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「アルツハイマー型認知症の原因」となる可能性の高い食べものはご存知ですか?

 公開日:2024/07/26
「アルツハイマー型認知症の原因」となる可能性の高い食べものはご存知ですか?

アルツハイマー型認知症の原因とは?Medical DOC監修医がアルツハイマー型認知症の原因・症状・なりやすい人の特徴・原因となる可能性の高い食べ物や予防法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「アルツハイマー型認知症」とは?

アルツハイマー型認知症は、脳内に異常なタンパク質が蓄積することで脳細胞が徐々に死んでいく進行性の病気です。主な症状は記憶障害、判断力の低下、言語能力の衰えなどで、日常生活に大きな支障をきたします。この病気は現在のところ完治する方法はなく、症状の進行を遅らせる治療が中心です。

アルツハイマー型認知症と認知症の違い

認知症は、さまざまな脳の病気によって、脳の神経細胞の働きが次第に低下し、認知機能(記憶力や判断力)が落ちてしまい、社会生活が難しくなってしまう状態のことを言います。
生まれつきではなく、生まれた後に認知機能が低下したものを認知症と呼びます。
この認知症のなかで最も多いタイプとして、アルツハイマー型認知症があります。
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβ、リン酸化タウという異常なタンパク質が溜まり、認知症をきたしてしまうというものです。
つまり、認知症の中の一つとして、アルツハイマー型認知症があるということになります。

アルツハイマー型認知症の主な原因

アルツハイマー型認知症は、脳細胞内や周囲に異常なタンパク質がたまることが引き起こされると考えられています。この蓄積が起こる原因は正確にはわかっていませんが、リスクを高める要因としてはいくつかあるということがわかっています。

加齢

加齢は、最も大きな要因と言えます。
アルツハイマー型認知症を発症する可能性は、65歳を過ぎると5年ごとに2倍となります。一方で、40歳前後の方でもアルツハイマー型認知症を発症することはもちろんあります。

家族にアルツハイマー型認知症の人がいる

両親から受け継いだ遺伝子が、アルツハイマー型認知症を発症するリスクの増加に繋がっている可能性はあります。
一部の家族では、アルツハイマー型認知症はある特定の遺伝子が受け継がれることで引き起こされることが知られています。
もしも家族の何人かが何世代にもわたり、特に若い年齢で認知症を発症している場合には、アルツハイマー型認知症を発症する可能性があります。この場合には、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。

ダウン症候群

ダウン症候群という病気の人では、アルツハイマー型認知症の発症率が高くなると言われています。これは、ダウン症候群を引き起こす原因となる遺伝子の変化が、長い時間をかけて脳内にアミロイドプラークの蓄積につながり、一部の方ではアルツハイマー病につながる可能性があるためです。

高血圧

高血圧、特に、中高年の高血圧は、認知機能低下やアルツハイマー病などの認知症のリスクを上げることと関連しているといわれています。脳の小血管疾患が原因の一つではないかと言われています。
血圧が低すぎることも、また認知機能や記憶力に対して悪影響を与えると言われていますので、適切な血圧に保てるように健康診断などできちんとチェックすることが大切です。

2型糖尿病

糖尿病は、インスリンという血糖値を下げる働きをするホルモンが十分に働かなくなり、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまうという病気です。
中でも、2型糖尿病は肥満や運動不足などが原因となり、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりすることで血糖値が高くなります。
この2型糖尿病は認知症の発症率リスクを上げることが知られています。
血糖値の高い状態では、喉の渇きや体重減少などの症状がでることもありますが、無症状の場合もあります。
そのため、健康診断などで血糖値の異常を指摘された場合には、放置せずに生活習慣改善や内科受診をするようにしましょう。

アルツハイマー型認知症の代表的な症状

アルツハイマー型認知症にでは、認知機能障害による症状と、認知症の行動・心理症状が現れます。末期には、さまざまな神経症状が起こり、寝たきりになります。

記憶障害

初期にまず障害されるのが、近時記憶(きんじきおく)です。これは、数分から数十分前の事柄を忘れてしまうというものです。そのため、何度も同じことを話したり聞いたりするようになります。
このような場合には、安定した環境を整え、日常生活のルーチンを一定に保つことで、患者の不安を減らすことができます。また、メモやリマインダーを活用することも効果的です。脳神経内科や精神科、または認知症専門のクリニックを受診するようにしましょう。受診時には、具体的な記憶の問題や他の認知機能の変化について具体例を準備しておくと良いでしょう。

見当識障害

見当識障害(けんとうしきしょうがい)とは、時間や場所の感覚がなくなってしまうことを言います。初期の頃は、時間的失見当識が生じ、今日の日付がわからなくなります。症状が進行すると、場所がわからなくなり、末期には人物の失見当識があらわれ、最後には家族のこともわからなくなります。
脳神経内科や精神科に受診することが推奨されます。家族が同伴し、日常の具体的な困りごとを説明すると良いでしょう。

失語・失行

初期には、失語といって、言葉を思い浮かべることが難しくなり、語彙が乏しくなります。次第に遠回しにいうような言い回しが増え、言葉が減ってきます。末期には、発する言葉の意味が理解できない状態になります。
失行症状とは、図形の模写が困難になり、物の使い方を真似するのが難しくなるといった症状のことです。さらに進行すると、洗濯や入浴などに使う道具の使用ができなくなったり、服が上手に着られなくなったりします。

アルツハイマー型認知症になりやすい人の特徴

それでは、アルツハイマー型認知症になりやすい人の特徴を挙げていきます。

女性である

女性は、男性に比べてアルツハイマー型認知症のリスクがほぼ2倍に増加するといわれています。これは、女性ホルモンであるエストロゲンと関係しているかもしれません。
また、中枢神経の免疫細胞であるミクログリアという細胞の破壊が女性の方が起こりやすいといわれています。これがアルツハイマー型認知症の発症リスクの上昇に関与している可能性も示唆されています。

喫煙者である

喫煙は、アルツハイマー型認知症の発症リスクを上げることに関係しています。
ここでいう喫煙は、紙巻きタバコを長期間吸うということです。喫煙は、心血管疾患や慢性閉塞性肺疾患などの原因にもなるので、喫煙はやめることが健康上は望ましいでしょう。

運動不足

身体活動のレベルが高いほど、アルツハイマー型認知症のリスクが下がると考えられています。逆に、運動不足は高血圧や糖尿病など、他の脳血管疾患になりやすくなることにつながっているため、ひいてはアルツハイマー型認知症の発症リスクを上げてしまうこともあります。

アルツハイマー型認知症の原因となる可能性の高い食べもの

高脂肪・高カロリー食品

高脂肪・高カロリーの食品は体内の炎症を促進し、心血管疾患のリスクを高めるとされています。これらの疾患はアルツハイマー病のリスクも高めることが示されています。
具体的な食品名には、ファーストフード、揚げ物、バターや高脂肪の乳製品などがあります。

加工肉製品

加工肉には保存のためにナトリウムや保存料が多く含まれており、これらの化学物質が神経毒性を持つ可能性があります。また、加工肉の摂取は慢性炎症を引き起こし、認知機能の低下につながる恐れもあります。
具体的には、ソーセージ、ベーコン、ハムなどがあります。

砂糖を多く含む食品

砂糖の過剰摂取はインスリン抵抗性を引き起こし、これが脳の機能に悪影響を与える可能性があります。また、高血糖は認知機能の低下と関連しているとされています。
ソフトドリンク、スナック菓子、甘いデザート類などがあります。

アルツハイマー型認知症を予防する可能性の高い食べ物

地中海式ダイエットに含まれる食品

地中海式ダイエットというものがあります。このダイエットでは、具体的にはオリーブオイル、新鮮な果物と野菜、魚介類、全粒穀物、ナッツ類をとることが推奨されています。
地中海式ダイエットは、地中海式ダイエットで勧められている食品は、総じて抗酸化物質と抗炎症成分が豊富です。このことが心血管疾患のリスク低下と関連しており、脳血管を健康に保ち、認知症のリスクを減少させるとされています。

ポリフェノールが豊富な食品

ポリフェノールを摂取することで、アルツハイマー病、ひいてはアルツハイマー型認知症が予防される可能性があるという研究があります。ポリフェノールは活性酸素を取り除き、酸化を抑える働きがあります。ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンや、大豆に含まれるイソフラボンやサポニン、ゴマの成分のセサミノール、そばに含まれるルチン、緑茶のカテキンなどがあります。

オメガ3脂肪酸を多く含む食品

オメガ3脂肪酸は脳の健康を維持するために重要であり、特にDHAとEPAは脳の機能をサポートし、認知症リスクの低減に役立つとされています。
具体的な食品名としては、サーモン、くるみ、亜麻仁などがあります。

アルツハイマー型認知症の予防法

アルツハイマー型認知症のリスクとしては、加齢がやはり最も大きいものです。これについては対策することが難しいですが、以下のような方法はアルツハイマー型認知症のリスクを下げることに役立つでしょう。

禁煙・節酒

心血管疾患は、アルツハイマー病や血管性認知症のリスクを上げると考えられています。
心血管疾患への対策を取ることで、脳卒中などの他の疾患の発生を予防することにもつながります。
そのための方法として、禁煙や節酒などが効果的といえるでしょう。また、バランスの良い食事をとることも大切です。

運動をする

心血管疾患のリスクを下げるために、定期的な運動も効果的です。
中程度の強度の有酸素運動(サイクリングや早歩きなど)を、毎週少なくとも150分くらい行うようにしましょう。

社会的に活動的であり続ける

生涯を通じて、精神的・社会的に活動的な人は認知症になりにくいと示唆する研究がいくつかあります。そのためには、例えば地域社会でのボランティア活動に参加したり、ボーリングなどの団体スポーツに参加したりといったことなどがあげられます。
社会的に孤独にならないことも、認知症の発症リスクを低下させるために役立つでしょう。

「アルツハイマー型認知症の原因」についてよくある質問

ここまでアルツハイマー型認知症の原因などを紹介しました。ここでは「アルツハイマー型認知症の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

アルツハイマー型認知症になりやすい人の性格について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

アルツハイマー型認知症と関連が指摘される性格特性には、高い神経症傾向、内向的な性格、適応力の低さがあります。これらはストレスの多い反応や社会的交流の欠如、新しい状況への対応力の低さから、認知機能の低下につながる可能性があるため、生活習慣を改善していくことがすすめられます。

コーヒーを含めたカフェイン摂取はアルツハイマー型認知症の予防に効果はあるのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

カフェイン摂取、特にコーヒーはアルツハイマー型認知症の予防に一定の効果があると考えられています。カフェインは脳内の神経保護作用を持ち、認知機能の低下を遅らせる可能性があります。ただし、摂取量や個人の健康状態によって影響は異なるため、適量を心がけることが重要です。
なお、アルミニウムがアルツハイマー型認知症のリスクを高めると言われていた時期があったのですが、現在ではその因果関係を証明する根拠はない、と言われています。

編集部まとめ

今回の記事では、アルツハイマー型認知症の原因となりうる要因や、予防のために摂りたい食品、そして予防のために役立つ生活習慣などについて解説しました。
アルツハイマー型認知症の原因についてはまだ研究の段階であるものの、今回ご紹介した食品や生活習慣は、予防のために有用である可能性があります。
認知症のみならず、心疾患や脳血管障害などの予防にも役立つので、健康的な食生活や運動習慣を心がけていきましょう。また、少しでもおかしいと感じる場合や、身内にアルツハイマー型認知症の方が多くいらっしゃる場合には、脳神経内科など専門医を受診しましょう。

「アルツハイマー型認知症」と関連する病気

「アルツハイマー型認知症」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科の病気

  • 血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭葉型認知症(FTD)
  • パーキンソン病認知症

これらの病気は、アルツハイマー型認知症の症状と同じようなものを示すことが多いのですが、それぞれに独自の原因や特徴があるため、正確な診断が重要です。物忘れなどによって日常生活に支障が出るような場合には、脳神経内科や精神科などの専門医を受診するようにしましょう。

「アルツハイマー型認知症」と関連する症状

「アルツハイマー型認知症」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 失語
  • 失行
  • 失認
  • 遂行機能障害
  • 不安
  • 不眠
  • うつ状態

アルツハイマー型認知症の症状としては、認知機能障害による症状と、それがもととなり行動や心理的にも異常をきたす症状に分けられます。

この記事の監修医師