を見逃さないことが早期治療につながります。
 

初期症状

子宮体がんの初期症状は、不正出血です。本来の予定日ではないときに出血をする、閉経してしばらくたってから出血するなどの不正出血は子宮体がんのサインかもしれません。おりものに血や膿が混ざって褐色になることもあります。

進行時症状

子宮体がんが進行すると、以下のような症状があらわれることがあります。

  • 下腹部の痛み
  • 排尿時の痛み
  • 排尿困難
  • 腹部膨満感

子宮体がんの検査方法

子宮体がんの診断には以下を調べる検査が必要になります。

  • がんがあるのかないのか
  • がんがあるとしたら、どのような種類のがんなのか
  • がんがあるとすれば、どこまで広がっているのか

これらを調べるためにさまざまな検査が行われます。検査には以下の種類があります。

  • 細胞診・組織診などの病理検査
  • 内診・直腸診
  • エコー・CT・MRIなどの画像検査
  • 子宮鏡検査

それぞれ詳しくみていきましょう。

細胞診・組織診などの病理検査

子宮体がんの有無を検査するために、細胞診・組織診などの病理検査は必須です。細胞診は、子宮口に器具を挿入後に子宮内膜の細胞を採取して顕微鏡でがん細胞の有無を確認します。
もし細胞診で子宮体がんの疑いが出た場合には、組織診を行います。専用の器具を使って子宮内膜の組織を削り取って採取、顕微鏡でがん細胞の有無を調べますが、子宮内膜の全面を採取することもあり、麻酔を使って採取することが多いようです。
 

内診・直腸診

内診では膣内に指を入れ、もう片方の手を下腹部に当てて、両方の手で子宮の位置・大きさ・硬さなどをチェックします。さらにまわりの臓器との癒着がないかどうかも調べます。子宮体がんは直腸にも広がっているケースも多いため、場合によっては肛門からの直腸診が行われることもあるでしょう。

エコー・CT・MRIなどの画像検査

検査の結果、がんの存在が確認、あるいは極めてがんである可能性が高いと判断された場合、画像診断を行います。画像診断ではがんの大きさを始め、その広がり、浸潤・転移の有無を調べます。
エコー検査は、体の表面に超音波を当て、臓器で反射した超音波を画像にする検査です。子宮体がんの検査では、経腟超音波検査を行います。
CT検査はX線を使って子宮の形状や病変などを画像にします。MRI検査は、磁気を使って画像にする検査です。CT・MRIは、リンパ節転移や肺・肝臓等への遠隔転移の有無を検査します。
とくにMRI検査では、がん細胞が子宮筋肉内にどれくらい浸潤しているか、卵巣に対する病変の有無も検査できます。

子宮鏡検査

子宮体がんの位置や形状を直接確認できるのが子宮鏡検査です。膣口から内視鏡を挿入し、子宮体部を観察する検査になります。子宮鏡検査は、病理診断と併せて行うことが多い検査です。

子宮体がんの治療方法

子宮体がんでは以下のような治療方法を行います。

  • 手術
  • 放射線治療
  • 抗がん剤治療

子宮体がんの治療の基本はがんに侵された子宮を摘出する手術です。手術は、転移しやすいとされる卵巣・卵管・骨盤内や大動脈のリンパ節の摘出が一般的です。
取り除いた後にどれくらいの進行期にあるのかを判断し、その後の治療方針が決定されます。がんの進行が進んでおり、他の臓器にも広がっている場合には、手術後に放射線治療・抗がん剤治療・ホルモン療法などの治療が行われます。
若い女性の場合は、将来妊娠を望む人も多いでしょう。その場合は、子宮を温存した治療方法をとることもあります。子宮を温存する治療は、ホルモン剤を使った治療となるでしょう。ただし、初期の子宮体がんであることなどが条件になっています。

子宮体がんの予防・対策

予防・対策として効果が期待できるのは

  • 生活習慣を改善する
  • 低用量ピルを服用する
  • 子宮体がん検診を受けて早期発見に努める

子宮体がんのなりやすい人の特徴は、ホルモンバランスが崩れる40代以降で、喫煙・飲酒などの生活習慣も関係してきます。肥満傾向のある方や糖尿病を持つ人も注意が必要です。子宮体がんの罹患をまったくゼロにすることはできませんが、予防・対策することはできます。

生活習慣を改善する

子宮体がんは、肥満症・糖尿病・高血圧を患っている人に発症する傾向があります。高脂質の食事や塩分の摂りすぎに注意しましょう。また規則正しい生活を送り、ウォーキングなどの軽い運動を習慣にすることも大切です。
 

低用量ピルを服用する

子宮体がんは、エストロゲンの過剰分泌により子宮内膜が厚くなることで発症します。子宮内膜が厚くならないようにするためには、低用量ピルを服用するといいでしょう。避妊のためのピルではなく治療のためのピルなので、保険適用となります。
低用量ピルを服用することで、子宮内膜をきれいにキープできます。月経不順や月経痛などで悩んでいる人は、一度産婦人科で相談してみてはいかがでしょう。

子宮体がん検診を受けて早期発見に努める

子宮体がんにかかわらず、がんは早期発見・早期治療が大切です。子宮体がんは、がんが子宮内にとどまっている場合には、治療により80%が完治することが期待できます。検査も絶食や下剤を飲むといった検査前処置もありません。子宮は外から手が届く場所にあるため、細胞診など診断に必要な検査も簡単にできます。
しかし、企業や自治体が行う集団検診では、子宮体がんを検査する機会が少ないことも事実です。自分が受ける健康診断にオプションで子宮体がん検査がある場合には、積極的に受けるようにしましょう。

子宮体がんについてよくある質問

ここまで子宮体がんの症状・検査方法・治療方法などを紹介しました。ここでは「子宮体がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子宮頸がんとの違いを教えてください

馬場 敦志医師

子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんです。原因は性行為、出産などで刺激を受けやすい部分にHPV(ヒトパピローマウイルス)が感染することです。HPVは性行為で感染することが多く、子宮頸がんのリスクが高くなります。子宮体がんが高齢女性に多いのに対し、子宮頸がんは年齢が若い女性に多いのが特徴となっています。

子宮体がんは再発しますか?

馬場 敦志医師

子宮体がんは、子宮や膣といった骨盤内での限られた範囲での再発があります。このほか自覚症状や定期検査でがんの再発が見つかることが多く、定期的な検診は欠かせません。検診の頻度としては手術後3年目までは1~4ヶ月ごとの検査、5年目までは半年ごと、6年目以降では1年に1回の検査が目安とされています。

編集部まとめ

子宮体がんについて解説してきました。

子宮体がんは、子宮の内膜にできるがんです。ホルモンバランスが崩れる40代から徐々に増えていく傾向があります。

子宮体がんは、治りにくい病気ではりません。がんが子宮内にとどまっている初期であれば、高い確率で治ることが期待できます。そのためには、40代になったら定期検診を受けましょう。とくに月経不順や不正出血のある場合は、できるだけ早く産婦人科に相談しましょう。

子宮体がんと関連する病気

「子宮体がん」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 子宮内膜増殖症
  • 子宮内膜異型増殖症

通常、子宮内膜は月経のたびにきれいに排出されますが、子宮内膜増殖症では子宮内膜が残ってしまい異常に分厚くなっている状態です。また子宮内膜異型増殖症は、増殖した細胞に異常があり、子宮体がんを発症するリスクが高まります。

子宮体がんと関連する症状

「子宮体がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 下腹部の痛み
  • 排尿時の痛み
  • 排尿困難
  • 腹部膨満感

子宮体がんの初期症状の多くは、おりものなどに血液が混じることです。がんが進行するにつれ、下腹部を中心に症状が強くあらわれてきます。

この記事の監修医師