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「乳がん」を疑う「脇のしこり」にはどんな特徴があるかご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2025/10/20
「乳がん」を疑う「脇のしこり」にはどんな特徴があるかご存知ですか?医師が解説!

乳がんを疑う脇のしこりの特徴とは?メディカルドック監修医が脇のしこりはどの辺りにできるか・症状・予防法や早期発見するためのポイント・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

山田 美紀

監修医師
山田 美紀(医師)

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慶應義塾大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、総合病院や大学病院にて形成外科、外科、乳腺外科の研鑽を積んできた。医学博士。日本外科学会 外科専門医、日本乳癌学会 乳腺認定医、検診マンモグラフィー読影認定医(A判定)の資格を有する。

「乳がん」とは?

乳がんは乳腺に発生する悪性腫瘍です。女性が罹るがんの中で最も頻度が高く、日本では約9人に1人が乳がんになるというデータがあります。乳がん検診で発見されるケースや胸の硬いしこりなどの症状をきっかけに見つかります。乳がんの状態が悪化すると、リンパの流れに乗って、まず脇のリンパ節に広がります。これを転移と言います。脇のリンパ節への転移によってリンパ節が徐々に硬く、大きくなり、脇のしこりの症状が出る方もいます。

乳がんを疑う脇のしこりの特徴

リンパ節の腫れは風邪などの感染症や免疫低下など様々な原因で起こる症状です。一方で、乳がんなどの悪性腫瘍のリンパ節への転移が原因のこともあり、注意が必要です。乳がんを疑う脇のしこりの特徴をご紹介します。

数週間以上続く脇のしこり

乳がんによる脇のしこりは数週間や数ヶ月に渡って徐々に大きくなり、長期間その症状が続きます。一方で感染症によるリンパ節の腫れは数日間で改善し、気にならなくなることが多いです。一方、数週間以上脇のしこりが良くならない場合は、悪性腫瘍の可能性があるため、医療機関に相談しましょう。

硬いしこりがある

脇のしこりが、リンパ節に乳がんが及んだ場合、通常のリンパ節よりも硬く触れることが多いです。また、触れて痛いことはあまり多くありません。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

しこりの動きが悪い

乳がんの進行に伴う脇のしこりは、触っても動きが悪いと感じられることがあります。これは乳がんが悪化し、がん細胞がリンパ節の周りの組織に浸潤することでリンパ節が周囲に固定されることによります。こうした変化がある場合には、乳がんが原因となっている可能性も考えられるため、早めに医療機関に相談しましょう。

片側だけに出ることが多い

乳がんのリンパ節転移による脇のしこりは、がんができた側(右または左)の脇に限ってできることがほとんどです。両側同時にしこりがある場合は、感染や炎症に反応してリンパ節が大きくなっていると考えられます。片側の脇だけにしこりが続く場合は、早めに受診をしましょう。

乳がんを発症すると脇のどの辺りにしこりができる?

乳がんによる脇のしこりができやすい位置はどこかについてご紹介します。

脇のくぼみの中央

乳がんが脇のリンパ節に転移すると、最初にしこりができるのが脇の窪みの中央あたりです。胸の前面を覆う大きな扇形の筋肉である、大胸筋の外側の脂肪の中にあるリンパ節を触れます。

脇のくぼみの奥

脇のリンパ節で次に転移しやすいのが、大胸筋や小胸筋のリンパ節です。脇のくぼみの奥の方に触れることで、リンパ節転移に気づくケースもみられます。なお、小胸筋(しょうきょうきん)は、大胸筋の奥にある、肋骨と肩甲骨をつなぐ小さな筋肉です。深い場所にあるのでしこりに気がつくことは少ないでしょう。超音波検査などの画像検査で発見されることが多いです。

鎖骨の下

さらに乳がんの脇のリンパ節転移が広がっていくと、大胸筋の内側のリンパ節に転移します。鎖骨の下あたり、脇のさらに上の方にコリッとしたしこりに気がつくことがあります。

乳がんの代表的な症状

乳がんになった場合、脇のしこりに気がつく前に、様々な乳房の症状が出る可能性があります。気になることがあれば、なるべく早く受診をしましょう。

乳房のしこりを触れる

乳がんに気がつくきっかけとして最も多いのが乳房のしこりを触れることです。線維腺腫などの乳腺の良性腫瘍でも胸の中に硬さやしこりの症状を自覚する場合があります。乳がんによるしこりは、硬く、可動性がないという特徴があります。また、痛みを伴うことは少ないです。自分で乳房を触ってしこりを見つけた場合は、早めに乳腺科を受診しましょう。

乳頭から血性分泌物がある

乳がんの症状として乳頭から茶色や赤色の分泌物が出てくる事があります。下着が汚れて気がつく方もいます。乳頭には母乳の通り道である乳管がたくさん集まっており、乳管の中に腫瘤がある場合にこのような症状が出ます。乳管内乳頭腫という良性腫瘍でも同様の症状が起こる事があります。症状がある場合は、乳がんの可能性もあるため、早めに乳腺科を受診しましょう。

乳房の見た目が変わる

乳がんが悪化し増大すると乳房の変形を自覚する事があります。乳房の左右差、今までになかった乳頭の陥没、乳房皮膚のエクボのような凹みに気がつく事があります。これは乳がんの状態が進むにつれ、周りの組織に浸潤することでひきつれが起こるためです。さらに乳がんの状態が悪化すると、乳がんが皮膚に顔を出し、皮膚が赤くただれて潰瘍ができることもあります。症状がある場合は、乳癌の可能性が高いため、早めに乳腺科を受診しましょう。

乳がんの予防法・早期発見するためのポイント

乳がんは早期発見し、早期に治療を開始することで完治を目指すことができます。乳がんの予防法や早期発見するためのポイントをご紹介します。

ブレスト・アウェアネス

普段から自分の乳房を気軽に観察する習慣を身につけましょう。入浴や着替えの際に、鏡で見る、乳房に触れるなどを日々行なっていると、「いつもと違う」変化に早めに気がつく事ができます。しこり、ひきつれ、乳頭からの分泌物などの変化に早めに気が付いたら、検診を待たずに早めに医療機関を受診しましょう。

乳がん検診を受ける

特に症状がなくとも、定期的な乳がん検診を受けることが大切です。40歳以上の女性は2年に1回、乳がん検診を受けることがすすめられています。症状が出る前に早期発見することができれば、早期に治療を受けられ、乳がんが完治する可能性が高まります。自治体の補助や職場の検診制度を利用して定期的に受けましょう。万が一、要精密検査という結果が帰ってきた場合は、必ず乳腺科を受診しましょう。

バランスの良い食生活と運動習慣

閉経後の肥満は乳がんになるリスクを高めることがわかっており、バランスの取れた食事で健康的な体重を保つことが大切です。運動習慣が乳がんになるリスクを減らすこともわかっています。また、アルコールの摂取も乳がんになるリスクであるため、なるべく控えることをおすすめします。

「乳がんと脇のしこり」についてよくある質問

ここまで乳がんと脇のしこりなどを紹介しました。ここでは「乳がんと脇のしこり」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

乳がんが脇に転移するとどんな症状が現れますか?

山田 美紀山田 美紀 医師

乳がんが脇のリンパ節に転移をすると、脇に硬いしこりが現れるといった症状で気づかれるケースもあります。まず、しこりを触れる位置は脇のくぼみの中央辺りが多いです。しこりは触っても痛みを感じない場合がほとんどですが、進行して周りの神経にがんが浸潤すると痛みを伴うことがあります。風邪によるリンパ節の腫れは1週間程度で良くなることが多いです。しかし、乳がんが腋のリンパ節に転移している場合は自然には改善しません。

編集部まとめ

今回の記事では、乳がんを疑う脇のしこりについてご紹介しました。乳がんが進行すると、まず脇のリンパ節に転移します。リンパ節の腫れは風邪等でも起こる症状ですが、乳がんによる脇のしこりは長期間続き、徐々に大きくなるという特徴があります。脇のしこりの症状が出る前に乳房の症状が出る事が多いので、日頃から乳房を意識する生活習慣を取り入れましょう。また、定期的な乳がん検診を受けることも大切です。

「乳がん」と関連する病気

「乳がん」と関連する病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

  • 卵巣がん(遺伝性乳がん卵巣がん症候群の場合)

BRCA1/2遺伝子の病的バリアントを持っている場合、乳がんや卵巣がんになるリスクが高くなります。乳がんにかかり、家族歴や年齢などの一定の条件に当てはまる場合に保険適用で遺伝子検査を受けることができます。

「乳がん」と関連する症状

「乳がん」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 乳房のしこり
  • 乳頭からの血清分泌物
  • 乳房の見た目の変化

乳がんがあると、乳房のしこりや乳頭血性分泌、乳房の見た目の変化などの症状に気がつくことがあります。気になる症状がある場合は、早めに医療機関に相談することが大切です。

この記事の監修医師