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「βエンドルフィンの出し方」はご存知ですか?男女別の出し方・出やすい人の特徴も解説!

 公開日:2026/04/10
「βエンドルフィンの出し方」はご存知ですか?男女別の出し方・出やすい人の特徴も解説!

βエンドルフィンの出し方とは?メディカルドック監修医がβエンドルフィンの男女別の効果・出しやすい人の特徴・1人で出す方法などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「βエンドルフィン」とは?

「βエンドルフィン」とは?

βエンドルフィンは、主に脳の下垂体前葉で産生される内因性オピオイドペプチド(神経ペプチド)の一種です。モルヒネと同様に「オピオイド」に分類される物質で、ストレスや身体の痛みに反応して分泌されます。
痛みの信号伝達を抑制して鎮痛作用や多幸感、快感、免疫調節効果、ストレス緩和などの働きを持ち、「幸せホルモン」や「脳内麻薬」とも呼ばれる物質です。
加えて、神経系だけでなく免疫細胞にも作用することが明らかになりつつあり、がんを含めたさまざまな疾患との関連が検討されています。

βエンドルフィンはどこから分泌されるの?

βエンドルフィンはどこから分泌されるの?

βエンドルフィンは、プロオピオメラノコルチン(POMC)という前駆体のタンパク質から合成され、主に脳の下垂体前葉から分泌されます。
ストレス刺激を受けるとβエンドルフィンが放出され、痛みを抑制する仕組みです。
βエンドルフィンは、脳だけでなく、視床下部を中心とした中枢神経系、交感神経節、副腎髄質、消化管、膵臓、甲状腺、卵巣、胎盤などさまざまな組織で産生されます。

【男性】βエンドルフィンが分泌されるとどんな効果がある?

【男性】βエンドルフィンが分泌されるとどんな効果がある?

βエンドルフィンは、鎮痛作用、多幸感をはじめとしたさまざまな働きを持っています。ここでは、男性にもみられる主な作用について解説します。

鎮痛作用

βエンドルフィンは、私たちの体の中で作られる「天然の痛み止め」の一種です。脳や脊髄で作られ、オピオイドと呼ばれる受容体(モルヒネなどが効く場所)に結合して、痛みを感じにくくする働きを持っています。
過去の研究では、がんによる強い痛みを抱える患者さんにβエンドルフィンを脊髄に投与すると、強い鎮痛効果が平均で約33時間持続することが確認されています。

多幸感・快感

βエンドルフィンは、「嬉しい・気持ちいい・幸せだ」と感じるときに分泌され、気持ちのよい体験で自然に増えます。
快感ややる気を生み出す脳の「報酬系」と呼ばれる回路で働き、ドーパミンという神経伝達物質と一緒に作用します。喜びを感じたときの脳の反応を強める物質です。「ランナーズハイ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは運動中に多幸感が起こる現象ですが、βエンドルフィンが関係していると考えられています。

ストレス緩和

βエンドルフィンは心の安定にも関わっており、音楽を聴く、瞑想するなどしてリラックスするとβエンドルフィンの分泌が促されることが分かっています。
リラックスした後に「ストレスが減った」と感じるのは、βエンドルフィンが関わっていると考えられているのです。
また、手術やけがといった強いストレスがかかったときにも、βエンドルフィン濃度が上がることが確認されています。これは体がストレスに上手く対応するための反応[YS2] で、心身を守るための重要な仕組みです。

免疫反応の調節

βエンドルフィンは、免疫反応を調整してバランスを保ち炎症抑制などにも働く物質です。
免疫反応に関わるTリンパ球の増殖を抑える一方、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するナチュラルキラー(NK)細胞やマクロファージなどの活性を高め、免疫を活性化するインターフェロンという物質を増やす働きがあります。

虚血性心疾患で生じる胸痛の調節

心筋梗塞などの虚血性心疾患では、アデノシンという物質が胸痛を引き起こします。
βエンドルフィンは、この痛みに対して男性では鎮痛効果を発揮しますが、女性には効果がないことが示されました。
この違いは、ホルモンバランスや脳・神経の反応の性差が関係して起こっていると考えられています。

【女性】βエンドルフィンが分泌されるとどんな効果がある?

【女性】βエンドルフィンが分泌されるとどんな効果がある?

βエンドルフィンが分泌されると、女性にも男性と同じく鎮痛、多幸感、ストレス緩和といったさまざまな効果があります。
ここでは、女性特有のβエンドルフィンの効果をご紹介します。

分娩時の痛みの緩和

βエンドルフィンは、分娩時の痛みを緩和させる働きを持ちます。血液中のβエンドルフィンの濃度は妊娠中から上昇しますが、分娩の進行に伴ってさらに上がり、分娩後期にピークを迎え、分娩後には低下します。
βエンドルフィンの自然な鎮痛作用により、痛み感覚の抑制や低下、耐えられる痛みの程度が上がり、出産の怖さが軽減されるようになっているのです。

胎児の保護

βエンドルフィンは、分娩時に胎児を保護する働きを持つと考えられています。
母体が低酸素状態になった時に脳への血流を促進し、胎児の低酸素状態や神経損傷が起きる可能性から守る作用のためです。また、胎児が低酸素症とアシドーシスの状態になると臍帯血中のβエンドルフィン濃度が上昇し、分娩時のストレス軽減に働くことが示唆されています。

女性ホルモン分泌の調節

βエンドルフィンは、女性ホルモンの分泌調節にも関与する物質です。月経周期の維持や思春期の開始にも関係している可能性が示されています。
β-エンドルフィン値の変化と関連づけられるのは、上昇または高値は運動関連無月経、ストレス関連無月経、多嚢胞性卵巣症候群です。一方、低下または低値は、月経前症候群(PMS)や更年期障害です。
生理学的な作用機序などが解明されれば疾患の治療に役立つ可能性がありますが、今後のさらなる研究が必要です。

βエンドルフィンが出やすい人の特徴

βエンドルフィンが出やすい人の特徴

βエンドルフィンが分泌されやすい状況に置かれている人は、βエンドルフィンが出やすい人と言えます。

日常的に運動をしている人

運動を行うと、体内ではβエンドルフィンの分泌が促されます。2ヵ月間の運動習慣を続けた人は、この仕組みが鍛えられてβエンドルフィン放出量が増えると示した研究があります。
日常的な運動は、体力増進だけでなく精神的にもいい影響を与えるようです。

ストレスを前向きにとらえられる人

ストレスを「脅威」ではなく「挑戦」としてとらえる姿勢は、ストレスへの対処(コーピング)として有効とされています。こうした前向きな捉え方は、ストレス反応を和らげる可能性があると考えられています。また、βエンドルフィンはストレスや運動などの刺激に応じて分泌されることが知られています。ランニング中の苦しさを「達成感」と解釈するなど、物事を前向きに受け止められる人は、結果としてβエンドルフィンが分泌されるような体験をしやすいかもしれません。

よく笑う人

笑うと脳内のβエンドルフィン分泌が促されるほか、ストレスが軽減して気分が良くなることが報告されており、実際に笑いを利用した治療法も研究されているほどです。
ポジティブな感情で笑顔になると、βエンドルフィンが分泌されてさらに気分が良くなる、という良いサイクルが生まれるでしょう。

βエンドルフィンの出し方(増やし方)

βエンドルフィンの出し方(増やし方)

意識してできる、βエンドルフィンを出す方法をご紹介します。

運動する

βエンドルフィンは運動で分泌され、分泌量は運動の強さや時間によって決まります。
たとえば、運動強度の高まりによって無酸素代謝が関与する状態になると、βエンドルフィンの分泌が増えることが報告されています。運動中には乳酸濃度も上昇しますが、βエンドルフィンの増加はこうした運動負荷に伴う生理的反応の一つと考えられています。
βエンドルフィンの放出を増やす具体的な運動の目安は、15分間の運動で最大酸素摂取の70%以上の強度とされています。走りながら息が荒くなるくらいの負荷で15分くらい走ってみましょう。

辛いものや甘いものを食べる

辛味成分のカプサイシンは、口の中にある痛みの受容体を刺激します。脳はこれを「痛み」と認識して、痛みを緩和するためにβエンドルフィンを分泌します。
一方、甘いものは血糖値の上昇と味覚の快楽刺激を通じて、脳の報酬系を活性化し、βエンドルフィン分泌を促します。摂りすぎには気を付けて、適量を食べてみましょう。

趣味に没頭する

深く没頭できる活動によって、脳の報酬系が働き、βエンドルフィンが分泌されやすくなります。また、達成感や感動といったポジティブな感情自体が分泌に関わります。音楽・絵画・読書・ゲームなどに没頭してみてください。

笑顔でいる

笑うと脳内でβエンドルフィンが分泌されます。
ある実験では、笑った人たちの痛みの閾値は笑わなかった人たちよりも高くなりました。これはβエンドルフィンの鎮痛作用によるものです。
作り笑いでもポジティブな気分になれる可能性も示されています。しかし、できれば心からの笑顔になれる環境に身を置くことが望ましいでしょう。

【1人】βエンドルフィンの出し方(増やし方)

【1人】βエンドルフィンの出し方(増やし方)

以下で、1人でもできるβエンドルフィンの出し方をご紹介します。

15分程度のジョギングをする

1人で手軽に行える有酸素運動の中では、特別な道具をそろえなくてもできるジョギングがおすすめです。
息が荒くなるくらいのペースで15分程度ジョギングしてみてください。「もっといける!」と、ランナーズハイに突入したら、15分で辞めずに走り続けてもいいでしょう。

温泉やサウナに入る

温熱刺激は、心地よいストレスとして皮膚から脳に伝わり、βエンドルフィンの分泌を促します。サウナや温泉などに入って体を温めましょう。

楽しい体験をして笑う

コメディ映画を観るなど、1人で楽しめる体験で笑顔になりましょう。もしすぐに楽しい体験ができないようなら、作り笑いでもいいので試してみてください。

辛い料理や甘いスイーツを食べる

味覚を刺激して、身体にストレスを与えます。辛いものが苦手な方は、甘いものでも大丈夫です。
1人でも、好きなタイミングで食べられますし、市販のお惣菜やスイーツの力を借りればすぐに行えます。

瞑想する

静かな場所で目を閉じて瞑想してみましょう。雑念を手放して呼吸に意識を集中すると、脳が活性化され、βエンドルフィンの分泌が促進されます。

「βエンドルフィンの出し方」についてよくある質問

「βエンドルフィンの出し方」についてよくある質問

ここまでβ エンドルフィンの出し方について紹介しました。ここでは「β エンドルフィンの出し方」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

どんな時にβエンドルフィンは分泌されやすいのでしょうか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

βエンドルフィンは、主にストレスや痛みへの自然な反応として分泌されます。日常生活では、少しきつめの運動をした時や達成感を味わえた時、笑った時などは分泌されやすいでしょう。

まとめ

βエンドルフィンは「脳内麻薬」とも言われる天然の鎮痛成分です。また、脳の報酬系に作用して多幸感や快感にも関わっており、ジョギングや大笑いなどの適度な負荷・喜びの場面で分泌され、ストレス軽減やランナーズハイに関与すると考えられています。
神経伝達に関わるだけでなく、免疫機能や女性ホルモンの分泌などさまざまな場所で働きます。
βエンドルフィン分泌を促すためには、日常的な運動や笑顔などが効果的です。1人でも手軽に行える方法がありますので、ぜひ試してみて下さい。

「βエンドルフィン」と関連する病気

「βエンドルフィン」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

精神科系

  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)

皮膚科系

  • 慢性掻痒症
  • 透析掻痒症

βエンドルフィンはストレスや感情の調節に関わる物質であり、精神的な不調との関係が研究されています。

「βエンドルフィン」と関連する症状

「βエンドルフィン」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 慢性的な痛み
  • 強いストレス
  • 気分の落ち込み

βエンドルフィンは、痛みの調節やストレス反応に関わる物質と考えられています。

参考文献

この記事の監修医師