「成長ホルモン」は何歳まで分泌されるかご存知ですか?医師が徹底解説!

成長ホルモンとは?メディカルドック監修医が成長ホルモン注射・働き・睡眠と時間の関係・サプリなどを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
「成長ホルモン」とは?

成長ホルモンは、主に身体の発育や代謝の調整に関わるホルモンです。小児期には骨や筋肉の発達を促し、成人後も体組成の維持やエネルギー代謝の調整に関与しています。分泌量は年齢によって変化し、思春期に多く分泌され、その後は徐々に減少します。
成長ホルモンはどこから分泌されるの?

成長ホルモンは脳の下垂体前葉から分泌されます。分泌は視床下部の調整を受けており、成長ホルモン放出ホルモンやソマトスタチンなどの作用によりコントロールされています。また、分泌は一定ではなく、日内変動や睡眠状態、運動、栄養状態などの影響を受けます。
成長ホルモン注射とは?

成長ホルモン注射は、成長ホルモン分泌不全などの疾患に対して行われる治療です。合成成長ホルモンを皮下注射することで不足分を補い、成長や代謝をサポートします。主に小児の低身長症や特定疾患で保険適用となり、医師の管理下で継続的に行われます。自己判断での使用は推奨されません。
成長ホルモンの働き(役割)

成長ホルモンは身長の伸びだけでなく、骨や筋肉、脂肪代謝、神経機能など幅広い働きを担っています。ここでは成長ホルモンが体にどのような影響を与えるのか、主な役割について解説します。
軟骨と骨の成長を促す
成長ホルモンは骨端線と呼ばれる骨の成長部位に作用し、軟骨細胞の増殖や分化を促進します。これにより骨の長さが伸び、身長の増加につながります。また、骨形成に関わる骨芽細胞の働きを調整し、骨密度の維持にも関与します。小児期から思春期にかけては身長の伸びに大きく関係しますが、骨端線が閉じると身長への影響は少なくなります。一方、成人でも骨代謝に関与するため、骨粗しょう症の予防や骨の健康維持に関係するホルモンと考えられています。
タンパク質合成を増加させる
成長ホルモンは筋肉細胞に作用し、タンパク質合成を促進する働きがあります。この作用により筋肉量の維持や増加が期待され、身体機能の維持や運動能力の保持につながります。また、細胞の修復や再生にも関与しており、成長期だけでなく、運動後の筋肉回復や加齢に伴う筋力低下の抑制にも影響します。さらに、身体の組織修復に関わるため、外傷や疲労回復にも一定の役割を持つのではと考えられています。
血糖値を上げる
成長ホルモンは肝臓での糖新生を促し、血糖値を上昇させる作用があります。また、インスリンの働きを抑える作用もあり、体内の糖代謝バランスに影響を与えます。この働きにより空腹時や運動時に必要なエネルギーを確保する役割を担っています。ただし、分泌量が多すぎる場合は耐糖能異常の原因となることがあり、不足した場合はエネルギー代謝の低下につながる可能性があります。そのため成長ホルモンは代謝調整において重要といえます。
脂肪分解を促進する
成長ホルモンは脂肪細胞に作用し、脂肪の分解を促進する働きを持っています。脂肪をエネルギー源として利用しやすくすることで、体脂肪量の調整や体組成の維持に関与します。この作用は特に運動時や睡眠中に活発になると考えられています。成長ホルモンが不足すると脂肪が蓄積しやすくなり、体脂肪率の上昇や筋肉量の低下につながる可能性があります。成人では体型維持や代謝機能の維持に関与するホルモンとしても注目されています。
神経の発達を調整する
成長ホルモンは脳や神経系の発達にも関与すると考えられています。神経細胞の成長やシナプス形成を調整する働きが示唆されており、学習能力や認知機能に関係する可能性があります。特に発達期においては脳機能の成熟に関与する重要なホルモンとされています。また成人においても神経細胞の保護や精神的な安定に影響する可能性が指摘されており、睡眠やストレス状態とも関連すると考えられています。
成長ホルモンが睡眠中に多く分泌される理由

成長ホルモンが睡眠中に多く分泌される理由は完全には解明されていません。ただし深いノンレム睡眠と分泌量が関連することが知られています。入眠後の深い睡眠状態では視床下部からの刺激が強まり、分泌が増えると考えられています。浅い睡眠では分泌量は少ない傾向があります。
成長ホルモンは眠り始めてからどれくらいで分泌される?

成長ホルモンは、入眠後に訪れる深い睡眠(徐波睡眠)のタイミングで分泌量が増加すると考えられています。一般的には眠り始めてから約60〜90分程度で深い睡眠に入り、この時期に成長ホルモンの分泌ピークがみられるとされています。
深い睡眠中に分泌された成長ホルモンは、骨や筋肉の発達に関与するだけでなく、組織の修復や再生にも関わっています。また、神経細胞の保護や機能回復にも影響する可能性が指摘されています。そのため、成長ホルモンは成長期の発育だけでなく、身体の回復や健康維持にも関与するホルモンと考えられています。
一方で、睡眠の質や生活習慣によって分泌量は変化します。入眠が遅れたり、睡眠が浅くなったりすると、成長ホルモン分泌のタイミングが乱れる可能性があります。そのため、規則的な睡眠習慣を整えることは、成長ホルモン分泌リズムの維持につながると考えられています。
成長ホルモンの分泌を増やす方法

成長ホルモンは生活習慣の影響を受けて分泌量が変化します。日常生活の中で整えやすいポイントを知ることで、分泌リズムの維持につながります。ここでは、成長ホルモン分泌に関係する生活習慣について紹介します。
質の良い睡眠
成長ホルモンは深いノンレム睡眠の際に分泌量が増加します。そのため、規則的な睡眠習慣を維持することが分泌リズムの安定につながります。就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を長時間見ると、入眠を妨げる可能性があります。また寝室の照明や室温を整え、就寝前にリラックスする時間を設けることも睡眠の質を整えるうえで重要です。睡眠不足や不規則な生活はホルモン分泌の乱れにつながる可能性があります。
適度な運動
運動は成長ホルモン分泌を刺激する要因の一つとされています。筋力トレーニングや有酸素運動は分泌を促す可能性があり、継続的な運動習慣は代謝機能の維持にも役立ちます。特に中等度以上の運動強度では分泌量が増える傾向があります。ただし、過度な運動は疲労の蓄積や睡眠の質低下につながる可能性があります。年齢や体力に応じて運動量を調整し、無理のない範囲で継続することが重要です。
バランスの取れた食事
成長ホルモン分泌には栄養状態が影響すると考えられています。特にタンパク質はホルモン分泌に関係するアミノ酸を供給する栄養素です。また、ミネラルやビタミンは代謝機能の維持に関与します。偏った食事や極端な食事制限はホルモン分泌の低下につながる可能性があります。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を意識することが成長や体調維持に役立ちます。
成長ホルモンの分泌を増やすサプリメント

サプリメントのみで成長ホルモンの分泌を促すことができるというわけではありません。
一方で、以下のような成分が含まれたサプリメントは栄養不足の解消に役立ち、特にお子さんの成長を助ける可能性があります。
カルシウム
カルシウムは骨や歯の形成に必要なミネラルです。成長期では骨量の増加に関与し、骨密度の維持に役立ちます。食事から十分な摂取が難しい場合にはサプリメントが補助として利用されることがあります。ただし過剰摂取は腎機能やミネラルバランスに影響する可能性があるため、摂取量には注意が必要です。カルシウムはビタミンDと併せて摂取することで吸収効率が高まるとされています。
鉄分
鉄は赤血球の形成に必要な栄養素で、全身に酸素を運搬する役割を担っています。成長期は鉄の需要が増えるため、不足すると貧血や疲労感、集中力低下につながる可能性があります。これらは活動量低下や運動量減少を招き、結果として成長に影響することもあります。食事で不足する場合にはサプリメントが補助として使用されることがありますが、過剰摂取には注意が必要です。
ビタミンD
ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を助け、骨代謝を調整する働きがあります。日光浴によって体内で合成されますが、生活習慣によって不足することがあります。不足すると骨形成に影響し、成長期の骨発達に関係する可能性があります。食事やサプリメントによる補助は骨の健康維持に役立つ場合がありますが、過剰摂取には注意が必要です。
亜鉛
亜鉛は細胞分裂やタンパク質合成に関与するミネラルです。成長期では発育や免疫機能の維持に関係し、不足すると成長遅延や食欲低下につながることがあります。また皮膚や粘膜の健康維持にも関与します。肉類や魚介類に多く含まれますが、偏食などにより不足する場合にはサプリメントが利用されることがあります。
「成長ホルモン」についてよくある質問

ここまで成長ホルモンについて紹介しました。ここでは「成長ホルモン」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
成長ホルモンは何歳まで分泌されるのでしょうか?
木村 香菜(医師)
成長ホルモンは一生を通じて分泌されます。小児期から思春期にかけて分泌量が多く、その後は減少しますが、成人後も代謝や体組成維持に関与しています。
まとめ
成長ホルモンは骨や筋肉の発育だけでなく、代謝や神経機能にも関与する重要なホルモンです。分泌は睡眠や運動、栄養状態の影響を受けます。成長ホルモン治療は医師の管理下で行われる必要があります。生活習慣の見直しはホルモンバランス維持に役立つため、日常の睡眠や食事、運動を整えることが大切です。
「成長ホルモン」と関連する病気
「成長ホルモン」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内分泌内科系
- 成長ホルモン分泌不全性低身長
- 先端巨大症
- 下垂体腫瘍
ホルモン分泌異常は発育や代謝に影響し、これらのような病気と関連することがあります。
「成長ホルモン」と関連する症状
「成長ホルモン」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 低身長
- 体脂肪増加
- 筋力低下
異常な成長や肥満が起こるような場合には、ホルモン異常が原因となっている可能性があります。
参考文献
- 成長に必要なホルモン-東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科
- 遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤 注射用ソマトロピン(遺伝子組換え)
- Physiology, Growth Hormone - StatPearls - NCBI Bookshelf
- 内分泌疾患に続発する肥満症. 日本内科学会雑誌. 2015
- HGH (Human Growth Hormone): What It Is, Benefits & Side Effects - Cleveland Clinic
- Role of growth hormone (GH) in the treatment on neural diseases. Neurosci Res. 2013
- Increased Human Growth Hormone After Oral Consumption of an Amino Acid Supplement. Am J Ther. 2020
- 「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解|日本小児内分泌学会




